構造設計という少し設計の中でも特殊な分野なので、どのような内容の仕事なのか、なかなか想像もづらいかと思います。そこで、ここでは構造設計をしたい方のために仕事内容から収入の面など、転職者が知りたい情報をまとめて紹介します。
構造設計を未経験からのでも必要な理由とは?
未経験からの転職は可能なのか?とても気になるところですよね。実は意外にも若くてやる気があれば、ポテンシャル採用で構造設計の仕事に就くことも可能です。その理由をいくつかのポイントに絞って紹介したいと思います。
理由1:慢性的な人手不足
建築業界は業界全体で人手不足感がありますが、構造設計に至っては特に顕著に人手不足です。理由は、やはりいつの時代も意匠設計が人気で、なかなか構造設計をやりたいという人が少ないためです。
設計職には大まかに構造設計の他に意匠設計、設備設計と3つに分けることができます。構造設計とは建物の構造計算をし、作る建物の構造的な安全を見つつ、コストも抑え適正な柱の大きさや梁の大きさを検討し、図面に落としていく仕事です。
対して意匠設計は建物のデザイン性やプランニングや動線などを考えながら建物の計画を考えて図面に落とす仕事です。いわば建物の大枠を決める仕事ですので建築を志す理由はこの仕事をやりたいという方が大部分のように感じます。
構造設計もとても面白みのある仕事なのですが、なかなかその面白さも伝わっていないのがこの人手不足の一因だと思っています。
理由2:高齢化による後継者不足
一級建築士自体が後継者不足という状況ですが、さらに構造設計分野では後継者不足です。
構造一級建築士という一級建築士を取った後に実務経験を積み、講習を受けて取れる資格があるのですが、なかなかこの資格を持っている人も少なく、構造分野のスペシャリストと呼ばれる人材は年々高齢化しています。
理由3:長期的な人材の確保
以上の2点から、長期的な人材の確保を目指しています。そのため、若くてやる気のある人材をじっくり育てて一人前の構造設計士としてほしいという企業の思惑から未経験からでも採用のチャンスは大いにあります。
構造設計未経験の採用ニーズは果たしてあるのか?
構造設計で未経験からの転職も可能という事ですが、実際にどのような採用ニーズがあるのか紹介します。
ニーズ1:将来の幹部候補の採用
構造設計をやれる人というのはそもそも建築業界の中でも少ないというお話をしました。そこで、1から育てて長い目で見て幹部候補にしようという考え方で未経験の方を採用する事も多くあります。
ニーズ2:新しい仕事のやり方を素直に覚えてくれる
未経験であることから中途半端に知識があるわけでも無いため、その会社独自のやり方なども素直に覚えてくれるというメリットもあります。そのような部分を求めている企業も多くあります。
構造設計未経験者が不安になるポイントは?
ニーズはあると言っても経験したことのない職種に飛び込むことは不安もつきものです。不安に思う点をまとめてみました。
不安1:女性でも大丈夫なのか?
たしかに構造設計とは、しっかり理系の職業であるため、男性が多いのは事実です。ですが、男性が多い職場では、女性が貴重なため大変大切に扱ってくれる職場が多いです。
私自身も男性が多い部署にいますが、さっぱりした性格の人が多く、あまり嫌な思いをした事はありません。
不安2:資格がなくて会社で活躍できるのか?
一級建築士や構造一級建築士と言った、業務で使う資格はそもそも受験に実務経験が必要なため、最初はみんな資格が無い状態からスタートします。
よって、最初のうちは資格の有無はそんなに心配しなくても大丈夫ですが、将来的には一級建築士、その上位資格の構造一級建築士を取得しましょう。資格があれば年収も一気に増え、対外的にも一級建築士や構造一級建築士を取得していればプロフェッショナルということを説明なしに資格だけで証明できます。
不安3:長時間労働でブラックではないのか?
企業にもよりますが、今は残業規制はしっかりしている会社が多いです。特に大きな企業は8時や9時になったら完全消灯するなど、良い人が入ってきてほしいという願いからか、就労環境は力を入れて改善に取り組んでいる企業が多いように感じています。
私が務めている会社の構造設計チームは8時までに必ず退社しないといけないのと、月の合計の残業時間が30時間を超えてはいけないため、極力皆さん早く帰るように努めています。
構造設計未経験者がとるべき資格とは?
構造設計の分野ではどのような資格があれば良いのか解説していきたいと思います。まずは目指す資格と最終的に取っておきたい資格を解説します。
資格1:二級建築士・一級建築士
まずは二級建築士を目指しましょう。業務内容によっては一級建築士の範囲の仕事内容かもしれませんが、二級建築士を取得した後に一級建築士を目指す方が勉強の要領が分かっている分、取得しやすいです。
私自身もこのようなステップで一級建築士を取得しました。また、一級建築士を取得すると紹介やスカウトで提案される求人の質が格段に上がりますので最終的には一級建築士を取得することをオススメします。
資格2:構造一級建築士
一級建築士を取得した後は構造設計者として1級建築士を取得後、構造設計の実務経験を5年積み、講習を受け、合格した方のみ与えられる構造一級建築士という資格を目指しましょう。
この資格は構造設計に携わっている人しか取得できないことと、一級建築士の上位資格であるため、持っているとかなり重宝される資格です。構造のスペシャリストが持っている資格ですので出来れば取得したい資格です。
資格3:一級施工管理技士
一級建築士取得後、取得する資格としてオススメなのが一級施工管理技士です。なぜかというと、この資格は一級建築士を取得していれば学科が免除で実地試験のみで取れてしまうからです。また、施工の内容が分かるという証明にもなりますので一級建築士を取得した勢いで取ってしまうのも良いと思います。
未経験構造設計の待遇面は?
未経験からの転職だと待遇の面など気になりますよね。実際に未経験からの転職を果たした友人を例に挙げて紹介します。
初任給
採用される企業にもよりますが、大体は未経験からの転職だと、大卒の初任給+αくらいになると思います。具体的には月の月給は20万円〜25万円くらいが相場だと思います。
資格の有無
最初は無資格だと思いますので資格手当等はつかないかと思いますが、どこの会社にも資格手当というものがあります。具体的には二級建築士5千円〜2万円、一級建築士2万円〜5万円、構造一級建築士5万円〜10万円と資格を取れば一気にお給料が増えます。
未経験から採用された構造設計のリアルな声
実際に未経験から構造設計への転職を果たした人のリアルな声を聞いてみましょう。このケースは筆者の友人や知り合いからの聞き取りですのでかなり信憑性が高い話になります。
ケース1:未経験
名前:杉尾さん
年齢:24歳
前職:中堅ゼネコンの施工管理職
前職の残業時間:月40〜60時間
前職の年収:350万円
転職後
職種:大手不動産会社の構造設計職
転職後の残業時間:月30時間まで
転職後の年収:500万円
もともと中堅ゼネコンで現場の管理をする仕事でしたが、なかなか拘束時間も長く、構造設計の仕事にも興味があり、未経験の職種に変わるなら若いうちということは感じておりました。
転職活動自体は現場の経験が少しありましたのでスムーズに行きましたがなかなかこれといった決め手がなくてなかなか転職に踏み切れずにいました。そこでせこかんラボという求人支援サービスを利用する事になり、実際に働く仲間や就業環境など、さまざまな話を聞けたところで転職の条件を下げることなく満足のいく会社に就職することができました。
今では残業時間も減り、年収もあげることも出来たこと、何よりやりたかった構造設計の仕事に就くことができ、忙しいながらも毎日充実しています。また、構造のスペシャリストはとても需要があるため、これからのキャリアを考えても本当に早いうちに転職できて良かったなと感じています。
ケース2:未経験
名前:笹川さん
年齢:25歳
前職:大手ハウスビルダーの意匠設計職
前職の残業時間:月80〜90時間
前職の年収:450万円
転職後
職種:大手ハウスメーカーの構造設計職
転職後の残業時間:30〜45時間
転職後の年収:550万円
もともと設計の経験はありますが、同じような建物をCADオペレーターのように組み立てるだけの意匠設計に面白みを感じなくなってきていて、世の中的に需要もある構造設計の仕事をしてみたいと思い、職種転換するなら若いうち!と思い転職活動を始めました。
設計の経験自体あるため、転職活動はすんなりと終わりましたが、構造設計と意匠設計では建物に対して考える視点がまるで違い入社当時はとても苦労しました。
ですが、第二新卒という枠で入社した関係もあり、周りの方が親切丁寧に教えてくれ、少しづつ業務に慣れていきました。転職し、設計の実務に2年以上携わったのと、残業時間も減ったため、一級建築士の資格にも挑戦したいと思っています。
未経験者が応募時に注意すること
未経験が故に応募時に注意することがいくつかありますのでポイントを絞って気をつける点を紹介します。
面接
未経験であればポテンシャル採用なのでとにかくやる気や意気込みを語りましょう。また、資格の取得も考えている事等も伝えられればなお良しです。
また、面接では経験の有無をごまかすのではなく、やったことがない事は素直にやったことはありません、わからない事は分かりませんと言いましょう。付け焼き刃の知識で誤魔化そうとするとすぐにバレてしまったり、入社した後の自分の首を締めるだけなので面接では素直に受け答えすることが大切です。
履歴書
未経験であれば構造設計の経験はかけなくとも、今まで携わってきた仕事の事は書けると思います。今までの仕事に対してどのような情熱を持って取り組んできたか、自分の考え方がアピールできる内容であるといいですね。
また、一級建築士や二級建築士など、まだ完全に取得できていなくても、学科が合格していれば二級建築士学科合格などのように資格欄に記載しても構いません。資格を取る意思があるという事をアピールすることができるので、学科だけでも合格していれば履歴書に書きましょう。
未経験でも構造設計の仕事を見つけれる求人サイト!
未経験からの転職活動とは思った以上に苦戦することがあります。そこで、未経験での転職活動でオススメな求人サイトを紹介いたします。
1位. せこかんラボ
未経験からの転職には特にこのサイトをオススメします。このサイトは建築分野の求人に特化したサイトでこの業界のことや建築分野の企業を熟知しています。また、専任の転職アドバイザーがついて履歴書や職務経歴書の添削や面接対策など、転職支援のサービスもありますので建築分野の未経験からの転職には特にオススメな求人サイトです。
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大手転職サイトとしてとても有名なサイトです。業界最大手であるため求人数はとても多いです。ですが幅広く求人があるため、専門性はあまり高くない印象を受けました。建築分野に特化した求人サイトと併用して使ってみることをオススメします。
3位.建築設計転職ナビ
ここも建築分野に特化した求人サイトです。求人数は建築分野だけで1万件程で豊富な求人が魅力です。ですが、どちらかというと経験者向きですので、未経験の方は、他のサイトと併用して使うのがおすすめです。
終わりに
構造設計の仕事は世の中的にもとても需要がある仕事で経験を積むと重宝される人材にもなれます。一級建築士を取得し、構造一級建築士まで取得すれば構造設計士として将来的に独立する事も可能です。
独立しても、構造のスペシャリストは貴重なため、仕事にも困ることが少ないです。将来性もあり、やればやるだけスキルや経験も積んでいける魅力のある仕事ですので気になった方は一度、求人サイトで転職エージェントに相談してみてはいかがでしょうか?
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