監修: 林(施工管理ちゃんねる キャリアアドバイザー/元施工管理技士) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部 / 監修者プロフィール
元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。
結論: 高砂熱学工業の平均年収は2025年時点の有価証券報告書ベースで約1,129万円。施工管理(現場責任者クラス)のIndeed集計では745万円前後とギャップがある。残業代が年収の2〜3割を占める構造が「平均」を押し上げているという現実だ。
この記事のポイント
- 有報ベースの平均年収1,129万円は空調設備系サブコン3位。ただし残業代が年収の2〜3割を占める構造
- 施工管理職の手取り感覚では600〜750万円が実態。課長クラスで800〜1,000万円圏内に入る
- 440万円から520万円に年収アップした転職事例あり。エージェントを使った年収交渉の実態を公開
- 基本給だけ見ると「並以下」とライトハウスの口コミが指摘。賞与・手当の読み方が重要だ
空調設備系サブコン年収ランキング——高砂熱学の立ち位置はどこか
空調設備系サブコンの年収比較が、X上でじわじわと広まっている。
「新菱冷熱工業 1,244万円・大気社 1,181万円・高砂熱学 1,129万円・三機工業 1,078万円・ダイダン 1,066万円・新日本空調 985万円」——この数字、見たことがある人も多いはずだ。出所は各社の有価証券報告書であり、数字自体は正確。ただ、この「平均」が何を意味するかを理解せずに使うと、入社後に胃がキリキリするようなギャップに直面する。
有価証券報告書の平均年収は、管理職・役員を含む全社員の「年間給与総額÷平均人員数」で算出される。つまり残業代・賞与・各種手当を全部含んだ数字だ。施工管理の現場担当者として入社した場合、特に最初の数年で「1,129万円の会社に来たのにこれだけ?」という感覚になることは珍しくない。本当にそうだろうか、と疑う前に、数字の構造を理解することが先決である。
Indeed集計の施工管理平均は745万円前後、OpenWorkの回答者平均は755万円。転職会議の建築・土木関連職種では677万円という数字も出ている。これらのほうが「現場の実感」に近い水準だ。
ライトハウスの口コミにはこんな声がある。「残業が多いので年収は高い。ただ、残業代で稼ぐ会社なので残業がなければ並以下。現場の施工管理なら1日12時間労働は当たり前」。正直な話、この指摘は外れていない。残業代込みで成立する年収——それが高砂熱学の実態である。
年収推移で見る「いつ上がるか」——5年・10年・20年のモデルライン
転職会議の口コミに「新卒入社で30くらいの先輩は年収600万を超えていた」という記述がある。現場感覚に近いモデルラインの一例だ。
入社3〜5年(20代後半)でおおよそ450〜550万円。10年前後(30代前半)で600〜700万円。主任クラスに上がる30代中盤で700〜800万円台に乗るイメージだが、これは残業代込みの数字だ。現場が繁忙期かどうかで年収が50〜100万円ブレることはザラにある。
就活会議では「主任までは年齢・役職に応じてある程度は自動で上がる」という声もある。逆に言えば、主任以降は評価次第で差がついてくる。OpenWorkの口コミに「年収1,000万円も可能。大手上場企業なので一通りの福利厚生が揃っている」とあるが、これは課長クラス以上のケースだと見ていい。
20年選手・部長クラスになれば1,000万円超えは現実圏内。ただし「なれる人数」は限られている。施工管理ちゃんねるの面談データ(N=8名、設備系施工管理職、2025年実施)でも、1級施工管理技士を持って10年以上の経験者が「今の会社では上が詰まっていて昇格の見込みがない」という理由で転職を検討するケースが複数確認された。年功的な昇給の限界と、評価連動の昇格の壁——この2つを理解した上で長期キャリアを描く必要がある。
ダイダン・新菱冷熱・三機工業との年収差——数字だけで決めていいのか
有報ベースの比較で言えば、高砂熱学はサブコン上位3位に入る。新菱冷熱(1,244万円)との差は115万円、ダイダン(1,066万円)との差は63万円。同じ「大手設備系サブコン」でも、年収の差は確実に存在する。
ただし、この比較だけで転職先を決めるのは早計だ。年収水準は「残業時間×残業単価」に大きく左右される。仮に新菱冷熱が残業時間の多さで平均が高いだけなら、手取りの「時給換算」では逆転することもある。数字の裏側を読まずに動くのは危険である。
スーパーゼネコンとの比較も出回っている。鹿島建設1,185万円・大林組1,140万円・大成建設1,058万円——高砂熱学の1,129万円はこの水準と横並びかやや下。設備サブコンとゼネコンが同水準に並ぶのは、建設業界の給与水準全体の底上げが続いている証左でもある。
「大きな会社で働いたほうがいい。今しかないので高砂熱学をお勧めする」というYahoo!知恵袋の声(2024年)は、競合他社からの内定を持ちながら迷っている人への回答だった。中小と大手の福利厚生・安定性の差は、年収の数字以上に実感として出てくる世界だ。
課長・部長になるといくら?職種・役職別の実態数値
「平均1,129万円」という数字だけでは、自分がどのポジションでどれだけもらえるかがわからない。職種と役職で切り直す。
施工管理・設計・営業——職種によって年収が変わる構造
Indeedのデータが面白い。施工管理(現場担当)の平均745万円に対して、電気工事施工管理の月給上限は約50.8万円(年換算で約610万円ベース)。建築施工管理は月23.2万円からスタートする。同じ「施工管理」でもスコープによって幅が出る。
経理は679万円という数字もIndeedに出ている。施工管理・現場系が一番稼げる構造だが、それは「残業時間が長い」という前提込みだ。設計や積算は残業が比較的コントロールしやすい分、年収の絶対値は施工管理より低めになりやすい。職種を選ぶ段階で、何を優先するかを明確にしておくべきだろう。
営業職に関しては、Yahoo!知恵袋で「高砂熱学から内定をもらった」という声が2024年にもあり、営業としての評判も悪くない。ただし営業の年収データは口コミ各社でサンプル数が少なく、断定するのは難しい。
役職別モデル年収——主任・課長・部長クラスのリアル
OpenWorkの個別口コミには「年収1,000万円。基本給516万円・残業代192万円・賞与265万円」という内訳が出ている。課長クラスの実態に近い数字だ。基本給516万円に残業代192万円が乗ってはじめて1,000万円圏内に入る構造——基本給だけでは到達しない現実。
もう一件のOpenWork口コミは「年収600万円。基本給28万円/月・残業代10万円/月・賞与100万円」。月の基本給28万円は年換算336万円。残業代10万円×12ヶ月=120万円。賞与100万円。合計556万円であり、「年収600万円」の内訳がこれだとすると、基本給の比率は約56%にとどまる。残業代への依存度の高さは、これを見れば一目瞭然だ。
モデルラインを整理するとこうなる。一般社員(入社3〜5年)450〜600万円、主任クラス650〜800万円、課長クラス850〜1,100万円、部長クラス1,100〜1,300万円。このレンジは複数件の口コミ傾向から推定したものであり、部署・現場・個人の評価によって上下する。
| 役職 | 推定年収レンジ | 主な年収構成の特徴 |
|---|---|---|
| 一般社員(入社3〜5年) | 450〜600万円 | 残業代の比率が高め。現場繁忙期で変動大 |
| 主任クラス(30代前半) | 650〜800万円 | 資格手当が効き始める。年功昇給の上限付近 |
| 課長クラス(30代後半〜) | 850〜1,100万円 | 基本給比率が上昇。評価連動の差がつく |
| 部長クラス(40代以降) | 1,100〜1,300万円 | 有報平均を牽引する水準。なれる人数は限定的 |
440万円→520万円になった転職者が語る「年収交渉の本音」
施工管理ちゃんねるに転職相談に来た、ある30代の電気工事士の話をしたい(本人同意のもと匿名掲載)。子どもがちょうど授業参観・運動会の年齢だった。
「40連勤していて、日曜日も17時に帰れるとかなかった。授業参観に行ける、運動会に出られる——今までは行けないのが当たり前だと思っていたけど、行ける会社もあることを知った」
転職後の変化をそう語る彼は、年収440万円から520万円に上がった。プラス80万円という実数値の転職成功事例だ。ただ、彼が強調したのは年収よりも別のことだった。「それがなかったら転職していない」——そう言わせたのは、年収交渉そのものではなく、エージェントとの信頼関係だった。
「会社には聞けない」年収の疑問——エージェントが解消できた3つのこと
「年収のベースの交渉は絶対にできなかった。エージェントだからこそ言える本音がある」——彼はそう言い切った。率直な言葉だ。
会社に直接「年収をもっと上げてほしい」と言えば、転職活動中であることがバレるリスクがある。内定後に個人で交渉しても、採用担当者に「条件面でごねる人」という印象が残りかねない。エージェントを介した場合、3つの点が変わる。
第一に、「実は他社からも内定をもらっている」という情報をエージェントが上手く企業側に伝えられる。第二に、候補者本人が言いにくい「残業時間の実態」「賞与の変動幅」「昇給のペース」をエージェントが事前に確認できる。第三に、オファー面談のタイミングで「候補者の現在年収と希望年収のギャップ」を企業にフラットに伝えられる。
「確認したいことを確認できる。些細な悩みも細かく聞いてくれる」という彼の言葉は、エージェントを使う本質的な価値を表している。年収は、個人で交渉するより第三者を介したほうが動きやすい——施工管理ちゃんねるの面談データ(N=8名、設備系施工管理職、2025年実施)から一貫して出てくる傾向だ。
高砂熱学工業への転職で年収を上げるために確認すべき条件
高砂熱学工業に転職する場合、「提示年収」と「実年収」のギャップを事前に潰すことが重要だ。確認すべき点を直接述べる。
まず固定残業代の有無と時間数。「みなし残業XX時間含む」と書かれていれば、その時間を超えた分が別途支給されるかを必ず確認する。次に賞与の変動幅。業績連動か、固定か。OpenWorkの口コミには「過去、業績によって多少のボーナスの推移があった」という声もある。
さらに、配属現場によって残業時間は大きく変わる。「現場が入って読めない」という状態は施工管理業界全般の宿命だが、高砂熱学のような大手の場合、担当する現場の規模感(2〜3億規模か、それ以上か)によって体感年収が変わる。入社後に「思ったより稼げない」と感じる人の多くは、この現場規模と残業量の読み違いが原因だ。
「強みはブランディング効果」というライトハウスの口コミも興味深い。技術力や品質の高さよりも、「高砂熱学の社員だった」という肩書きが転職市場での評価につながる——この視点は、入社後のキャリアを考える上で押さえておく価値がある。
給与制度の中身——残業・賞与・手当で年収が変わる構造
基本給だけ見ると損をする。これが高砂熱学工業の年収を理解する上での核心だ。
賞与・手当の実態——「年収1,000万円」の内訳を分解する
OpenWorkに開示されている「年収1,000万円」の内訳を見ると、基本給516万円・残業代192万円・賞与265万円だ。賞与265万円は基本給の約51%相当。基本給が年600万円の人なら賞与は300万円前後になる計算だが、これは「業績が良い年」の数字である可能性が高い。
残業代192万円は月平均16万円。1日12時間労働が当たり前という口コミと照らし合わせれば、想定内の数字である。問題は「残業がない月」の年収だ。繁忙期が終わって閑散期になれば、月の残業代はガタ落ちする。施工管理職でこの会社を選ぶなら、「年収の2〜3割が残業代で構成されている」という事実を飲み込んだ上で判断するべきだろう。
手当面では、大手上場企業として住宅手当・通勤手当・家族手当が整備されている。「中小企業より福利厚生・待遇面でも高砂の方がよい」というYahoo!知恵袋の声(2024年)は素直に受け取っていい。
資格手当については、施工管理ちゃんねる独自の面談データ(N=8名、2025年実施)によると、1級施工管理技士の資格手当として月5〜7万円前後を支給する設備系サブコンが一定数確認されている。高砂熱学の具体額は非公開だが、大手として相応の水準を設定していると推察される。1級施工管理技士を保有しているかどうかは年収差に直結する——これは断言できる。
最後に、2024年から本格適用された建設業の時間外労働上限規制(厚生労働省「時間外労働の上限規制」2024年4月施行)の影響にも触れておく必要がある。「昔、働き方で炎上していた」という声がYahoo!知恵袋にあり(2024年)、残業時間のコントロールは業界全体の課題だ。残業代込みの年収水準が規制強化で以前より下がる可能性はゼロではない。残業代で稼ぐ構造の企業に転職する場合、この変化は折り込んでおく必要がある。
よくある質問
Q. 高砂熱学工業の年収は業界内で高い方ですか?
A. 有価証券報告書ベースでは1,129万円で、空調設備系サブコンの中では新菱冷熱・大気社に次ぐ3位だ。スーパーゼネコンと比較しても同水準かやや上に位置する。ただしこの数字には残業代・賞与が含まれており、「基本給だけなら並以下」というライトハウスの口コミも出ている。施工管理職の現場担当ベースでは745〜755万円が実態ラインである。
Q. 課長・部長クラスになると年収はいくらになりますか?
A. OpenWorkの個別開示では課長クラスで「基本給516万円・残業代192万円・賞与265万円=合計973万円」という事例がある。課長クラスで850〜1,100万円、部長クラスで1,100〜1,300万円が推定レンジだ。管理職になると基本給の比率が上がり、残業代依存度が下がる。評価次第で差がつくため、昇格後の年収は個人の成果と社内評価に左右される。
Q. 未経験から入社した場合、年収はどう推移しますか?
A. 入社直後は月基本給22〜28万円前後からスタートし、残業代・賞与を加えて初年度350〜430万円台が現実的なラインだ。「主任までは年齢・役職に応じてある程度自動で上がる」という口コミが示す通り、最初の10年は年功的に上昇していく。30歳前後で600万円台に乗るには、現場経験の積み重ねと2級から1級施工管理技士への資格取得が鍵になる。資格手当は月単位で確実に効いてくるため、入社後の早期取得が年収加速に直結する。
Q. 高砂熱学工業への転職で年収アップは現実的ですか?
A. 現実的だ。施工管理ちゃんねるの面談データ(N=8名、設備系施工管理職、2025年実施)では、440万円から520万円(プラス80万円)という実例がある。年収アップの幅は「現職の年収水準」「保有資格」「経験年数」の3つで決まる。1級施工管理技士を持ち、かつ現職の年収が同業他社と比べて低い場合、交渉で50〜100万円の上積みは十分ありえる。エージェント経由での交渉が有効であり、個人で直接交渉するより条件が出やすい傾向がある。
