CVケーブル選定の実践手順と失敗例 – 施工管理者必須の計算方法と判断基準
「3.7kWモーターには2sqと3.5sqのどちらを選ぶべきか」「電圧降下の許容範囲がわからない」——CVケーブル選定で悩む施工管理者は多い。Yahoo!知恵袋では「業者に聞いても分からないみたいで困ってます」という声まで見られる。
実際に発電所やプラント現場で10年以上電気施工管理を担当してきた経験から言うと、CVケーブル選定は計算方法を知っているだけでは不十分だ。現場での判断基準、失敗パターン、実務での安全率設定まで理解して初めて「使える知識」になる。
この記事のポイント
- CVケーブル選定の基本3ステップ(負荷電流→許容電流→電圧降下)
- 用途別の電圧降下許容範囲と実務基準(一般負荷2%、モーター負荷3%)
- CV単芯とCVTの許容電流差とコスト・施工性による使い分け
- よくある選定ミス3パターンと現場での対処法
施工管理者が知るべきCVケーブル選定の業務範囲と責任
施工管理者としてCVケーブル選定に関わる場面は、設計図書の確認だけではない。現場で発生する設計変更、負荷追加、ルート変更など、リアルタイムな判断が求められる場面が多い。
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施工管理者が担当するケーブル選定の範囲
電気施工管理技士の業務範囲では、ケーブル選定は以下の3つのレベルに分かれる。
1. 設計図書通りの施工確認(基本業務)
設計図に記載されたCVケーブル規格が現場条件と合致しているかの確認。負荷容量、配線距離、敷設環境の変更がないかチェックする。
2. 軽微な変更時の選定判断(応用業務)
配線ルート変更による距離延長、負荷機器の仕様変更時のケーブル太さ見直し。電圧降下再計算を含む技術的判断が必要だ。
3. 設計変更提案(高度業務)
施工性改善、コスト削減、将来拡張性を考慮したケーブル選定の変更提案。設計者との技術協議が発生する。
筆者がプラント現場にいた頃、配管干渉でケーブルラック位置が50m延長になったケースがあった。設計では14sqだったが、電圧降下計算をやり直すと22sqが必要になる。こういう場面で瞬時に判断できるかが、施工管理者の技術力の差になってくる。
設計変更時の選定業務と承認フロー
設計変更でCVケーブルの選定を変更する場合、以下の承認フローを踏む必要がある。
- 技術的根拠の準備:負荷計算書、電圧降下計算書、ケーブル仕様比較表
- 現場代理人への報告:変更理由、技術的根拠、コスト影響、工程への影響
- 設計者との協議:計算書の妥当性確認、代替案の検討
- 発注者承認:設計変更承諾願の提出、承認取得
このフロー中で最も重要なのが技術的根拠の準備だ。「なんとなく太くした」では通らない。明確な計算根拠と安全率設定の考え方を示す必要がある。
現場での選定判断が必要になる場面
実務では以下のような場面で、施工管理者がその場で判断を迫られることがある。
緊急時の負荷追加対応
「明日から仮設照明を追加したい」という発注者の要求に対し、既設ケーブルの余裕度確認と追加負荷への対応可否を即座に判断する。
ケーブル不足時の代替品選定
指定規格のCVケーブルが調達できない場合の代替品選定。太さ、芯数、絶縁種別の変更が技術的に問題ないかの判断。
施工条件変更への対応
地中埋設から架空配線への変更など、敷設条件変更に伴う許容電流の見直しと太さ変更の必要性判断。
これらの場面では、基本的な計算能力だけでなく、現場経験に基づく「勘」と「安全マージンの取り方」が重要になる。正直なところ、この判断能力は数年の現場経験がないと身につかない。
CVケーブル選定の基本手順と3つの重要ポイント
CVケーブル選定は、負荷電流の算出から始まり、許容電流による太さ選定、電圧降下による最終確認という3ステップで進める。この順序を間違えると、容量不足や過剰仕様による無駄が発生する。
負荷電流の計算方法
負荷電流の計算は、接続する負荷の種類によって計算式が変わる。最も重要なのは需要率と力率の考慮だ。
三相モーター負荷の場合
負荷電流 = モーター出力(kW) × 1000 ÷ (√3 × 電圧 × 効率 × 力率)
例:3.7kW、200V、効率0.85、力率0.8のモーター
負荷電流 = 3.7 × 1000 ÷ (1.732 × 200 × 0.85 × 0.8) = 15.7A
照明・コンセント負荷の場合
負荷電流 = 負荷容量(VA) ÷ (√3 × 電圧) × 需要率
需要率は建築電気設備計画基準に従い、一般事務所では0.6〜0.8を適用することが多い。
実際の現場では、これらの計算値に安全率を掛ける。モーター負荷では始動電流を考慮して1.25倍、照明負荷では将来増設を見込んで1.2倍程度が一般的だ。
許容電流による太さ選定
計算した負荷電流を基に、CVケーブルの太さを選定する。この際、敷設条件による補正係数の適用が重要だ。
基本的な選定手順:
- 補正前負荷電流の算出:負荷電流 ÷ 補正係数
- ケーブル太さの仮選定:許容電流表から補正前負荷電流以上の規格を選択
- 補正後許容電流の確認:選定したケーブルの許容電流 × 補正係数 ≥ 負荷電流
| ケーブル太さ | CV単芯(A) | CVT3芯(A) |
|---|---|---|
| 2.0sq | 27 | 23 |
| 3.5sq | 37 | 32 |
| 5.5sq | 49 | 42 |
| 8.0sq | 63 | 54 |
| 14sq | 85 | 73 |
| 22sq | 110 | 94 |
プラント現場では、地中埋設で土壌熱抵抗1.0K・m/Wの条件が多い。この場合、補正係数は0.8程度になるため、許容電流の20%減で計算する必要がある。
電圧降下による最終確認
ケーブル太さが決まったら、最後に電圧降下を確認する。これを怠ると、負荷端での電圧不足によるトラブルが発生する。
電圧降下の計算式(三相回路)
電圧降下 = √3 × 電流 × (抵抗×cosφ + リアクタンス×sinφ) × 配線距離
実用的には、力率0.8程度の負荷であれば簡略式を使う:
電圧降下 ≒ 1.8 × 電流 × 抵抗 × 配線距離
CVケーブルの抵抗値は太さによって決まっており、2.0sqで9.78Ω/km、3.5sqで5.59Ω/km、5.5sqで3.57Ω/kmとなる。
例:15.7A、配線距離30m、3.5sq CVケーブルの場合
電圧降下 = 1.8 × 15.7 × 5.59 × 0.03 = 4.7V
200V回路での4.7Vの電圧降下は2.4%に相当し、一般的な許容範囲(2%)を超える。この場合は5.5sqへの変更が必要だ。
CVケーブルの太さ選定表と許容電流一覧
CVケーブル選定では、正確な許容電流表と補正係数の理解が不可欠だ。JIS C 3605に規定される標準値を基準に、実際の敷設条件に応じた補正を行う。
単芯CVケーブルの許容電流表
CV単芯ケーブルの許容電流は、60℃基準の空中敷設条件での値だ。実際の現場では、この値に敷設条件による補正係数を掛けて使用する。
| 公称断面積(sq) | 許容電流(A) | 抵抗値(Ω/km) | 外径概算(mm) |
|---|---|---|---|
| 1.25 | 20 | 15.6 | 8.5 |
| 2.0 | 27 | 9.78 | 9.5 |
| 3.5 | 37 | 5.59 | 10.5 |
| 5.5 | 49 | 3.57 | 12.0 |
| 8.0 | 63 | 2.44 | 13.5 |
| 14 | 85 | 1.39 | 16.0 |
| 22 | 110 | 0.89 | 18.5 |
| 38 | 150 | 0.51 | 22.5 |
| 60 | 195 | 0.32 | 27.0 |
| 100 | 260 | 0.195 | 32.5 |
| 150 | 320 | 0.129 | 38.0 |
| 200 | 370 | 0.098 | 42.5 |
発電所のタービン建屋では、150sq以上の大容量CVケーブルを頻繁に使用していた。200sqのCV単芯ケーブルになると外径が42.5mmとかなり太く、ケーブルラック設計時の占積率計算で注意が必要だ。
3芯CVTケーブルの許容電流表
CVTケーブル(CV triplex cable)は、3本の単芯ケーブルを撚り合わせた構造のため、放熱性が単芯より劣り、許容電流は単芯の約85%程度になる。
| 公称断面積(sq) | 許容電流(A) | 単芯との比率 | 外径概算(mm) |
|---|---|---|---|
| 1.25 | 18 | 90% | 17 |
| 2.0 | 23 | 85% | 19 |
| 3.5 | 32 | 86% | 22 |
| 5.5 | 42 | 86% | 25 |
| 8.0 | 54 | 86% | 28 |
| 14 | 73 | 86% | 33 |
| 22 | 94 | 85% | 38 |
| 38 | 125 | 83% | 47 |
| 60 | 160 | 82% | 56 |
| 100 | 210 | 81% | 68 |
| 150 | 250 | 78% | 78 |
CVTケーブルの許容電流が単芯より小さい理由は、Yahoo!知恵袋でも専門家が解説していた通り「熱バランス」の問題だ。「CVケーブルの許容電流の決め方は熱バランスです。発熱と放熱が平衡した状態で許容温度(CVケーブルなら90℃)になる時の電流値が許容電流です」という声がある通り、CVTは接触箇所があり放熱効率が下がるため、同サイズでもCV単芯より許容電流が小さくなる。
敷設条件による補正係数
実際の現場では、標準条件(空中敷設、周囲温度30℃)とは異なる条件での敷設が多い。この場合、許容電流に補正係数を適用する必要がある。
温度補正係数
- 周囲温度40℃:0.91
- 周囲温度50℃:0.82
- 地中埋設(土壌15℃):1.05
敷設条件補正係数
- 管路敷設:0.8〜0.85
- ケーブルラック密集敷設:0.8〜0.9
- 地中直接埋設(土壌熱抵抗1.0):0.8
- 地中直接埋設(土壌熱抵抗1.5):0.7
並列敷設補正係数
- 2回路並列:0.85
- 3回路並列:0.75
- 4回路並列:0.7
実務では複数の補正係数を組み合わせることが多い。例えば、夏季40℃環境でケーブルラック密集敷設の場合:補正係数 = 0.91 × 0.85 = 0.77となり、許容電流は約23%減となる。
プラント現場では、このような厳しい条件が重なることが珍しくない。安全を考えると、最も厳しい条件を想定した補正係数で選定することが重要だ。
電圧降下計算と許容範囲の実務基準
電圧降下は、ケーブル選定で最も見落としがちな要素だ。Yahoo!知恵袋では「どのくらい電圧が落ちたらダメでどのくらいまでなら許容できる値なのかわかりません」という声があるように、計算方法は知っていても判断基準が不明確な実務者が多い。
電圧降下の計算式と実用的な計算方法
正確な電圧降下計算には、ケーブルの抵抗とリアクタンスを考慮する必要がある。
厳密計算式(三相回路)
電圧降下 = √3 × I × L × (R×cosφ + X×sinφ)
ここで:
I:負荷電流(A)
L:配線距離(km)
R:単位長あたり抵抗(Ω/km)
X:単位長あたりリアクタンス(Ω/km)
cosφ:力率
CVケーブルのリアクタンスは太さに関係なく約0.1Ω/kmのため、抵抗が支配的になる場合が多い。
実用簡略式(力率0.8程度の負荷)
電圧降下 ≒ 1.8 × I × R × L
この簡略式で十分な精度が得られるため、現場では主にこれを使用している。計算時間の短縮にもなり、実務では重宝する。
用途別電圧降下の許容範囲
電圧降下の許容範囲は、接続する負荷の種類と運用条件によって決まる。法的な明確な規定はないが、実務では以下の基準を適用することが多い。
| 負荷種別 | 許容電圧降下 | 備考 |
|---|---|---|
| 一般照明負荷 | 2%以内 | 照度への影響を考慮 |
| 非常照明 | 1%以内 | 法規上の照度確保が必要 |
| 一般動力負荷 | 3%以内 | モーター特性への影響 |
| 精密機器負荷 | 1%以内 | 電圧変動に敏感な機器 |
| コンセント負荷 | 2%以内 | 接続機器の定格電圧確保 |
| 制御回路 | 1%以内 | 制御精度への影響 |
実際のプラント現場では、制御システムの重要度によってさらに厳しい基準を適用することもある。DCS(分散制御システム)への電源では0.5%以内を目標にしていた。
200V回路での具体的な許容電圧
- 2%電圧降下:196V
- 3%電圧降下:194V
- 5%電圧降下:190V
モーターの場合、定格電圧の±10%(180V〜220V)で動作可能だが、効率や寿命を考慮すると3%以内に抑えたい。
電圧降下が基準を超えた場合の対処法
計算の結果、電圧降下が許容範囲を超えた場合の対処法は以下の通りだ。
1. ケーブル太さのアップサイジング(最も一般的)
2.0sq → 3.5sq、3.5sq → 5.5sq のように太い規格に変更する。コストは増加するが、確実で安全な方法だ。
2. 配線ルートの見直し(コスト最適化)
配線距離を短縮できれば、電圧降下を改善できる。建築・機械設備との調整が必要だが、トータルコストでメリットがある場合もある。
3. 中間変電設備の設置(大規模負荷)
配線距離が長く、負荷容量が大きい場合は、中間地点に変電設備を設置し、高圧で送電する方が経済的な場合もある。
4. 電圧タップ付き変圧器の活用(既設改修)
既設設備の改修では、変圧器の電圧タップを調整して電圧降下を補償する方法もある。ただし、他の負荷への影響を慎重に検討する必要がある。
実務では、1のアップサイジングが最も確実で採用されることが多い。ケーブルコストの増加は全体工事費に対して軽微であり、将来の負荷増加への対応余裕も生まれる。
モーター用CVケーブル選定の実践例
モーター負荷のCVケーブル選定は、始動電流と電圧降下の両方を考慮する必要がある。実際の3.7kWモーターを例に、段階的な選定プロセスを示す。
3.7kWモーター(200V)のケーブル選定
Yahoo!知恵袋で「3.7kW、200Vのモーターだったら3.5sqで大丈夫ですよね?」という質問があったが、これは配線距離を考慮していない危険な判断だ。正しい選定プロセスを示そう。
Step 1: 負荷電流の計算
3.7kW、200V三相モーター(効率85%、力率80%と仮定)
定格電流 = 3.7 × 1000 ÷ (√3 × 200 × 0.85 × 0.8) = 15.7A
Step 2: 始動電流の考慮
三相誘導電動機の始動電流は定格電流の6〜8倍
始動電流 = 15.7 × 7 = 110A(平均値として7倍で計算)
Step 3: ケーブル太さの仮選定
定格電流15.7Aに安全率1.25を適用:15.7 × 1.25 = 19.6A
CVケーブル許容電流表から:2.0sq(27A)で十分に見える
しかし、ここで電圧降下の確認が必要だ。
始動電流を考慮した安全率の設定
モーター負荷では、始動電流による電圧降下が問題になることがある。始動時の大電流により電圧が一時的に低下し、他の負荷に影響を与える可能性がある。
始動電流による電圧降下
配線距離30mの2.0sq CVケーブルで110Aの始動電流が流れた場合:
電圧降下 = 1.8 × 110 × 9.78 × 0.03 = 58V
200V回路で58Vの電圧降下は29%に相当し、明らかに過大だ。始動時に電圧が142Vまで下がることになる。
実用的な安全率設定
- 定格電流ベース:1.25倍(内線規程準拠)
- 始動電流考慮:始動時電圧降下5%以内を目標
- 将来余裕:同規格モーターへの交換可能性を考慮
結果的に、3.7kWモーター用としては3.5sq以上を選定するのが実用的だ。
配線距離別の太さ選定例
同じ3.7kWモーターでも、配線距離によって必要なケーブル太さが変わる。以下に距離別の選定例を示す。
| 配線距離 | 2.0sq時の電圧降下 | 3.5sq時の電圧降下 | 推奨ケーブル |
|---|---|---|---|
| 10m | 2.8V (1.4%) | 1.6V (0.8%) | 2.0sq可 |
| 20m | 5.5V (2.8%) | 3.1V (1.6%) | 3.5sq推奨 |
| 30m | 8.3V (4.2%) | 4.7V (2.4%) | 3.5sq必須 |
| 40m | 11.0V (5.5%) | 6.3V (3.2%) | 5.5sq検討 |
| 50m | 13.8V (6.9%) | 7.8V (3.9%) | 5.5sq必須 |
この表から分かる通り、Yahoo!知恵袋の回答で「3.5sqのCVケーブルで電線こう長26mまで大丈夫」という情報は、電圧降下2%基準では正確だ。
実務では、配線距離20m以下なら2.0sq、20m以上なら3.5sqを基本とし、40m以上の場合は5.5sqを検討するのが安全だ。
プラント現場では、モーター室から各機器までの距離が50m以上になることも珍しくない。そういう場合は最初から5.5sq以上で設計し、途中でケーブル太さを変更する手間を省いていた。
CV単芯とCVTケーブルの使い分けと選定基準
CV単芯ケーブルとCVTケーブルの選択は、許容電流だけでなく施工性とコストを総合的に判断する必要がある。現場での使い分けのポイントを解説する。
単芯ケーブルとCVTケーブルの許容電流差
前述の表で示した通り、CVTケーブルの許容電流は単芯ケーブルの約85%だ。この差は、ケーブル内部の熱放散の違いによるものだ。
150sq規格での比較例
- CV単芯 150sq:320A
- CVT 150sq:250A
- 差:70A(22%減)
大容量になるほど差が顕著になる。150sqクラスでは70Aの差があり、負荷によっては単芯を選択せざるを得ない場合もある。
Yahoo!知恵袋では「CVケーブルの許容電流の決め方は熱バランス」という専門的な解説があったが、まさにこの熱バランスの違いが許容電流差の原因だ。CVTケーブルは3本が密着しているため、放熱効率が下がり、結果的に許容電流が小さくなる。
施工性とコストを考慮した選択基準
許容電流だけでなく、施工性とコストも考慮した選択基準を以下に示す。
CVTケーブルのメリット
- 施工効率:3芯一括配線で作業時間短縮
- 配線ミス防止:相配列間違いのリスクが少ない
- 省スペース:ラック占有面積が小さい
- 固定金物簡素化:まとめて固定できる
CV単芯のメリット
- 許容電流が大きい:15%程度の余裕
- 敷設時の取り回し:曲がりやすく、狭所配線が容易
- 部分更新可能:1相だけの交換が可能
- 多回路配線:複数回路の配線が整然とできる
コスト比較(22sq規格での概算)
- CVT 22sq × 1本:約800円/m
- CV単芯 22sq × 3本:約1,200円/m
- ケーブル費用差:約400円/m
ただし、施工費を含めると差は縮まる。CV単芯は配線時間が長くなり、固定金物も多く必要になるためだ。
敷設環境による使い分けの判断
敷設環境に応じた実用的な使い分け基準を示す。
CVTケーブル推奨環境
- 直線配線が主体:工場内の機器配線
- 短距離配線:分電盤から30m以内の負荷
- 一般負荷:照明、コンセント、小型モーター
- 維持管理重視:配線の追跡が重要な場所
CV単芯推奨環境
- 大容量配線:100A超の負荷回路
- 長距離配線:50m以上の配線
- 複雑ルート配線:多数の曲がりがある経路
- 拡張予定あり:将来的な配線追加の可能性
発電所では、主要機器への大容量配線はCV単芯、補機類の配線はCVTと使い分けていた。メンテナンス時の部分更新を考えると、CV単芯の方が圧倒的に便利だ。
実務では、22sq以下の中小容量負荷にはCVT、38sq以上の大容量負荷にはCV単芯という使い分けが一般的だ。14sq〜22sqの中間帯では、配線距離と施工条件を総合的に判断することになる。
CVケーブル選定でよくある失敗例と対策
現場でのCVケーブル選定失敗は、工期遅延や追加コストに直結する。10年以上の施工管理経験から、典型的な失敗パターンとその対策を紹介する。
負荷計算ミスによる容量不足
最も多い失敗は、負荷計算の段階でのミスだ。特に以下のケースで容量不足が発生しやすい。
失敗例1: 同時使用率の過大評価
事務所ビルのコンセント回路で、需要率0.3で計算したところ、実際の使用では0.6近くになり、ブレーカーが頻繁にトリップした。エアコン、パソコン、プリンターが同時使用される現実を見落としていた。
失敗例2: 力率の見積もり違い
モーター負荷で力率0.9として計算したが、実際の負荷は力率0.7だった。同じ出力でも電流は約30%増加し、ケーブル容量が不足した。
失敗例3: 将来負荷の未考慮
当初計画では問題なかったが、1年後の設備増設で負荷が50%増加。ケーブル全面張替えが必要になり、多額の追加費用が発生した。
対策
- 実績ベースの需要率適用:同規模建物の実測データを参考にする
- 力率は保守的に設定:不明な場合は0.8以下で計算
- 将来余裕20%確保:特に電源設備では拡張性を重視
- 実負荷調査の実施:既設改修では事前の負荷測定が必須
プラント現場では、「計算上問題なし」でも実際にトラブルが発生するケースを何度も見てきた。計算は出発点であり、現場の実情を反映した判断が重要だ。
電圧降下を考慮しない選定の問題
許容電流だけでケーブルを選定し、電圧降下を確認しないケースも多い。Yahoo!知恵袋でも「どのくらい電圧が落ちたらダメでどのくらいまでなら許容できる値なのかわかりません」という声があったように、電圧降下の判断基準があいまいなことが原因だ。
失敗例1: モーター始動不良
100m先の5.5kWモーター用に8sq CVケーブルを選定。許容電流は十分だったが、電圧降下が8%に達し、モーターが正常に始動しない問題が発生した。
失敗例2: 照明のちらつき
オフィス照明回路で電圧降下5%の配線を行ったところ、蛍光灯のちらつきとLED照明の調光不良が発生。照明品質に影響を与えた。
失敗例3: 精密機器の誤動作
制御盤への電源で3%の電圧降下があり、PLC(プログラマブルロジックコントローラー)が間欠的に誤動作。システム全体の信頼性に影響した。
対策
- 負荷別の電圧降下基準設定:照明2%、動力3%、制御回路1%
- 始動電流での電圧降下確認:モーター負荷では始動時の確認必須
- 電圧降下計算の自動化:Excelツール等で計算ミス防止
- 測定による事後確認:竣工時の電圧測定で実値確認
将来負荷を考慮しない選定リスク
設計時の負荷条件だけで選定し、将来の拡張性を考慮しないケースも問題になりやすい。
失敗例1: データセンターの拡張対応不可
初期負荷で50A程度だったサーバー室が、3年後に200Aまで増加。幹線ケーブルの容量不足で、建物全体の電気室から配線をやり直すことになった。追加工事費が新設時の3倍に達した。
失敗例2: 工場の生産能力向上時の制約
製造ラインの電源を当初負荷で選定したが、生産能力向上のための設備増設時に電力不足が判明。操業停止を伴う大がかりな電気工事が必要になった。
失敗例3: テナントビルの入居条件制約
テナント用電源を最小限で設計したため、大口テナントの入居を断ることになった。賃料収入の機会損失は配線コストの削減額を大幅に上回った。
対策
- 将来計画の詳細ヒアリング:5年程度の拡張計画を確認
- 幹線は余裕度50%:枝線は20%、幹線は50%の余裕確保
- スペースの確保:ケーブル追加用のラック・配管余裕
- 分岐点の設置:将来分岐しやすい位置での配線設計
これらの失敗は、いずれも初期コストを抑えようとした結果、後で大きな損失を被ったケースだ。電気設備の寿命は20年以上と長く、初期投資を渋って後で高い代償を払うのは本末転倒だ。
現場経験から言えば、「迷った時は太いケーブルを選ぶ」が鉄則だ。ケーブルコストの差額は、工事全体から見れば微々たるものである。
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CVケーブル選定のよくある質問
Q. CVケーブルの電圧降下はどこまでが許容範囲なのか?
A. 一般的に照明負荷では2%以内、動力負荷では3%以内が目安です。200V回路では照明で4V、動力で6V程度が上限となります。制御回路や精密機器では1%以内(2V以内)により厳しい基準を適用することが欠かせない。
Q. 3.7kWモーターには2sqと3.5sqのどちらのCVケーブルを選ぶべきか?
A. 配線距離によって判断が変わります。20m以下なら2.0sqでも可能ですが、それ以上では3.5sqが必要です。始動電流による一時的な電圧降下も考慮すると、安全を見て3.5sq以上を推奨します。
Q. CV単芯ケーブルとCVTケーブルの許容電流はなぜ違うのか?
A. CVTケーブルは3本が密着しているため放熱効率が単芯より劣り、同サイズでもCV単芯より許容電流が約15%小さくなります。これは熱バランスの違いによるもので、CVケーブルの許容温度90℃に達する電流値が制限されるためです。
Q. CVケーブル選定で補正係数はどの程度見込むべきか?
A. 敷設条件により大きく変わりますが、管路敷設では0.8、地中埋設では0.7〜0.8、温度条件40℃では0.91程度です。複数条件が重なる場合は各係数を乗じて適用し、最も厳しい条件を想定することが安全です。
