建築調査の仕事とは?業務内容や年収は?


今後ますます需要が高まる中古住宅や中古マンション。国としても「空き家」のストックを流通させるための動きを加速させるための法整備を進めています。また、良質な中古物件を購入し、リフォームやリノベーションなども若者を中心にブームになっています。

そこで安心して物件が取引できるように第三者の目でしっかりと診断するのが「建物調査員」であり通称「ホームインスペクター(住宅診断士)」になります。今回、ホームインスペクターの仕事の中身などを詳しく見ていきたい思います。

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目次

建築調査の役割とは?

物件の安全・安心を保証する建物調査の役割について3つご紹介いたします。

役割1:物件を専門的見地で診断・報告

第三者の立場で住宅の劣化状況、欠損の有無、改修が必要な場合の費用などを見極めます。その後詳細なレポートにて調査内容と見解を依頼者に報告します。その中身としては購入後に必要なリフォーム箇所の特定や、維持管理の方法など取引しても大丈夫かどうかの判断材料となる内容になっています。

役割2:不動産売買契約時等の物件調査

2018年4月1日の改正宅建業法の施行により建物状況調査の説明が義務化されました。内容として調査員が通常歩行できる範囲で目視や計測などを行い、建物の現状を正確に報告します。その内容を持って買主が購入の是非を判断します。

役割3:既存住宅の流通促進

少子高齢化が、人口減少社会が進む中で、日本の空き家が約820万戸と言われており、7戸に1戸が空き家と言われています。国としても空き家のストック解消や住み替えのためのリフォーム提案の促進のために、物件調査の普及が欠かせないものとなっています。

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建築調査に求められるスキルとは?


専門的立場で調査や報告をする建築調査に求められる重要なスキルを3つご紹介いたします。

スキル1:建築や不動産の幅広い知識や見識

対象が中古住宅であり、築年数も状態も全く異なる物件を調査するので、二級建築士のスキル(建築に関する作図や法規、構造、現場管理など)や宅地建物取引士のスキル(宅建業法など)の資格を取得できる知識が必要となってきます。特に、二級建築士に求められる建築基準法などの関連法規や設計工事管理、現場管理などのスキルは現場を調査するのに大いに役立ちます。

スキル2:適切な状況の判断力で判定

基礎や外壁、構造内部、雨漏り状況、内部、建具、水回り、床下、屋根裏など150項目以上を診断していくので、小さな異変を見逃すことがなくなります。「住まいの健康診断」とも言われる通り、多くの判断する力が必要です。

スキル3:調査内容の報告書作成スキル

1現場あたり3時間程かけて調査報告書を作成します。問題箇所の写真と説明が書かれており、外壁や構造などの大きな問題から蛇口の使いずらさなどのマイナーな問題まで30〜40ページにも及ぶことがあります。最後に問題箇所の修理費用の概算金額も書き添えていきます。

建築調査の働き方は?

建築調査の実際の働きかたはどのようになっているのでしょうか?
1日の流れや、気になる休日について触れていきたいと思います。

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建築調査の1日の流れは

建物調査会社の1日の仕事の流れについて触れてみたいと思います。

9:00〜10:00 出社、業務指示、移動
10:00〜12:00 1件目中古住宅診断
12:00〜13:00 昼食
13:00〜15:00 2件目中古住宅診断
15:00〜17:00 3件目中古住宅診断
17:00〜19:00 事務所へ戻り報告書作成

建築調査の休日や休暇は?

一般的な建築・不動産業界と同じく水曜日を定休としているところが多いです。依頼主が土日に見てもらいたいニーズもあるため、シフト制で週休2日となっているケースもあります。

ケース1:通常の休日

建築業界と同じく水曜日が定休のところが多いです。残りの1日はシフト制で前後の火曜日か木曜日を決められるところが多いです。

ケース2:繁忙期の休日

中古物件が流通しやすい、年明1月〜3月くらいと9月〜11月くらいに、不動産市場が繁忙期となりますので、連動して住宅診断の依頼も増えてきます。休日出勤も出てきますので振替休日を合間をぬって取得していく必要があります。

ケース3:長期休暇

一般的な夏季休暇や冬季休暇はあります。その他にまとめて休暇を取得したり有給を使って旅行に行ったりと、事前に連絡をしておくことで、繁忙期を除けば取得がしやすい環境です。

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建築調査の仕事が激務と言われる理由

だんだんと建築調査について理解してきたかと思いますが、さらに詳しく仕事の中身についてみていきたいと思います。

本当に激務なの?

建物調査会社の社員ですと、1件あたり2〜2.5時間の現場を平均3件の調査をしていきますが、繁忙期だと3件以上こなすことがあるので、忙しくはなります。現場から戻ってくるのが夕方になりますので、
そこから各現場の調査報告書を作成するとなると夜遅くまで仕事をしなくてはならないこともあります。

激務と言われる理由は?

日中現場に出ているので、戻ってからの調査報告書の作成が個人のスキルによって大きく変わってきます。診断と報告のスキルバランスがよくないと、どちらかに偏ってしまいますので結局、規則時間に終わらない形となってしまいます。

最近ではスマートフォンを活用し、現場で報告書を作成できるアプリも市販されているので、採用している会社では業務改善に繋がっているでしょう。

建築調査の年収は?


経験やスキルによって年収は変わる業界ですので、年齢はあまり関係なく年収が上がりやすい職種ではあります。会社員の場合の年齢別・経験別の参考年収をご紹介いたします。

年齢別

・20代〜30代 年収300万円〜500万円
・30代〜40代 年収500万円〜700万円
・40代〜 年収700万円〜

経験年数別

・未経験〜経験5年 年収300万円〜450万円
・経験5年〜経験10年 年収450万円〜年収600万円
・経験10年〜経験15年 年収600万円〜年収700万円
・経験15年〜 年収700万円〜

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職種別:特定建築物調査員

「特定建築物調査員」とはデパートやホテルなど特定行政庁が指定した建築物であり、国土交通大臣が認定する資格を有する人です。定期的な点検が必要なので、仕事がなくなることはありません。基本給以外に資格手当や深夜手当などもあるため、月給40万円以上の人も多くいます。

建築調査の将来性は?

国が建物調査を普及させ、エンドユーザーが中古住宅を安心して購入できる仕組みを推し進めている。また、2018年4月1日から中古住宅売買の場で建物診断の告知が義務化されたのを受け、多くの需要が見込まれる職種となりえます。

アメリカでは1975年頃から民間主導で普及し始め、業界全体の水準を高めながら信頼される地位を築いてきました。アメリカでは数万人の建築調査員がいると言われており年収2000万円を超える人もたくさんいるとのことで、今後日本でも稼げる職業の一つとなるかもしれません。

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建築調査の年収をあげるには?

これからますます需要が伸びる仕事ではありますので、年収は全体的に上向きではありますが、さらに上げていくためのポイントを3つご紹介いたします。

資格をとる

建物調査員として活動するためには、「公認ホームインスペクター」という民間資格を取得する必要があります。また一級建築士や二級建築士、木造建築士などの資格を有する人しか受験ができない「既存住宅状況調査技術者」と言う資格もあります。

こちらの資格の方が求められるスキルや仕事の質が高いので、月10,000円〜15,000円の手当がつくところが多いようです。

経験を積む

実績や経験が多くなれば、任される範囲も広くなり、依頼件数も多くなります。1つ1つの現場の状況が違うので、その都度新しい発見や知識が必要となります。一般的に「建物面積が大きい」「築年数が古い」ほど単価が上がっていきますので、大規模な築年数が古い建築物ほど高単価でやりがいのある仕事と言えます。

転職をする

まだ専門建物調査の企業がそこまで多くないので、選択肢が多いわけではないですが、二級建築士以上や宅地建物取引主任者の資格などを持ち合わせていると、月5,000円〜10,000円手当がつくところが多いです。建築や不動産の知識や見識は経験や実績がものを言うので、転職時の年齢はあまり関係なく重宝される傾向にあります。

最後に

建築調査は第三者の視点で建物の状態を詳しく調べて報告する大事な仕事です。そのため建築知識や現場調査スキルなど高い能力が求められます。大変な仕事ではありますが、お客様に喜ばれた時のやり甲斐はとても大きいものです。これからますます伸びていく業界でもありますので、気になった方は今がチャンスですので、まずは資格取得を目指してみてはいかがでしょうか?

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