- 建築施工管理の重要な要素の一つが、損益管理です。現場の管理者として1人前になるには、損益管理ができることが必要になります。損益管理というと会社の事業オーナーがすることが一般的に多いので経営者のような気分にもなれますし、とてもたのしい業務です。
予算配分が頭にしっかりはいっていると、何か想定外のことがおこっても慌てふためくことなく対処することができます。予算管理を行う上で、重要になってくるのが、全体を理解した上で優先順位を決めることです。
今回は、その上で予算の目標を実現するにあたって重要になってくる4つのポイントについてご紹介したいと思います。
1. 全体の予算と原価を把握する
損益管理において、最も重要だといっても過言でないのが全体の予算の把握と、優先事項の管理になります。昔に比べると入札工事が主流になってきており、予算が厳しく設定される工事が多くなってきています。
そこできちっと予算を組み立て把握するには、他の工事の予算組みの事例を学び、自身で0から予算を作る訓練をすることです。これを繰り返すことで、どこが重要になるのかポイントが見えてきます。
一重に工事といえど、資材の数量の確認から、あいみつをとり単価の適正価格を調べること、原価償却率の把握、工事計画と仮設の考え方、人件費などをいろいろ考えなくてはなりません。
急に人が飛んで追加の人件費が嵩んでしまったり、計画がずれてしまったりと想定外のことが起こるのが現場ですが、そういったリスクを考えながら余力をもった設計をすることが重要です。
2. 材工分離して交渉・発注によるリスク分散
業者と交渉するだけではなかなか予算どおりに持っていくことはできないものです。そういった時のテクニックとして、材工分離発注することで購買金額をさげることができます。
商流に中間業社に抜かれないように、直接購入をすることでコストの削減を実現し、あなた自身の素材や設計における学習を促進することができるのです。
実際の実例
- 図面大
- 材料代
- 加工費
- 輸送費
- 取り付け費
- 金物費
- ワックス
- 下地
これを一括して専門業社に発注すると、間に会社がどんどんはいって商流が複雑になってしまうケースが多いです。実際にこちらは私が担当したケースなのですが、上記を一式発注した場合と、バラバラに直接問い合わせた場合で32%ほど予算を抑えることができました。
3. 技術提案も検討すること
損益確保をするもう一つの方法が、技術提案で品質を落とさずに、代替え工法や、代替え品を技術的に証明することで、原価をおさえる方法です。設計者や建築主とコミュニケーションをとるのはなかなか大変ですが、ここをできる施工管理さんは重宝されるでしょう。
技術提案の具体的6つの内容
- 契約時の交渉条件にリストアップされている内容に関するもの
- 着工後に、工事の進捗と合わせて提案する
- 購買時に海外調達も合わせて品質的に保証されたものへの代替え
- 工期短縮になるもの
- 品質やデザインといったクオリティーに影響するもの
- 環境や省エネに貢献する材料や技術
こういったところで原価をさげるだけではなく、設計者に積極的に発言することで信頼をされていきます。一人では、見落としがちな問題も発言によって気づけることもあるのです。
4. 設計変更管理
どんな工事でも設計の変更はつきものです。この設計の変更にしっかりとついていかないと建設会社は発注がなくなり、生き残ることができません。常にベストな選択肢を見つけようとするために、設計変更がおこります。
施工する側からしたら「やめてほしい。たまったもんじゃない。」と思うことでしょうが、お客様の一声で起きてしまうのです。
設計変更に備えて準備をする
設計変更に備えて、下記を準備しておくとよいでしょう。
- 発注計画表
- 発注工程表
- 調達先一覧
- メーカー一覧表
- 設計変更の承認プロセス
とくにこちらを変更する事前準備として調達先の現地調査も建築士や設計者とどうこうしてもらっておくことでコミュニケーションミスが起きづらくなります。
変更内容は書面でもらう
変更内容はかならず書面でもらうようにしましょう。口頭での指示はミスの元になります。あとで大きなトラブルにならないように、基本的に書面でもらうこと。もしそれが難しい場合は、口頭内容を文章化してメール等で相手に確認を送るようにしましょう。
口頭のまますすめてしまって、あとでトラブルになった場合、受注者側が泣き寝入りするケースが大半になりますので注意が必要です。
終わりに
いかがだったでしょうか。損益管理は工事での利益を最大化するために重要な業務です。あなたのスキルや経験をふんだんにいかすことができるパートになりますので、上記4つのポイントを意識してみてはいかがでしょうか?
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