電気工事施工管理技士の難易度を1級・2級データで徹底分析

電気工事施工管理技士の難易度を1級・2級データで徹底分析

監修: 林(施工管理ちゃんねる キャリアアドバイザー/元施工管理技士) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部 / 監修者プロフィール

元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。

結論: 1級電気工事施工管理技士の合格率は1次検定約40.6%・2次検定約58.2%(一般財団法人 建設業振興基金)。2級より明確に難しく、電験三種より実務寄りだが、施工経験がある人なら2次検定は十分射程圏に入る。

「職場から1級を取るよう言われたが、どれくらい難しいのか」——そう胸のざわつきを感じながらこのページを開いた人は多いはずだ。

合格率だけを見れば「1次が約4割、2次が約6割」と出てくる。でも数字の裏に何があるのか——どのセクションが本当の壁で、電験三種と比べてどう違うのか、実務経験のカウントで受検資格すら変わる落とし穴があること——は、どの競合サイトもさらっと流す。

この記事では、施工管理ちゃんねる独自面談調査(N=88件)で得たリアルな声と、公的統計データを重ね合わせて、電気工事施工管理技士の難易度を正直に分析する。

この記事のポイント

  • 1級の1次検定合格率は約40.6%。ここ数年で36.3%まで落ちた年もあり、「簡単ではない」が正直なところだ
  • 本当の難関は1次検定の電気理論・高圧設備。2次の施工経験記述は現場経験者なら対策しやすい
  • 電験三種とは試験の性質が根本的に違う。暗記と計算力の電験三種に対し、施工管理技士は実務理解と文章力が問われる
  • 実務経験のカウントには落とし穴がある。設計・事務職では積めない。転職で実務経験を積みながら受検資格を得るルートが現実的な選択肢になる
目次

1級・2級 電気工事施工管理技士の合格率を一覧で確認する

「合格率40%だから難しい」と言う人もいれば、「現場経験があれば特に難しくない」と言う人もいる。どちらも正しい。ただし、どの検定の話をしているかによって評価が全く変わる。まず数字を整理しよう。

1次検定(旧学科)の合格率推移

1級電気工事施工管理技士の1次検定合格率は、直近の平均で約40.6%(一般財団法人 建設業振興基金)。2級は約58.9%だ。この約18ポイントの差は、単純な問題の難度差だけでなく、出題範囲の広さと問題のひねり方に起因する。

Xでは「今年絶対例年より難しかった。合格率36.3%でここ10年近くで一番合格率が低い。体感合ってた」という声も上がっている。1次検定は年によって難易度が振れる。36〜47%のレンジで推移しており、「運の要素もゼロではない」というのが現場を知る人間の正直な評価だ。

2級の1次検定は約58.9%と過半数が合格する水準。ただし「2人に1人が落ちる」と考えれば、決して油断できる数字でもない。

2次検定(旧実地)の合格率推移

1級の2次検定合格率は約58.2%。一見「1次より通りやすい」と見えるが、ここには構造上の理由がある。2次を受けられるのは1次合格者か学科免除の条件を満たした者のみ。つまり一定の選抜が済んだ集団が受けているため、合格率が高く出やすい。

2級の2次検定は約62.3%。1級2次との差は約4ポイントで、1次ほどの開きはない。2次検定の難度差は1次ほど大きくない、ということだ。

合格率が示す「本当の難関ポイント」は2次検定にある

数字だけ見ると「1次が難関」に見える。しかし正直なところ、合格者を悩ませる本当の壁は2次検定の施工経験記述にある。なぜか。

1次は過去問をひたすら回せばある程度対応できる。一方、2次の施工経験記述は「あなた自身が経験した施工と絡めて書け」という問題だ。経験の浅い人、または経験はあっても言語化に慣れていない人が2次で足をすくわれる。

Yahoo!知恵袋でも「2次で落ちるのは経験浅い人かズブのド素人くらい。施工管理歴があれば楽勝」という声がある一方、「施工経験の記述ができるかどうかが鍵」という回答が上位に並ぶ。経験の「量」ではなく「言語化の質」が問われるのだ。

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試験科目と出題範囲からわかる、難易度が高い3つの理由

合格率の数字は結果だ。では、なぜその数字になるのか。試験の中身から難易度の構造を読み解く。

1次検定:電気理論・高圧設備が最大の壁

1次検定の出題科目は、電気工学(電気理論・電気機器・電力系統)、施工管理法、関係法規が中心だ。午前2時間半・午後2時間、合計4時間半の長丁場。92問中60問を選択して回答する形式で、必須問題と選択問題が混在する。

最大の壁は電気工学の理論問題と高圧設備に関する問題だ。特に電力系統・高圧受電の知識は、日常の現場で400〜600Vの低圧工事しか経験していない人にとってはほぼ未知の領域になる。「過去問を7〜8年分やり込み、8割解答できるまで」(Yahoo!知恵袋・1種電工・1級電気施工管理・1級電気通信施工管理を保有するユーザー)というのが現実的な対策ラインだ。

建設業法・安衛法の問題は暗記で対処できるが、電気理論はそうはいかない。理解なしに暗記しても応用問題で詰まる。ここを甘く見た人が1次で落ちる、というのが繰り返されるパターンだ。

2次検定:施工経験記述で差がつく理由

2次検定は3時間の記述式。難易度が高いのは「施工体験記述問題」だ。自分が経験した工事を題材に、品質管理・安全管理・工程管理のうち指定されたテーマで具体的な記述をする。工事名・発注者・工期・工事概要といった基本情報を正確に書いた上で、課題と対策を論理的に展開する力が求められる。

「経験さえあれば書ける」は半分正しく、半分は誤りだ。経験を「試験委員が採点しやすい構造」で書く練習をしないと、現場経験20年でも落ちる。工事概要の暗記、記述パターンの型を身につけること——この準備なしに本番に臨むのはリスクでしかない。

独学合格に必要な勉強時間の目安

結論から言えば、独学での合格は十分可能だ。ただし「電気系の基礎知識がある」「現場経験がある」という2条件が揃っている場合の話。

目安として:

  • 1次検定: 150〜250時間(電気理論の基礎が薄い人は上振れする)
  • 2次検定: 50〜100時間(施工経験記述の型を作る時間込み)

週15時間確保できれば、1次は約3〜4ヶ月、2次は1〜2ヶ月が現実的なラインだ。ただし、仕事が現場仕事の人は「現場が入って読めない」という状況になりやすい。勉強時間の確保が最大の課題、というのが面談で繰り返し聞く話だ。

1級 vs 2級:難易度の差はどこにあるのか

2級から1級へのステップアップを考えている人に正直に言う。1次検定の難度差は「電工1種と2種の差くらい」(Yahoo!知恵袋・1種電工・1級電気施工管理保有者)という声がある。思ったより大きな壁ではない、と感じる人もいれば、基礎学力の差でジリジリとした焦りを感じる人もいる。どちらになるかは現場経験の質と基礎知識の厚みによる。

受検資格(実務経験年数)の違い

受検資格の違いは明確だ。

  • 2級: 第二種電気工事士取得後3年以上の実務経験、または第一種電気工事士取得後1年以上など複数パターンあり
  • 1級: 2級合格後5年以上の実務経験、または一定の学歴・資格と組み合わせた実務経験年数(最短でも3年程度の実務が必要)

注意したいのは「実務経験」の定義だ。電気工事の施工管理に携わった経験が必要で、設計や積算だけでは認められない。この点の詳細はH2-5で掘り下げる。

出題範囲・問題難度の違い

1級の1次検定は、2級より出題範囲が広く、問題のひねりが強い。具体的には:

  • 電力系統・特別高圧設備に関する問題が1級から本格的に出題される
  • 施工管理法の記述が2次で問われる範囲が広く、工程管理・品質管理・安全管理・環境管理の4管理を横断的に理解している必要がある
  • 建設業法・労働安全衛生法の問題は1級の方がより細かい条文の知識を要求される

2級の1次は「電気工事士試験で出てくる電気の問題に建設業法・安衛法・施工管理の問題がプラスされた感じ」(Yahoo!知恵袋より)。この表現はかなり正確で、2種電工の知識があれば1次の電気系問題はある程度対応できる。1級はそこに高圧・特別高圧の領域が加わる。

2級合格者が1級で躓くポイントと対策

2級を順当に通過してきた人が1級で躓くパターンは、大きく2つだ。

パターン1: 高圧設備の知識不足
2級合格時点では低圧中心の知識で乗り切れた。しかし1級では高圧受電・特別高圧の問題が出て詰まる。対策は、電験三種の参考書で電力系統の基礎だけを補完すること。全科目やる必要はない。該当分野だけつまみ食いするのが効率的だ。

パターン2: 2次の記述が雑になる
「2級で通ったから」と油断して施工経験記述を適当に仕上げる人がいる。1級の2次は採点基準が厳しく、曖昧な表現・具体性の欠如がダイレクトに失点につながる。工事概要を正確に書き、課題→対策→結果の流れを崩さないこと。これだけ意識するだけで合格率は大きく変わる。

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電験三種・電気工事士と難易度を比べると、1級はどこに位置するか

「電験三種と1級電気工事施工管理技士、どちらが難しいか」はXでも知恵袋でも繰り返し出てくる質問だ。答えは「比べるのが難しいくらい、試験の性質が根本的に違う」。それでも比較を求める人のために、正直に整理する。

電験三種との比較:試験の性質が根本的に違う

電験三種(第三種電気主任技術者試験)の合格率は科目合格制で全科目一発合格なら10%前後。難易度は1級電気工事施工管理技士より明らかに高い。ただし、この比較は「試験の難しさ」であって「取りやすさ」の比較ではない。

比較項目 1級電気工事施工管理技士 電験三種
合格率 1次:約40.6% / 2次:約58.2% 全科目一発:約10%前後
試験の性質 実務理解 + 文章力 数学・物理の計算力 + 暗記
求められる知識 施工管理法・建設業法・実務経験 理論・電力・機械・法規の4科目
独学勉強時間目安 200〜350時間 500〜1,000時間以上

施工管理ちゃんねるの面談では「電気系学科出身でメーカー設計職をしていた人が、500V以上の実務経験を積むために施工管理職に転職を検討した」ケースがある。電験三種・二種・一種の取得条件を自分で把握していて、「施工管理で実務経験がカウントできるかどうかがキーポイント」と語っていた。資格の意味を逆算してキャリアを設計している人の視点は、資格試験の難易度論議とは別の次元にある。

つまり、電験三種の方が試験は難しい。しかし「取れる可能性がある資格」として見るなら、施工管理技士は実務経験さえあれば射程圏に入る。電験三種は現場経験だけでは補えない数学・物理の素養が要る。

第一種・第二種電気工事士との比較

電気工事士との比較はシンプルに言える。

  • 第二種電気工事士: 合格率は筆記約60%・技能約70%。1級電気工事施工管理技士より明らかに易しい
  • 第一種電気工事士: 筆記合格率約40〜50%・技能約60〜70%。1級施工管理技士の1次検定と同程度の難易度感だが、試験内容は異なる

「第一種電気工事士を持っていれば1次検定が楽になるか」という点については、電気理論・機器の問題で重複する部分があるため「ゼロより有利」は間違いない。ただし、施工管理法・建設業法の問題は別途対策が必要で、電工の資格があれば全体がイージーになるわけでもない。

Q. 第一種電気工事士を持っていると1次検定は楽になりますか?

A. 電気理論・電気機器の範囲で知識の重複があるため有利には働く。ただし施工管理法・建設業法・高圧設備の範囲は別途対策が必要で、「持っていれば余裕」にはならない。追加で100〜150時間程度の勉強は見ておくべきだ。

【現場経験者が明かす】実務経験の「カウント」で合格率が変わる理由

ここが、競合サイトがほぼ触れない部分だ。正直に言う。実務経験のカウント条件を理解していない人が、受検資格の申請段階でつまずく。あるいは「積んでいると思っていた経験が実は認められなかった」と後から気づく。これは合格率より先に知っておくべき話だ。

「実務経験カウント」の落とし穴:設計・事務職では積めない理由

電気工事施工管理技士の実務経験として認められるのは、電気工事の施工管理に関する業務に限られる。具体的には:

  • ✅ 電気工事の施工計画・工程管理・安全管理・品質管理
  • ✅ 電気工事の現場代理人・現場監督としての業務
  • ❌ 電気設備の設計・積算のみ(施工に携わっていない)
  • ❌ 事務職・営業職・図面作成のみ
  • ❌ 電気工事の「作業員」としての経験(施工管理ではないため)

施工管理ちゃんねるの面談では、メーカー設計職でキャリアを積んできた候補者が「実務経験のカウントができるというところがミートしているのであれば、結構いい感じだと思います」と語っていた。自分の経歴と施工管理技士の受検要件を照合しながら転職先を探していた。設計職では一種電気工事士の免状が出ない——施工管理職に転職することで初めてカウントが始まる——という構造を理解した上での動きだった。

「現場経験あり」と思っていても、施工管理として携わっていなければカウントされない。自分の職歴が実務経験として認められるかは、試験センターに確認するか、受験の手引きを精読して確認してほしい。

施工管理職への転職で実務経験を積みながら受検資格を得る流れ

電気工事士の免状は持っている。でも実務経験が足りない、あるいは施工管理としての経験が積めていない——そういう状況の人が施工管理職に転職して実務経験を積むルートは、現実的かつ合理的な選択肢だ。

ある電気設備会社(施工管理ちゃんねるの法人面談先)では、主任昇格の条件が「施工管理2級+1級+2種電工」と明示されており、資格取得費用は会社が全額負担(2回まで)という制度があった。こういった企業では、入社しながら2級を取り→経験を積み→1級を受検という流れが会社の支援を受けながら実現できる。

転職エージェント(施工管理ちゃんねるのRAである林)が面談で繰り返し伝えているのは「3年で2級が取れる。5年で500万は十分射程圏。8年以上で1,200万を狙えるポジションも出てくる」という現実のラインだ。資格と年収が連動する構造が電気施工管理の世界では明確で、1級があるとないとでは転職市場での評価が段違いになる。

電験三種・電気主任技術者を逆算するなら1級施工管理技士が起点になる

ここは競合サイトが全く書いていない視点だ。電験三種を試験で取るのが難しい——でも電気主任技術者の資格は欲しい——という人に、実務経験による「認定取得」のルートがある。

電気主任技術者は試験合格のほかに、一定の電圧・期間の実務経験を積むことで認定申請できる。具体的には:

  • 第三種: 500V以上の電気工作物の維持・運用・工事の実務経験
  • 第二種: 1万V以上の電気工作物での実務経験
  • 第一種: 5万V以上で5年以上の実務経験

施工管理ちゃんねるの面談で、電気系学科出身のキャリアについて議論になったとき、候補者自身が「500V以上の仕事をすれば三種以上は確保できる。1万V以上なら二種、5万V以上5年なら一種が取れる」と自ら条件を把握して語っていた。これは例外的な知識量ではなく、電気主任技術者を本気で狙っている人なら持っておくべき情報だ。

そして、1級電気工事施工管理技士を取得した現場で高圧・特別高圧の実務経験を積むことが、電験三種の認定申請への最短ルートになり得る。試験だけが電験への道ではない。1級施工管理技士は、そのキャリアパスの起点として機能するのだ。

ただし、認定申請の条件は実務の内容・電圧・期間を厳密に審査される。「施工管理をしていた」だけでは通らないケースもある。経済産業省や産業保安監督部への事前確認を強く勧める。

よくある質問(FAQ)

Q. 1級電気工事施工管理技士の合格率は何%ですか?

A. 一般財団法人 建設業振興基金のデータによると、1次検定の合格率は約40.6%、2次検定は約58.2%だ。ただし1次は年によって36〜47%のレンジで変動する。2024年には36.3%まで下がった年もあり、「年によって難しい年がある」という認識が現実に近い。2次の58.2%は1次合格者の中での合格率なので、全受験者ベースで計算すると合格率はさらに下がる。

Q. 独学で合格できますか?必要な勉強時間は?

A. 独学合格は十分可能だ。条件は「電気系の基礎知識がある」「現場での施工管理経験がある」の2つが揃っていること。勉強時間の目安は、1次検定で150〜250時間、2次検定で50〜100時間。週15時間確保できれば1次は3〜4ヶ月が現実的なラインになる。電気理論・高圧設備が弱い人は上振れする。施工経験記述は型を身につける練習が必要で、経験年数より「言語化の質」が合否を分ける。

Q. 電験三種と1級電気工事施工管理技士、どちらが難しいですか?

A. 試験の難しさという意味では電験三種が上だ。全科目一発合格率は10%前後で、数学・物理の計算力が問われる。一方、1級電気工事施工管理技士は実務経験のある人なら取り組みやすく、独学勉強時間も200〜350時間と電験三種(500〜1,000時間以上)より現実的だ。ただし試験の性質が根本的に異なるため、「難しい・易しい」の比較より「自分のキャリアにどちらが必要か」で判断するのが正しい。

Q. 第二種電気工事士を持っていると有利になりますか?

A. 試験の難易度という意味では「有利」は限定的だ。1次検定の電気理論・電気機器の範囲で知識の重複はある。ただし1級の1次検定には高圧・特別高圧の問題や建設業法・施工管理法が加わるため、第二種電気工事士の知識だけでは不十分だ。第一種電気工事士の方が1次検定との知識の重複が大きく、持っていれば電気系問題の対策時間を短縮できる。受検資格の面では、第二種電気工事士取得後3年以上の実務経験で2級の受検資格が得られる。

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林(はやし)

編集・監修体制

編集施工管理ちゃんねる編集部(XCHANGE株式会社)

監修林(はやし)|施工管理ちゃんねる(せこちゃん) キャリアアドバイザー

元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。

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