対外との調整にお悩みの建築施工管理技士に!対外コミュニケーションを高める5つのポイントとは?


施工管理技士の仕事は、建設現場の監督を行うだけでなく、デスクワークから外部の人との調整に至るまで多岐にわたります。

対外の人というと

・民間の顧客
・発注者(公共・民間)
・近隣住民
・設計者  等々

が思い浮かびますね。

また現場で一緒に関わる協力会社や、社内の他部署(営業職等)も、見方によっては「外の人」と捉えることができるかもしれません。

今回は、こういった「外の人」とうまくやりとりする能力=「対外コミュニケーション能力」と題して紹介していきたいと思います。

対外コミュニケーション能力に苦手意識がある方にはもちろん、また苦手意識がない方にとっても、振り返りの意味合いでも参考にしていただければと思います。

目次

なぜ対外コミュニケーション能力が必要なのか

対外コミュニケーション能力は社会人であれば、どんな職種の方でも必要な能力です。
なぜ施工管理技士にとって必要な能力といえるのでしょうか。

施工管理技士は「調整役」

対外コミュニケーション能力は営業職に必要な能力と思われがちですが、施工管理技士にとっては必要不可欠な能力といえます。
施工管理技士のお仕事は、「調整」のお仕事といっていいほど、様々なことを調整しなければいけないポジションです。

建設の仕事には非常にたくさんの方が関わっています。

現場の指揮をとり、予算や工期通り工事を完了させることは勿論のこと、計画通りに工事を進めていくためには、発注者の要望を聞いたり、ニーズを捉えることから、時には近隣住民への説明(騒音等)、トラブルの対処に至るまで、まさに「調整ごとだらけ」の仕事なのです。

信頼度を高める

コミュニケーション能力・調整力は、仕事を円滑に進めていく上では非常に重要な能力です。

調整力の高い施工管理技士は、それだけ仕事を円滑に進めることが可能ということであり、自然と頼られる存在になっているということでもあります。

調整力は、周りからの信頼度を高めるスキルでもあり、一度信頼度を高めることができればさらに仕事がしやすくなるといった相乗効果も見込めます。

施工管理技士としての市場価値も上がる

信頼された実績が多ければ多いほど、任される仕事の幅を広げたり、ポジションを高めたりと、自身の経験値を大きくしていけます。

対外コミュニケーション能力が高い=「施工管理技士としての市場価値が高い」と言い換えることもできます。

自身の市場価値を高めれば、社内での昇給や転職にも有利になることは間違いといえるでしょう。

対外コミュニケーション能力を高める5つのポイント

ここまで対外コミュニケーション能力が施工管理技士にとって必要な能力であることはご理解していただけたかと思います。

ここからは実際に対外コミュニケーションを高めるポイントやコツについて解説していきたいと思います。

①情報共有の重要性を認識する、「見える化」を徹底する

対外、対内関わらず、コミュニケーション能力を高めるためには、大前提として、情報を共有することの重要性を改めて認識しておくことが必要です。

自分は伝えたつもりでも、相手には伝わっていなかったという経験はみなさんもあると思います。

事実だけでなく、行動の目的や意味まで相手に伝えることが大切といえます。

「何のためにこの仕事をしているのか?」まで理解してもらえれば、相手も自主的に考えて行動を起こしてくれるようになってきます。
また自分が発言するだけでなく、相手に発言の機会を設けるなどして、さらに相手の当事者意識を高めていくこともポイントです。

単なる事実の共有=知ってもらうだけでなく、理解してもらう、さらに気持ち(向いている方向)をそろえるレベルまで高めることができれば、仕事の効率も圧倒的に向上します。

情報共有の重要性を改めて認識して、コミュニケーションに臨みましょう。

また、伝えたつもりが伝わっていない、捉え方の違いにより、相手が理解できていないという状況を防止する為に、情報の「見える化」を意識することがポイントです。
「見える化」の実践例としては、工事現場にて、大きなパネルに工程表を掲示する、関係者の顔写真を張り出す等を実践している方もいます。
また、企業や現場によっては、近隣住民に対し、現場のニューズレター的なものを定期的に発行することで、理解を促すような取り組みを行っている企業もあるようです。

「見える化」により、相手の理解度を高めることができます。
情報や認識のズレは後々大きなズレ、工期や品質に影響をおよぼすことを理解し、小さなことからでもいいので「見える化」を実践していきましょう。

②発注・情報共有の早期化

これも対外に限ったことではありませんが、できるだけ早い段階で、発注であったり、対外の担当者と情報を共有することが大切です。
対外の担当者とのやりとりを早くすれば早くするほど、お互いに事前準備をしっかりすることができます。

レスポンスの早さや正確さは工事の品質に直結します。

社内での調整であれば、なんとか帳尻を合わす、自社でケツを拭く等の応急処置ができますが、対外との調整はそうはいきません。1日の遅れが、2日・3日の遅れに変わる可能性もあります。
対外との調整をやや面倒くさがって後回しにしておくと、工期の遅れや無駄なコストアップにつながる恐れもありますから、レスポンスを早くすることは常に心がけておきましょう。

③顔を付き合わせて話す機会を増やす、親密度を高める

同じプロジェクト、現場に関わっているといっても、元々は互いに違う組織の人間同士です。
相手とより濃いコミュニケーションをとっていく為には、親密度を高めていくことがポイントです。

工程会議や朝礼等々、対外の担当者と立ち会う機会はある程度は確保されています。しかしながら、どの程度の頻度で会うかは、施工管理技士の方にによって異なるのではないでしょうか。

結局のところ、対外であろうと、人と人同士です。
親密度を高める、コミュニケーションを良くするという観点で考えれば、実際に会う回数が多い方が良いことは明白です。

実際に会う回数を増やす実践例として、会議だけでなく、懇親会やレクリエーションを設けるなどして、交流の機会を増やすことに取り組んでいる方もいらっしゃいます。

また、一回あたりの所要時間よりも開催回数に重点を置いみる等、視点を変えてみるのもいいかもしれません。
懇親会であれば、一回だけでなく、定例化をすることで、交流の頻度を確保する等。これは会議等にも応用することができて、一回あたりの会議を長くするよりも、定期的に短い打ち合わせを数回行う等、対外の担当者と親密度を高める点では効果的かもしれません。

親密度を高める上で、関わる絶対的な回数を増やす、またできることなら実際に会う回数も増やすことがコミュニケーション構築には有効な手段だといえます。
親密度を高めることは、ここまでみてきた「情報の早期共有化」を実現する上で土台となります。人同士なので、当然相性が合う合わないはありますが、「ちょっと、あの人話しづらいんだよな、頼みづらいんだよな…」等々お悩みをもっている方こそ、この方法を実践してみてはいかがでしょうか。

④相手をよく知る、自分を知ってもらう

前項に続きますが、コミュニケーションや親密度を高めるには、「相手をよく知る」「自分をよく知ってもらう」ことが基本となってきます。
相互理解を高めることで、コミュニケーションは一層向上します。

まずは、相手をよく知ることについて解説していきましょう。

相手のことをよく知る上で、一番基本になるのはいわゆる「ヒアリング力」です。
ヒアリング=相手の要望・欲求を引き出すコツとして2点ご紹介します。

①相手の「不」の感情をを引き出す
「不」の付く感情というと、不満、不快、不安、不足等々が挙げられます。こういった感情には、相手の要望・欲求が含まれいます。
「今の工事の進め方について、不満を感じていることはありますか?」等の質問をすることで、相手の「不」の感情を引き出しましょう。

②What、Whyで質問する
コミュニケーションや伝える技術として、「5W2H(または5W1H)」(What、Why、When、Where、Who、How、(How much))が重要といったようなことはよく聞きますよね。
その中でも、相手の要望や欲求を引き出す上では、「What(なにを)」と「Why(なぜ)」に関する情報が重要になってきます。
例えば、「どんな(What)不満がありますか」、「なぜ(Why)そのように感じるのですか」等の質問です。

相手の要望・欲求を捉えることは、解決策や改善策を提案する上で、まず把握しておくべき情報です。
普段の会話の中から、こういった情報を引き出すことに意識を置いて実践していきましょう。

また親密度を高める上で、「自分をよく知ってもらう」ことも重要です。
自分自身が、相手の人となりを理解した方が、コミュニケーションがとりやすいのと同じように、相手もあなたの人となりを理解したいと思っています。
自分や自社を理解してもらう上で、自分や自社の技術・サービス等の情報を知ってもらうだけでなく、「なぜ」このように考えているのか等、自身の要望や欲求を知ってもらうことも重要な要素です。
相手の情報を引き出すことと同様に、日頃の会話から実践してみてください。

⑤第一印象も大切

ここまで、①〜④で、コミュニケーション能力、親密度を高める上で大切なことを紹介していきましたが、やや視点を変えて、さいごにひとつ紹介します。

みなさまも「人は見た目が9割」といった言葉を聞いたことがあると思いますが、「第一印象」という話題でよく紹介される「メラビアンの法則」というものをご存知でしょうか。
これはアメリカの心理学者であるアルバート・メラビアンが提唱した概念で、具体的にいうと
相手の印象を決定づける要因は、

・言語情報(話の内容、言葉そのものの意味):7%
・聴覚情報(声の質、早さ、大きさ、口調) :38%
・視覚情報(見た目、表情、しぐさ、視線) :55%

といった比重だという法則です。

簡単にいえば、話の内容よりも、非言語的な部分(服装や表情などの見た目、声のトーンや大きさ)の方が重要といった内容です。

この法則については、誤解するなといった意見もあります。筆者もその点については同じ意見ですが、「過度に信じるな」といった意味であり、参考になる、活かせる法則だと思っています。
みなさまの立ち居振る舞い、身だしなみ、話し方や声質、表情等は大丈夫でしょうか。
だらしのない格好はしてないでしょうか。挨拶が小さい声になってはいないでしょうか。

前項までの①〜④についてこれから意識を置いて、実践していっていただきたいと思いますが、前提として、このような第一印象についても再度自身でチェックしてみましょう。

人とのコミュニケーションにおいては相手のことを知らなければ知らないほど、話の内容よりも、視覚や聴覚情報等の感覚が優先してしまう可能性があります。だからこそ、対外の人たちとのコミュニケーションを高める上では大切なことといえるでしょう。

あなたは第一印象で損をしていませんか。相手との壁を低くする意味で、自分の表層的な情報を意識的に自らコントロールすることが大切といえるのです。
自分自身も自社の看板・イメージを背負っている立場ですので、あまり馬鹿せず、第一印象について見直してみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。

ここまでみてきたように、施工管理技士の仕事は「調整ごとだらけ」といえます。

社内だけでなく、対外に至るまで、様々な人と関わるお仕事です。

コミュニケーションに苦手意識がある方もない方も、是非参考にして、日頃の仕事の中で実践してみてください。

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