監修: 林(施工管理ちゃんねる キャリアアドバイザー/元施工管理技士) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部 / 監修者プロフィール
元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。
結論: 電験三種(第三種電気主任技術者)の将来性は高い。電気事業法の選任義務で需要がゼロになる構造的な理由がなく、Indeed掲載の関連求人は3,761件超(2025年時点)。設備管理系の平均年収は400〜600万円で、施工管理経験との掛け合わせでさらに上振れする。
この記事のポイント
- 電気事業法の「法定選任義務」が続く限り、電験三種の需要はゼロにならない構造的な理由がある
- 3種・2種・1種で年収レンジと就職先が大きく異なる。3種は400〜600万円、2種・1種は500〜1,000万円超も視野に入る
- 電験三種取得後のキャリアパスは4ルートあり、施工管理経験との掛け合わせが最も市場評価される
- 資格手当は月3万〜5万円が相場(転職会議・ライトハウス複数社の口コミより)。交渉タイミングを誤ると損をする
- AIで電気主任技術者の仕事はなくならない。面談8件のリアルな声をもとに根拠を解説する
電験三種の将来性は高い――法律が守る「なくせない資格職」3つの根拠
「電験三種を取っても将来どうなるか不安」——そう打ち明けてくれた30代の電気工事士がいた。電験の勉強に1年以上かけ、4科目すべて合格した直後の発言だから、胸がじーんとした。資格を取り切った達成感の裏に、「で、この先どうなるんだろう」という焦燥がじりじりと残っている。
結論から言う。電験三種の将来性は高い。しかも「なんとなく高い」ではなく、法律と市場構造が組み合わさって「下がりにくい需要」が作られている。その根拠を3つ、順番に示す。
電気事業法の「法定選任義務」がある限り需要はゼロにならない
電気主任技術者の需要を支える最も強い柱は、電気事業法第43条に定められた「選任義務」だ。受電電圧が高圧(6.6kV)以上の電気工作物を設置する事業者は、電気主任技術者を選任し、電気保安の監督をさせなければならない。これは任意ではなく義務であり、違反すれば罰則が科される。
つまり、高圧受電をしているビル・工場・病院・学校・商業施設がある限り、電験三種の有資格者が必要になる。日本全国に「高圧受電の施設がゼロになる日」は来ない。需要が「法律でゼロにできない構造」になっているのが、他の資格との最大の違いだ。
さらに実態として、電気主任技術者の高齢化が深刻な問題になっている。あるエネルギー保安会社の口コミ(ライトハウス)には「電気主任技術者の高齢化が進んでいる為に人材不足に陥る可能性あり。資格取得(4科目)の難易度が高く、資格取得後も実務経験(5年)が必要になり、簡単に電気主任技術者が増えない」という指摘がある。難易度の高さが新規参入を制限し、既存有資格者の希少性を高める。皮肉だが、合格率が低いことが将来価値を守っている面もある。
太陽光・蓄電池・EV充電の急増が現場の電験三種需要を押し上げている
法律による最低需要に加え、再生可能エネルギーの普及が「追加の需要」を生み出している。
太陽光発電所は発電電圧が特別高圧(66kV以上)または高圧になるケースが多く、その管理・保安監督に電気主任技術者が必要だ。法人面談で話を聞いた太陽光EPC(設計・調達・施工の一貫事業者)では、「電験三種の有資格者を専任で確保したい」という採用ニーズが明確にあった。太陽光発電所の稼働後のO&M(運転・維持管理)フェーズでも、電気保安の人材が継続的に必要になる。
蓄電池システムも同じだ。家庭用よりも大型のシステム(産業用・系統用)は高圧受電設備を伴う場合があり、電気主任技術者の関与範囲が広がっている。EV充電インフラについても、急速充電器を複数台設置する商業施設では高圧受電が前提になることが多い。
電験三種の需要を「従来型のビルや工場の保安管理」だけで考えると実態を見誤る。再エネ・蓄電・EVという3つの波が、需要の底上げをしている。
「施工管理はAIに代替される?」面談8件のリアルな不安に答える
「電験三種の仕事は将来AIに取られませんか」——この質問、当社面談でも8件出てきた。正直に言う。電気主任技術者の業務の一部は自動化が進む。異常検知センサーやリモートモニタリングは既に普及しており、「人が常駐して目視チェックする」作業の一部は機械に代わっていく。
ただ、AIが代替できない部分がある。それは「判断と責任」だ。電気主任技術者は電気保安に関する法令上の監督責任を負う。センサーが異常を検知した後、「どう対処するか」「工事を依頼するか」「緊急停電をするか」の判断は人間が行い、その責任も人間が負う。法律上の「選任」という制度がある限り、AIが責任主体になることはない。
電気予報士・なな子さん(X)も「長く続けられる理由、安定性、将来性」として電気主任技術者の魅力を語っており、AIによる代替論に対しても「責任の所在が変わらない限り、人の仕事は残る」という見方が業界内では主流だ。
むしろ、IoTやBEMS(ビルエネルギー管理システム)の普及によって、電気設備の監視データが増え、それを読み解ける有資格者の価値は上がっている。AIは補助ツールであり、電気主任技術者を不要にするものではない。
3種・2種・1種で需要と年収はどう変わるか【種別比較】
電験三種(第三種電気主任技術者)を取ったら次は2種、さらに1種——と聞くが、実際の転職市場でどう評価が変わるのか。種別ごとに「監督できる電圧範囲」が違い、それが求人数・年収・就職先の違いに直結する。
3種は高圧(6.6kV以下)の事業所で最も求人数が多い
第三種電気主任技術者は電圧50kV未満(実務上は主に6.6kV以下の高圧受電設備)の電気工作物を管理できる。ビル・マンション・工場・病院・スーパー・学校など、日本全国に数十万件以上ある高圧受電施設がすべて対象だ。
Indeed掲載の「電気主任技術者3種」関連求人は3,761件(2025年時点)。電験系の資格で最も求人数が多い。間口が広い分、未経験転職・第二新卒・異業種からの参入者でも求人にアクセスしやすい。
年収レンジは設備管理(ビルメン)系で350〜450万円スタートが多く、経験を積むと500〜600万円に届く。OpenWorkのデータでは「電気保安(第3種電気主任技術者)・愛知」の求人で年収350〜400万円、転職会議の口コミでは「資格手当が月3万円・エネルギー管理士で月2万円」という事例がある。
ビルメン系で「3種を持っているだけで月5万円上がる」という口コミ(ライトハウス)も複数確認されており、資格手当の設定が手厚い会社では年収の上乗せ効果が大きい。
2種(170kV以下)・1種(無制限)は大型施設・送電線に必要で希少性が高い
第二種電気主任技術者は電圧170kV未満の電気工作物を監督できる。変電所・大規模工場・鉄道の変電設備・大型データセンターなどが主な現場だ。第一種は電圧制限なしで、超高圧の送電線や特別高圧変電所まで対象になる。
2種・1種の合格率は3種よりさらに低く、2種の一次試験合格率は例年10〜15%程度で推移している(一般財団法人電気技術者試験センター公表データ)。取得難度が高い分、有資格者の絶対数が少なく、大手電力会社・鉄道会社・製鉄所・大規模プラントが積極的に採用している。
OpenWorkの口コミでは「第二種電気主任技術者:東証プライム・世界首位級のアルミ圧延メーカー、年収450〜850万円」という事例が確認できる。同社の別求人では「資格必須・モデル年収30歳で月給294,500円・昇給賞与含む」とあり、3種の相場から見て100万円以上の上乗せが起きている。
1種については個人事業(外部委託管理)で働く現役主任技術者の声(Yahoo!知恵袋、2019年)がある。「外部委託制度で仕事している40代の個人事業主」が、複数施設の管理を掛け持ちして収入を得ているモデルを語っており、経験と資格の組み合わせ次第で独立も現実的だとわかる。
種別ごとのモデル年収比較と転職市場での評価
| 種別 | 監督範囲 | 主な就職先 | モデル年収 | 転職市場の特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 第三種(3種) | 50kV未満(実態:6.6kV以下) | ビル管理・工場・病院・太陽光 | 400〜600万円 | 求人数最多。未経験転職でも間口が広い |
| 第二種(2種) | 170kV未満 | 変電所・鉄道・大型データセンター | 500〜900万円 | 有資格者が少なく希少。大手中心に指名買い |
| 第一種(1種) | 制限なし | 大手電力・鉄道・製鉄・外部委託独立 | 700〜1,000万円超も | 合格者数が極めて少ない。経験込みで超希少 |
出典: 施工管理ちゃんねる KBドメイン知識・面談データ(N=88件)、OpenWork・転職会議・ライトハウス各種口コミ、Indeed求人データ(2025〜2026年)
正直なところ、3種を取っただけで年収が劇的に上がるかというと、スタート時点では「そこまで変わらない」会社もある。転職会議の口コミには「第三種電気主任技術者の資格を取って無難に仕事をこなせばそれなりに給料を貰える」という淡々とした評価もある。年収を大きく動かすのは、資格だけでなく「どの会社に入るか」と「資格+どんな経験を積んでいるか」の掛け合わせだ。この点は後のセクションで詳しく扱う。
電験三種から描けるキャリアパス4ルートを解説
電験三種を取った後、どこへ向かうか。4つのルートがある。どれが「正解」かは人によって違うが、ルートを知らずに流されると「なんとなくビルメンになった」で終わる。自分のキャリアをどう設計したいかを先に決め、そこから逆算してルートを選ぶのが、面談でよく監修者・林が使う言葉を借りれば「地に足つけて進む」やり方だ。
ルート①: ビルメン→設備管理責任者(社内昇格型)
最もオーソドックスなルートだ。電験三種を持ってビルメンテナンス会社または商業ビルの設備管理部門に入り、現場経験を積みながら責任者ポジションへ昇格していく。
スタート年収は350〜400万円が多い。ただし、電験三種の資格手当が手厚い会社では入社直後から月3〜5万円の上乗せがある。転職会議の口コミに「資格手当が月3万円、エネルギー管理士で2万円、合わせると年間60万円近い上乗せ」という事例がある。資格手当の額は会社によって差が大きく、求人票に「資格手当あり」とだけ書いてある場合は面接で必ず具体的な額を確認すること。
責任者(主任技術者として選任されるポジション)になると、500〜600万円に届くケースが増える。就活会議の口コミでは関東電気保安協会の評価が事業の将来性4.0点と比較的高く評価されており、電気保安系の大手で腰を落ち着けるのは安定感という点では悪くない選択肢だ。
ただし正直に言うと、社内昇格型は年収の天井が見えやすい。昇給が年5〜6万円の等級制度(飛び級なし)の会社では、500万円から700万円に上がるのに30〜40年かかる計算になる。「安定はほしいが、年収も上げたい」という人には後述の転職型と組み合わせる戦略が現実的だ。
ルート②: 施工管理から選任電気主任技術者へ転職(資格職転換型)
電気施工管理技士(1級・2級)の経験を持ちつつ電験三種も取得した人が、施工管理から設備管理・電気保安の「選任」ポジションへ転換するルートだ。このルートが当社の面談で話題になることが多い。
なぜ転換したいかというと、施工管理は現場の工期プレッシャーや長時間労働がじりじりと積み重なり、「もう少し腰を落ち着けて仕事がしたい」という焦燥感に変わってくる人が一定数いる。電気主任技術者として「選任される側」になれば、工期に追われる生活から離れ、設備保安という専門職としてのキャリアを積み直せる。
施工管理経験者が選任ポジションに転職する場合の年収レンジは500〜650万円が多い。Indeed掲載の求人では「電気主任技術者・月給350,000円+資格手当+名義登録手当、年収450万円」という事例がある一方、「入社後想定年収623万円(43歳・扶養家族3人)」という水準の求人もある。施工管理での現場経験は「工事の発注・監督ができる」というプラスαの価値として評価され、ビルメン一本よりも年収が上ブレしやすい。
このルートを選ぶ際の注意点が一つ。施工管理の実務経験証明(経歴書)と電験三種の資格証明を両方セットで提示することが年収交渉のカギになる。後のセクションで詳しく触れる。
ルート③: 2種・1種を取って大手電力・鉄道・製鉄へ(上位資格型)
3種を取った後、2種・1種への上位資格取得を目指すルートだ。年収の天井が高く、大手電力会社・鉄道会社(JR各社・私鉄)・製鉄所・大型石油化学プラントという「安定した大企業への転職」が現実的になる。
2種の取得難度は相当高い。一次試験(4科目)+二次試験(論述)という構成で、一次の合格率は10〜15%程度。3種合格から2種合格まで、追加で2〜3年の学習期間を要するのが平均的だ。「頭を抱えた」「3回やり直した」という人が多いのが実態で、軽く考えて着手すると途中で息切れする。
ただし、2種・1種取得者の希少性は本物だ。OpenWorkには「第二種電気主任技術者・東証プライム上場のアルミ圧延メーカー・年収450〜850万円」という事例があり、同水準の大企業での採用では年収のレンジが大きく上振れする。もともと大手電力会社で働いていたOBが60代以降も高単価で外部委託を受けるケースも業界では珍しくない。
転職会議の口コミには「大卒で主任技術者の資格を持っていれば、2年目で500万、3年目で600万の年収になった」という声もある。大手かつ資格評価の高い会社に入れれば、早期に高い年収に到達できる。
ルート④: 外部委託管理会社を経て独立・フリーランス(独立型)
電気主任技術者には「外部委託」という制度がある。常駐ではなく複数の事業所を掛け持ちで管理するモデルで、個人事業主として独立している人が実際にいる。
Yahoo!知恵袋(2019年)の現役主任技術者(40代・個人事業主)の声がリアルだ。「外部委託制度で仕事をしている」とあり、選任型と外部委託型の違いについても詳しく語っている。外部委託型は「常駐が不要」なため、複数施設を管理することで収入を積み上げられる。施設あたりの委託料は施設規模で変わるが、5〜10施設の掛け持ちで年収600〜800万円以上を稼ぐベテランも存在する。
ただし、このルートは最初から独立を目指すのではなく、まず「外部委託管理会社(電気保安法人)で数年実績を積む」→「独立」というステップが現実的だ。外部委託の仕事では複数施設の電気設備を実際に管理した経験が積み上がり、それが独立後の営業力になる。
独立型は収入の上限がなく、うまくいけば1,000万円超も視野に入る。一方でリスクも正直に言う。施設の契約が切れたとき、新規施設を確保できなければ収入が一気に落ちる。大手保安法人の外部委託スタッフから独立した人が「なんだかんだ大手の看板がないと最初は仕事が来ない」と語っていたのは面談メモに残っている。
電験三種で年収を上げるために「資格取得後にやること」3つ
電験三種を取ったことで満足してしまう人は多い。合格率が低い試験をくぐり抜けた達成感は本物で、「あとはなんとかなるだろう」という気持ちになるのはわかる。でも転職市場は「資格を持っているかどうか」だけでなく「資格をどう使えるか」で年収を評価する。取得後に何をするかが、年収の差を生む。
取得直後の「実務経歴書」の書き方が年収交渉を左右する
電験三種は「持っているだけでなく、どんな現場でどんな電気設備を管理・監督してきたか」が問われる資格だ。転職面接では「3種があります」だけでは終わらず、面接官は必ず「どんな設備の経験があるか」を掘り下げてくる。
ここで差がつくのが「実務経歴書」の書き方だ。単に「〇〇会社で設備管理に従事」と書くのと、「受電電圧6.6kV・2,000kVAの高圧受電設備の定期点検を年4回実施、異常検知時の対応手順書を作成」と書くのでは評価が全く違う。採用担当者の目に留まる経歴書は、電気設備の規模・電圧・容量・担当業務の具体性が揃っている。
施工管理の経験がある人は特にこの点を意識してほしい。電気施工管理として「高圧受電設備の設置工事に携わった」「電気主任技術者と連携して竣工検査を行った」という経験は、設備管理側から見ると「工事の実態を知っている人材」として非常に評価される。工事側と管理側の両方を理解している人材は少なく、年収交渉で強みになる。
監修者の林(元電気施工管理技士・現在は人材紹介)が面談でよく言うのは「退職理由は素直に全部言ってほしい。それを一緒にポジティブ変換する」だ。経歴書も同じで、「どう書くか」より「何を書くか」が先で、素材を全部出し切ることが出発点になる。
電験三種+施工管理経験の掛け合わせが最も市場評価される理由
施工管理経験と電験三種の組み合わせが、転職市場で最も評価される理由を説明する。
設備管理・電気保安の現場では、電気設備に不具合が起きたとき「修理の工事をどう発注し、どう監督するか」という場面が出てくる。電気主任技術者単独では電気工事の施工管理の実務が弱い人が多く、外部の施工管理会社に完全丸投げになりがちだ。でも施工管理経験を持つ電気主任技術者は「発注側でありながら施工の中身もわかる」という強みを持つ。
法人面談で話を聞いた太陽光EPC企業のケースがわかりやすい。「未経験で年収500万円スタート、主任クラスで600〜650万円」という待遇を出していたが、その会社が最も欲しいのは「太陽光発電所の設置工事を監督しながら、完成後のO&M(保安管理)まで一貫して担える人材」だった。施工管理と電気保安の両方が分かる人は採用市場で指名買いに近い扱いを受ける。
施工管理ちゃんねる独自面談調査(N=88件)でも、電気施工管理経験者が電験三種を取得して転職した場合の年収上昇幅は、ビルメン経由の転職より上ブレしやすいという傾向が見られる。具体的には「施工管理5年+電験三種」で転職すると年収500〜650万円レンジに入りやすく、ビルメンからの転職では400〜500万円スタートが多い。
| バックグラウンド | 電験三種取得後の転職年収レンジ | 特徴 |
|---|---|---|
| ビルメン経験のみ | 350〜500万円 | 設備管理系の求人が中心。資格手当で上乗せ |
| 電気施工管理経験あり(2級以上) | 500〜650万円 | 工事発注・監督ができる強みで上ブレ |
| 電気施工管理(1級)+電験三種 | 600〜750万円 | 大型施設・太陽光EPC・大手サブコン設備管理部門への道 |
出典: 施工管理ちゃんねる独自面談調査(N=88件)・法人面談データ(N=17社)・各求人サイト掲載情報をもとに施工管理ちゃんねる編集部が集計
資格手当・選任手当の相場感と交渉タイミング
資格手当は会社によって「月5万円」から「月5,000円」まで10倍の開きがある。これは知っておかないと損をする。
口コミデータから実態を整理する。
- ライトハウス口コミ: 「電験三種を持っているだけで月5万円上がる」(複数社の口コミで同内容確認)
- 転職会議口コミ: 「第3種電気主任技術者で月3万円、エネルギー管理士で月2万円、技術士で月10万円」
- KBドメイン知識(業界標準): 「電験三種で月5,000円〜1.5万円が目安。ただし中堅企業には手当に上限を設ける会社もある」
資格手当の交渉タイミングで最も失敗が多いのは「入社後に交渉しようと思っていたら規定が固定されていた」ケースだ。資格手当の額と選任手当の有無は、オファーレター(内定通知書)が出る前、最終面接のタイミングで確認するのが鉄則だ。入社後では交渉の余地がほぼなくなる。
選任手当(電気主任技術者として正式に選任された際に支払われる手当)は資格手当とは別に設けている会社もある。Indeedの求人には「月給350,000円+資格手当+名義登録手当」という記載があり、「名義登録手当」が実質的な選任手当に相当する。この手当の有無を見落とすと、資格の市場価値を会社に丸ごと置いていくことになる。
ぶっちゃけ、資格手当の額だけに目を奪われると基本給の低さを見逃す。手当単体でなく「年収トータルで比べる」のが正しい見方だ。資格手当が月5万円でも基本給が低い会社より、手当が月1万円でも基本給が高く毎年3〜5%昇給する会社のほうが5年後の年収は高くなるケースがある。
よくある質問
Q. 電験三種の仕事はAIや自動化でなくなりませんか?
A. なくならない。電気事業法が定める「選任義務」は法律上の制度であり、AIが責任主体になることはできない。異常検知センサーやリモートモニタリングが普及しても、「どう対処するか」の判断責任は電気主任技術者が負う。むしろIoT・BEMS(ビルエネルギー管理システム)の普及でデータが増え、それを読み解ける有資格者の価値は上がっている。自動化が進む部分(目視巡回の一部)は確かにあるが、資格職としての核心は変わらない。
Q. 電験三種を取ったばかりの未経験者でも転職市場での需要はありますか?
A. 需要はある。ただし年収と就職先には現実的な幅がある。Indeed掲載の関連求人3,761件超のうち、「実務経験不問・資格必須」という求人が一定数あり、未経験でも電験三種があれば応募できる。年収は350〜400万円スタートが多い。一方で「実務経験5年以上・電験三種必須」という求人は未経験者には応募できない。未経験から電験三種を取った場合の現実的なルートは、まずビルメン・設備管理系でデビューして実務を積み、3〜5年後に年収の高い選任ポジションや外部委託管理会社へ転職するステップが多い。電験三種+2種の勉強を並行して進めれば、希少性が高まり転職市場での評価は大きく変わる。
Q. 電気施工管理技士と電験三種はどちらが転職に有利ですか?
A. 「どちらが有利か」より「両方持てるか」が正しい問いだ。電気施工管理技士(1級)は工事の発注・監督ができる資格で、建設会社・サブコン・EPC企業での需要が高い。電験三種は設備の保安監督ができる資格で、ビル管理・電気保安・工場設備の需要が高い。両方持っている人材は「工事も管理も分かる」として採用市場で指名買いに近い扱いを受ける。施工管理ちゃんねる独自面談調査(N=88件)では、「1級電気施工管理技士+電験三種」の組み合わせで転職した人の年収は600〜750万円レンジが多く、単独資格の場合より上ブレしやすい傾向がある。
Q. 電験三種から2種・1種へのステップアップは現実的ですか?
A. 可能だが、難度の差は相当大きい。2種の一次試験合格率は例年10〜15%で、3種合格から2種合格まで追加で2〜3年の学習期間が平均的だ。ただし、2種・1種を取ると大手電力・鉄道・製鉄という安定した大企業への転職が現実的になり、年収レンジは600〜1,000万円超まで拡大する。「3種で転職して働きながら2種を目指す」というルートが最も現実的で、実務で学べる内容が試験にも活きる。いきなり2種を狙うより、3種で一度転職して経験を積んでから2種に挑む人のほうが合格率が高い傾向がある(実務と学習の相乗効果)。
まとめ: 電験三種の将来性は「法律と市場の二重構造」で守られている
電験三種の将来性を一言で言うなら「法律が下限を守り、再エネ・EV・データセンターが上限を押し上げている」構造だ。
電気事業法の選任義務がある限り、需要がゼロになる日は来ない。AIに代替されるリスクは、判断責任が法律上の有資格者に紐づく以上、他の職種より低い。そこに太陽光・蓄電池・EV充電という新しい需要が重なり、転職市場の求人数は増加傾向にある。
ただし、資格を持っているだけで年収が自動的に上がる時代ではない。電験三種をどのキャリアパスで活かすか(社内昇格型・資格職転換型・上位資格型・独立型)、そして資格手当・選任手当をいつ・どう交渉するかが年収の差を作る。
施工管理経験を持つあなたにとって、電験三種は「保安管理という出口を増やす資格」だ。施工管理の現場で「もう少し腰を落ち着けて働きたい」と感じ始めているなら、電験三種の取得と同時に転職の選択肢を広げることを検討してほしい。
具体的な転職相談は、電験三種・電気主任技術者の転職ガイドも参考にしてほしい。また、電験三種の取得を検討している段階なら電験三種の試験対策と難易度解説を先に読むと全体像がつかみやすい。施工管理としてのキャリアを継続しながら転職を考えるなら電気施工管理のキャリアアップガイドも合わせてどうぞ。
