「CPD」とはなんの略?建築施工管理技士にとってCPDとは?

みなさまは「CPD」というワードを耳にしたことがあるでしょうか。建設業界で働いていれば、ご存知であり、実際にこの制度をご活用している方も多いかもしれません。

今回は「いまいちこの制度について理解できていない」方が理解できるように、制度を活用されている方にとっても、この制度の狙いについても再確認していただければと思い解説していきます。

目次

CPDとは?

[box class=”yellow_box” title=”CPDとは”]
建設業における「CPD」とはContinuing Professional Developmentの略であり、「技術者の継続教育」を意味しています。[/box]

現在、CPDについては「建設系CPD協議会」という団体が当制度の運営の役割を果たしています。建設系CPD協議会のHPでは、「CPD」について、以下のように説明しています。

生涯にわたり技術者としての義務を果たし、責任を全うしていくためには、常に最新の知識や技術を修得し、自己の能力の維持・向上を図ることが不可欠です。 大学等における基礎教育もさることながら、実社会に出てからの実務を通じた修習や資格取得後の学習が技術者の成長にとって必要であることは言うまでもありません。

国際化の進展や国内の雇用情勢の変化等により、技術者の継続教育(CPD:Continuing Professional Development)の必要性が広く認識されるようになってきました。多様化した社会において新しい課題に的確に答えていくためには、専門とする技術領域はもとより、幅広い領域で奥行きの深い技術を習得していくことが必要です。 このためには、多くの継続教育プログラムの中から、自分にニーズに合ったプログラムを適切に選択できることが望まれます。

この度、建設系CPD協議会によって、建設系技術者に幅広く、横断的に継続教育プログラムを提供することといたしましたので、ご活用下さい。
(『建設系CPD協議会HP』より)

CPDは建築施工管理技士(2018年より、新たに電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士も)を対象にした継続教育制度であり、講習やセミナーの受講により、受講者に「CPD単位」が付与される仕組みです。

簡単にいえば、技術者がプログラム(講習会、セミナー)の受講をすることで継続的能力開発を図る。また「単位」として見える化することで、自己研鑽実績を客観的に評価して活用できるようにするといった制度です。

建設系CPD協議会とは?

主に「建設系CPD協議会」によりCPDは取りまとめられています。とくに覚える必要はありませんが、加盟団体を列挙しておきます。

<建設系CPD協議会 加盟団体>

・ 公益社団法人 空気調和・衛生工学会
・ 一般財団法人 建設業振興基金
・ 一般社団法人 建設コンサルタンツ協会
・ 一般社団法人 交通工学研究会
・ 公益財団法人 地盤工学会
・ 一般社団法人 森林・自然環境技術者教育会、
・ 公益社団法人 全国上下水道コンサルタント協会
・ 一般社団法人 全国測量設計業協会連合会
・ 一般社団法人 全国土木施工管理技士会連合会
・ 一般社団法人 全日本建設技術協会
・ 土質・地質技術者生涯学習協議会
(事務局:一般社団法人 全国地質調査業協会連合会)
・ 公益社団法人 土木学会
・ 一般社団法人 日本環境アセスメント協会
・ 公益社団法人 日本技術士会
・ 公益社団法人 日本建築士会連合会
・ 公益社団法人 日本コンクリート工学会
・ 公益社団法人 日本造園学会
・ 公益社団法人 日本都市計画学会
・ 公益社団法人 農業農村工学会

CPD活用による企業のメリットは?

[box class=”blue_box” title=”メリット”]
1.(会社)落札率をあげる
2.(個人)採用されやすい[/box]

繰り返しになりますが、「CPD」は運営団体が認定する研修会や講習会の受講実績が「単位」として付与され、技術者の技術研鑽の取り組みや実績を対外的に証明することができる仕組みです。建築施工管理技士(新たに電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士)であれば誰でも参加可能です。
CPDの活用は、受講者本人だけでなく企業にとってもメリットがあるものです。見ていきましょう。

CPD単位が落札率を上げる!?

CPDの「単位」は、公共工事の入札(総合評価落札方式)の際に大きなメリットをもたらします。
企業が落札をする際には、会社の持ち点というものが重要になってきます。
企業の技術力をはかる指標として、有資格者の確保数だけでなく、CPD単位も会社の持ち点となります。つまり、自分自身が有資格者(建築施工管理技士)であることに加え、CPD単位の取得状況によって会社の持ち点が変わってくるのです。

会社の持ち点を上げることが落札の確率を高めることにつながります。建設会社にとっては、入札工事を落札できるかどうかが、会社の利益に大きな差をもたらします。
ですので、CPD単位を多く取得している施工管理技士はより企業にとって重宝される人材となるのです。

建築施工管理技士にとってCPDとは?

CPD(技術者の継続教育)は、技術者の技術力向上を目的にはじまりました。
CPD受講を単なる「単位稼ぎ」として、なんとなく受講していたり、面倒くさいなと感じながら受講している方はいらっしゃいませんか(きっとゼロではないはずです…笑)。

そういった方にも、この取り組みが本来目指しているもの、その狙いについても改めて考えてみていただければと思います。

自身のスキルの向上、自己研鑽の場

自身のスキル向上や自己研鑽の場として、講習を有用に活用することが重要といえます。講習は、最新の工法、安全管理、品質管理について学習する機会となり得ます。

とくに企業内研修等の制度があまり整っていない中小や零細企業の社員にとってはとても有意義な機会となる可能性があります。社員の育成に力は入れたいのだけど、実態として教えれる人間がいない…等の企業や社員は有効に活用していくことをおすすめします。

自分のレベルを認識する機会

日々の業務で自社以外の仕事振りを見る機会はほとんどありません。自社のやり方には精通していても、他社のやり方は一切わからない、なんてことは誰でもあるあるなのではないでしょうか。

CPD受講により、自社以外の状況であったり、技術について知ることができます。また他社の技術者と関わる機会にもなります。他社のレベルを知ることで、自身のレベルを認識することができます。

こういった気づきや、「自分はいままでなにをやっていたんだ…」といった痛感をすることは、結果としてモチベーションにつながっていきます。学ぶ機会も重要ですが、こうした「気付く」機会があるかないかで、今後の努力量に差が出てくるのではないでしょうか。

自身の将来をイメージするきっかけに

最近は、技術者の高齢化や人手不足が加速しており、先輩に仕事を教わったりといった機会に恵まれない若手技術者も増えています。また業務スキルだけでなく、自分はどう成長していけばいいか、何を目指していけばいいかわからないといったお悩みも耳にします。
先ほどの例でもありましたが、中小や零細企業の社員ほどこういった傾向が多いのではないでしょうか。

目標がないことは、モチベーションの低下にもつながってきます。
CPDのような仕組みを活用することで、将来的な目標を提示してあげるといった考えが、この制度をつくった狙いでもあるようです。

将来的なキャリアをイメージする機会となることで、将来自身が建築施工管理技士としてどうなっていきたいのかといった自己実現に役立たせることができるのではないでしょうか。

最近の動向

最近の動向とすると、CPD制度の対象を拡大した事例が挙げられます。
建設系CPD協議会の加盟団体である一般財団法人建設業振興基金で、CPD制度の対象を拡大することを決めています。

具体的な内容としては、従来、建築工事の施工管理に建築施工管理技士を対象に限っていましたが、新たに「電気工事施工管理技士」と「管工事施工管理技士」を対象に加え、2018年4月10日より「建築・設備施工管理CPD制度」としてリスタートさせています。

これまで「電気工事施工管理技士」及び「管工事施工管理技士」を対象資格者としたCPD制度はありませんでした。今後、建築・電気工事・管工事の施工管理に携わる技術者が、建設業に対するさまざまな社会的要請に応えることができるように、対象が拡大されました。技術者の知識と技術の向上を図るとともに、施工管理に携わる技術者の地位向上を図ることを目的として、本CPD制度を設立がされたとのことです。

こういった、施工管理技士の地位向上や労働環境等の改善に対する取り組みは、今後一層でてくるのではないかと思います。建設業界および技術者の社会的地位向上を願うばかりです。

CPDSとの違いは?

似たワードとして「CPDS」といったものがあります。みなさんも耳にしたことはあるのではないでしょうか。

「CPD」と「CPDS」の違いは、簡単にいえば、運営団体が違うというところです。

CPDは建設系CPD協議会により運営されているもの、CPDSは一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会(以下、全国技士会)により運営されているものです。
(なお、全国技士会は建設系CPD協議会に加盟している団体であり、そのため、他の加盟団体の加入者であっても当財団のセミナーの受講証明書の発行をもって、加入団体のユニット登録申請が可能。)

CPDとCPDSの意味合いはほぼ同じようなもので、全国技士会が独自に「S(system)」を付け加えたとものと認識していただければと思います。
全国技士会は、平成12年度から国内初の『継続学習』システムを構築、運用を開始し、名称に制度(system)を付けて「継続学習制度(CPDS:Continuing Professional Development System)」としました。これは、土木施工管理技士の技術力や倫理観を高めるための学習・教育システムで、工学部門では国内で初めての制度だったそうです。

まとめ

いかがだったでしょうか。

自身が建築施工管理技士であることに加え、CPD単位を取得していることは、企業から重宝される人材となるための、大きな武器になります。

CPDについてはもともと知っているという方も、当制度の狙いについて改めて理解し、自己研鑽の有効な機会に変えていただければと思います。

◉「CPD」とは:「技術者の継続教育」のこと
◉「CPD」:建設系CPD協議会が運営
◉「CPDS」:全国技士会(建設系CPD協議会の加盟団体)が運営
◉CPD単位は企業の持ち点に=技術力の指標
◉CPDは自己研鑽の場、自身のレベルを認識する機会、将来をイメージするきっかけ
◉2018年4月より、対象に建築施工管理技士だけでなく、「電気工事施工管理技士」と「管工事施工管理技士」を追加

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