1級2級施工管理の離職率は?

建設業では例年3年以内で約3割の人が離職をしていると言われています。この離職にはどのような背景があるのでしょうか。また、離職率の高い会社と低い会社では、それぞれ特徴があります。

この記事では施工管理(工事現場で安全やスケジュール・工事費用の管理を行う仕事)に焦点を当てた情報をお届けします。現在施工管理の仕事を長く続けたいと思っている方や、今後の転職で施工管理での仕事にチャレンジしようと考えている方にとって、自分が働きやすい企業選びのポイントを知れますので必見です。

目次

建設業界の離職率は?

2018年に厚生労働省が発表した、新卒就職後3年以内の離職率によると、建設業界において、2015年3月新卒者の離職率は、大卒が28.9%、高卒が46.7%でした。

この年の調査対象の主要産業平均離職率では、大卒が31.8%、高卒が29.7%という結果が出ており、高卒の離職率は全産業平均の水準を大幅に上回っています。

1級施工管理の離職率は?

1級施工管理の離職率は例年約5%と比較的低い数字となっております。1級施工管理の合格率は低く、取得までの年数も長い為、取得後に離職する方はそれほど多くありせん。そのため、離職率は高くなりにくい傾向にあります。

2級施工管理の離職率は?

2級施工管理の離職率は約10%となっております。1級施工管理と比べると取得しやすい分、離職率も少し高いです。

建設業界の離職率概況

  • 厚生労働省の統計によると、建設業の新規学卒就職者の3年以内離職率は約4割近いというデータも報告されています。
    • ただし、施工管理だけに限らず、現場作業員や設計など建設業全体を含む数字である点に注意。
  • 他の業界と比較してもやや高めの傾向があり、各社で人材確保の取り組みが進められています。

施工管理職特有の状況

  • 大手ゼネコン中堅建設会社などでは20代の若手が早期離職するケースが増加。
  • 近年は働き方改革が進む一方、大きな現場ほど工期や人員体制の問題で長時間労働になりやすく、結果的に離職へつながる事例もあるようです。

施工管理の離職理由は?

施工管理の離職は就職後3年が肝とされています。ここでは施工管理の現場で多く挙げられる声をもとに3つの理由をご紹介していきます。施工管理で皆が「辞めたい」と思う理由を知ることで、自分の思い描いている仕事とのギャップを埋めることができます。

2-1. 長時間労働・休日不足

  • 工期が厳しいプロジェクトでは、残業や休日出勤が増えがち。
  • 夜間や早朝の緊急対応もあり、ワークライフバランスが取りにくい。

2-2. 人手不足と責任の重さ

  • 資格保有者(1級・2級施工管理技士)が不足しており、一人にのしかかる業務量が多い。
  • 施工管理技術者として安全管理・工程管理を任されるプレッシャーが大きい。

2-3. 現場と事務作業の両立が大変

  • 現場巡回や打ち合わせ、資材発注などの事務業務が重なることで拘束時間が長くなる。
  • 書類作成、写真管理、報告書対応などIT化が進んでいるとはいえ、まだ効率化しきれていない場合が多い。

2-4. 人間関係・コミュニケーションの難しさ

  • 職人さんや協力会社、上司・クライアントとの板挟みになることも多い。
  • ストレスが蓄積しやすく、精神的負担から退職を選ぶ若手も。

2-5. 給与・待遇への不満

  • 残業や休日出勤の割に給与が上がらないと感じるケース。
  • 現場ごとの手当や業務負担と見合っていないとモチベーションが下がりやすい。

休職者から多かった質問

ここでは、よく見られる施工管理の離職率に関する質問を抜粋し、まとめました。

Q1. 「施工管理はブラックなの?辞めたいけど続ける価値はある?」

  • A: ブラックかどうかは会社や現場によって異なりますが、長時間労働の現場があるのは事実。一方で**資格(1級・2級施工管理技士)**があれば転職時に有利になりやすく、続けるメリットは大きいという意見も多いです。

Q2. 「なぜ若手がすぐ辞めてしまうのか?」

  • A: 入社後すぐに忙しい現場に配属され、まともに研修やフォローを受けられず離職、というパターンが目立ちます。
  • 会社としてOJT体制の改善メンター制度を導入しているところも増えています。

Q3. 「離職率が高い会社を見分ける方法は?」

  • A: 面接時に「1年以内の離職率」や「平均残業時間」を具体的に聞いてみるとよいでしょう。実際に働く先輩社員に話を伺うのも有効です

離職率を下げるために企業ができる取り組み

4-1. 労働環境の改善(働き方改革)

  • 週休2日制の導入残業時間の削減などを本気で取り組む。
  • ICT活用(BIM/CIM、クラウド型施工管理ツール)で事務作業を効率化し、現場負担を軽減。

4-2. 人材育成とフォロー体制

  • 研修制度の充実:新人から中堅向けまで体系的な教育プログラムを用意。
  • メンター制度:経験豊富な先輩が1対1でサポートし、早期離職を防ぐ。

4-3. 公平な評価・待遇

  • 資格取得支援や手当を明確化し、モチベーションUPにつなげる。
  • キャリアパスを示し、長期的な成長ビジョンを描けるようにする。

4-4. コミュニケーションの取りやすい職場づくり

  • 定期的な面談チームビルディングを実施して、問題を早期に発見・解決する。
  • 上下関係が厳しくなりがちな現場ほど、風通しの良さが離職率低下に直結しやすい。

転職を考える施工管理技術者へ:チェックポイント

5-1. 転職先企業の労働環境・管理体制を確認

  • 事前に求人情報や面接で、平均残業時間休日取得率離職率などを質問。
  • 現場見学が可能なら実際の雰囲気を感じられるとベスト。

5-2. 資格を最大限活かす

  • 1級・2級施工管理技士を取得すると、大手や優良企業からのオファーが増えることも。
  • 転職エージェントを活用し、資格保有者向け求人を効率よく探すのがおすすめ。

5-3. 自分のキャリアビジョンを明確に

  • 「建築なのか土木なのか」「大規模案件を狙うのか」「現場から離れる働き方を希望するか」など、将来像を考えておく。
  • 逆に現場監督が合わないと思うなら、社内異動や関連職種(設計・積算・施工管理ソフトの導入サポート等)への移行も検討。

施工管理の転職率が高い会社ランキングベスト3

主要ゼネコンの中でも転職率の高い会社はどこなのでしょうか。2013年度から2015年度の新卒社員の離職率と近年の採用状況をもとにランキングにしました。
引用:日刊建設工業新聞 https://www.decn.co.jp/?p=88838

1位:ナカノフドー建設

14年度新卒社員の約40%が離職しています。前後の年を含めても、離職率で見ると一番高い結果となっています。
但し、ナカノフドー建設の新卒社員数は例年、他のゼネコンと比べて少ない傾向にある為、離職率高さが目立っている点もあります。

2位:鉄建建設

13年度新卒社員の離職率は約40%とやや高めになっています。
しかし近年では、新卒社員の採用人数が増えている為、それに伴い離職率も下がっております。

3位:飛島建設

13年度~15年度の新卒社員離職率がどの年も約30%と、平均して常に高い数字です。ですがその分基本給はやや高めな印象です。

施工管理がやめる会社とやめない会社の違いは?

今、建設現場では人手が足りず多くの求人が出ています。就職した後に後悔しない為にも、施工管理への転職をお考えの方は、それぞれの特徴を知っておきましょう。

やめる会社の特徴は?

「大量・随時人材の募集をしている会社」は注意しましょう。常に求人を出している会社や、大量に採用をしている会社は、未経験者でも就職しやすいように感じますよね。しかしその背景には、人手不足や理不尽な労働をさせる会社も多いので気を付けましょう。

やめない会社の特徴は?

離職率の低い会社は「福利厚生費」や「残業時間の管理」が徹底されており、働きやすい環境にあると思われます。又、社員数の多い会社では「社員の年齢層に偏りがない」というのも大きなポイントです。どの年代も平均的に人がいるという事は上司と部下の関係が良好だと考えられます。

せこかんラボでは、施工管理に関わる情報を多く配信しております。オススメの求人サイトをご紹介している記事もありますので、是非せこかんラボの別記事もチェックしてみてください。

まとめ

施工管理の離職率が高い理由としては、長時間労働や人手不足、コミュニケーションの難しさなどが挙げられます。一方、業界全体で働き方改革が進み、優良企業が増え始めているのも事実。以下の点を押さえておくと、離職を防ぎ、より良い環境で働き続けやすくなります。

  • 会社側の取り組み:労働環境の改善、研修・メンタリング制度、評価制度の明確化
  • 技術者側の対策:資格を取得し、転職市場での価値を高める/自分のキャリアビジョンを明確に
  • 転職を検討する際:求人票や面接時に離職率や残業時間など具体的に確認し、後悔のない選択を

施工管理は責任も重い一方で、インフラや建物づくりの最前線で活躍できるやりがいがあります。決して「ブラックな仕事」だけではなく、自分に合った職場や環境を見つければキャリアアップにも繋がりますので、ぜひこの記事を参考に検討してみてください。

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