変圧器とは?原理・仕組み・種類を電験三種レベルで完全解説
電験三種の機械科目で毎年出題される変圧器——正直、この分野で躓く受験者は多い。
筆者が電気施工管理技士として発電所やプラント現場を歩いてきた中で痛感したのは、変圧器の理論を「暗記」で済ませた技術者と「原理から理解」している技術者では、現場での判断力が雲泥の差だということ。
「三相変圧器の並行運転で循環電流が流れた」「効率計算が合わない」——こうしたトラブルが現場で起きたとき、教科書通りの知識だけでは対処できない。
この記事では、電験三種レベルの変圧器理論を、現場経験15年の視点から「使える知識」として解説する。施工管理技士や電気工事士として転職を検討している方にとって、面接でも現場でも自信を持って語れる内容にした。
この記事のポイント
- 電磁誘導による変圧器の基本原理が電験三種レベルで理解できる
- 5種類の変圧器の用途別特徴と現場での使い分けがわかる
- 等価回路・効率計算・並行運転の実践的な計算手法を習得できる
- 電験三種頻出問題の解法パターンと現場トラブル対策を網羅
変圧器とは?基本原理と仕組みを電験三種レベルで解説
変圧器(transformer)は、交流電力の電圧を変換する電気機器だ。電圧を上げる昇圧変圧器と、電圧を下げる降圧変圧器がある。電力系統で発電所から家庭まで電力を送る過程で、必ず複数の変圧器を経由する。
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発電所で11kVで発電された電力は、まず500kVや275kVに昇圧されて送電線で運ばれ、次に66kVや22kVに降圧されて配電線へ。最終的に200Vや100Vまで降圧されて家庭に届く——この一連の電圧変換を担うのが変圧器だ。
電磁誘導による電圧変換の原理
変圧器の動作原理は、ファラデーの電磁誘導法則に基づく。鉄心に巻かれた一次巻線に交流電流を流すと、鉄心内に磁束が発生する。この磁束が変化することで、同じ鉄心に巻かれた二次巻線に起電力が誘導される。
ファラデーの法則を式で表すと:
e = -N × dφ/dt
ここで、eは誘導起電力[V]、Nは巻数[回]、φは磁束[Wb]、tは時間[s]を表す。
一次側と二次側の電圧比は、それぞれの巻数比に等しい。これが変圧器の基本特性だ:
V₁/V₂ = N₁/N₂ = a(変圧比)
実際に発電所の主変圧器で見てみよう。一次側11kVを500kVに昇圧する場合、変圧比a = 500/11 ≒ 45.5となる。つまり二次側巻数は一次側の約45.5倍必要だ。

鉄心と巻線の構造と役割
変圧器の構造は、鉄心と巻線の2つの主要部品で構成される。
鉄心の役割と材料
鉄心は磁路を形成し、一次側から二次側へ磁束を効率よく伝達する役割を持つ。材料には珪素鋼板が使われる。珪素(Si)を3%程度添加することで、電気抵抗を上げてうず電流損を減らし、透磁率を高めて磁束密度を向上させる効果がある。
鉄心の形状は大きく2種類:
- 内鉄形:巻線の内側に鉄心がある構造。小容量変圧器に使用
- 外鉄形:鉄心が巻線を囲む構造。大容量変圧器に使用
巻線の材料と配置
巻線には銅線またはアルミ線が使われる。銅線は導電率が高いが高価、アルミ線は軽量で安価だが導電率は劣る。
巻線の配置方法:
- 同心配置:一次と二次巻線が同心円状に配置。最も一般的
- 交互配置:一次と二次巻線を交互に配置。漏れリアクタンス低減効果
監修者の林氏は語る。「プラント現場で変圧器の故障を何度も見たが、8割は巻線の絶縁破壊だった。高温・高湿度・振動が重なる環境では、巻線の劣化診断が生命線になる」
一次側・二次側の関係性
変圧器の一次側と二次側には、電圧・電流・電力について明確な関係がある。
電圧関係
V₁/V₂ = N₁/N₂ = a(変圧比)
電流関係
理想変圧器では、I₁/I₂ = N₂/N₁ = 1/a
つまり電圧を上げると電流は下がり、電圧を下げると電流は上がる。
電力関係
理想変圧器では損失がないため、P₁ = P₂
実際の変圧器では効率をηとして、P₂ = η × P₁
Yahoo!知恵袋では「三相変圧器の出力計算で混乱している」という質問が多い。実際の三相電力は P = √3 × VL × IL × cosφ で計算するが、この VL は線間電圧、IL は線電流を表す。
Y結線の場合、相電圧 Vf = VL/√3、相電流 If = IL となる。この関係を理解していないと、計算問題で必ず躓く。
変圧器の種類5選【用途別・構造別の完全分類】
変圧器は用途と構造によって複数の種類に分類される。電験三種では特に電力用変圧器と計器用変圧器の違いが頻出だ。現場での使い分けを正確に理解することが重要。
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電力用変圧器(配電用・送電用)
配電用変圧器
配電線(6.6kV、22kV)から低圧(100V、200V)に降圧する変圧器。最も身近な変圧器で、電柱に取り付けられている円筒形のものが代表的だ。
- 容量:5~500kVA
- 冷却方式:自然空冷(AN)または強制空冷(AF)
- 絶縁:油入式またはモールド式
送電用変圧器
発電所や変電所で使用される大容量変圧器。500kV、275kV、154kVなどの送電電圧レベルを扱う。
- 容量:10MVA~1000MVA以上
- 冷却方式:ONAN(油自然空冷)、ONAF(油強制空冷)、OFAF(油強制循環空冷)
- 絶縁:鉱物油またはエステル油
「現場で見る変電所の主変圧器は圧倒的な存在感がある」と林氏。「500MVAクラスになると、高さ8m、重量200t超え。搬入だけで特殊車両と道路規制が必要になる」
計器用変圧器(VT・PT)
計器用変圧器(VT:Voltage Transformer、PT:Potential Transformer)は、高電圧を測定・保護機器が扱える低電圧(通常110V)に変換する。
用途別分類
- 測定用:電力量計、電圧計への電圧供給
- 保護用:保護リレーへの電圧供給
- 同期用:同期検定器への電圧供給
構造別分類
- 乾式VT:モールド樹脂絶縁。72kV以下
- 油入VT:絶縁油使用。154kV以上
- ガス絶縁VT:SF₆ガス絶縁。GIS内蔵用
計器用変圧器の二次側は必ず接地する。これは安全確保と測定精度向上のためだ。接地を忘れると、高電圧が二次側に現れて機器損傷や感電事故につながる。

単巻変圧器と複巻変圧器の使い分け
複巻変圧器(分離巻変圧器)
一次巻線と二次巻線が電気的に分離されている一般的な変圧器。一次側と二次側が完全に絶縁されているため、安全性が高い。
用途:
- 配電用変圧器(6.6kV→100V/200V)
- 送電用変圧器(500kV→154kV)
- 絶縁変圧器(医療機器用、IT機器用)
単巻変圧器(オートトランス)
一次巻線と二次巻線の一部が共通巻線として使用される変圧器。銅線使用量が少なく、効率が高いが、一次側と二次側が電気的に接続されている。
特徴:
- 効率が高い(98~99%)
- 小型・軽量
- コストが安い
- 絶縁が不完全(一次・二次間に電気的接続あり)
使用例:
- 送電系統の中間変圧(500kV→275kV)
- 始動用変圧器(モーター始動時の電圧調整)
- 実験室用可変電圧電源
変圧比が2:1に近い場合は単巻変圧器が有利。例えば500kVから275kVへの変換では、共通巻線が有効活用され、銅線使用量を約30%削減できる。
特殊変圧器(整流器用・試験用)
整流器用変圧器
直流電源装置で交流を直流に変換する際に使用される変圧器。整流回路の特性に合わせた特殊設計が必要。
特徴:
- 高調波電流に対する耐性
- 低漏れインダクタンス
- 多相出力(6相、12相、24相)
用途:
- 電気化学工場(アルミ精錬、塩素製造)
- 電車用直流電源
- データセンター用UPS
試験用変圧器
絶縁試験や耐電圧試験で高電圧を発生させる変圧器。
種類:
- 交流試験変圧器:50Hz/60Hzの高電圧発生
- 直流試験変圧器:整流器と組み合わせて直流高電圧発生
- 共振試験変圧器:大容量ケーブルの試験用
現場経験から言うと、特殊変圧器は標準品がないため、仕様打合せが重要。「整流器用変圧器で高調波対策を見落として、運転開始後に振動問題が発生したケースがある」と林氏は振り返る。
変圧器の特性と等価回路【電験三種頻出計算】
変圧器の等価回路は、電験三種で最も重要な計算分野の一つ。理想変圧器に各種損失要素を付加した等価回路を理解することで、実際の変圧器特性を定量的に把握できる。
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等価回路の描き方と各定数の意味
理想変圧器の等価回路
理想変圧器では、以下の仮定を置く:
- 巻線抵抗ゼロ(無損失)
- 漏れ磁束ゼロ(完全結合)
- 鉄心損失ゼロ(理想磁性体)
- 励磁電流ゼロ(無限大透磁率)
実際の変圧器の等価回路
実際の変圧器では、以下の要素を考慮する:
1. 巻線抵抗
- 一次抵抗 r₁ [Ω]
- 二次抵抗 r₂ [Ω]
- 合成抵抗 R = r₁ + a²r₂ [Ω](二次換算値)
2. 漏れリアクタンス
- 一次漏れリアクタンス x₁ [Ω]
- 二次漏れリアクタンス x₂ [Ω]
- 合成リアクタンス X = x₁ + a²x₂ [Ω](二次換算値)
3. 励磁回路
- 鉄損抵抗 r₀ [Ω]
- 励磁リアクタンス x₀ [Ω]
- 励磁アドミタンス Y₀ = G₀ + jB₀ [S]
これらを組み合わせたT形等価回路が、変圧器計算の基本となる。

等価回路定数の物理的意味
短絡インピーダンス Zs
Zs = √(R² + X²)
短絡試験で求められる値で、変圧器の内部インピーダンスを表す。短絡電流や電圧変動率の計算に使用。
%インピーダンス %Z
%Z = (Zs/Z₁) × 100
ここで、Z₁ = V₁ₙ²/P₁ₙ(定格条件での一次インピーダンス)
配電用変圧器では%Z = 4~6%、送電用変圧器では%Z = 8~15%が一般的。
無負荷試験と短絡試験の実施方法
無負荷試験(Open Circuit Test)
二次側を開放し、一次側に定格電圧を印加して以下を測定:
- 無負荷電流 I₀ [A]
- 無負荷電力 P₀ [W]
- 無負荷電圧 V₀ [V](通常は定格電圧)
測定値から求められる定数:
- 鉄損 Pc = P₀ [W]
- 励磁コンダクタンス G₀ = P₀/V₀² [S]
- 励磁サセプタンス B₀ = √(Y₀² – G₀²) [S]
ここで、Y₀ = I₀/V₀ [S]
短絡試験(Short Circuit Test)
二次側を短絡し、一次側に短絡電流が定格電流になる電圧を印加して測定:
- 短絡電流 Is = I₁ₙ [A](定格電流)
- 短絡電力 Ps [W]
- 短絡電圧 Vs [V]
測定値から求められる定数:
- 銅損 Pcu = Ps [W]
- 合成抵抗 R = Ps/Is² [Ω]
- 短絡インピーダンス Zs = Vs/Is [Ω]
- 合成リアクタンス X = √(Zs² – R²) [Ω]
実際の現場では、新設変圧器の受入試験で必ずこれらの試験を実施する。「試験値が仕様値から大きく外れた変圧器を見つけたことがある。製造不良だった」と林氏は語る。
電圧変動率と負荷特性の計算
電圧変動率(Voltage Regulation)
負荷投入時の二次電圧の変化率を表す重要な特性値:
ε = (V₂₀ – V₂)/V₂ × 100 [%]
ここで:
- V₂₀:無負荷時の二次電圧
- V₂:負荷時の二次電圧
電圧変動率の近似計算式
ε ≒ (R·cosφ + X·sinφ)/V₂ × 100 [%]
負荷の力率によって電圧変動率は大きく変化:
- 遅れ力率負荷(cosφ < 1):電圧低下大
- 進み力率負荷(cosφ < 1):電圧上昇の可能性
- 抵抗負荷(cosφ = 1):中間的な電圧低下
負荷特性曲線
横軸を負荷電流、縦軸を二次電圧とした特性曲線。力率の違いによって傾きが変化する。

配電用変圧器では、電圧変動率5%以下が求められる。大容量送電用変圧器では、より厳しい2~3%以下の仕様となる場合が多い。
なぜ変圧器は損失が発生するのか?効率改善の実践的手法
変圧器の効率は一般的に95~99%と高いが、MVAクラスの大容量では1%の損失改善でも年間数百万円のコスト削減効果がある。損失の発生メカニズムを理解することは、機器選定と運用最適化の基本だ。
鉄損(ヒステリシス損・うず電流損)の発生メカニズム
ヒステリシス損
鉄心材料の磁化過程で発生する損失。磁束密度が正弦波状に変化する際、磁化と逆磁化に要するエネルギーの差として現れる。
ヒステリシス損の計算式:
Ph = kh·f·Bmⁿ·V [W]
ここで:
- kh:ヒステリシス定数(材料固有値)
- f:周波数 [Hz]
- Bm:最大磁束密度 [T]
- n:指数(1.5~2.5、通常は2)
- V:鉄心体積 [m³]
ヒステリシス損は周波数に比例し、磁束密度の2乗に比例する。この特性から、定格電圧での運転時に損失が最大となる。
うず電流損
変動磁束により鉄心内部に誘導される循環電流(うず電流)による損失。
うず電流損の計算式:
Pe = ke·f²·Bm²·t²·V [W]
ここで:
- ke:うず電流定数
- t:鉄心板厚 [m]
うず電流損は周波数の2乗、磁束密度の2乗、板厚の2乗に比例する。そのため、鉄心には薄い珪素鋼板(0.23mm~0.35mm)を積層して使用する。
鉄損低減技術
- 高珪素鋼板の使用:珪素含有量を3%以上にして電気抵抗を向上
- 方向性珪素鋼板:圧延方向に磁気特性を最適化
- レーザー加工:鋼板端部の磁区を細分化
- アモルファス鉄心:結晶粒界をなくして損失を1/3に削減

銅損と負荷率の関係
銅損の基本式
Pcu = I₁²·r₁ + I₂²·r₂ = I²·R [W]
銅損は負荷電流の2乗に比例する。これは「電流の2乗特性」と呼ばれ、変圧器の効率計算で重要な概念だ。
負荷率との関係
負荷率をα(= 負荷電流/定格電流)とすると:
Pcu = α²·Pcu_rated [W]
例えば、負荷率50%では銅損は定格時の25%(0.5² = 0.25)になる。
最高効率負荷率
効率が最大となる負荷率αmは、鉄損と銅損が等しくなる点:
Pc = α²m·Pcu_rated
αm = √(Pc/Pcu_rated)
一般的な配電用変圧器では、αm = 0.5~0.7程度。つまり定格の50~70%負荷で最高効率となる。
日負荷曲線と全日効率
実際の負荷は時間によって変動する。全日効率ηdは:
ηd = ∫P₂dt / ∫P₁dt
住宅地の配電用変圧器では、昼間の負荷率20~30%、夜間の負荷率60~80%という変動パターンが多い。この変動を考慮した効率計算が、設備投資の経済性評価に重要だ。
高効率変圧器の選定基準と投資回収期間
エネルギー効率の経済価値
1000kVA変圧器で効率を98%から99%に向上させた場合の年間省エネ効果を計算してみる:
- 平均負荷率:60%
- 年間運転時間:8760時間
- 電力単価:15円/kWh
効率向上前:損失 = 1000 × 0.6² × (1-0.98)/0.98 = 7.3 kW
効率向上後:損失 = 1000 × 0.6² × (1-0.99)/0.99 = 3.6 kW
年間省エネ量:(7.3 – 3.6) × 8760 = 32,412 kWh
年間省エネ効果:32,412 × 15 = 486,180円
高効率変圧器の技術
1. アモルファス鉄心変圧器
- 鉄損を従来比1/3に削減
- 初期投資:従来品の1.3~1.5倍
- 投資回収期間:5~8年
2. 超高効率変圧器
- 効率99.5%以上
- 方向性珪素鋼板+最適設計
- 初期投資:従来品の1.1~1.2倍
- 投資回収期間:3~5年
3. エステル油変圧器
- 生分解性絶縁油使用
- 過負荷耐性向上
- 環境負荷軽減
選定基準の実例
「発電所のPCB入り変圧器更新プロジェクトで、アモルファス変圧器を提案したことがある」と林氏。「初期投資は20%高かったが、15年間の運用コスト試算では700万円の削減効果。環境性能も評価されて採用された」
投資判断の指標:
- LCC(Life Cycle Cost):初期投資+運用コスト
- NPV(Net Present Value):割引現在価値
- CO₂削減効果:カーボンニュートラル対応
ただし、高効率変圧器にも課題がある。アモルファス鉄心は脆性が高く、輸送・据付時の取扱いが難しい。また、音響特性が劣化する場合もあり、住宅地での使用では騒音対策が必要になる。
3相変圧器の並行運転条件と現場トラブル対策
複数の変圧器を並行運転する場合、負荷分担を適正化し、循環電流を防ぐための条件がある。現場では理論通りにいかないことも多く、実践的なトラブル対策が重要だ。
並行運転の3つの必要条件
条件1:電圧条件
各変圧器の二次電圧(変圧比)が等しいこと:
a₁ = a₂ = a₃ = ⋯
電圧差があると、無負荷状態でも循環電流が流れる。許容誤差は通常±0.5%以内。
条件2:位相条件
各変圧器の二次電圧の位相が一致すること。3相変圧器では結線方式によって位相関係が決まる:
- Y-Y結線:位相差0°
- Y-Δ結線:位相差30°遅れ
- Δ-Y結線:位相差30°進み
- Δ-Δ結線:位相差0°
結線方式が異なる変圧器は並行運転できない。
条件3:インピーダンス条件
各変圧器の%インピーダンスが等しいこと:
%Z₁ = %Z₂ = %Z₃ = ⋯
%インピーダンスが異なると、負荷分担が容量比例にならない。

同期投入の手順と確認項目
同期投入前の確認項目
1. 電圧確認
- 各変圧器の二次電圧をデジタルマルチメーターで測定
- 電圧差は定格電圧の0.5%以内
- 測定は無負荷状態で実施
2. 相順確認
- 相順計を使用してRST相順を確認
- 逆相順の場合は2相を入れ替え
3. 位相確認
- 同期検定器または位相計で位相差を測定
- 位相差は±5°以内
同期投入の実際手順
「現場での同期投入は緊張する瞬間だ」と林氏は語る。「手順を間違えると大きな事故につながる。チェックリストは必須」
- 第1変圧器投入
- 負荷側断路器を投入
- 一次側断路器を投入
- 電圧・電流の正常値を確認
- 第2変圧器投入準備
- 一次側断路器投入(負荷側は開放)
- 二次電圧を測定・記録
- 同期検定器を接続
- 同期投入実行
- 同期検定器で位相一致を確認
- 位相一致時に負荷側断路器投入
- 循環電流がないことを確認
- 負荷分担確認
- 各変圧器の電流値を測定
- 容量比例になっていることを確認
- 不平衡がある場合はタップ調整
循環電流が発生する原因と対策
循環電流の発生原因
1. 電圧差による循環電流
変圧比に差がある場合、電圧差ΔVによる循環電流Icが発生:
Ic = ΔV / (Z₁ + Z₂)
例:1000kVA変圧器2台並行運転で電圧差10V、合成インピーダンス0.5Ωの場合
Ic = 10 / 0.5 = 20A
この循環電流は無効電流となり、変圧器容量を無駄に消費する。
2. インピーダンス差による不平衡
%インピーダンスが異なると、負荷分担が容量比例にならない:
変圧器1の分担電流:I₁ = I × Z₂/(Z₁ + Z₂)
変圧器2の分担電流:I₂ = I × Z₁/(Z₁ + Z₂)
インピーダンスの小さい変圧器に負荷が集中し、過負荷になるリスクがある。
循環電流の実践的対策
1. タップ切換による電圧調整
- 負荷時タップ切換器(OLTC)で電圧を微調整
- 調整範囲:通常±5%、17段または33段
- 調整単位:約0.625%/step
2. %インピーダンス整合
- 設計段階で%インピーダンスを統一
- 許容差:±7.5%以内(JIS C 4304)
- 既設変圧器の場合はリアクトル直列接続で調整
3. 監視・保護対策
- 循環電流検出リレー設置
- 不平衡電流警報設定
- 自動負荷転送装置(ATS)による切り替え
「発電所で2台の主変圧器を並行運転していたが、片方のタップが狂って循環電流200Aが流れたことがある」と林氏。「幸い保護リレーが動作して大事には至らなかったが、タップ位置の定期点検の重要性を痛感した」
運用上の注意点
- 負荷急変時:負荷投入・遮断時に過渡的な循環電流が発生する可能性
- 温度差:変圧器温度差により巻線抵抗が変化し、負荷分担がずれることがある
- 経年変化:長期運転により%インピーダンスが変化する場合がある
電験三種「変圧器」頻出問題の解法パターン
電験三種の機械科目で変圧器は毎年2~3問出題される。計算問題が中心で、基本原理を理解した上で解法パターンを身につけることが合格への近道だ。
変圧比と巻数比の計算問題
基本問題パターン
【例題1】単相変圧器で一次巻数1200回、二次巻数300回の時、一次電圧6600Vに対する二次電圧を求めよ。
解法手順
- 変圧比を求める:a = N₁/N₂ = 1200/300 = 4
- 電圧関係式を適用:V₁/V₂ = a
- 二次電圧を計算:V₂ = V₁/a = 6600/4 = 1650V
三相変圧器の応用問題
【例題2】三相変圧器(Y-Δ結線)で一次線間電圧6600V、変圧比4の時、二次線間電圧と相電圧を求めよ。
解法のポイント
- Y-Δ結線では相電圧基準で変圧比を考える
- 一次相電圧:6600/√3 = 3810V
- 二次相電圧:3810/4 = 952.5V
- 二次線間電圧:952.5V(Δ結線では線間電圧=相電圧)
Y-Δ結線とΔ-Y結線の計算は毎年のように出題される。結線図を正確に描いて、相電圧と線間電圧の関係を確認することが重要だ。

効率と損失の計算パターン
効率計算の基本パターン
【例題3】変圧器の定格容量50kVA、鉄損600W、銅損800W(定格時)の時、定格負荷・力率0.8での効率を求めよ。
解法手順
- 出力電力を計算:P₂ = 50 × 0.8 = 40kW
- 全損失を計算:PL = Pc + Pcu = 600 + 800 = 1400W = 1.4kW
- 入力電力を計算:P₁ = P₂ + PL = 40 + 1.4 = 41.4kW
- 効率を計算:η = P₂/P₁ = 40/41.4 = 0.966 = 96.6%
任意負荷での効率計算
【例題4】上記変圧器で負荷率60%、力率0.9での効率を求めよ。
解法のポイント
- 鉄損は負荷によらず一定:Pc = 600W
- 銅損は負荷率の2乗に比例:Pcu = 800 × (0.6)² = 288W
- 出力電力:P₂ = 50 × 0.6 × 0.9 = 27kW
- 効率:η = 27/(27 + 0.6 + 0.288) = 97.0%
この例では、負荷率60%の方が効率が良い。最高効率負荷率は√(600/800) = 0.866 = 86.6%となる。
全日効率の計算
【例題5】ある配電用変圧器の日負荷曲線が以下の場合の全日効率を求めよ:
- 0~8時:負荷率20%
- 8~20時:負荷率80%
- 20~24時:負荷率40%
定格50kVA、鉄損500W、銅損900W(定格時)、力率0.85とする。
解法手順
- 各時間帯の電力量を計算
- 全日の出力電力量:ΣP₂ = 50×0.85×(0.2×8 + 0.8×12 + 0.4×4) = 42.5×(1.6 + 9.6 + 1.6) = 540kWh
- 全日の損失電力量:ΣPL = 500×24/1000 + 900×(0.2²×8 + 0.8²×12 + 0.4²×4)/1000 = 12 + 6.84 = 18.84kWh
- 全日効率:ηd = 540/(540 + 18.84) = 96.6%
短絡電流と保護協調の応用問題
短絡電流計算の基本
【例題6】6.6kV配電線に接続された500kVA変圧器(%Z = 4%)の二次側(200V)で短絡が発生した。短絡電流を求めよ。
解法手順
- 定格二次電流を計算:I₂ₙ = 500×1000/(200×√3) = 1443A
- 短絡電流を計算:Is = I₂ₙ/(%Z/100) = 1443/0.04 = 36,075A
この大電流により、遮断器の遮断容量や保護協調の検討が必要になる。
保護協調の考え方
変圧器保護では以下の保護リレーが使用される:
- 過電流保護:過負荷・短絡保護
- 地絡保護:地絡電流検出
- 差動保護:変圧器内部故障検出
- ブッフホルツ保護:ガス検出による内部異常検出
【例題7】500kVA変圧器の過電流保護設定を求めよ。変圧器の定格電流40A、過負荷許容1.2倍とする。
解法のポイント
- 保護リレー動作値:40 × 1.2 × 1.1(余裕率)= 52.8A
- 限時動作:0.5~1.0秒遅延
- 瞬時動作:短絡電流の80%程度(約29kA)
現場では保護協調のミスによる停電事故が多い。「上位系統の保護リレーが下位より先に動作して、広範囲停電になった事例がある」と林氏。設定値の慎重な検討が必要だ。
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よくある質問
Q. 単相変圧器と三相変圧器の使い分けは?
A. 単相変圧器は住宅用(100V/200V)や小容量用途、三相変圧器は工場・ビルなど大容量用途に使用します。三相は電力密度が高く効率的ですが、単相は汎用性と保守性に優れています。
Q. 変圧器の寿命はどのくらい?
A. 油入変圧器で30~40年、モールド変圧器で20~30年が一般的です。ただし、絶縁油の管理状況や運転環境によって大きく変わります。定期的な絶縁診断が寿命延長のカギです。
Q. 電験三種で変圧器は何問出題される?
A. 機械科目で毎年2~3問出題されます。計算問題が中心で、効率計算・短絡電流・並行運転が頻出です。基本原理を理解すれば確実に得点できる分野です。
Q. 変圧器の騒音対策はどうする?
A. 鉄心の磁歪による騒音が主因です。対策として、低騒音鉄心の使用・防音カバー・防振パッドの設置があります。住宅地では45dB以下が求められることが多いです。
