監修: 林 友貴(1級電気工事士・キャリアアドバイザー) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部
林氏は1級電気工事士として10年の現場経験を持つキャリアアドバイザー。施工管理ちゃんねるで88名以上の転職支援実績。
結論: 電気施工管理の派遣は「危険」ではなく、会社選びと自分のキャリア目的次第で有効な働き方になる。未経験者の平均月給は25〜30万円、有資格者なら時給換算で正社員を上回るケースもある。
この記事のポイント
- 「電気施工管理の派遣は危険」の実態は、派遣制度そのものではなく会社選びの失敗が原因であることが多い
- 厚生労働省データによると電気施工管理技士の平均年収は約560万円(令和5年)。派遣でも有資格者は月収35万円前後が現実的なライン
- 派遣3年ルールと指揮命令権の分散は実務上の落とし穴になる、正直に言えば、この問題を軽視する派遣会社は多い
- 施工管理ちゃんねる独自面談調査(N=88件)では、「教育を受けられない」「任されすぎる」という声が複数確認されている
- 派遣期間中に1級電気工事施工管理技士の実務経験を積むことは条件次第で可能だが、会社側の証明書発行に落とし穴がある
電気施工管理の派遣は本当に「危険」なのか?結論を先に示す
「電気施工管理 派遣 危険」と検索する人の多くは、具体的なリスクより「なんとなく不安」という感覚を持っているはずだ。その感覚、間違ってはいない。でも、正確でもない。
率直に言う。電気施工管理の派遣で働くこと自体は、危険ではない。危険なのは、派遣会社の選び方を間違えることだ。
施工管理ちゃんねる独自面談調査(N=88件)で確認できた傾向として、派遣での電気施工管理経験者が「失敗した」と語るケースのほとんどに共通点がある。それは「派遣先の現場環境をろくに確認せずに入社した」という点だ。
「危険」と言われる3つの根拠と、その実態
ネット上で「電気施工管理 派遣 やめとけ」「危険」と言われる理由は、大きく3つに整理できる。
①雇用の不安定性:派遣は契約更新が前提で、工期が終わると案件がなくなるリスクがある。これは事実だ。ただし、無期雇用派遣として雇用される場合は状況が異なる。
②賞与・退職金がない(薄い):Yahoo!知恵袋でも「賞与もでないでしょ?出ても寸志。退職金もないっしょ?デメリットだらけ」という辛辣な声がある。確かに有期雇用派遣では賞与ゼロが多い。一方、転職会議の口コミでは「資格手当ももらえてマックスでは30万近くお給料がもらえる」という声もあり、会社によって差が大きい。
③「捨て駒扱い」されるリスク:転職会議の口コミに「所詮派遣といった感じで捨て駒使いされることもある」という声があった。これは一部の現場での実態であり、全ての派遣先でそうだとは言えない。ただし、ゼロではない現実だ。
3つを並べてみると、どれも「派遣制度そのものの欠陥」ではなく「特定の会社・現場での問題」だとわかる。
危険に見せているのは「派遣」ではなく「会社選び」の失敗だった
施工管理ちゃんねるの面談で出会った30代の電気工事士(E-2026-026)は、短期離職を2回経験した後にこう語った。「2回ほど失敗しているので、やっぱり慎重に今回は本当に行きたいんです。入ってから2〜3ヶ月ぐらいはサポートがあると、すごくありがたいなと思うんです」。
この言葉には、派遣・正社員を問わない「入社後サポートの重要性」が凝縮されている。つまり、失敗の本質は雇用形態ではなく、入社前の情報収集と入社後の受け入れ体制にある。
OpenWorkの口コミにも「残業代は出るが派遣先が派遣元に上乗せ分払うので文句を言われる」という構造的な問題が指摘されている。コストの二重構造が現場での摩擦を生む、これは会社選びの段階で確認できることだ。
派遣と正社員は「何が」違うのか?法的制約と業務範囲を電気工事現場で読み解く
「派遣だと現場での権限が弱い」という感覚は正しい。ただし、その理由を法的に理解している人は少ない。ここを押さえておかないと、現場に入ってから「あれ、思ってたのと違う」ということになる。
派遣社員は「誰の指示」で動くのか、指揮命令権の所在
労働者派遣法の根幹は「指揮命令権の分離」にある。雇用契約は派遣会社と結ぶが、現場での指示・命令は派遣先企業(元請・ゼネコン・サブコン)から受ける。
電気工事の現場では、この分離が実務上の混乱を生むことがある。具体的には:
- 工程変更の指示が派遣先の現場監督から来る
- 労務管理(勤怠・残業管理)は派遣会社が担う
- 安全教育の実施義務は派遣先と派遣会社の両方に課される(派遣法第26条・45条)
この構造の問題点は、「どちらの会社に言えばいいかわからない」状況が生まれやすいこと。施工管理ちゃんねるの面談でも「現場で困ったとき、派遣会社に電話していいのか派遣先に言うべきか迷った」という声が複数あった。
高圧・低圧現場での業務範囲はどこまで任されるか
電気工事士法から見ると整理する。第一種電気工事士であれば最大電力500kW未満の自家用電気工作物(高圧受電設備)の工事に従事できる。第二種は一般用電気工作物(低圧600V以下)が範囲だ。
派遣の場合、この「業務範囲」と「資格要件」は雇用形態に関係なく同じだ。つまり資格さえあれば高圧現場の施工管理も担当できる。ただし、現実的には:
- 高圧現場(2〜3億規模)を派遣社員に単独で任せる会社は少ない
- 低圧・通信系の現場から入って実績を積み、徐々に範囲が広がるパターンが一般的
- 「A/B/C工事」の分類で、A工事(建物所有者発注分)はゼネコン正社員が主導するケースが多い
OpenWorkの口コミに「電気工事、空調工事の施工及び施工管理であるが、いずれも建築の下請けとなることが多く、入社後ギャップを感じてしまう人が多い」という声があった。派遣に限らず、サブコン全般に言える構造問題だ。
大手ゼネコン正社員 vs 派遣 vs 中小正社員:3つの雇用形態の実質比較表
| 比較項目 | 大手ゼネコン正社員 | 電気施工管理派遣 | 中小サブコン正社員 |
|---|---|---|---|
| 入社3年目年収目安 | 430〜520万円 | 350〜480万円(資格手当次第) | 350〜450万円 |
| 賞与 | 年2〜4回(月給×3〜6ヶ月) | 会社による(ゼロ〜寸志が多い) | 年2回(月給×1〜3ヶ月) |
| 転勤リスク | 高(全国・海外あり) | 低〜中(エリア指定可能な場合も) | 中(県内〜近隣県) |
| 現場の裁量 | 大きくなるまで時間がかかる | 即戦力扱いされやすい | 2〜3年で裁量が広がる |
| 資格支援 | 充実(受験費・テキスト支給) | 会社による(ピンキリ) | 有無は企業次第 |
| 雇用の安定性 | 高い | 有期派遣は低い・無期派遣は中 | 中(業績依存) |
| 教育・OJT | 体系化されていることが多い | 現場任せが多い | 先輩社員の属人的OJT |
出典: 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(令和5年)・施工管理ちゃんねる面談調査(N=88件)・各種口コミサイト(2025年)
表を見て気づくことがある。「派遣だからダメ」ではなく、項目によっては派遣の方が有利な軸もある。転勤なしで現場の裁量を早期に持てることは、中小正社員より派遣の方が有利なケースもある。
電気施工管理の派遣で働く7つのメリット【時給・現場選択・資格取得を中心に】
X(旧Twitter)の転職データでは「施工管理/技能工の平均月給276,489円はホワイトカラーの営業/事務(269,371円)を上回る唯一のブルーカラー職種」という調査結果が話題になった。電気施工管理の派遣は、このポテンシャルをどう活かせるか、具体的に整理しよう。
時給換算で正社員月給を超えるケースとは
Indeed上の求人データを見ると、電気施工管理の派遣求人で「年収800万円以上/年休127日」という案件が実在する。もちろん全案件がこの水準ではないが、資格保有者(1級電気工事施工管理技士)であれば時給3,000〜4,500円台の求人は珍しくない。
月160時間労働で計算すると:
- 時給3,000円 × 160時間 = 月収48万円(年収約576万円)
- 時給3,500円 × 160時間 = 月収56万円(年収約672万円)
厚生労働省 賃金構造基本統計調査(令和5年)の電気施工管理技士平均年収560万円と比較すると、1級保有の派遣エンジニアは正社員平均を超える可能性がある。
ただし、ライトハウスの口コミには「基本給が低く設定されており、施工管理業務としては薄給です。みなし残業代込で25万」という声もある。時給の見た目と実際の手取りは別物だ。月収の内訳(基本給・みなし残業・資格手当)を入社前に必ず確認することが前提になる。
「合わない現場はすぐ変えられる」、現場選択の自由度
正社員で大手ゼネコンに入った場合、転勤・現場配置は会社が決める。「この現場は合わない」と思っても、基本的には自分では動かせない。
派遣の場合、契約期間(多くは3〜6ヶ月、長くて2年)で区切られているため、「合わなければ次の現場へ」という選択が取りやすい。OpenWorkの口コミには「現場も短期なら1ヶ月、長期なら2年くらいあり」とある。
面談で出会ったある30代の電気工事士(E-2026-026)は「大きい仕事に携わるよりも、数をこなしていけるような、コンスタントにできるような仕事の規模の範囲で考えたい」と語っていた。派遣の現場選択の自由度は、こうした「キャリアの自己設計」を実現しやすくする。
とはいえ、「すぐ変えられる」は「無責任に離れられる」ではない。現場途中での離脱は業界内での評判に影響する。それなりの覚悟は必要だ。
電気工事士・1級電気工事施工管理技士の受験要件を派遣期間で満たせるか
1級電気工事施工管理技士の受験資格(第二次検定)には、一定年数の実務経験が必要だ(2級合格後5年以上、または大卒+3年以上など、学歴・経路によって異なる)。
派遣期間中の実務経験は、派遣先の現場での実際の施工管理業務が証明できれば、受験資格の実務経験としてカウントできる。ただし、証明書を発行するのは「派遣先企業(実際の現場の元請・施工会社)」ではなく、雇用契約を結んでいる「派遣会社」になる。
ここに落とし穴がある。派遣会社によっては「実務経験証明書の発行に対応していない」「退職後の発行を渋る」ケースが報告されている。資格取得を目的に派遣で働くなら、入社前に「実務経験証明書の発行可否」を文書で確認することが不可欠だ。
見落としがちな5つのデメリット、「教育を受けられない」問題を面談8件の声で検証する
正直に言う。電気施工管理の派遣には、表面的なメリットの裏に見えにくいデメリットが存在する。施工管理ちゃんねるの面談データで確認できた声を交えながら、具体的に掘り下げる。
「やった経験がないのに任される」、現場OJTの実態と対処法
派遣で電気施工管理に入ると、多くの現場で「即戦力」として扱われる。問題は、本人のスキルレベルと現場が求めるレベルの乖離が大きい場合でも、ほぼ同じ扱いをされる点だ。
ある面談では「現場に入ったその日から書類を渡されて、何をすればいいかわからないまま1週間が過ぎた」という声があった。正社員なら先輩社員がOJTで教えてくれる場面でも、派遣だと「経験者として来てもらっているから」という前提で放置されることがある。
対処法として有効なのは次の2点だ:
- 入社前に「派遣先での指導担当者の有無」を派遣会社に確認する、いなければリスクが高い
- 最初の1〜2週間で「不明点リスト」を作り、派遣元のRAに共有する、問題を可視化することで対応が早まる
転職会議の口コミに「派遣先により、ちゃんと受け入れてくれるところもあるが、所詮派遣といった感じで捨て駒使いされることもある」とある。これは事実であり、防ぐには事前調査が全てだ。
雇用の不安定性と派遣3年ルール:電気施工管理で何が起きるか
労働者派遣法では、同一の派遣先で働ける期間の上限は原則3年だ(「事業所単位」「個人単位」の2つのルールがある)。電気施工管理の現場では、これがどう影響するか。
工期が3年を超えるような大型案件(例:工期3年の30階建て190戸のマンション)に関わっている場合、3年ルールによって現場の途中で離れなければならないケースが発生し得る。これは現場の連続性を求める施工管理の仕事との相性が悪い。
現実的な対応策:
- 無期雇用派遣として登録する、3年ルールが事業所単位では残るが、派遣会社との無期雇用契約で雇用安定が増す
- 派遣から直接雇用(正社員登用)制度がある会社を選ぶ、3年以内に実績を積んで直接雇用に切り替える
- 短期・中期の現場を複数こなす戦略に切り替える、大型案件1件に絞らない
Yahoo!知恵袋で「施工管理で無期雇用派遣が大半ですか?」という質問があった。実態として、大手の技術者派遣会社では無期雇用派遣を積極的に活用している。有期雇用のみの会社には要注意だ。
履歴書を見ない面接・会社のイメージ確認を怠ると起きること
面談で会った34歳の技術派遣エンジニア(E-2026-017)が「会社のイメージを見てから判断したい」と言っていた。これは至極真っ当な姿勢だが、実は多くの求職者がこの確認を怠る。
電気施工管理の派遣では、面接が「書類確認より現場の即戦力確認」に偏ることが多い。資格の有無と現場経験年数を聞いて、ほぼ決まってしまうケースもある。その結果:
- 「現場が変わるたびに人間関係を一から作り直す疲弊感」に気づかず入社
- 「みなし残業40時間が実質80時間分の残業になる」構造を見抜けずに入社
- 「派遣先がどんな企業か」を把握しないまま、文化的に合わない現場に入る
ライトハウスの口コミに「仕事の裁量権:電気工事会社のため、入社2か月後に電気工事士と施工管理に振り分けられる」という声があった。入社後に役割が変わる可能性も、事前確認のチェック項目に入れるべきだ。
これはポジティブに締めない。会社のイメージ確認を怠った代償は、「入ってから気づく」という最悪のタイミングで現れる。時間は戻らない。
派遣の電気施工管理に向いている人・向いていない人【チェックリスト付き】
「向いてる・向いていない」は抽象論になりがちだ。ここでは面談で繰り返し登場したパターンをもとに、できるだけ具体的に整理する。
向いている人:5つの特徴
以下に当てはまる人は、派遣での電気施工管理が機能する可能性が高い。
- 複数の現場を経験して実力を早く上げたい人:1つの会社に入って先輩の下で3〜4年待つより、派遣で異なる現場を2〜3年で渡り歩く方がスキルの幅が広がりやすい。ただし「叩ける」(複数の現場経験を積める)会社かどうかの見極めが必要だ
- 転居なしで働きたい人:大手ゼネコン正社員は転勤が前提になる。「自宅から10km圏内」「片道1時間半まで」といった通勤条件を優先したい人には、エリア指定できる派遣が有効だ。ある面談では「現場仕事は早朝集合。通勤30分と1時間では体への負担が全然違う」という声があった
- 2級電気工事施工管理技士取得後、1級受験の実務経験を積みたい人:資格支援が充実した派遣会社なら、学習費用の補助を受けながら実務経験も同時に積める
- 正社員として入れる会社の規模・文化に納得できない人:中小サブコンの正社員になるくらいなら、大手の現場に派遣で入る方が経験値が高い、という判断は合理的な場合がある
- 「まず働いてみて判断したい」未経験・第二新卒の人:Indeed口コミでは「未経験で月30万貰えているので給料はとてもいいです」という声もある。転職会議でも「文系からでも施工管理の仕事に取り組める」とある
向いていない人:こんな状況なら正社員を選べ
反対に、以下の状況なら正社員を優先すべきだ。
- 長期的な退職金・企業年金を重視する人:有期雇用派遣には退職金がない会社がほとんど。老後の設計を考えるなら、早い段階で正社員に切り替える必要がある
- 5年後・10年後に現場代理人・監理技術者として責任を持ちたい人:正社員として会社のキャリアパスに乗る方が、昇進・役割の拡大が明確だ
- 教育・指導を受けながら成長したい未経験者:未経験での派遣入社は「即戦力扱い」とのギャップが大きく、放置される可能性がある。未経験なら正社員として入社し、OJTを受ける方が安全だ
- 家族の扶養・住宅ローンを抱えていて収入の安定が最優先の人:有期雇用派遣の雇用不安定性は、ライフイベントを控えた時期には大きなリスクになる
- 「会社のブランド」を重視するキャリアを歩みたい人:大手ゼネコン・サブコンの正社員歴は、将来の転職市場での評価に影響する
電気工事専門の派遣会社を選ぶ5つのチェックポイント【会社のイメージより先に確認すること】
ここが最も実用的な情報だ。派遣会社のパンフレットや採用サイトに書かれている「充実したサポート」「業界最多の案件数」という表現は、ほぼ全社が使う。差がつくのは、具体的な数字と契約条件を引き出す質問ができるかどうかだ。
チェックポイント①:高圧/低圧現場の案件比率を確認する
電気施工管理の派遣会社に登録する前に「御社の案件は高圧受電現場と低圧現場の比率はどのくらいですか?」と聞く。この質問に即答できない会社は、現場の中身を把握していない可能性が高い。
なぜ重要か。第一種電気工事士を持っていて高圧現場の経験を積みたいのに、低圧・弱電系の案件しかない会社では目標に近づけない。逆に第二種のみ保有で高圧現場に配置されると、資格外業務になるリスクがある。
確認すべき具体的な質問:
- 「高圧受電設備(2〜3億規模)の施工管理案件は月に何件ありますか?」
- 「データセンターや半導体工場の電気施工管理案件はありますか?」(2026年以降、これらの分野は特に需要が旺盛)
- 「私の保有資格(〇〇)を活かせる案件の割合は?」
チェックポイント②〜⑤:資格支援・36協定・担当RAの専門性・正社員登用実績
② 資格支援の実態(金額・対象資格・条件)
「資格取得支援あり」と書いてあっても、「1級電気工事施工管理技士の受験費・テキスト代を全額補助」なのか「合格後に一時金5万円支給」なのかでは天地の差がある。具体的な金額と支給条件を文書で確認する。転職会議の口コミには「資格手当ももらえてマックスでは30万近くお給料がもらえる」という声があった。資格手当の設計が充実している会社は実在する。
③ 36協定の内容(特別条項の有無と上限時間)
2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用された(2024年問題)。派遣会社の36協定で定める時間外労働の上限を確認する。「特別条項あり・月100時間未満」という会社は上限ギリギリまで残業させる意図がある可能性がある。「月45時間・年360時間以内」をデフォルトとして守れているかが判断基準だ。
④ 担当RA(人材コーディネーター)の電気工事専門性
「施工管理してた人がマネジメントしてくれるから安心」と面談で語ってくれた候補者(E-2026-022)の言葉が印象的だった。担当RAが電気工事の現場経験を持っているか、少なくとも1級電気工事施工管理技士の受験要件を正確に説明できるかを確認する。説明が曖昧なRAがいる会社は、電気工事専門と名乗っていても実態は総合的な技術者派遣会社だ。
⑤ 正社員登用実績(直近2年間の件数)
「正社員登用制度あり」は制度があるだけで実績ゼロの会社もある。「直近2年で何名が派遣から正社員登用されましたか?」と聞く。答えられない・はぐらかす会社は、正社員登用を「集客のための建前」として使っている可能性が高い。
派遣から正社員・電験へ、電気施工管理派遣を「踏み台」にするキャリア戦略
「踏み台」という言葉は否定的に聞こえるかもしれないが、ここでは戦略的に使う。派遣という雇用形態を「最終目的地」ではなく「通過点」として設計した場合、電気施工管理の派遣は強力なキャリアツールになり得る。
電験三種 vs 1級電気工事施工管理技士:市場価値をデータで比較
施工管理ちゃんねるの面談で出会った34歳の元技術派遣エンジニア(E-2026-017)は「電験(電源)を優先しつつ、施工管理も並行して見たい」と語っていた。この「どっちを優先するか」問題は、多くの電気系技術者が直面する。
面談の中でRAが明言した内容がある。「電験三種は施工管理より市場価値が低い。1種電工よりも低い」という見方だ。これは一般的な認識と異なるように聞こえるが、転職市場(人材紹介の観点)では次の理由がある:
- 電験三種の活躍フィールドは「電気主任技術者」としての設備管理(ビルメン・工場)が中心
- 電気施工管理1級の活躍フィールドは「工事現場の統括管理者・現場代理人」として施工会社・ゼネコンで需要がある
- 年収レンジ:電験三種400万円前後 / 電験二種600万円以上 / 電験一種700万円以上。1級電気工事施工管理技士(経験5〜8年)で500〜800万円が現実的な範囲
| 資格 | 合格率(第一次) | 合格率(第二次) | 取得後の年収目安 | 主な活躍フィールド |
|---|---|---|---|---|
| 1級電気工事施工管理技士 | 約40.6% | 約58.2% | 550〜850万円(経験次第) | 大手サブコン・ゼネコン・独立 |
| 2級電気工事施工管理技士 | 約58.9% | 約62.3% | 430〜520万円 | 中小サブコン・施工会社 |
| 電験三種 | 約8〜12%(年度により変動) | 、 | 370〜450万円(ビルメン系) | 設備管理・工場電気主任 |
| 電験二種 | 約20% | 約25% | 550〜700万円 | 大規模設備・電力会社関連 |
出典: 一般財団法人 建設業振興基金(2024年度)・施工管理ちゃんねる面談調査
転職市場の需要という観点では、1級電気工事施工管理技士は「持っている人が少なく、現場には必須」という需給ギャップがある。電験三種は保有者数が多く、差別化が難しい(電験二種以上になると逆転する)。
派遣期間中に実務経験を積み、認定ルートで電験上位資格を狙う手順
電験二種・一種には「認定取得ルート」が存在する。大学の電気系学科の単位を修得していれば、規定の実務経験(主任技術者経験)を積むことで試験なしに認定取得できる制度だ。
面談で出会った34歳の技術者(E-2026-017)は「大学院卒で電気系の単位を持ちながら、認定ルートを活かせていない」状況にあった。この「権利を持っているが活かせていない人」は、意外と多い。
派遣期間中に認定ルートを活用するための手順:
- 自分の大学の単位が認定校の要件を満たすか確認する、電気主任技術者認定校の指定科目リストを経済産業省のサイトで確認
- 高圧受電設備(500kW以上)を持つ事業場での主任技術者経験が必要になる場合を確認する、派遣先の現場規模が要件を満たすか事前チェック
- 派遣会社に「高圧現場・電験認定要件を満たす現場への配置」を明示的に依頼する、黙っていると配置は運任せになる
- 派遣期間終了後の実務経験証明書を、事業場の設置者(派遣先の会社)から発行してもらえるか確認する、これが最大の落とし穴
認定ルートは「確実に資格が取れる」保証はなく、申請後に審査が入る。ただし、合格率が8〜12%の電験三種試験と比べれば、ルートとして検討する価値はある。
技術派遣から電気施工管理正社員に転身した事例と要した期間
施工管理ちゃんねるの面談データから、技術派遣→電気施工管理正社員の転身パターンを整理する。
事例①:未経験派遣→2年で2級取得→正社員登用(28〜32歳層が多い)
電気工事の実務未経験で派遣入社。低圧の現場補助から始め、1年半で2級電気工事施工管理技士を取得。資格取得と同時に派遣先から「うちに来ないか」とオファー。約2年で正社員転籍。
事例②:他業種の技術派遣→電気系資格取得→施工管理へのキャリアチェンジ(30代前半)
面談で出会った34歳(E-2026-017)のケースに近いパターン。大学院で電気系の学位を持ちながら、IT系の技術派遣でキャリアを積んできた。電験三種または1級電気工事施工管理技士を軸に施工管理への転身を検討中。「電験(電源)と施工管理の2ルートを並行して見たい」という姿勢は正しい、どちらが先に実現可能かは、市場の求人状況で判断するのが合理的だ。
共通して言えること:技術派遣から正社員に転身するまでの期間は、概ね1.5〜3年が現実的なラインだ。資格の有無と現場でのパフォーマンスが速度を左右する。「力をつけていく」という地道な姿勢が前提にある。
ただし、全員が転身できるわけではない。転身できなかった理由として面談で出てきたのは「3年ルールで切られたタイミングで正社員登用の話が出なかった」「派遣会社が紹介予定派遣に対応していなかった」の2つが多かった。入口(派遣会社選び)の重要性は、ここでも繰り返し出てくる。
よくある質問
Q1. 電気施工管理の派遣は未経験でも応募できますか?
応募できる会社はある。Indeed口コミでも「未経験歓迎」の求人が確認できる。ただし、「未経験でも採用する」会社と「未経験を育てる仕組みがある」会社は別だ。特に派遣では入社後のOJT体制が薄いケースが多く、未経験者が放置されるリスクがある。未経験であれば、資格支援と入社後サポート(担当RAの電話対応・月1回の面談)が明文化されている会社を選ぶことが前提になる。転職会議では「文系からでも施工管理の仕事に取り組める」という声があるが、それはサポート体制が整っている会社に限った話だ。
Q2. 派遣期間中に1級電気工事施工管理技士の受験資格は得られますか?
条件を満たせば得られる。1級電気工事施工管理技士の第二次検定受験には、学歴・経路別の実務経験年数が必要だ(例:2級合格後5年以上等)。派遣での実務経験もカウントできるが、実務経験証明書は雇用契約を結んでいる派遣会社が発行する。退職後の証明書発行に対応しない会社もあるため、登録前に「実務経験証明書の発行可否と手続き」を文書で確認すること。一般財団法人 建設業振興基金に問い合わせれば、必要書類の様式も確認できる。
Q3. 高圧現場の施工管理は派遣では任せてもらえないのですか?
資格があれば任される可能性はある。第一種電気工事士・1級電気工事施工管理技士を保有していれば、派遣であっても高圧受電設備の工事に従事できる。ただし実態として、2〜3億規模の高圧現場を初めから派遣社員に単独で担当させる会社は少ない。低圧・通信現場から始めて実績を積み、徐々に高圧案件に移行するパターンが一般的だ。「高圧現場の案件が何件あるか」を入社前に聞き、配置の優先順位についても確認すること。
Q4. 派遣から直接雇用(正社員登用)に切り替えてもらえる可能性はありますか?
可能性はゼロではないが、確率は会社と個人の実績によって大きく変わる。紹介予定派遣として入社すれば、一定期間後に直接雇用への切り替えが契約上明記される。通常の派遣で入社した場合は、派遣先企業が「欲しい」と思い、派遣会社が「紹介手数料を取れる」合意ができた場合に実現する。直近2年の正社員登用実績を具体的な件数で聞き、「紹介予定派遣の案件があるか」を入社前に確認することが最善策だ。
