監修: 林 友貴(1級電気工事士・キャリアアドバイザー) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部
林氏は1級電気工事士として10年の現場経験を持つキャリアアドバイザー。施工管理ちゃんねるで88名以上の転職支援実績。
結論: 電気工事の1人工単価相場は東京2-3万円、大阪1.8万円が実情。資格だけでは未経験扱いされ最低賃金レベルからスタートするのが現実だ。
「第二種電気工事士を取ったのに日給8,000円って、バイト以下じゃないか——」
Yahoo!知恵袋にはこんな嘆きの声が溢れている。電気工事士の資格を取ったものの、期待していた単価で仕事が受注できない。地域によって相場が全然違う。材料費の利益率はどう設定すべきかもわからない。
そんな電気工事士・施工管理技士の方に向けて、実際の単価相場と単価アップの具体的戦略をお伝えしたい。
筆者は大型プラントの電気施工管理を15年経験し、現在は人材紹介業で88名の電気工事士・施工管理技士と面談してきた。その中で見えてきた単価相場のリアルな実態と、単価を上げるための実践的な方法を包み隠さず書く。
この記事のポイント
- 地域別単価相場は東京2-3万円、大阪1.8万円と大きな格差がある
- 第二種電気工事士の資格だけでは「未経験扱い」で最低賃金レベルからスタート
- 材料費の粗利率は25-30%が業界標準で、仕入れ価格÷0.7が目安
- 高圧案件参画と元請け・一次下請けへのステップアップが単価アップの王道
- 実務経験5年で電気主任技術者への道筋が開け、年収1000万円台も射程圏内
電気工事の1人工単価相場【2025年最新版】地域・資格別の実際の金額
まず現実を知ろう。電気工事の1人工単価は想像以上に地域差が大きく、資格の種類よりも実務経験が重視される。
地域別単価相場(東京・大阪・名古屋・福岡)
Yahoo!知恵袋に投稿された一人親方の生々しい声を見てほしい:
「常用で入っている、電気工事の一人親方の日当の相場ってどれ位ですか?」という質問に対し、「24000円くらいが主流で仕事内容や場所によっては3万円くらいになる」「2万ですね」という回答が寄せられている。
この声を踏まえ、地域別の相場をまとめると以下の通りだ:
| 地域 | 1人工単価(日当) | 月収目安(22日稼働) |
|---|---|---|
| 東京・神奈川 | 2.4~3.0万円 | 52.8~66.0万円 |
| 大阪・京都 | 1.8~2.2万円 | 39.6~48.4万円 |
| 名古屋・愛知 | 2.0~2.5万円 | 44.0~55.0万円 |
| 福岡・九州 | 1.6~2.0万円 | 35.2~44.0万円 |
東京と九州では日当で約1万円、月収ベースで20万円以上の差がある。これは単純に物価の違いだけではない。首都圏では再開発・データセンター建設・大型商業施設の工事が多く、技術的に高度な案件が集中しているためだ。
ただし、これらの単価は「経験者」の相場だ。資格だけでは話が全く変わってくる。
資格別単価の差額(第二種・第一種・特殊電気工事資格者)
「第二種電気工事士免許を持っているだけでは、未経験扱いとされることが多い。実際に仕事したことが無い人は手元と言われる人です。東京都最低賃金の時給1072円と言うところでしょう。」
Yahoo!知恵袋のこの投稿が、資格と実務経験の残酷なギャップを物語っている。
資格別の単価設定を整理すると:
| 資格・経験レベル | 東京での日当相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士(未経験) | 8,000~12,000円 | 手元作業中心 |
| 第二種電気工事士(経験3年) | 18,000~22,000円 | 一人で作業可能 |
| 第一種電気工事士(経験3年) | 22,000~28,000円 | 高圧工事対応 |
| 第一種電気工事士(経験5年+) | 25,000~32,000円 | 現場リーダー級 |
| 特殊電気工事資格者 | 30,000~40,000円 | ネオン・非常用照明等 |
ここで注目すべきは、第二種と第一種の差が大きくないことだ。むしろ重要なのは「一人で作業ができるか」という実務能力。第一種の威力が発揮されるのは、高圧受電設備や大型案件に参画できるようになってからだ。
経験年数による単価の変動幅
電気工事の単価は経験年数に応じて以下のように推移する:
- 1年未満:手元工として8,000~12,000円
- 1~3年:簡単な配線工事ができるレベルで15,000~20,000円
- 3~5年:一人立ちして22,000~26,000円
- 5~10年:現場の責任者として25,000~30,000円
- 10年以上:専門性・営業力次第で30,000~40,000円
監修者の林氏(施工管理歴15年)はこう語る:
「面談で100人以上の電気工事士と話した経験から断言できるが、単価の伸びは5年目までが勝負。5年で一人前になれないと、その後も横ばいが続くことが多い。逆に5年でリーダー級になれれば、年収600万円は射程圏内だ」
問題は、この「5年」をどう過ごすかだ。同じ5年でも、住宅の軽電気工事ばかりやっているのと、高圧受電設備や制御盤工事を経験するのでは、その後のキャリアが大きく変わる。
【作業内容別】電気工事の施工単価一覧表と実務での注意点
単価は作業内容によって大きく変動する。特に材料費の扱いで利益が大きく左右されるため、業界の商慣行を正しく理解することが重要だ。
配線工事(低圧・高圧)の単価相場
配線工事の単価は電圧レベルと作業の複雑さで決まる:
| 工事種別 | 単価相場(㎡あたり) | 1人工での対応範囲 |
|---|---|---|
| 住宅配線(100V/200V) | 3,500~5,000円 | 40~60㎡ |
| 店舗配線(動力含む) | 5,000~8,000円 | 25~35㎡ |
| 工場配線(低圧) | 8,000~12,000円 | 15~25㎡ |
| 高圧受電設備工事 | 15,000~25,000円 | 5~10㎡ |
| 制御盤内配線 | 20,000~35,000円 | 2~5㎡相当 |
住宅配線と高圧工事では、同じ1日でも単価が5~7倍違う。だからこそ、キャリアの早い段階で高圧案件に参画することが重要なのだ。
実際に転職相談を受けた36歳の電気工事士はこう話していた:
「次の選択で選択肢を潰したくない。年収1000万とかすごい目標があるわけではないが、4~5年ぐらいで年収アップを真面目に考えるタイミングがまた来るんじゃないか」
この方は住宅配線中心の会社から、高圧設備を扱う会社への転職を検討していた。5年後の選択肢を増やすための戦略的な判断だ。
分電盤・制御盤工事の単価設定
分電盤・制御盤工事は電気工事の中でも高単価案件だ:
| 工事内容 | 作業単価 | 材料費込み単価 |
|---|---|---|
| 住宅用分電盤交換 | 15,000~20,000円 | 40,000~60,000円 |
| 店舗用分電盤工事 | 25,000~35,000円 | 80,000~120,000円 |
| 工場制御盤製作・設置 | 40,000~60,000円 | 200,000~400,000円 |
| 受電設備改修工事 | 50,000~80,000円 | 500,000~1,000,000円 |
制御盤工事の魅力は、技術力次第で大幅な単価アップが可能なことだ。PLCプログラミングができれば、さらに付加価値を提供できる。
監修者の林氏が発電所時代に経験した事例では:
「制御盤の配線一つとっても、きれいに整線できる職人とそうでない職人では、品質に雲泥の差がある。きれいな配線は故障時の原因特定が早く、メンテナンス性が格段に向上する。そういう技術を持った職人は引く手あまただった」
材料費に乗せる利益率の業界相場(25~30%)
電気工事で見落としがちなのが材料費の利益設定だ。Yahoo!知恵袋でこんな質問と回答があった:
「電気工事士として独立したんですが見積もり方法がよくわかりません。材料には電材屋からの仕入れに対して何%かは利益を乗せるべきでしょうか?」
回答:「基本的に下請けの見積もりですと、材料は粗利率25%~30%で良いです。仕入れ÷0.7ですと30%です。それが定価を超えるなら定価×0.9」
これが業界の標準的な商慣行だ。材料費の利益率設定を整理すると:
| 取引関係 | 粗利率 | 計算方法 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 下請け工事 | 25~30% | 仕入れ価格÷0.7~0.75 | 元請けとの関係性を重視 |
| 直接受注 | 30~40% | 仕入れ価格÷0.6~0.7 | 営業コスト分を上乗せ |
| メンテナンス | 40~50% | 仕入れ価格÷0.5~0.6 | 緊急対応・保証込み |
ただし、利益率ばかりを追求すると継続受注に支障が出る。元請けとの信頼関係が何より重要だ。
なぜ電気工事士の資格を持っていても「未経験扱い」されるのか?
「資格を取ったのに最低賃金レベル」——これが電気工事業界の現実だ。なぜこんなことが起きるのか?
実務経験のカウント条件と免状取得への道筋
電気工事士の資格は「電気工事ができる証明」ではなく「電気工事を覚える資格」に過ぎない。本当に重要なのは実務経験だ。
特に第一種電気工事士の場合、免状取得には実務経験が必要:
- 第二種電気工事士の場合:合格と同時に免状申請可能
- 第一種電気工事士の場合:合格後、実務経験5年または電気工学科卒業+3年の経験が必要
面談で話した大学電気系学科出身の30代設計職はこう語っていた:
「実務経験のカウントができるというところがミートしているのであれば、結構いい感じだと思います。大学で電気系の学科を専攻しているので、500V以上の仕事をすれば三種以上は確保できる。1万V以上なら二種、5万V以上5年なら一種が取れる」
この方は設計職から施工管理への転身を検討していた。設計職では一種電気工事士の免状要件である「実務経験」がカウントされないため、施工管理なら実務経験を積めると考えたのだ。
設計職から施工管理への転身で実務経験を積む戦略
電気系の学歴があっても、設計職やメーカー勤務では電気工事の実務経験にならない。だからこそ、実務経験を積むための戦略的な転職が重要になる。
実務経験を効率よく積む転職パターン:
- 設計職 → 電気施工管理:現場で実務経験を積みながら、電気主任技術者の受験資格も得られる
- 他業種 → 電気工事会社(見習い):最初は単価が低くても、着実に技術を身につける
- ビルメンテナンス → 電気工事:設備管理の経験を活かして、工事業界にステップアップ
監修者の林氏はこう分析する:
「転職面談で100人以上と話した経験から断言できるが、『資格だけ取って高給与を』という考えは甘い。むしろ最初の2~3年は修行期間と割り切って、技術をしっかり身につけることが結果的に高単価につながる」
重要なのは、5年後・10年後を見据えた戦略的なキャリア設計だ。
電気工事の1人工単価を上げる5つの実践的な方法
ここからは具体的な単価アップ戦略を紹介する。どれも現場で実証されている方法だ。
高圧案件への参画で単価アップを狙う方法
高圧案件は低圧工事の2~3倍の単価が見込める。参画するためのステップは以下の通り:
- 第一種電気工事士の取得:高圧工事の前提条件
- 高圧受電設備を扱う会社への転職:工場・大型施設・データセンター等
- 電気主任技術者との連携経験を積む:保安規定や法令理解を深める
- 特殊電気工事資格の取得:ネオン・非常用照明等で差別化
高圧案件で重要なのは安全管理だ。停電作業では一つのミスが大規模な事故につながる。だからこそ、経験豊富で信頼できる職人に高単価が支払われる。
電気主任技術者資格を見据えた実務経験の積み方
電気工事士から電気主任技術者へのステップアップは、年収1000万円台への最短ルートだ。
面談した36歳の転職希望者が語った言葉が印象的だった:
「4~5年ぐらいで年収アップを真面目に考えるタイミングがまた来るんじゃないか。次の選択で選択肢を潰したくない」
電気主任技術者取得に向けた戦略的な実務経験の積み方:
| 対象電圧 | 必要な実務経験 | おすすめの転職先 |
|---|---|---|
| 500V以上(第三種) | 1年以上 | 工場・ビル設備管理 |
| 1万V以上(第二種) | 2年以上 | 変電所・大型施設 |
| 5万V以上(第一種) | 5年以上 | 電力会社・重電メーカー |
電気主任技術者の資格を取得すると、保安管理業務で年収800万~1500万円が期待できる。工事現場から管理業務へのキャリアチェンジも可能だ。
元請け・一次下請けへのステップアップ戦略
下請け構造から上位に上がることで、単価は大幅に改善する:
| 請負構造 | 1人工単価相場 | 利益率 | 課題 |
|---|---|---|---|
| 三次下請け | 18,000~22,000円 | 5~10% | 単価低、工期厳しい |
| 二次下請け | 22,000~28,000円 | 10~15% | 安定性に欠ける |
| 一次下請け | 28,000~35,000円 | 15~25% | 技術力・営業力が必要 |
| 元請け | 35,000~50,000円 | 25~40% | 経営リスク大 |
ステップアップの具体的な方法:
- 技術力の向上:複雑な工事を一人で完結できるレベルに
- 営業力の獲得:現場で元請けとの信頼関係を構築
- 管理能力の習得:職人を使う側への転換
- 資金調達:独立には運転資金が必要
監修者の林氏は独立について警鐘を鳴らす:
「施工管理の経験がある人は発注者・ディベロッパーとの名刺交換が多く、独立後の取引先作りに有利。しかし職人は指示される側で名刺交換が少ない。独立するなら営業ルートの確保が最優先課題だ」
単価交渉で失敗しないための注意点と法的リスク
単価アップを狙う際に陥りがちな落とし穴と、法的リスクを整理しておこう。
下請け構造を理解した現実的な交渉ライン
電気工事業界の下請け構造では、無理な単価交渉は継続取引の終了を招く。現実的な交渉ラインを知ることが重要だ。
交渉の際に押さえるべきポイント:
- 市場相場の把握:同じ地域・同じレベルの職人の単価を調査
- 付加価値の明確化:なぜ自分に高単価を払うべきかの根拠
- 段階的な交渉:いきなり大幅アップではなく、年2~3回の小刻みな交渉
- 代替案の提示:単価が上がらない場合の条件変更案
Yahoo!知恵袋でこんなやりとりがあった:
「もっと出すよと言っても、18,000円しか請求してこない職人がいる。気を遣ってるのかもしれないが、適正価格がよくわからない」
この事例のように、職人側が遠慮しすぎるケースも多い。適正価格での取引は、双方にとってメリットがある。
労働基準法違反にならない単価設定の基準
個人事業主として請負契約を結ぶ場合でも、実態が雇用関係に近い場合は労働基準法の適用を受ける可能性がある。
法的リスクを避けるための基準:
| チェック項目 | 請負契約 | 雇用契約(労基法適用) |
|---|---|---|
| 作業時間の管理 | 成果物で判断 | 時間管理される |
| 作業場所の指定 | ある程度自由 | 会社指定 |
| 使用する道具 | 自前または選択可能 | 会社支給 |
| 他社との契約 | 可能 | 原則禁止 |
最低賃金を下回る単価設定は、たとえ請負契約であっても問題となる可能性が高い。2025年の東京都最低賃金は時給1,072円なので、日8時間計算で日給8,576円が最低ラインだ。
しかし現実には、Yahoo!知恵袋で「東京都最低賃金の時給1072円と言うところでしょう」という投稿があるように、未経験者は最低賃金レベルからスタートするケースが多い。これは「修行期間」として黙認されているのが実情だが、法的にはグレーゾーンだ。
よくある質問|電気工事の単価相場について
Q: 電気工事士の資格を取ったばかりでも高単価で働けますか?
A: 残念ながら、資格だけでは高単価は期待できません。
Yahoo!知恵袋でも「電気工事士免許を持っているだけでは、未経験扱いとされることが多い。東京都最低賃金の時給1072円と言うところでしょう」という声があるとおり、実務経験がないと最低賃金レベルからのスタートが現実的です。
重要なのは最初の3年間でどれだけ技術を身につけるかです。一人で作業ができるレベルになれば、日給2万円台は射程圏内になります。
Q: 地域によって電気工事の単価相場はどれくらい違いますか?
A: 地域差は非常に大きく、東京と地方では1.5~2倍の差があります。
具体的には:
- 東京・神奈川:24,000~30,000円
- 大阪・京都:18,000~22,000円
- 名古屋・愛知:20,000~25,000円
- 福岡・九州:16,000~20,000円
ただし、地方でも大型工場やデータセンターの案件であれば、首都圏並みの単価が期待できる場合もあります。重要なのは案件の種類と自分の技術レベルです。
Q: 電気工事の材料費にはどれくらいの利益を乗せるべきですか?
A: 下請け工事では25~30%の粗利率が業界標準です。
Yahoo!知恵袋でも「基本的に下請けの見積もりですと、材料は粗利率25%~30%で良いです。仕入れ÷0.7ですと30%です」という回答があるとおり、仕入れ価格を0.7で割った金額が目安となります。
ただし、元請けとの関係性を重視し、利益ばかりを追求すると継続取引に支障が出る可能性もあります。適正な利益率での長期的な取引を目指しましょう。
電気工事の単価相場は地域・資格・経験年数によって大きく変動する。特に重要なのは、資格取得だけでなく実務経験を戦略的に積み重ねることだ。
Yahoo!知恵袋の生々しい声からもわかるとおり、「資格だけでは未経験扱い」というのが業界の現実。しかし、適切なキャリア戦略を立てることで、5年後には年収600万円、電気主任技術者への道筋が見えれば1000万円台も夢ではない。
最初は単価の低さに愕然とするかもしれない。それでも腐らずに技術を磨き、高圧案件や制御系の仕事に挑戦し続けることが重要だ。業界は慢性的な人手不足。本当に技術のある職人は、必ず評価される。
まずは自分の現在地を正確に把握し、5年後のゴールを設定することから始めよう。
