意外と多い!?【建築施工管理技士の転職先】公務員(技術職)への転職とは?

建設業界は東日本大震災からの復興事業、アベノミクスによる公共事業の増加、東京五輪(2020年)などの特需もあり、好景気を迎えています。またそれに加え、慢性的な人材不足の問題もあることから、技術者の採用ニーズも高まりをみせており、建築施工管理技士の転職市場も活況を呈してきています

今回は、建築施工管理技士、建設技術者の転職先として、意外と多い技術系公務員(地方公務員)について解説していきたいと思います。
この記事を読まれている方の中には、技術系公務員への転職を一度は考えてみたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まずは別記事でも紹介していますが、建築施工管理技士の転職先として多い業種をみていきましょう。

目次

建築施工管理技士が選ぶ転職先とは?

<主な転職先、業種>

・ 大手ゼネコン
・ 中堅ゼネコン
・ 地場ゼネコン
・ ディベロッパー
・ 不動産管理会社
・ プラント(エネルギー、社会インフラ)
・ ハウスメーカー
・ メーカー
◉ 技術系公務員(地方公務員)

やはり建設業界の転職先が並んでいますね。その理由は「これまで培ってきた実務経験が非常に優遇される業界」だからです。建築現場は、豊富な現場経験がものをいう世界です。

自身のこれまでの現場経験やスキルを、新たな職場で活かすことができます。
今回解説していく公務員についても、技術職採用であり、公務員として社会的立場は変わりますが、携わる仕事内容は建設、土木業関連となってきます。

また同じ建設業ですが、大枠で「建設サイド」か「施主・発注サイド」に大別できます。

⬛︎ 建設会社:大手ゼネコン、中堅ゼネコン、地場ゼネコン

⬜︎ 施主・発注サイド:ディベロッパー、不動産管理会社、プラント(エネルギー、社会インフラ)、メーカー、サブリース、ハウスメーカー、技術系公務員(地方公務員)

建設サイドだけでなく、施主・発注者サイドも経験していみたいと思われている方も多いといえます。それでは、具体的な仕事内容についてみていきましょう。

技術系公務員の仕事内容とは?

技術職(技術系地方公務員)で採用数の多い区分は、「土木」「建築」「機械」「電気」の4区分のようです。

具体的な仕事内容は「建築」区分であれば、以下のような内容が挙げられます(仕事内容は各県、市町村、自治体やプロジェクトによって様々です)。

・計画、プロジェクト見積もり
・民間施工会社への発注
・設計図面、契約内容の確認
・現場工事の管理業務(進捗管理や周辺住民の方への配慮、安全基準の順守など)
・仕上がりの確認
・住民の方からの問い合わせ対応、現場調査
・条例づくり などなど

民間の建設業者(ゼネコン等)と大きく異なることは、発注者サイドでの仕事ができる点だといえます。また、まちづくりといった大きなプロジェクトを計画したり、国民や市民の生活に密着した仕事ができるといったやりがいがあるのではないでしょうか。

ここからは技術系公務員に転職するメリット・デメリットについてみていきましょう。

技術系公務員のメリットとは!?

まずはメリットについてみていきましょう。

メリット①:大きなスケールで仕事ができる

プロジェクトによっては、各県や市全体を活性化させるようなプロジェクトもあります。
総事業費◯百億円、経済効果は◯百億円といった、民間企業では携われないようなスケールの大きい仕事ができることは、技術系公務員の醍醐味になります。

メリット②:国民、市民の生活に密着した仕事ができる

こちらもイメージしやすいでしょう。公務員を志す方々は、技術職に限らず、みんな市民のために働きたいといった希望がある方がほとんどだと思います。
人々のためになっていることが実感しやすい職業であり、そこに大きな夢をもたれている方にとっては、やりがいのある仕事といえるでしょう。

メリット③:転勤が少ない、安定性がある

転勤・単身赴任となる確率が低い、また労働環境や安定性が確保されているといった点は、建設技術者の方々が、技術系公務員に転職する理由として、最大の理由かもしれません。今回調査していく中で、この理由により転職を決められている方がたくさんいらっしゃいました。
民間企業で働く大きなデメリットとして激務(=土日休みがない、残業が多い)、プライベート時間を確保できないといったことがあります。実際に、自身が家庭をもったことがきっかけで技術系公務員への転職をされたという方がたくさんいました。
独身であれば、まだ自身の成長機会として捉え、モチベーションをもって働くことが可能ですが、家族をもつとなると、プライベート時間を確保できないことや転勤・単身赴任となる可能性があることは大きな悩みの種といえますよね。

技術系公務員のデメリットとは!?

つづいて、デメリットについてもみていきましょう。

デメリット①:収入は下がる!?

公務員は安定職業であることは間違いありませんが、転職によって収入水準が下がってしまう方は多いようです。
景気の影響等を受けやすい建設業界ですので、将来的な安定性については公務員に劣りますが、好景気という現況においては、収入水準が下がってしまうケースの方が多いようです。
将来の安定性か、高収入か、これについてはその人の価値観次第ですね。

デメリット②:ルーティンワークが多い!?

担当部署によっても異なりますが、ルーティンワークが主体となる部署もあります。
大手ゼネコン等でバリバリ仕事をやってきた方、また今後もバリバリ活躍していきたいといった方にとっては、少々物足りなさを感じることがあるそうです。
これについても仕事に対する人それぞれの価値観ですが、そういった向上心が高い方にとっては、民間企業にてキャリアを築く、それに見合った給与を得るといった方が向いてるかもしれませんね。

デメリット③:精神的ストレスが多い!?

意外と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、公務員は民間企業勤務よりも、精神的なストレスを感じる機会が多いかもしれません。うつ病になったなんて話もありました。
無意味な慣習やルール(悪しき、古き文化とでもいうのでしょうか…)、人間関係のしがらみ、また内部資料の作成等、内向な仕事が多いことや、個人としての仕事の成果を残せないこと(あくまで公務)といったことも、精神的ストレスになったり、やややりがいに欠けるといった感情になってしまうようです。

技術系公務員に転職する際に必要なスキルは?

ここまで読んできて、「技術系公務員への転職も悪くないな」と感じた方もいるのではないでしょうか。実際に転職する場合、どのようなスキルや条件が求められるのでしょうか。
※各自治体により募集要項が異なりますので、自身が応募する際は必ず確認するようにしてください。

公務員試験の対策や勉強は不要!?

ここから解説していきますが、技術系公務員への転職においては、一般的な公務員試験とは少し色合いが異なっています。
国や自治体により募集要項は当然変わりますが、「公務員の特別な対策や勉強は不要」、「未経験者、第二新卒者、職種転換希望者 歓迎」といった内容の自治体もあるようです。
「公務員には興味あるけど、試験は難しそう…」「予備校に通わなくては?」といったイメージで立ち止まってしまっている方にとっては朗報ですね。
(あくまで一例ですので、必ず希望求人の内容は確認するようにしましょう。)

年齢制限がない!?

これまた、各求人により異なりますが、年齢制限について寛容な自治体もあるようです。
一般的に公務員採用試験となると、年齢制限等厳しいイメージがあります。しかしながら、建築系、土木系といった技術職採用においては、民間企業に限らず、各自治体でも人材不足の状態にある為、年齢制限についてはあまり厳しくない傾向にあるようです。
実際に40代で転職している方もいる等、これまでの業務経験が重宝され採用に至るケースは多いといえます。

有資格者は強い!?

転職の際に、資格の有無による差は大きいのでしょうか?
答えは「そこまで差はない」といったところでしょうか。勿論、資格を有していることは、自身のスキルをアピールできるといった意味では当然プラスに働きます。
また有資格者については、公務員採用試験の一次試験が免除する等の自治体もあります(技術士、建築設備士、一級建築士、1級建築施工管理技士、1・2級土木施工管理技士、1・2級管工事施工管理技士、1・2級電気工事施工管理技士は一次試験免除 等)。

しかしながら、技術系公務員の仕事内容は、あくまで発注サイドであり、建設現場で施工管理の仕事を行うわけではないので、直接、建築施工管理技士等の資格を使って仕事をするといったケースはほとんどありません。
先ほど触れましたが、「未経験者、第二新卒者、職種転換希望者 歓迎」の募集内容等から考えても、勿論資格があることによる損はありませんが、資格がないことで転職活動が不利になるといったこともあまりないのではないでしょうか。

あくまで採用側も、これまでの業務経験やスキルからの見識が欲しかったり、向上心溢れる人材を採用後育成していく方針であると思います。

まとめ:公務員を目指すかはあなた次第!

いかがだったでしょうか。

◉技術系公務員(地方公務員)も建築施工管理技士の転職先のひとつ
◉施主・発注サイドでの仕事内容
◉技術系公務員のメリット
①大きなスケールで仕事ができる
②国民、市民の生活に密着した仕事ができる
③転勤が少ない、安定性がある
◉技術系公務員のデメリット
①収入は下がる可能性がある
②ルーティンワークが主体
③精神的ストレスが大きいかも!?
◉公務員採用試験:資格よりも見識や向上心

建築施工管理技士での経験で培った、コミュニケーション能力、交渉力、調整力、予算管理能力は、技術系公務員の仕事でも十分活かせる能力であるといえます。これらについてはかなりの強みになりますので、武器としてアピールするといいでしょう。

ここまで技術系公務員のメリットやデメリットについてみてきましたが、最終的に公務員を目指すかどうかは「あなた次第」です。言うなれば、「あなたの仕事に対する価値観」や「あなたの人生の軸」次第です。安定性や家族とのプライベートを重視するのか、やりがいや給与水準を重視するのか、そこに一般的な正解はありません。
公務員への転職に限らず、自身の価値観や軸について改めて考えることが、より良い労働環境や処遇を手に入れることにつながります。みなさん、頑張っていきましょう。

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