建築設計業界で働いている皆様の中で、今の仕事に満足しておらず、現状を変えたいと思っているの方も多いと思います。その解決策として転職という選択肢があります。今回建築設計の方向けに転職を考える上での問題点や解決策をご紹介しますので、参考にしていただけたらと思います。
建築設計の転職理由は?
日本の住宅業界のシェアとして、地域密着の地元工務店が約70%を占めると言われています。特に地元工務店の社長は、営業から設計、現場管理まで幅広くこなしてきた経験も豊富にあります。筆者もそういう工務店で働いた経験上、社員に対して、同じように何でもできるスキルを求められる傾向にありました。
また人数が少ない割に業務も膨大で幅広く、マルチプレイヤーとしての能力が求められるので、休みも少なく残業続きで疲弊してしまいます。その上、給料も高くはないので、働く目的が見失われて転職を考える方は非常に多い業界です。
建築設計の転職の悩みは?
転職を考えるようになっても、日々の業務に追われて、働きながら転職活動をするのが難しいかと思います。また、初めての転職の場合、次のステップを準備しないまま退職してしまい何から始めればいいのかわからない状態で探さなくてはなりません。
営業職なのか、設計職なのか、施工管理職なのか、建築の場合、職種が多岐にわたるので、明確に次のステップを決めておかないと会社選定で迷ってしまうことになります。また、工務店からゼネコンに就職することは極めて難しく、一流大学出のエリートでないと就職ができないため、必然と道が決まってきてしまいます。
設計をメインにやりたい思っていても、募集欄は設計で募集しているのに実際に働いてみたら施工管理よりの設計だったなど、判断が非常に難しいことがあります。
建築設計のおすすめ転職時期は?
これは企業毎に変わると思いますが、建築業界全般に言えることは、2月と8月の閑散期を狙うといいかもしれません。業務で忙しいと転職活動も中途半端になってしまいますので、1ヶ月位集中して行うことがいいと思います。また、今働いている会社が決算期に近づいてくると会社全体が目標達成に向かって社員の士気を上げてくるので、避けた方が無難です。
建築設計から他職種への転職は?
主にCADで図面を書くことが多いので、CADソフトを使用している機械設計などの転職はスムーズです。二級建築士や一級建築士、宅建などの資格があれば資格学校の先生になる人もいます。全くの未経験の分野だと、新入社員と同じ立場になるので、その覚悟があっての転職であればいいと思います。
建築設計の転職でよくある失敗事例
失敗事例1:給与だけで転職する
求人サイトに載っている「経験1年 年収〇〇万円」や月給〇〇万円〜に騙されてはいけません。
しっかりと面談時に確認しないと後でそんなはずじゃなかったと悔やむことになります。また就職祝い金と謳い文句があっても、いつ支払われるのか確認しないと放って置かれることもあります。(実際に筆者もありました。試用期間が終わってからと言われてそのまま忘れられてしまいました)
失敗事例2:書類選考に通らない
自分のことを知ってもらうために、履歴書と職務経歴書を書くかと思います。今まで経験してきた実績をしっかりと伝え、希望する職場の求める条件とマッチすることで採用される可能性が高くなります。
例えば、今まで木造戸建住宅設計メインで活動し、その実績を伝えてもRC造マンション設計には転職が難しいなどです。その場合志望動機にどうして違う分野に挑戦したいのかを明確に書いた方がいいでしょう。例えば「スキルアップで違う分野に挑戦したい」とか、「一級建築士を取得したので活動の幅を広げていきたい」など成長意欲をアピールするなどです。
失敗事例3:プロを活用しない
転職サイトにはエージェントと呼ばれる仕事を紹介してくれるコンサルトがいます。自分の希望を伝えれば、沿った内容の案件を持ってきてくれ、履歴書の添削や面接のアドバイス、転職先との年収の交渉まで無料で行ってくれます。自力で求人を探して、履歴書の書き方を調べ、書類選考が通らず、やっとの思いで面接までこぎつけたが一次選考で通らず。。。などアドバイスがないと長期戦になってしまう場合もあります。
建築設計の転職成功事例
体験談1
25歳男性年収アップのために転職
【転職前の状況】
・職種;設計補助
・学歴;専門学校卒
・過去の転職回数;0回
・勤続年数;1年
・直近の年収;200万円
・平均残業時間;100時間
【転職活動の詳細】
・転職活動のやり方;ハローワーク
・転職活動期間;1ヶ月
・応募者数、内定数;3社中1社
・転職活動でかかった費用;6千円
・転職結果;職種は希望通り、年収は200万円アップ
【転職を決めた理由】
専門学校時代からインターンで勉強させてもらっていたアトリエ系設計事務所に就職したが、手取りで15万もいかず、毎日深夜にわたる仕事で体が持たないため転職を考えるようになりました。
【転職後の状況】
前職を辞めてから探し始めたため、ハローワークで地元企業に絞って探しました。前職が都内通勤で毎日満員電車で疲れていたため、電車にあまり乗りたくなかったからです。そこで求人に出ていた会社に直接連絡し、面接をさせていただきました。面接官は社長が直接対応していただき、仕事内容や給与、福利厚生、休みなど直に聞けたのでよかったです。明日からでも来ていいよと言われ、あまり離職期間が出ずに済んだので助かりました。
【もっとこうしておけばよかった】
退職後に探すと、収入がない状態になるので焦って探してしまいます。内定が出るとよく吟味せずに受け入れてしまう可能性が高いので、できれば在職中に探せればもっといいところがあったかもしれません。でも前職より状況が改善されましたので満足です。
体験談2
35歳男性異業種からの建築業界に転職
【転職前の状況】
・職種;住宅営業・学歴;4年制大学卒
・過去の転職回数;0回
・勤続年数;11年
・直近の年収;500万円
・平均残業時間;10時間
【転職活動の詳細】
・転職活動のやり方;転職サイト
・転職活動期間;2ヶ月
・応募者数、内定数;4社中1社
・転職活動でかかった費用;2万円
・転職結果;職種は未経験なので営業、年収は200万円下がりました。
【転職を決めた理由】
前職は大学卒業後から勤めていた医療系事務の仕事を11年しておりました。年収も特に不満なく、妻と2人の子供と楽しく暮らしていました。家を買う話になり、気になっていた注文住宅の会社に行きましたが、金額が合わず断念。あえなく建売を購入することになりました。しかし、注文住宅で働いている社員がカッコよく、なんの代わり映えもない今の職場から抜け出したいと思う気持ちが日に日に高まり、転職活動を決意しました。
【転職後の状況】
年収は下がる覚悟で異業種から転職しましたのでわかってはいたことですが、やはり家族を養っていくにはキツイですね。固定給+インセンティブなので契約しないと入って来ません。早く仕事を覚えて契約しないと生活がままならない状態ではありますが、毎日が新鮮で楽しく仕事をしています。
【もっとこうしておけばよかった】
カッコよさで仕事を選んでは、後々大変だなと感じました。特に収入面では自分一人ならまだしも家族がいるとなかなか下げられないと思います。勉強して契約を早く取れるようになれば収入も上がって来ますが、それまでは家族の協力なしではいかないので家族への説得と理解も必要かなと思います。
体験談3
42歳男性スキルアップのために転職
【転職前の状況】
・職種;施工管理・学歴;4年制大学卒
・過去の転職回数;3回
・勤続年数;5年
・直近の年収;700万円
・平均残業時間;15時間
【転職活動の詳細】
・転職活動のやり方;転職エージェント
・転職活動期間;6ヶ月
・応募者数、内定数;9社中3社
・転職活動でかかった費用;5万円
・転職結果;職種は希望通り、年収は100万円アップ
【転職を決めた理由】
前職では中堅ゼネコンにて施工管理として勤務していたが、ゼネコン特有の専門職で幅の狭い仕事内容に不満を感じており、もっといろんなことにチャレンジできるためにスキルアップを望み転職を決意しました。
【転職後の状況】
前職を辞めてから資格を取ることに集中しました。建築業界で最も幅を効かせられる二級建築士の取得をし、エージェントと相談しながらキャリアアップと年収をあげられる企業への対策をして、転職を成功させました。
【もっとこうしておけばよかった】
資格は年齢が上がってくると、あるとないとで差が出て来ます。もっと早くから取っておけばよかったと思いました。(年齢が上がると記憶力も弱くなるので。。。)また、転職エージェントに親身に相談に乗ってもらえたので、もっと早くから相談していればよかったと思いました。
最後に
建築設計は建築現場においてリーダー的存在であり、なくてはならない仕事です。言葉に出来ないほどの達成感と喜びを感じることが出来る魅力的な仕事なので、建築設計を目指す方、建築設計として働かれている方は、自分の仕事に自信を持って毎日を歩んでいただければと思います。
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