「建築施工管理技士に必要な能力とはなんでしょうか?」施工管理士さんは、現場の責任者として現場の指揮をとる仕事です。多くのプロフェッショナル関わる建築現場では、建築施工管理技士の「リーダーシップ」が問われます。リーダーシップの他にも多くのスキルを求められます。スキルの高い人材が集まるからこそ、リーダーシップによって納期や品質に大きく影響がでるからです。
さて建築施工管理に必要な「リーダーシップ」や「その他のスキル」とは一体どのようなものでしょうか。早速みていきましょう!
建築施工管理に必要な「リーダーシップ」とは?
「リーダーシップ」といっても、この言葉には明確な定義がありません。リーダーシップは一般的に「リーダーに求められる全ての要素」をさして使われることが多く、幅広い意味を有している言葉です。リーダーに求められる要素の一例としては
・統率力
・コミュニケーション能力
・マネジメント能力
・課題解決能力
・人望
などが挙げられます。今回は建築施工管理技士に「必要な能力」として各要素について取り上げていきます。
ぜひ、尊敬する先輩、反面教師の先輩、自分自身をイメージしながら読んでみてください。
建築施工管理に必要な能力1:統率力
「統率力」には、①現場を束ねる力(チームをひとつにまとめる)、②チームを率いて目標を達成するために行動する力といった意味があります。
現場には、職人といっても世代やキャラクターも違う多種多様な人たちが集まっています。なかにはかなりクセの強い人もいるでしょう。そんな職人たちをまとめ、作業を円滑に進めていく上で、必ず必要になっていくるのが「統率力」です。
職人さんに敬意を払う
「統率力」という言葉の性格上、現場監督が上、職人等の作業員が下という構図がイメージされがちです。しかしながら、職人さんたちは単なる部下という位置付けでなく、現場に必要不可欠な人材、またその道のプロフェッショナルな人たちです。
リーダーはチームのパフォーマンスを最大化させることが使命です。職人さんたちのモチベーションが下がることがないよう、きちんと順を追って、十分な説明をしたり、雑談も交えたコミュニケーションをとるようにすることが大切です。1つの「ありがとう」や「ごめんね。」といった、ちょっとしたコミュニケーションがコミュニケーションんを潤滑にします。
絶対に、上からの物言い、命令口調となることがないよう注意をしましょう。誠意ある態度で接することが、作業員、現場の士気を上げることに繋がります。
建築現場の作業効率、パフォーマンスを最大化させることが建築施工管理技士の腕のみせどころでしょう。
自分の判断に自信をもつ
自分の決定がコロコロ変わったり、その場しのぎの応対をとると、周囲の信頼を失います。一度失った信頼はなかなか取り戻すことはできません。ひとたび信頼を失うと、作業員からナメられたり、自分の指示が相手にされなくなったりとさらなる悪循環を生み出します。
作業員の意見に対し、耳を傾けることはとても重要なことですが、なんとなく流される、「じゃあそれで大丈夫です」等のその場しのぎの応対をとる、言うべきときに言えない…等を繰り返していくと、主体性と決断力に乏しいリーダーという印象を与えてしまいます。
施工管理の担当者が自信なさげに指揮を取っているようでは現場の作業員は不安になってしまいます。指揮監督者としてふさわしい態度で、「この監督さんなら大丈夫」だと感じさせる判断力、行動力が不可欠です。
自分の判断に自信を持ち、時には相手が納得行くまで説明を続ける根気や忍耐力も現場監督に求められる能力です。先述しましたが、自分の意見を言うことと、上から物を言うことは全く違います。そこだけは決してはきちがえることがないよう注意しましょう。
建築施工管理に必要な能力2:コミュニケーション能力
建設業界の仕事は、工事の依頼主や会社の従業員はもちろん、現場の作業員や役所関係者、近隣住民など多くの人と関わる仕事です。工事を予定通りに進めるためには、これらの人々とコミュニケーションを円滑にとり、良好な関係を築く能力はとても重要だといえます。
先述の「作業員のモチベーションを維持する」「自分の意見を伝える」等々、人間構築力は全ての要素の土台になっています。先程の「統率力」、この後説明する「交渉力」等々、コミュニケーション能力は仕事をする上で、すべてに通ずる必要不可欠な能力といえるでしょう。
残念ながら、コミュニケーション能力に劣る人は、建設現場に向いていないかもしれません。
建築施工管理に必要な能力3:原価管理能力と交渉力
建築施工管理技士の仕事いうと、まずは現場監督というイメージが強いですが、実は予算管理などデスクワークの多い仕事でもあります。
ここでは原価管理能力=「経理能力」と考えていただけるとイメージしやすいかと思います。
利益をもたらさなくては意味がない
建築施工管理技士として会社に雇われている以上、会社に一定の利益をもたらす必要があります。目標利益を達成できるような予算組みを行う力が必要になってきます。目標利益というゴールに対して、逆算をする形で、予算を組み、原価や諸経費を細かく組み込んでいく作業になります。
どれだけ高品質な住宅を完成させても、予算オーバーで赤字になってしまえば、単なる自己満にすぎないとしかいえません。また自分の評価を下げることにもなりかねません。建築施工管理技士にとって経理能力がどれだけ重要かご理解いただけたでしょうか。
交渉力がものをいう
予算組みにおいて、職人の選定や値段交渉をすることも、建築施工管理技士の仕事です。信頼できる職人をピックアップし、その見積もりの中から予算に見合う職人に仕事を依頼します。そこからは会社の利益を追求するために値段交渉を行ったり、コストを下げるための代替案を考えたりと、交渉力が試されます。
建築施工管理技士の仕事は、会社の利益や損失に直結します。先方の要望を聞いてばかりでは、コストの増大だけでなく、工期の遅れや品質管理の損失につながるおそれもあります。いかに折り合いをつけ、利益増大を目指すかが鍵となるのです。
しかし、過度にコスト削減、利益追求するあまり、無理な値下げを要求してばかりでは、先方の信頼関係を損ないかねません。相手を尊重しながら無理のない範囲で交渉を行うなど、状況の見極め力、判断力が要求されます。
会社の利益を追求することが、結果として自分の評価やキャリアアップに繋がるともいえます。経理能力と交渉力はキャリアアップを図っていく上で、必要な能力といえるでしょう。
建築施工管理に必要な能力4: 危機管理能力と責任感
現場を統括する現場監督にとっては、工程通りに進めていくことが何よりの使命ですが、どんな現場でも、想定外のトラブルは発生します。そしてそんなトラブルを一つでも多く回避し、無用な手間や負担を減らしていくのも、建築施工管理技士の仕事のひとつといえます。
そのために必要となるのが、どういったトラブルが起こる可能性があるのかをあらかじめ想定する「危機管理能力」と、その状況下で行動を起こせる「責任感」です。
トラブル処理には相当な時間がかかる
トラブルは必ずと言っていい程、起こります。ただしひとたびトラブルが発生すると、原因の究明、再発防止策の作成等、トラブル処理のために相当なコストと時間が発生します。想定外のトラブルが起こってしまうと、全工程の見直しが必要になったり、工事の進捗状況にも影響を及ぼします。
トラブルをゼロにすること難しいですが、トラブルの発生率を抑えることは可能です。そのためにオススメしたいことは「確認作業」を怠らないことです。各作業場の確認だけでなく、作業員に対してもその都度確認をとると良いでしょう。
指示を出しておわりではなく、自分の指示が相手にしっかりと伝わっているか、理解してもらえているのか、指示通りの作業が完了しているか等の確認作業を習慣化させましょう。ひとつひとつの確認作業にも時間はかかりますが、トラブル処理による何十倍もの手間と労力を想定し、業務を行う方が結果として、計画通りの工事進捗が見込めるのではないでしょうか。
安全管理
建築現場は常に大きな事故と隣り合わせです。そのため、事故を防ぐための工事上の安全管理は必須です。危険な箇所を的確に見極めて改善する注意力や慎重さがなければ、重大事故の予兆を見落としてしまうかもしれません。
多くの職種の人が出入りし、様々な作業が行われる建築現場には、事故の種があちらこちらに蒔かれています。その危険の種にいち早く気づき、問題や事故に発展する前に摘み取る能力が建築施工管理技士には必要となってきます。
問題解決能力
各工程や作業員によるミス等だけでなく、天候や災害による問題から近隣クレーム(騒音や埃)まで、建築の仕事では様々な問題が発生します。これらの問題を、できるだけ早く、スムーズに解決する能力も必要になってきます。
この問題解決力は主体性があり、責任感をもった人間が持つ能力といえます。トラブルが発生した時、ピンチの時ほど、その人の人間性があらわれます。冒頭のリーダーに求められる要素である「人望」はこれに該当するのではないでしょうか。人望のある人間には自然と周囲の信頼が集まります。自らの責任感や使命感は行動にあらわれます。仕事に対し、責任感と主体性をもつことが、リーダーとしての資質となります。
建築施工管理に必要な能力5: 向上心
建築業界は、常に新しい技術が導入される業界です。日々更新される技術や情報いついて高いアンテナを張り巡らし、新しい技術を学習する姿勢が、自身のスキルアップにつながります。実際に、最新技術を取り入れることでコストダウンにつながったり、さまざま視点や角度からものごとを提案できるようになったりと、仕事の質が大きく変わっていきます。
こうした提案ができる人間は社内でも非常に重宝され、昇進や昇給にもつながります。またこういった姿勢は部下の模範となるだけでなく、社内全体の士気向上にもつながる等、社内での存在感も大きくなっていきます。
『人間は学び続けなければならない。学ぶことをやめたら、人間でなくなる。(安岡正篤)』
建築施工管理に必要な能力6: 強固なメンタルと体力
建築施工管理技士の仕事はハードです。(「つらさ」や「激務」等については別記事にて説明しております。)
「体が資本」です。また日々の業務の中では人間関係、その他諸々メンタル的にも大変な場面はよくあります。強固な体力と併せ、辛抱強さ(ストレス耐性)や粘り強い性格は、建築施工管理技士として必要な能力といえるでしょう。
ジムでトレーニングをしたり、毎朝ランニングをしていると言う声もよく聞きます。
おまけ:こんな能力も必要?
建築施工管理の仕事に必要な能力をお伝えさせていただきましたが、必要なのはプライベートで職人さんや仲間と仲良くなることです。
お酒が強い
建築業界は他の業界に比べても比較的飲み会が多い業界です。
施主との飲み会、職人さんとの飲み会、自社の飲み会と何かにつけて飲み会があったりします。お酒が強いとまではいかなくても、「飲み会を楽しめる力」がある人はこの仕事は向いてるのかもしれません。
タバコ、下ネタに耐性がある
これは必ずというわけではありませんが、建設現場は喫煙者率が高かったり、下ネタやギャンブルの話が多かったりという話も聞きます。
わざわざ喫煙者になる必要はありませんが、現場の方とのコミュニケーションツールとして耐性はつけておく必要があるかもしれないですね。
まとめ
いかがでしたか。
建築施工管理技士に「必要な能力」とは
●統率力
●コミュニケーション能力
●原価管理能力と交渉力
建築施工管理技士の仕事は、会社の利益や損失に直結する
●危機管理能力と責任感
●向上心
●強固なメンタルと体力
みなさんの職場にはこのような人はいたでしょうか。また自分自身はどうでしょうか。
「リーダーシップ」「人望」のある人に、ひとは自然とついていきます。
週末に「リーダーシップ」関連の本を読んでみるのもいかがでしょうか。新たな気づきを手に入れられるかもしれないですよ。
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