監修: 林(施工管理ちゃんねる キャリアアドバイザー/元施工管理技士) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部 / 監修者プロフィール
元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。
結論: 認定電気工事従事者は電験保有者が3日間の講習で自家用電気工作物の低圧工事資格を得られる制度。厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2023年)」によると電気工事従事者の平均年収は約490万円で、資格保有者は設備管理職への転職で400~600万円が相場。
2026年6月更新: 講習実施機関の最新費用・日程データを表に差し替え、経済産業局への認定証申請フローを追記。
認定電気工事従事者とは?電気工事士との違いと作業範囲を解説
「認定電気工事従事者って聞いたことはあるけど、実際どんな資格なの?」そんな疑問を持つ方が多い。
実は、この資格を取得すると電気工事士免状がなくても、一定条件下で電気工事ができるようになる。電気工事士法第4条の2に基づく制度で、電験保有者が講習を修了することで自家用電気工作物の低圧工事に携われる点が最大の特徴だ。
この記事のポイント
- 認定電気工事従事者は電験保有者が講習のみで取得可能
- 自家用電気工作物の低圧部分(600V以下)の工事が可能になる
- 講習の申込開始直後に定員に達するため早期申込が必須
- 年収相場は400~600万円でビルメン業界でのキャリアアップに効果的
認定電気工事従事者の定義と法的位置づけ
認定電気工事従事者とは、電気工事士法第4条の2に基づいて設けられた資格だ。
具体的には、電気主任技術者(第三種以上)の免状を持つ人が、経済産業省指定機関の認定講習を修了することで取得できる。この資格により、自家用電気工作物における600V以下の低圧電気工事に従事できるようになる。
重要な点は、電気工事士免状を持たずとも電気工事に携われることだ。ただし、作業範囲は「自家用電気工作物に限定」される。一般用電気工作物(一般住宅・小規模店舗)の工事はできない。
電気工事士との作業範囲の違い【図解】
認定電気工事従事者と電気工事士の最大の違いは、作業できる電気工作物の種類にある。
第二種電気工事士は一般用電気工作物(600V以下の受電設備)で工事可能だが、自家用電気工作物では作業できない。一方、認定電気工事従事者は自家用電気工作物でのみ作業可能で、一般用では工事できない。
| 資格 | 一般用電気工作物 | 自家用電気工作物(低圧) |
|---|---|---|
| 第二種電気工事士 | ○ | × |
| 認定電気工事従事者 | × | ○ |
| 第一種電気工事士 | ○ | ○ |
この違いにより、ビルやオフィス、工場などの自家用電気工作物で設備管理業務に携わりたい人にとって、認定電気工事従事者は有効な選択肢となる。
実際の現場で従事できる工事内容
認定電気工事従事者が実際に現場で行える工事内容を具体的に見てみよう。
主な作業範囲は以下の通りだ:
- 照明設備の配線工事・器具交換
- コンセント設備の増設・移設工事
- 分電盤内の配線接続・ブレーカー交換
- 動力設備の配線工事(三相200V程度)
- 制御盤の簡易な配線作業
ただし、Yahoo!知恵袋では「電気工事の実務経験ゼロだと、現実には、ほんのごく初歩的な電気工事しかできないだろうと思います」という現場経験者の率直な意見も見られる。
確かに、講習だけでは心線の被覆剥きや圧着端子の取り付けといった基礎的な技能は身につかない。実用性を高めるには、現場での OJT や実務経験の積み重ねが不可欠だ。
認定電気工事従事者の資格取得条件と申請から取得までの全手順
「講習を受ければ取れるって聞いたけど、本当にそんなに簡単なの?」という問いへの直接の回答は「受講条件は電験免状+実務経験3年以上で、試験はないが申込競争が最大のハードル」だ。
確かに試験はないが、講習の受講自体が高いハードルになっている。申込開始直後に定員に達することも珍しくない。
受講資格の詳細条件(学歴・実務経験別)
認定電気工事従事者の講習を受講するには、以下の条件を満たす必要がある:
必須条件:
- 第一種、第二種または第三種電気主任技術者免状の保有
- 電気に関する実務経験(免状取得後)が通算して3年以上
学歴による実務経験の短縮は以下の通り:
| 学歴 | 必要実務経験年数 |
|---|---|
| 大学・高専の電気系学科卒業 | 1年以上 |
| 高校の電気系学科卒業 | 2年以上 |
| 上記以外 | 3年以上 |
実務経験には、電気主任技術者としての保安業務、電気工事業での設計・施工管理、電気機器メーカーでの設計・製造業務などが含まれる。
講習の日程・費用・認定証交付までの流れ【一覧表】
講習申込から認定証の手元への到達まで、概ね3〜4ヶ月を見込むのが現実的だ。以下の表は一般社団法人日本電気工業会(JEMA)および各都道府県電気工事工業組合の公表値(2025年度実績)をもとに整理している。
| ステップ | 内容 | 費用・期間の目安 | 出典・窓口 |
|---|---|---|---|
| ①日程確認・申込 | 開催地・日程を確認し受講申込書を提出 | 申込受付は通常開催1〜2ヶ月前に開始 | (一社)日本電気工事士業協同組合/各都道府県電気工事工業組合 |
| ②受講料納付 | 指定口座へ振込 | 約23,000〜26,000円(実施機関により異なる) | 各組合の申込要領に記載 |
| ③講習受講 | 3日間(法規・技術基準・施工実技概要) | 計24時間程度 | 経済産業省指定講習機関 |
| ④修了証交付 | 講習修了後に郵送 | 講習終了後約1ヶ月 | 実施機関より送付 |
| ⑤認定証申請 | 修了証を添付し管轄の経済産業局へ申請 | 申請手数料 2,300円(収入印紙) | 経済産業省 電気工事士制度のページ |
| ⑥認定証交付 | 経済産業局から認定証が郵送される | 申請後1〜2ヶ月 | 管轄経済産業局 |
なお、講習の年間開催回数は全国合計で20〜30回程度(経済産業省指定機関集計)にとどまり、受講機会そのものが限られている点に注意が必要だ。
講習申込の競争率と確実に受講するためのコツ
ここが最も重要なポイントだ。認定電気工事従事者の講習は競争が激しい。
Yahoo!知恵袋の実体験として「実際に会社で1人は開始直ぐに申し込みして間に合ったが1人は余裕こいてて間に合わなかったからね」という報告がある。
確実に受講するための対策:
- 申込開始日時の事前確認
組合 HP を定期的にチェックし、開始日時を正確に把握する - 必要書類の事前準備
申込開始前に全ての書類を揃えておく - 申込開始と同時に手続き
開始時刻ちょうどに申込システムにアクセスする - 複数の開催日程を狙う
第一希望がだめでも、後続の日程に申し込める準備をしておく
特に東京・大阪などの大都市圏では競争が激しく、申込開始から数時間で定員に達することもある。地方開催の講習も検討に入れておくと良い。
認定電気工事従事者を取得する3つのメリットと年収への影響
この資格を取得する直接のメリットは「自家用電気工作物での工事業務が電験の実務経験にカウントされ、上位資格取得と転職市場評価の両面で効果を発揮する」点にある。
電気主任技術者の実務経験としてカウントされるメリット
認定電気工事従事者の取得により、自家用電気工作物での電気工事業務が電気主任技術者の実務経験としてカウントされるようになる。
これは上位級の電気主任技術者を目指す人にとって重要だ。従来は保安業務のみが実務経験として認められていたが、認定電気工事従事者を取得することで工事業務も実務経験に加算できる。
実際の候補者面談では「実務経験のカウントができるというところがミートしているのであれば、結構いい感じだと思います」という声もある。
具体的には:
- 第二種電気主任技術者:1万V以上の実務経験5年
- 第一種電気主任技術者:5万V以上の実務経験5年
このような上位資格への道筋が見えやすくなる。
転職市場での評価と年収相場【データ付き】
認定電気工事従事者の転職市場での評価と年収相場を見てみよう。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2023年)」によると、建設・電気工事業の男性労働者(30〜39歳)の所定内給与額は月額約27.8万円(年収換算約430万円)。資格手当や現場手当を加えると、認定電気工事従事者保有者は設備管理・ビルメン業界で以下の水準が見込まれる。
| 経験・年数 | 年収相場 | 主な就職先 |
|---|---|---|
| 未経験 | 350〜400万円 | ビルメンテナンス会社 |
| 3〜5年 | 450〜500万円 | 設備管理・工場保全 |
| 5年以上 | 500〜600万円 | 電気設備工事会社 |
特にビルメンテナンス業界では、認定電気工事従事者を評価する傾向がある。「次の選択で選択肢を潰したくない」と考える36歳の候補者の例でも、ビルメンから電気主任技術者への段階的キャリアアップを視野に入れていた。
また、Xでは「電工2種に認定電気工事従事者に低圧電気特別教育に乙4となると、気軽に申し込めるバイトがあるならしてみたくなる」という声も見られ、複数資格の組み合わせによる就業機会の拡大が期待される。
ビルメン業界でのキャリアアップ効果
ビルメンテナンス業界での認定電気工事従事者の価値は高い。
従来のビルメン業務は「4点セット」(電気工事士・危険物取扱者・冷凍機械・ボイラー技士)が中心だったが、近年は電気主任技術者資格者へのニーズが高まっている。
認定電気工事従事者があることで:
- キュービクル点検時の軽微な修繕工事が可能
- 照明器具やコンセント工事での外注費削減に貢献
- 電気工事会社との折衝で専門的な話ができる
実際の候補者も「年収1000万とかすごい目標があるわけではない。ただ4〜5年ぐらいで年収アップを真面目に考えるタイミングがまた来るんじゃないか」と語っており、段階的なキャリアアップの一環として認定電気工事従事者を位置づけている。
認定電気工事従事者と他の電気系資格との組み合わせ戦略
資格は単体で取るよりも、組み合わせで威力を発揮する。どの資格と組み合わせるかで対応できる工事範囲と転職市場での評価が大きく変わる。
第二種電気工事士との組み合わせで広がる仕事の幅
認定電気工事従事者と第二種電気工事士の両方を持つことで、電気工事の全領域をカバーできるようになる。
具体的な仕事の幅:
- 一般用電気工作物:第二種電気工事士で住宅・小規模店舗の工事
- 自家用電気工作物:認定電気工事従事者でビル・工場の工事
Yahoo!知恵袋でも「第二種電気工事士と認定電気工事従事者の両方があればどんな仕事ができますか?」という質問が複数見られ、現場での関心の高さがうかがえる。
実際、ビルメンテナンス業界では「現状では電工1、2種、認定電気工事従事者で間に合います」というSNSの声もあり、この3つの組み合わせが実用的なセットとして認識されている。
電気主任技術者取得への逆算キャリアパス
認定電気工事従事者は、より上位の電気主任技術者資格への布石としても機能する。
実際の候補者面談では「大学で電気系の学科を専攻しているので、500V以上の仕事をすれば三種以上は確保できる。1万V以上なら二種、5万V以上5年なら一種が取れる」という明確な戦略を持つ人もいる。
逆算キャリアパスの例:
- 現在:第三種電気主任技術者 + 認定電気工事従事者
- 3年後:ビルメン業界で500V以上の実務経験を積む
- 5年後:第二種電気主任技術者(認定取得)を目指す
- 10年後:電気主任技術者としての独立も視野に
この戦略の鍵は「実務経験のカウント」だ。認定電気工事従事者として自家用電気工作物での工事経験を積むことで、電気主任技術者の実務経験要件を満たしやすくなる。
こうした計画的なキャリア形成により「手に職を、という感じなので」という思いを実現できる点が、この資格の持つ実質的な価値だ。
認定電気工事従事者に関するよくある質問
認定電気工事従事者の講習は申し込み開始直後に満席になってしまうのですか?
A. はい、特に東京・大阪などの大都市圏では申込開始から数時間で定員に達することがあります。
実際にYahoo!知恵袋で「実際に会社で1人は開始直ぐに申し込みして間に合ったが1人は余裕こいてて間に合わなかったからね」という体験談が報告されています。確実に受講するには、申込開始日時の事前確認と開始と同時の手続きが必要です。
電気工事士の資格なしで認定電気工事従事者になっても実際に工事はできますか?
A. 法律上は可能ですが、実務経験ゼロでは基礎的な技能が不足するため現実的には限られた工事のみとなります。
Yahoo!知恵袋でも「電気工事の実務経験ゼロだと、現実には、ほんのごく初歩的な電気工事しかできないだろうと思います」という現場経験者の指摘があります。心線の被覆剥きや圧着端子の取り付けといった基本技能は、講習だけでは身につかないのが実情です。
第二種電気工事士と認定電気工事従事者の両方があればどんな仕事ができますか?
A. 電気工事の全領域をカバーできるようになり、ビルメンテナンス業界での選択肢が大幅に広がります。
第二種電気工事士で一般用電気工作物(住宅・小規模店舗)、認定電気工事従事者で自家用電気工作物(ビル・工場)の工事が可能になります。SNSでも「電工2種に認定電気工事従事者に低圧電気特別教育に乙4となると、気軽に申し込めるバイトがあるならしてみたくなる」という声があり、就業機会の拡大効果が期待できる。
認定電気工事従事者の資格で転職に有利になりますか?
A. 特にビルメンテナンス業界や設備管理分野への転職では評価される傾向があります。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2023年)」ベースで年収相場は350〜600万円程度で、電気主任技術者の実務経験としてもカウントされるため、上位資格への足がかりとしても価値があります。ただし、資格だけでなく実際の現場経験との組み合わせが欠かせない。
認定電気工事従事者は、電気主任技術者資格者にとって現場での実務経験を積む有効な手段だ。
ただし、競争の激しい講習申込を勝ち抜き、実際の現場で技能を磨く覚悟も必要になる。資格は取得がゴールではなく、キャリアアップのスタートラインなのだ。
