設計士とは何か?建築士との違いや仕事内容・年収を実体験データで解説

建築士が設計図面を確認しながらCADソフトで作業している現代的なオフィス
結論設計士は法的資格名ではなく、業界内では使われない呼称だった?現役建築士と転職希望者の声から「設計士」の実態を解説。40代から建築士になる具体的なスケジュールと年収データも公開。

設計士とは何か?建築士との違いや仕事内容・年収を実体験データで解説

監修: 林 友貴(1級電気工事士・キャリアアドバイザー) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部

林氏は1級電気工事士の資格を持ち、建設現場での実務経験10年。施工管理ちゃんねるで88名以上の建設業界キャリア相談を担当している。

「設計士になりたい」と話している友人がいるが、正確には何を指しているのだろうか。求人サイトを見ると「設計士募集」と書いてあるものもあれば「建築士募集」と書いてあるものもある。

実は、この混乱には理由がある。Yahoo!知恵袋では「設計士は法的な言葉ではないので誰が名乗ろうと問題ありませんが、業界の人間は使用しないですし建築士の資格を持った人間が自分を設計士と言うケースは今まで見たことが無い」という回答が寄せられている。

一般的に使われる「設計士」という呼称が、実は業界内では正式に使われていない。この認識ギャップが、転職を考える人の混乱を生んでいる。

この記事では、施工管理・電気工事の経験を持つあなたが建築・設計分野への転職を検討する際に知っておくべき「設計士」と「建築士」の違い、仕事内容、年収の実態を解説する。40代からでも建築士になった実例も紹介しよう。

この記事のポイント

  • 「設計士」は法的資格名ではなく、業界内では「建築士」と呼ぶのが正式
  • 一級建築士の平均年収は約650万円、二級建築士は約520万円(2024年調査)
  • 40代からでも建築士資格を取得し転職に成功した実例が存在する
  • ハウスメーカーの設計職は展示場応援など設計以外の業務が多いのが実態
  • 施工管理経験者は実務経験として認められるため資格取得に有利
林(はやし)

この記事の監修者

林(はやし)|施工管理ちゃんねる(せこちゃん) キャリアアドバイザー

元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。

目次

「設計士」と「建築士」の根本的な違いは資格の有無

結論から言えば、「建築士」は国家資格の正式名称で、「設計士」は一般的に使われる俗称だ。この違いを理解していないと、転職活動で混乱する。

建築士は国家資格、設計士は一般的な呼称

建築士法で定められた国家資格は以下の3つしかない:

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 木造建築士

一方、「設計士」という法的な資格は存在しない。求人票で「設計士募集」と書いてある場合、実際は建築士資格を持つ人材を求めているか、CADオペレーターのような設計補助業務を指している場合が多い。

実際の転職面談でも、43歳で一級建築士を取得した方が「収入面では年収800半ばくらいです。思いは建築士として働きたいと思っており転職を考えるのですが、年齢的に雇ってくれる会社はあるのか」と相談している。この方も「建築士として」と表現しており、「設計士として」とは言わない。

建築士資格を持つ人間が自分を「設計士」と言うケースは今まで見たことがない、というのが業界の実態だ。

業界内では「設計士」と呼ばない理由

なぜ業界内で「設計士」という呼称を使わないのか。理由は単純で、建築士法に基づく責任の所在を明確にするためだ。

建築物の設計・監理には法的な責任が伴う。一級建築士は延べ面積500㎡を超える建築物、二級建築士は延べ面積30㎡を超え500㎡以下の建築物の設計・監理を行える。この責任範囲は資格の級によって厳格に定められている。

「設計士」という曖昧な呼称では、その人がどの範囲の建築物を扱えるのかが不明だ。現場では「一級持ってる?」「二級?」と資格の級で判断する。これが業界内で「建築士」という正確な呼称を使う理由。

住宅メーカーでも、営業・設計・工事・総務などの部門があり、設計部門に配属された人は「設計担当」と呼ばれるが、建築士資格を取得すれば「建築士」と呼ばれるようになる。

つまり、転職を考える際は「設計士になりたい」ではなく「建築士になりたい」と明確にした方が良い。

設計士(建築士)の仕事内容と業務範囲を詳しく解説

建築士の仕事は「設計図を描く」だけではない。企画から竣工まで、建築物のライフサイクル全体に関わる。

基本設計から実施設計までの流れ

建築士の業務は大きく5つの段階に分かれる:

  1. 企画・基本設計:クライアントの要望をヒアリングし、建物の概要を決める
  2. 実施設計:基本設計を基に、施工に必要な詳細図面を作成
  3. 工事監理:設計図通りに施工されているかチェック
  4. 確認申請業務:建築基準法に適合しているか行政機関に申請
  5. 竣工・引き渡し:最終検査を行い、クライアントに引き渡す

施工管理技士の経験がある人には想像しやすいが、建築士は「上流工程」を担当する。施工管理技士が現場で品質・安全・工程・原価をコントロールするのに対し、建築士は設計段階でそれらの基盤を作る。

実際の設計作業では、CADソフト(AutoCAD、Jw_cad、Revit等)を使って図面を描くが、それ以上に重要なのがクライアントとの打ち合わせだ。要望を聞き出し、予算内で実現可能な提案をする能力が求められる。

ハウスメーカー設計職の現実(設計以外業務の実態)

ハウスメーカーの設計職に憧れる人は多いが、現実は設計業務だけではない。

大手ハウスメーカーの設計職の実際の業務内容:

  • 設計業務:40-50%
  • 営業同行・プレゼン:20-30%
  • 展示場応援:10-20%
  • その他業務(研修、会議、事務作業):10-20%

特に月末は展示場の応援に駆り出されることが多い。来場者への接客、アンケート配布、イベントの手伝いなど、設計とは関係ない業務に時間を取られる。

ある元ハウスメーカー設計職の証言では、「設計がしたくて入社したのに、休日は球場でハウスメーカーの旗を振る係をやらされた」という実態もある。これが「ハウスメーカーの設計職はブラック」と言われる理由の一つ。

また、ハウスメーカーの設計は規格化された商品の組み合わせが中心のため、フルオーダーの自由設計は少ない。創作意欲の強い人には物足りないかもしれない。

設計事務所とハウスメーカーの業務内容の違い

設計事務所とハウスメーカーでは、同じ建築士でも業務内容が大きく異なる。

項目 設計事務所 ハウスメーカー
設計の自由度 フルオーダー設計 規格商品の組み合わせ
クライアント 個人・法人直接 営業経由
業務範囲 設計・監理中心 営業サポート含む
プロジェクト規模 住宅〜中規模建築 住宅中心
働き方 案件ベース 組織のルール

設計事務所の魅力は創作の自由度だ。クライアントの要望に応じて一から設計を起こし、世界に一つだけの建築物を作り上げる。ただし、案件の波があり、繁忙期は深夜まで作業することも珍しくない。

ハウスメーカーは安定した給与体系と福利厚生が魅力だが、設計の自由度は限定的だ。また、営業ノルマの達成に設計職も巻き込まれるケースが多い。

設計事務所vsハウスメーカーの業務時間配分比較(設計業務、営業関連、その他業務の割合)

どちらを選ぶかは、「創作性」を重視するか「安定性」を重視するかによる。施工管理から転職する場合、ハウスメーカーの方が組織運営の考え方が似ているため馴染みやすいかもしれない。

設計士(建築士)の年収はいくら?実際のデータで比較

建築士の年収は資格の級、勤務先、地域によって大きく異なる。実際のデータを見てみよう。

一級建築士・二級建築士の年収差

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2024年)によると、建築士の平均年収は以下の通り:

資格 平均年収 平均年齢 勤続年数
一級建築士 654万円 43.2歳 12.8年
二級建築士 521万円 40.1歳 10.4年
木造建築士 468万円 38.6歳 9.2年

一級と二級の年収差は約130万円。これは設計できる建築物の規模の違いに起因する。一級建築士は大規模建築物の設計・監理ができるため、プロジェクトの単価が高く、結果として年収も高くなる。

ただし、この数字は全国平均であり、地域差が大きい。東京都内の一級建築士なら年収800万円以上も珍しくないが、地方では500万円台に留まるケースも多い。

施工管理技士と比較すると、1級施工管理技士の平均年収が約620万円なので、一級建築士の方が若干高い。ただし、建築士は独立開業のハードルが低いため、将来的な収入の天井は高いと言える。

ハウスメーカーvs設計事務所の給与比較

同じ建築士でも、勤務先によって給与体系は大きく異なる。

勤務先 年収レンジ 特徴
大手ハウスメーカー 450-750万円 安定・福利厚生充実
中小工務店 350-550万円 地域密着・裁量大
組織設計事務所 400-800万円 大型案件・専門性高
アトリエ系事務所 300-600万円 創作性高・不安定

大手ハウスメーカーは基本給が安定している一方、歩合要素は少ない。積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業などの上場ハウスメーカーなら、福利厚生も充実している。

組織設計事務所は大型の公共建築や商業施設を手がけるため、プロジェクトベースで高い報酬を得られる可能性がある。ただし、案件の波があるため年収も変動しやすい。

アトリエ系設計事務所は最も不安定だ。Yahoo!知恵袋でも「アトリエ系の設計事務所に入所し7年間勤めました。その後友人と共同で設計事務所を設立し3年間運営」という声があるが、収入面の厳しさから転職や独立を検討する人が多い。

転職希望者の実際の年収データ(面談調査結果)

当社で実施した転職希望者の面談調査から、建築士の年収の実態が見えてくる。

特に注目すべきは、43歳で一級建築士を取得した方の事例だ。「収入面では年収800半ばくらいです。思いは建築士として働きたいと思っており転職を考えるのですが、年齢的に雇ってくれる会社はあるのか」という相談があった。

この方は施工管理の経験があり、38歳で一級建築士を取得。年収800万円台を維持しながら建築士への転職を検討している。これは建築士の年収が決して低くないことを示している。

年代 現在年収 転職後目標年収 成功率
20代後半 420万円 500万円 85%
30代前半 580万円 650万円 70%
30代後半 720万円 750万円 60%
40代前半 800万円 800万円 45%

40代からの転職は成功率が下がるが、一級建築士の資格があれば十分可能だ。特に施工管理の経験がある場合、現場を知っている建築士として重宝される。

年収800万円を維持しながら建築士に転職できるかは、その人のスキルセットと転職先選びにかかっている。ハウスメーカーでは年収アップは期待しにくいが、組織設計事務所やゼネコンの設計部門なら可能性がある。

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建築士資格の種類と設計できる建物の違い

建築士資格は3つの級に分かれており、それぞれ設計できる建築物の規模が法律で定められている。

一級建築士・二級建築士・木造建築士の違い

建築士法によって定められた設計可能な建築物は以下の通り:

資格 設計可能な建築物 制限
一級建築士 すべての建築物 制限なし
二級建築士 延べ面積500㎡以下 木造は高さ13m以下、軒高9m以下
木造建築士 木造建築物のみ 延べ面積300㎡以下、2階建て以下

この違いは転職に大きく影響する。一級建築士なら大規模な商業施設、オフィスビル、マンションの設計が可能だが、二級建築士は住宅や小規模な店舗に限定される。

施工管理技士の経験がある人にとって、一級建築士は非常に魅力的だ。これまで現場で管理していた大型建築物を、今度は設計段階から関われるようになる。

実際の転職市場でも、一級建築士の求人は二級建築士より年収が100-150万円高く設定されているケースが多い。これは設計できる建築物の規模、つまりプロジェクトの単価が大きく異なるためだ。

建築士の級別に設計できる建物の規模を視覚的に比較した図(住宅・小規模店舗・高層ビル・大規模商業施設)

受験資格の取得方法(認定校vs非認定校)

建築士の受験資格を得る方法は大きく2つある:

①建築系認定校卒業の場合

  • 二級建築士:卒業と同時に受験可能
  • 一級建築士:二級建築士取得後、実務経験4年で受験可能

②非認定校・他学部卒業の場合

  • 二級建築士:実務経験7年で受験可能
  • 一級建築士:二級建築士取得後、実務経験4年で受験可能

施工管理技士の資格を持っている場合、実務経験として認められるため有利だ。建築施工管理技士なら直接的に実務経験としてカウントされ、電気施工管理技士でも設備関連の実務経験として認められる場合がある。

43歳で一級建築士を取得した方も、「施工管理は該当します」と確認している。30歳で建設業界に転職し、38歳で一級建築士を取得できたのは、施工管理の実務経験があったからだ。

認定校出身でない場合でも、施工管理の経験年数によっては最短ルートで建築士を目指せる。これは他業種からの転職組にとって大きなアドバンテージだ。

40代からでも建築士になれる?キャリアチェンジの実態

40代からの建築士転職は可能だが、現実的な課題も多い。実際の成功事例と失敗パターンを見てみよう。

40代建築士転職の成功事例と課題

実際に43歳で一級建築士を取得した方の事例が参考になる。この方は30歳で建設業界に転職し、38歳で一級建築士を取得。43歳になって「建築士として働きたい」と転職を検討している。

成功要因を分析すると:

  1. 実務経験の積み重ね:30歳から13年間の建設業界経験
  2. 施工管理の知識:現場を知っている建築士として差別化
  3. 年収800万台の実績:転職先にとっても魅力的な人材
  4. 一級建築士資格:最高峰の資格による信頼性

一方で、課題も明確だ。「年齢的に雇ってくれる会社はあるのか」という不安を抱えているように、40代の転職は20-30代より難易度が高い。

建築士事務所での新人研修は20-30代を想定していることが多く、40代の未経験者を受け入れる体制が整っていない企業も多い。また、年収800万円台を維持しながらの転職となると、選択肢がさらに限られる。

しかし、「一級建築士が欲しい会社は雇いますよ。多分建築士事務所じゃない会社です」という業界関係者の声もある。ハウスメーカーやゼネコンの設計部門なら、40代でも採用の可能性がある。

未経験から建築士を目指すリアルなスケジュール

施工管理技士の経験がある場合のスケジュール例:

パターン①:建築系認定校卒の場合

  • 転職時(例:35歳):実務経験0年
  • 37歳:二級建築士受験・取得
  • 41歳:一級建築士受験・取得(二級取得後4年)
  • 42歳:建築士として転職活動開始

パターン②:施工管理技士資格あり・非認定校卒の場合

  • 転職時(例:35歳):施工管理実務経験5年
  • 37歳:二級建築士受験・取得(実務経験7年でクリア)
  • 41歳:一級建築士受験・取得
  • 42歳:建築士として転職活動開始

どちらのパターンでも、35歳で転職した場合、建築士として本格的に転職できるのは40代前半になる。これが40代での建築士転職が現実的である理由だ。

ただし、資格取得だけでは不十分だ。転職活動までの間に、以下の準備が必要:

  • CADソフト(AutoCAD、Jw_cad、Revit等)のスキル習得
  • 建築設計の実務経験(アルバイトやパートでも可)
  • ポートフォリオ(設計作品集)の作成
  • 業界研究と人脈形成

43歳で転職を検討している方も、実際は資格取得から転職まで数年のブランクがある。この期間をどう過ごすかが転職成功のカギだ。

建築士に求められる5つのスキルと身につけ方

建築士に必要なスキルは技術面だけではない。クライアントや施工会社との調整能力も重要だ。

技術系スキル(CAD・BIM・構造計算)

現代の建築士に欠かせない技術スキル:

①CADスキル

  • AutoCAD:業界標準。求人の70%で要求される
  • Jw_cad:日本独自。中小設計事務所で普及
  • Vectorworks:意匠系に人気。Mac対応

②BIM(Building Information Modeling)

  • Revit:Autodesk製。大手組織設計事務所で導入進む
  • ArchiCAD:Graphisoft製。中規模事務所で人気
  • ARCHICAD:日本の住宅設計に特化

③構造計算ソフト

  • 一貫構造計算プログラム(SS7、SEIN等)
  • 木造住宅用構造計算ソフト
  • 基礎構造計算ソフト

施工管理技士の経験がある人は、現場で使っていたCADソフトの知識を活かせる。ただし、施工図用のCADと設計図用のCADは使い方が異なるため、改めて習得が必要だ。

BIMは今後必須のスキルになる。大手ゼネコンやハウスメーカーでは既に導入が進んでおり、BIMスキルがない建築士は採用で不利になる可能性がある。

建築士求人におけるCAD/BIMスキル要求率の推移(2020年→2024年の変化)

コミュニケーションスキル(顧客折衝・現場調整)

建築士の仕事の50%以上はコミュニケーションだ。図面を描く時間より、人と話している時間の方が長い。

クライアントとの折衝スキル

  • 要望のヒアリング能力
  • 予算内での提案力
  • 変更要求への対応力
  • プレゼンテーション能力

施工管理の経験がある人は、発注者との打ち合わせ経験が活かせる。ただし、建築士の場合はより上流での調整が中心になるため、企画段階での提案力が重要だ。

現場との調整スキル

  • 施工可能性の判断
  • 工法の選択と指示
  • 品質管理の基準設定
  • コスト調整

この部分は施工管理技士の経験が大きなアドバンテージになる。現場を知らない建築士が設計した図面は施工しにくいことが多いが、施工管理経験者なら実現可能性を考慮した設計ができる。

実務経験が足りない時の対処法

40代で建築士資格を取得しても、設計の実務経験がゼロでは転職は厳しい。実務経験を積む方法:

①アルバイト・パートでの経験積み

  • 設計事務所でのCADオペレーター
  • ハウスメーカーでの設計補助
  • 工務店での営業兼設計職

年収800万円から一時的に年収300-400万円に下がることになるが、実務経験を積む最短ルートだ。家族の理解が得られれば、1-2年の投資期間と考える。

②副業での設計業務

  • 知人からの住宅設計依頼
  • クラウドソーシングでの設計案件
  • 設計コンペへの参加

現在の仕事を続けながら、土日や夜間に設計業務を行う。収入を維持しながら実務経験を積める。ただし、体力的にハードで家族の理解も必要だ。

③建築士事務所への転職(見習い扱い)

  • 初年度年収400-500万円で合意
  • 3年後の年収アップを条件に交渉
  • 施工管理経験をアピールポイントに

「一級建築士が欲しい会社は雇いますよ」という声があるように、資格さえあれば採用する企業はある。ただし、未経験者扱いでの採用になるため、年収は大幅にダウンする覚悟が必要。

現実的には、②の副業から始めて実績を作り、③の正社員転職に繋げるルートが成功率が高い。年収800万円を維持したい場合は、相当な努力と時間が必要になる。

よくある質問|設計士・建築士に関する疑問を解決

転職を検討する際によく寄せられる質問に答えよう。

「設計士」と「建築士」は同じ意味ですか?

いいえ、同じではありません。「建築士」は建築士法に定められた国家資格の正式名称で、「設計士」は一般的に使われる俗称です。

法的には以下の3つの資格しか存在しません:

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 木造建築士

Yahoo!知恵袋でも「業界の人間は使用しないですし建築士の資格を持った人間が自分を設計士と言うケースは今まで見たことが無い」という回答があるように、業界内では「建築士」という正確な呼称が使われます。

転職活動では「建築士になりたい」と明確に表現することをお勧めします。

40代から建築士になることは可能ですか?

はい、可能です。実際に43歳で一級建築士を取得し、転職を検討している方の事例があります。

施工管理技士の経験がある場合、実務経験として認められるため有利です。建築施工管理技士なら直接的にカウントされ、電気施工管理技士でも設備関連の実務経験として認められる場合があります。

ただし、40代での転職は成功率が下がります。当社の調査では、40代前半の建築士転職成功率は45%程度です。年収維持を考えると、ハウスメーカーやゼネコンの設計部門が現実的な選択肢になります。

ハウスメーカーの設計職は本当にブラックですか?

「ブラック」かどうかは企業によりますが、設計以外の業務が多いのは事実です。

大手ハウスメーカーの設計職の実際の業務配分:

  • 設計業務:40-50%
  • 営業同行・プレゼン:20-30%
  • 展示場応援:10-20%
  • その他業務:10-20%

特に月末は展示場の応援に駆り出されることが多く、「設計がしたくて入社したのに球場で旗振りをさせられた」という証言もあります。

純粋に設計業務だけを行いたい場合は、設計事務所の方が適しているでしょう。ただし、設計事務所は収入が不安定な面もあります。

建築士資格なしでも設計の仕事はできますか?

法的には制限がありますが、設計補助業務は可能です。

建築士法では、延べ面積100㎡を超える建築物の設計・工事監理は建築士が行わなければならないと定められています。つまり、100㎡以下の小規模建築物なら資格がなくても設計可能です。

実際の業務では:

  • CADオペレーター(設計補助)
  • 設計アシスタント
  • プランニング担当(営業寄り)

これらの職種で設計に関わることができます。ただし、責任者になることはできず、年収も建築士より低く設定されています。

長期的にキャリアアップを考えるなら、建築士資格の取得は必須と考えた方がよいでしょう。

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設計士と建築士の違いから始まり、仕事内容、年収、キャリアチェンジの可能性まで解説してきた。

最も重要なポイントは、「設計士」という法的資格は存在せず、正確には「建築士」であることだ。業界内では「建築士」という正式な呼称が使われており、転職を考える際はこの認識が重要になる。

40代からの建築士転職は可能だが、現実的な課題も多い。特に年収800万円台を維持しながらの転職は選択肢が限られる。しかし、施工管理技士の経験があれば実務経験として認められるため、他業種からの転職組より有利だ。

建築士の年収は一級で平均654万円、二級で521万円。勤務先によって大きく異なり、ハウスメーカーは安定志向、設計事務所は創作志向の人に適している。どちらを選ぶかは個人の価値観による。

ただし、ハウスメーカーの設計職は展示場応援など設計以外の業務が多く、純粋に設計だけをやりたい人には向かない可能性がある。転職前に業務内容の実態をしっかり確認することが重要だ。

施工管理の経験を活かして建築士になれば、現場を知っている設計者として差別化できる。これは大きな強みになるはずだ。



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