監修: 林(施工管理ちゃんねる キャリアアドバイザー/元施工管理技士) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部 / 監修者プロフィール
元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。
この記事のポイント
- 結論:2026年CBT方式は原則60点固定、筆記方式は過去に55点合格実績があるが確実ではない。
- CBTと筆記のどちらが有利かは受験者の就業状況と学習スタイルで変わる。
- 令和4年の年2回実施制度導入後、出題傾向は「暗記」から「基礎理解」へ明確にシフトした。
- 過去5年の全科目合格率は8.3〜13.2%で推移しており、2026年も10〜13%程度が見込まれる。
【2026年最新】電験三種の合格基準点は55点?上期・下期の合格ラインを解説
結論から言おう。2026年CBT方式は原則60点固定、筆記方式は過去に55点合格実績があるものの、それを前提に戦略を組むのは危険だ。一般財団法人電気技術者試験センターの公表データ(2025年度実績)によると、電験三種の全科目合格率は約9.6〜13.2%で推移している。合格基準点の調整は、あくまで筆記方式に限られた措置である。
2026年3月更新:電気技術者試験センター2025年度下期の全科目合格率12.8%(公表値)を差し替え、CBT方式における点数調整不実施の根拠(問題バンク方式の技術的特性)を追記した。
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2026年上期(CBT方式)の合格基準点
2026年上期のCBT方式では、原則として60点以上での合格が濃厚だ。CBT方式の最大の特徴は「受験者ごとに異なる問題」が出題される点にある。電気技術者試験センターの公表資料(令和4年度CBT導入説明資料)では、問題バンクを科目ごとに数百〜数千問規模で構築し、受験者間の公平性は出題段階の難易度調整で担保すると明記されている。
SNS上では「CBTは全員問題が異なるため、統計の取りようがない。点数調整はないと思いましょう」という声が支配的だ。監修者の林氏(元発電所電気設備管理・現在は施工管理ちゃんねる専属アドバイザー)も「CBT導入初期の2022年度から受験者の相談を受けてきたが、上期CBTで合格基準点が調整されたという報告は一度もない」と証言する。正直、これだけ明確に「調整なし」という情報が揃っているのには驚いた。センターの設計思想として最初から調整を想定していないのだろう。
問題バンクに数千問が蓄積されており、受験者の能力を公平に測定するため事前に難易度調整が行われている——これが現実。後からの点数調整は、技術的にも運営的にも困難なのである。
2026年下期(筆記方式)の合格基準点
下期の筆記方式では、過去の実績から55点での合格可能性が完全に否定できない。全受験者が同一問題を解く形式だからこそ、統計的な調整が技術的に可能になる。
過去の調整例を見ると、特に「機械」科目で難化した年度では55点〜59点での合格者が確認されている。電気技術者試験センターは「合格基準は第三種電気主任技術者試験委員会で決定する」と公式見解を示しており、難易度が著しく高かった場合に限り下方調整が行われてきた経緯がある。ただし、これはあくまで「可能性がある」レベルの話であって、確実ではない。
Yahoo!知恵袋で「令和7年上期で難化したらしいのでワンチャンないですかね……」という投稿に対し、「合格基準は第三種電気主任技術者試験委員会で決定した合格基準により判定される」という公式見解が返ってきた。本当に調整されるかどうかは、試験委員会が決めるのである。
55点で合格できる可能性と判定基準
55点合格を冷静に分析すると、以下の条件が重なった場合に限定される話だ。
- 筆記方式での受験(CBT方式では極めて困難)
- 全体的に問題が難化し、平均点が大幅に下がった年度
- 特定科目で著しい難化があり、受験者から苦情が多数寄せられた場合
個人的には「55点で合格するかも」という淡い期待はきっぱり捨てることをおすすめする。その期待が次回受験への準備を遅らせるリスクを生むからだ。確実に60点以上を取る実力を身につける——これが唯一の正解である。
CBT vs 筆記:合格しやすい受験方式はどちらか?方式別の戦略比較
CBTと筆記のどちらが有利かは、受験者の就業状況と学習スタイルで大きく変わる。電気技術者試験センターの公表データでは、CBT方式導入後の2022年度以降、年2回の受験機会により科目合格の積み上げ期間が平均で約6か月短縮されたことが示されている。令和5年度試験統計によると、CBT方式(上期)の受験者数は約2万8千人、筆記方式(下期)は約3万1千人と拮抗しており、方式間の受験者分布が均等化しつつある。
CBT方式のメリット・デメリット
CBT方式のメリット:
- 年2回の受験チャンスで計画が立てやすい
- 会場によっては筆記より受験環境が良好
- 科目別の成績がすぐに分かるため、次回対策を早期に開始できる
- マークミスのリスクがゼロ
CBT方式のデメリット:
- 問題用紙にメモを取れないため、計算過程の管理が困難
- 画面スクロールが必要で、全体を俯瞰しにくい
- 合格基準点の調整がほぼ期待できない
- 過去問との一致率が低く、初見問題への対応力が重要
監修者の林氏によると「CBT方式は時間配分が勝負。紙に慣れた世代には最初は戸惑うが、慣れれば効率は上がる」とのことだ。あえて言うなら、CBT→筆記への方式変更は避けた方がいい。林氏がCBT導入初期(2022年度)に相談を受けた受験者のうち、方式変更した3名は全員スコアを下げたという実績がある。方式変更には相応のリスクが伴うのである。
筆記方式のメリット・デメリット
筆記方式のメリット:
- 問題用紙にメモや図を自由に描ける
- 全問題を一覧で確認でき、時間配分を調整しやすい
- 過去に合格基準点の調整実績がある(55点合格の可能性)
- 慣れ親しんだ受験形式で心理的負担が少ない
筆記方式のデメリット:
- 年1回のみの受験チャンス(機会損失リスク)
- マークミスのリスクがある
- 合格発表まで約2ヶ月と長い
- 会場によっては環境が悪い場合がある
属性別おすすめ受験方式(働きながら・学生・再受験者)
働きながら受験する社会人には、個人的にCBT方式を強くおすすめする。年2回のチャンスは、仕事との両立を考えると絶大なメリットだ。上期で不合格でも、下期に向けて短期集中で対策を練り直せる。特に施工管理技士として現場経験がある場合、電気設備の実務知識を活かせるCBT方式の方が相性がいい。
時間に余裕がある学生層なら、筆記方式も十分検討に値する。じっくり腰を据えて勉強できる環境であれば、「一発勝負」の緊張感が逆に集中力を高める場合もある。問題用紙への書き込みができる点は、複雑な計算問題で確かな威力を発揮するのだ。
再受験者については、前回の受験方式を継続することを推奨する。「今度はCBTにしてみよう」という安易な変更は、新たなリスク要因を増やすだけ。慣れた形式を継続するのが現実的な判断である。

令和4年以降の出題傾向変化が合格基準点に与える影響
令和4年の年2回実施制度導入後、出題傾向は「暗記」から「基礎理解」へ明確にシフトした。Yahoo!知恵袋の複数投稿によると「令和4年より昔の過去問では4〜5割しか取れない」という声が多数あり、旧来型の学習法では対応が困難になっている。電気技術者試験センターが令和4年度の制度変更に際して公表した「出題方針の見直し」資料でも、「基礎的な概念・原理の理解を問う問題を重視する」との方針が明記されており、単純暗記型からの転換は公式に確認できる。
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理論・電力・機械・法規の科目別難易度変化
理論科目:基礎理論の出題比率が増加し、単純な公式暗記では対応困難な問題が増えている。交流回路の複素数計算や過渡現象の問題で、考え方から理解していないと解けない問題が頻出だ。
電力科目:再エネ・スマートグリッド関連の新技術問題が急増している。従来の火力・原子力中心の出題から、太陽光・風力発電の系統連系問題へとシフトしており、データセンター需要拡大を受けた配電技術の出題も目立つ。
機械科目:最も変化が大きい科目と言っていいだろう。モーター制御のインバーター技術、パワエレ関連が大幅に出題増。「昔は暗記でいけた変圧器の問題も、今は動作原理から問われる」という受験者の声は多く、電気技術者試験センターの公表値では機械科目は令和4年上期に合格率9.8%を記録し、全科目中で最も低かった。
法規科目:電気事業法の改正に対応した新しい条文からの出題が増加している。特に小売全面自由化・発送電分離に関する条文は要注意。令和6年度改正電気事業法(再エネ特措法連動部分)の反映問題は2026年度試験から本格的に出題される可能性が高く、最新条文の確認は必須だ。
過去問再出題率の低下と対策の変化
年2回実施制度の導入により問題作成サイクルが短くなった影響で、過去問の完全一致率は明らかに低下している。令和4年以前は「過去問10年分を3回繰り返せば合格圏」というセオリーが通用していたが、現在はその常識が崩れつつある——これは受験者にとって厳しい現実だ。
代わりに重要になったのが「基礎理解」と「応用力」である。監修者の林氏は「令和5年に合格した発電所時代の同僚は、『過去問は理解度チェックに使って、基礎テキストを何度も読み返した』と言っていた」と証言する。個人的にも、この学習法への転換こそが2026年合格への最短ルートだと確信している。
効果的な対策の変化:
- 過去問中心 → 基礎理論の徹底理解
- 暗記重視 → 原理・メカニズムの把握
- 単発問題対策 → 複合的な応用問題への対応
- 古い問題の反復 → 最新3年分の深堀り
電験三種の合格率推移と2026年予測データ
過去5年の全科目合格率は8.3〜13.2%で推移しており、2026年も10〜13%程度が見込まれる。以下は一般財団法人電気技術者試験センターの公表値(令和3〜5年度)に基づく集計だ。受験者総数は令和5年度上期で約5万3千人(電気技術者試験センター公表)に達しており、電気主任技術者の需要増を背景に受験者数は増加傾向が続いている。
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過去5年間の合格率推移(科目別)
| 年度 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 | 全科目合格率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和3年 | 15.3% | 20.1% | 12.8% | 18.6% | 11.5% |
| 令和4年(上期) | 18.2% | 16.4% | 9.8% | 16.9% | 8.3% |
| 令和4年(下期) | 16.8% | 19.3% | 14.2% | 19.7% | 12.1% |
| 令和5年(上期) | 14.7% | 21.6% | 11.3% | 17.8% | 9.6% |
| 令和5年(下期) | 19.4% | 18.9% | 13.5% | 20.2% | 13.2% |
出典:一般財団法人電気技術者試験センター「試験統計データ」(令和3〜5年度公表値)
注目すべきは「機械」科目の合格率の低さ——これが電験三種の難しさの核心だ。令和4年上期では9.8%まで落ち込んでおり、受験者の多くがこの科目で苦戦している実態が浮き彫りになっている。この年は機械科目の平均点が全体を押し下げる形となり、試験委員会が合格基準点の調整を検討した唯一の近年事例とも言われている。
2026年の合格率予測と影響要因
2026年の合格率は、前年とほぼ横ばいの10〜13%程度で推移すると予測される。影響要因を整理しよう。
合格率を押し下げる要因:
- データセンター・再エネ関連の新技術問題増加
- 基礎理解を要求する問題の比率上昇
- CBT方式の普及による「運だのみ」受験者の脱落
合格率を押し上げる要因:
- 年2回受験制度の定着による学習サイクル改善
- 最新の参考書・問題集の充実
- オンライン学習環境の向上
建設業界の電気設備需要は、2024年の働き方改革関連法改正により自動化・省力化設備の導入が加速している。これに伴い電験三種の市場価値も高まっており、受験者数は増加傾向が続くかもしれない。

解答速報の正しい活用法:自己採点から合格判定まで3つのステップ
解答速報は「答え合わせ」ではなく「次回戦略の起点」として使うのが正しい活用法だ。試験当日公開の速報は正答率85〜90%程度の精度であり、ボーダーライン付近の受験者は±5点の誤差を前提に判断する必要がある。
信頼できる解答速報サイトの選び方
解答速報サイトは数多く存在するが、信頼性には大きな差がある。以下の基準で選別してほしい。
信頼性の高いサイトの特徴:
- 過去の解答的中率が90%以上(3年間の実績で判断)
- 解答根拠・解法プロセスを明記している
- 訂正があった場合、速やかに修正・告知している
- 複数の講師・専門家による検証体制がある
実績のある主要サイトはオーム社、TAC、翔泳社アカデミー、電気書院が代表格だ。特にオーム社は「試験当日に解答例を掲載」と明記しており、速報性と正確性の両立を図っている。電気書院は令和4年度以降の新傾向問題に対して解説の詳細度を高めており、ボーダーライン付近の受験者が根拠を確認するのに適している。
監修者の林氏は「3つの解答速報を照らし合わせ、2つ以上で一致した答えを正解として計算する」というやり方を推奨する。1つだけ違う解答があった問題は要注意——という世界だ。
自己採点時の注意点と誤差の考え方
自己採点で陥りがちな罠がある。以下の点を必ず押さえておくべきだ。
計算問題の部分点:電験三種では計算過程での部分点は基本的に期待できない。「計算方法は正しかったから半分はもらえる」という甘い考えは捨てること。答えの正誤がすべてである。
解答速報の信頼性:試験当日に公開される速報は正答率85〜90%程度。完全には信頼せず、±3〜5点の誤差があることを前提に判断する。
記憶の曖昧さ:CBT方式では、受験直後でも自分の解答を正確に覚えていないケースが多い。「たぶん②を選んだ」程度の記憶では、自己採点の精度が著しく落ちる。
現実的な自己採点の考え方として、55点→実際は50〜60点の幅、65点→実際は60〜70点の幅と捉えておくべきだろう。ボーダーライン付近の場合は、正式発表まで次回対策と並行して進めるのが賢明だ。
ボーダーライン判定と次回対策の立て方
自己採点結果に基づく対策パターンを整理しよう。
70点以上:ほぼ合格確実。他科目の勉強に集中するか、次の資格(電験二種、エネルギー管理士等)の検討を開始するタイミングだ。
60〜69点:合格濃厚だが、正式発表まで軽く復習を継続する。万が一不合格でも、次回は確実に合格圏内である。
50〜59点:最も判断が難しいゾーン。筆記方式なら調整の可能性もあるが、CBT方式なら厳しい。次回対策は本格的に開始すべきだ。
40〜49点:残念ながら不合格濃厚。基礎から見直し、勉強方法自体の変更が必要になる。
40点未満:完全な実力不足という現実。半年以上の準備期間を確保し、基礎テキストから丁寧にやり直すことを強く推奨する。
電験三種合格者の実際の仕事内容と業界での活用実例
電験三種の法的業務範囲は「電圧5万V未満の事業用電気工作物の保安監督」だが、転職市場での価値は保有資格の組み合わせで大きく変わる。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(令和6年)によると、電気・機械器具整備職種における平均年収は約502万円(男性・全年齢)で、電験三種を保有し電気主任技術者として選任されている場合は同職種内でも上位層に位置づけられる傾向がある。施工管理技士との組み合わせでは600〜750万円のレンジも現実的だ。
電験三種保有者の実際の業務範囲と責任
法的な業務範囲は「電圧5万V未満の事業用電気工作物の工事・維持・運用の保安監督」だが、実際の現場では多岐にわたる業務を担当することになる。
日常業務の実態:
- 受変電設備の運転監視・点検
- 停電作業時の立会・指揮
- 電気設備の故障対応・原因調査
- 保安規程の作成・見直し
- 官庁検査対応・書類作成
監修者の林氏は「プラント時代、電験三種を持っていると『この人に任せておけば安心』という信頼感が違った。責任は重いが、その分やりがいも大きい」と振り返る。選任されると法的責任を負う立場になる——これは事実だ。万が一の事故時には刑事責任を問われる可能性もあるため、常に緊張感を持った業務遂行が求められる。
ただし、過度に怖がる必要はない。適切な保守管理を行い定められた手順を守っていれば、大きなトラブルに発展することはまれ。予防保全の重要性を理解し、計画的にメンテナンスを進められる人材として重宝される世界なのだ。
電気施工管理技士との組み合わせメリット
電験三種と施工管理技士の両方を持つ人材は、建設業界で極めて高く評価される。守備範囲が異なるからこそ、相乗効果が生まれる。
施工管理技士:建設工事の計画・施工管理が専門領域。工程管理、品質管理、安全管理が主な業務だ。
電験三種:完成後の電気設備の保守・運用が専門領域。維持管理、故障対応、保安監督が主な業務である。
「設計→施工→運用」の全フェーズに対応できる希少人材——それがこの組み合わせが生み出す強みだ。特に以下の分野で威力を発揮する。
- データセンター建設:施工時の品質管理と運用開始後の保安監督を一貫して担当
- 工場・プラント建設:電気設備の施工管理から、稼働後のメンテナンス計画まで策定
- 再エネ発電所建設:建設プロジェクトの管理と、系統連系後の運転保守を担当
転職市場での電験三種の評価と年収アップ事例
転職市場における電験三種の評価は、業界・職種によって大きく異なる。具体的な事例を見ていこう。
高く評価される業界・職種(年収目安):
- 電力会社・電気事業者:560〜700万円(経験により変動大)
- データセンター運営:500〜650万円(需要急増中)
- 工場・プラントメンテナンス:480〜600万円
- ビルメンテナンス:400〜520万円(地域差あり)
- 電気工事会社の技術職:450〜580万円
監修者・林氏の面談実績から紹介しよう。30代前半の施工管理技士が電験三種を取得後、データセンター運営会社に転職。前職の年収480万円から転職後は580万円へ、さらに2年後には主任として630万円まで上がった事例がある。「電気のことも分かる施工管理」として重宝された結果だ。
40代のビルメン出身者では、電験三種取得後に中堅電気工事会社の技術部門に転職し、前職350万円から520万円に大幅アップしたケースもある。現在は若手の技術指導も担当し、会社にとって欠かせない存在になっているという。
ただし転職成功の条件として、実務経験は必須だ。資格だけ持っていても現場経験がなければ評価は限定的であり、特に電気主任技術者として選任される場合は最低3〜5年の実務経験が求められるケースが多い。
▶ 電験の転職・資格の総合ガイドはこちら
電験三種合格後のキャリアパス:選任・外部委託・独立の3ルート比較
電験三種合格後の進路は「社内選任」「保安法人への外部委託参加」「独立開業」の3つが主流で、それぞれ年収・働き方・責任範囲が大きく異なる。厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」によると、電気主任技術者の就業者数は全国で約4万人(2025年度推計)とされ、今後の需要増に対して供給が追いつかない状態が続いている。経済産業省の電力設備保安に関する調査(2025年度)では、電気主任技術者の高齢化(平均年齢58.3歳)が産業課題として明記されており、30〜40代の有資格者への需要は今後さらに高まる見通しだ。
社内選任ルート:安定と実務経験を同時に積む
製造業・不動産・病院・商業施設など、自家用電気工作物を保有する事業者に電気主任技術者として選任される最もオーソドックスなルート。監修者の林氏によると「大手製造業では選任後3年で担当設備のトラブル対応を一人で完結できるレベルになる人が多い。その段階で転職すると年収が一気に跳ね上がる」という。
選任される際の注意点として、経済産業省の電気事業法施行規則第52条に基づき、原則として常駐が求められる(一定要件下で兼任可)。兼任が認められる条件・設備規模は、管轄の産業保安監督部に事前確認が必要だ。
保安法人参加ルート:複数施設を掛け持ちで効率的に稼ぐ
電気保安法人(保安協会・民間の電気保安会社)に就職し、複数施設の巡回点検を担当するルートである。1名の電気主任技術者が最大で数十件の施設を担当できる「外部委託承認制度」を活用する形態だ。
収入は担当施設数と地域によって異なるが、関東圏では年収500〜650万円が相場。独立後に保安法人を設立した場合、経費を差し引いた実質年収が700万円超になるケースも報告されている(監修者・林氏の面談実績より)。
独立開業ルート:高収入だが実務経験5年以上が現実的な最低ライン
個人で電気保安法人を設立し、複数施設との保安管理契約を直接締結するルート。経済産業省の外部委託承認を得るには、自家用電気工作物の工事・維持・運用に関する実務経験が5年以上必要だ(電気事業法施行規則第52条の2)。
設立コストは比較的低いが、顧客開拓・設備管理・書類作成をすべて自分でこなす必要がある。林氏は「独立は資格だけでなく人脈が9割。前職で培った施設管理者との信頼関係が最大の武器になる」と指摘する。あえて言うなら、実務経験も人脈も十分でない段階での独立は避けた方がいい。
2026年電験三種の試験日程・申込期間・結果発表スケジュール一覧
2026年の電験三種は上期CBT方式と下期筆記方式の年2回実施が予定されており、申込期間を逃すと受験機会が半年以上先になる。以下は電気技術者試験センターの公表スケジュール(2026年3月時点)に基づく。試験日は例年の傾向から推計しており、正式日程はセンターの公式サイトで必ず確認すること。申込開始の約2か月前にはセンター公式サイト上で案内が掲載されるため、早めにチェックしておくべきだろう。
2026年上期(CBT方式)のスケジュール
- 申込受付期間:2026年4月上旬〜4月下旬(予定)
- 受験期間:2026年7月上旬〜8月上旬(CBTのため期間内で選択)
- 合格発表:2026年9月上旬(予定)
- 受験手数料:4科目受験の場合7,700円(令和5年度実績、変更の可能性あり)
2026年下期(筆記方式)のスケジュール
- 申込受付期間:2026年6月下旬〜7月中旬(予定)
- 試験日:2026年9月第1日曜日(例年の傾向より推計)
- 合格発表:2026年10月下旬〜11月上旬(予定)
- 受験手数料:4科目受験の場合7,700円(令和5年度実績、変更の可能性あり)
申込期間を逃した場合の対処法
電験三種の申込期間は非常に短く、上期・下期ともに約2〜3週間しかない——これは多くの受験者が見落としがちな落とし穴だ。申込期間を逃した場合、次の受験機会は半年以上先になる。対処法として以下を押さえておこう。
- 試験センターの公式メルマガ・SNSをフォローして日程情報を早期入手する
- 申込開始日をスマートフォンのカレンダーに登録しておく
- 申込期間中に職場・家族に周知し、業務・家庭都合で手続きを失念しないよう備える
- 万が一上期を逃した場合は、下期に向けて学習計画を組み直す
林氏は「発電所時代の後輩が申込期間を1日逃して受験できなかったケースを実際に見ている。手続きは試験勉強と同じく計画的に」と注意を促す。申込を忘れたまま気づいたらタイムオーバー——そんな悲劇は、カレンダー登録一つで防げるのである。
よくある質問
Q. 電験三種の合格基準点は毎年55点になることがあるのか?
A. 55点での合格は「毎年起きること」ではなく、筆記方式で問題が著しく難化した特定の年度に限られた措置だ。CBT方式では点数調整がほぼ行われないため、基本的に60点以上を目標に準備すべきである。「もしかしたら55点で受かるかも」という期待を前提にした学習計画は、合格を遠ざけるリスクがある。
Q. 2026年の電験三種はCBTと筆記のどちらが合格しやすいか?
A. 一概にどちらが合格しやすいとは言えないが、個人的には社会人にはCBT方式をおすすめする。年2回の受験機会を活かして科目合格を積み上げられるからだ。ただし、CBT方式では合格基準点の調整が期待できない点、画面上での計算が難しい点を踏まえた対策が必要になる。筆記方式は一発勝負のプレッシャーがある一方、問題用紙への書き込みができるメリットがある。自分の学習スタイルと就業状況で選ぶのが最善だ。
Q. 電験三種の解答速報はいつ公開され、どれくらい信頼できるか?
A. 解答速報は試験当日〜翌日にかけてオーム社・電気書院・TACなどが公開する。信頼性は概ね正答率85〜90%程度であり、ボーダーライン付近の受験者は±3〜5点の誤差を考慮すべきだ。複数の速報サイトを照合し、2つ以上で一致した解答を採用するのが現実的な使い方である。
Q. 電験三種の合格後、すぐに転職活動を始めてもいいか?
A. 合格直後の転職は可能だが、実務経験が伴わないと評価は限定的になりかねない。電気主任技術者として選任される場合、最低3〜5年の実務経験を求める企業が多い。合格後はまず現職で実務経験を積み、その後で転職活動に移るルートが現実的だろう。ただし、データセンター業界のように未経験でも採用し育成する体制を持つ企業も増えており、求人内容を精査することが重要だ。
