「建築施工管理」と「土木施工管理」の違いとは!?

近年、建設業界は賑わいをみせてきていますね。

一般的に「建設業」というワードでまとめられる「建築施工管理」と「土木施工管理」。
今回は「具体的な違いはなんなの?」、「建築施工管理技士と土木施工管理技士はどんな違いがあるの?」といった疑問に対する内容となっております。

目次

施工管理技士とは

施工管理を行うには「施工管理技士」という国家資格を取得する必要があります。
まずは、施工管理技士の種類をみていきましょう。

施工管理技士の種類

* 土木施工管理技士
* 建築施工管理技士
* 管工事施工管理技士
* 電気工事施工管理技士
* 造園工管理技士
* 建設機械施工技士

それぞれ1級と2級の区別があります。
2級保有者は主任技術者にはなれるが、監理技術者になれない等、級により活かせる幅が変わってきます。

この記事を読まれている方の中には、建築施工管理技士or土木施工管理技士、どちらの道を目指そうか考えている方もいらっしゃると思います。

建設業界で働かれている方なら、建築と土木の違いをしっかりと理解されているかもしれませんが、まずは建築と土木の違いからみていきましょう。

建築と土木の違いって!?

まずは、建築と土木の違いをみていきましょう。
みなさんは、建築と土木の違いについて、どれだけ理解できているでしょうか。

「地面の下が土木工事、地面より上が建築工事」などと
といった漠然なイメージになっているのではないでしょうか。

具体的な定義等を確認していきましょう。

建築とは

建築とは、建築基準法によると「建築」とは以下のように定義されています。

「建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転すること」

またここでいう「建築物」とは以下のように定められています。

土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

わかりやすく言えば、「建築物」とは屋根と柱または壁があり内部に空間をもつ構造物といったところでしょうか。 以下のような建築物が該当します。

建築:ビル・マンション・戸建て住宅、スポーツスタジアム等

土木とは

続いて、土木についてみていきましょう。

土木は事業(道路・橋・ダム・宅地造成等)によって、それぞれ全く用途や設計基準が異なってくることから、建築とは違い、「建築基準法」のような統一した法律がありません。

土木に明確な定義がないのですが、一般的には

「建築事業以外」の事業、「建築以外」の工作物、構造物

となります。

以下のような事業、構造物が該当します。

土木:道路・高架道路・橋・歩道橋・ダム・トンネル・宅地造成等

土木は人々が生活するのに必要なインフラの工事になります。人々が生きるために必要な基盤をつくることが土木工事といえるでしょう。

建築と土木の違い

ここまでそれぞれの定義や具体的な構造物についてみてきました。

建築と土木の違いについて、簡単にまとめますと、

人間が生きるために、自然(大地)を相手に、人間が使いやすいように整備するのが土木で、土木が構築した人的な環境に人が安全、快適に暮らせるような空間をつくるのが建築ということになってきます。

建築と土木の違いについて、イメージしていただけたでしょうか。

建築施工管理と土木施工管理の基礎知識

1-1. 建築施工管理とは

  • 主な対象:ビル、マンション、住宅、商業施設などの建築物
  • 仕事内容:施工計画の立案、工程・品質・安全・コスト管理、協力会社や職人との調整など
  • 特徴
    • 内装・外装の仕上げやデザイン要素など「建築美」を考慮する場合も多い。
    • プロジェクトの進行管理が細分化されているため、多くの関係者とのコミュニケーションが重要。

1-2. 土木施工管理とは

  • 主な対象:道路、橋、トンネル、ダム、河川工事などのインフラ構造物
  • 仕事内容:土木工事の工程・品質・安全・原価管理、地盤調査、測量、重機オペレーターとの連携など
  • 特徴
    • 大規模な重機を扱う工事が多く、自然環境や地盤の影響を大きく受ける。
    • 国交省や自治体からの公共事業が多く、長期的なプロジェクトが主流。

業務内容の違い:どんな現場を担当する?

2-1. 建築現場(建築施工管理)

  • 建築物の新築・改修・リフォームが主体。
  • 商業施設などの場合、内装・設備工事も監理する。
  • 例:オフィスビル建築の際、基礎工事から外装、内装、設備配管、空調まで一括管理。

2-2. 土木現場(土木施工管理)

  • 地盤改良、道路・橋梁建設、造成工事などがメイン。
  • 現場が山間部や都市高速道路など、気候や地形の影響を大きく受ける。
  • 例:高速道路のトンネル工事では、トンネル掘削技術や作業員の安全確保に重点。

必要資格と取得難易度

3-1. 1級・2級施工管理技士(建築or土木)

  • 施工管理技士は建設業法で定められた国家資格。
  • 1級は大規模工事、2級は中小規模工事の主任技術者・監理技術者として活躍できる。
  • 試験区分
    • 建築施工管理技士 → 建築分野
    • 土木施工管理技士 → 土木分野

3-2. 試験内容・難易度の違い

  • 学科試験:施工管理共通の知識(法令、安全管理、環境対策) + 分野ごとの専門知識
  • 実地試験(または実務経験論文):現場経験を問う記述式問題が中心
  • Yahoo!知恵袋でも「1級は実務経験も問われる分ハードルが高い」という声が多い。
  • 「建築」と「土木」では出題科目が違うため、担当現場や経験に合わせて受験するのが一般的。

3-3. 他に役立つ資格

  • 建築士(1級・2級):図面や設計の知識が深まる。建築施工管理者としての信頼度UP。
  • 技術士(建設部門・総合技術監理部門):土木系上級資格として大規模プロジェクトで評価される。

年収・待遇の違い

4-1. 建築施工管理の年収目安

  • 大手ゼネコン:500万~800万円程度(経験年数や資格による)
  • 中小工務店:350万~600万円程度
  • ハウスメーカー:歩合や営業的要素が加わるケースもあり、年収幅が大きい。

4-2. 土木施工管理の年収目安

  • 大手ゼネコン(土木部門):500万~800万円以上
  • 地方の土木会社:400万~600万円程度
  • 公共事業中心:安定性が高く、公共インフラ案件が多い時期は残業・休日出勤が増え年収アップの可能性も。

4-3. 収入アップのポイント

  • 1級施工管理技士などの上位資格を取得する。
  • 大規模案件が多い会社を選ぶ(ゼネコン・デベロッパーなど)。
  • 地方勤務手当出張手当などを活用できる職場だとさらに年収UPに期待。

「建築と土木、どちらが年収が高い?」という質問が多いですが、結論としては会社規模・案件種類・個人のスキル次第で大きく変わるとの回答が多々見られます。

将来性と求められるスキル

5-1. 建築施工管理の将来性

  • 都市開発・再開発プロジェクトが今後も続く見込み。
  • 老朽化した建物のリフォーム・リノベ需要も増えており、若手にもチャンスが豊富。
  • 求められるスキル
    • 新しい建築資材や工法(プレキャスト工法、BIMなど)の知識
    • 発注者や設計士との折衝能力

5-2. 土木施工管理の将来性

  • インフラ老朽化対策が国や自治体で急務となっている。
  • 防災・減災を意識した堤防や道路補修の需要が高まり、施工管理者の数が不足している現状。
  • 求められるスキル
    • 地質・地盤、土質力学など専門的な知識
    • 大規模公共事業での計画・調整能力

どちらも人手不足の業界であり、資格保有者で現場経験がある人材は高い需要があります。

質問Q&A

Q1. 「建築と土木、やりがいを感じるのはどっち?」

  • A: 感じ方は人それぞれですが、「完成後に目に見える大きな構造物に関わりたい」なら土木、「建物の仕上がりやデザインを追求したい」なら建築にやりがいを感じる方が多い印象。

Q2. 「未経験からでも大丈夫? 資格がないと厳しい?」

  • A: 資格がなくても現場でアシスタント業務からスタートすることは可能。実務経験を積みながら2級施工管理技士を目指すケースが一般的。未経験でも学ぶ意欲体力コミュニケーション力があればチャンスはある。

Q3. 「女性でも活躍できる?」

  • A: 女性の進出も増えている。建設業界全体で「女性現場監督」や「女性技術者」の受け入れを促進しており、大手ゼネコンを中心に働きやすい環境が整いつつある。

Q4. 「将来、海外で働くなら建築と土木どっちが有利?」

  • A: インフラ整備が進む新興国など、土木系プロジェクトが多い傾向。建築でも海外事業を手掛けるゼネコンやデベロッパーは多いため、英語力と専門知識があれば活躍可能。

まとめ

建築施工管理土木施工管理は、対象物・仕事内容・必要スキルに違いがあるものの、どちらも将来性の高い分野です。それぞれにやりがい魅力があり、自分が興味を持てる分野を選ぶのが成功への近道といえます。

  • 建築:ビルや住宅など、身近な建築物に携わりやすい。デザインや施工仕上げに興味がある人向き。
  • 土木:社会インフラの整備や公共事業が中心。大規模プロジェクトが多く、地域や国に貢献する実感が得られる。

両者とも施工管理技士などの資格を取得すれば、年収アップやキャリアアップがよりスムーズになります。資格取得には実務経験が必要なケースが多いため、早めに現場での経験を積みながら勉強を進めるのがおすすめです。

ぜひ本記事を参考に、あなたに合った施工管理の道を見つけてください

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