接地抵抗の測定方法|現場で使う3つの手順と測定器の使い分け
電気工事の完了検査で必ず行う接地抵抗測定。「測定方法がよくわからない」「現場で困った経験がある」という声を現場でよく聞く。
接地抵抗測定は電気設備の安全性を確保する重要な検査項目で、電技省令で基準値が定められている。しかし、測定場所や設備の種類によって適切な測定方法が異なるため、正しい手順を理解していないと検査で指摘を受けることがある。
この記事では、現場で使われる3つの測定方法の手順と使い分けから、コンクリート建物や狭小地での実務対応まで詳しく解説する。電気工事士・施工管理技士として15年の現場経験を持つ監修者の実体験も交えて説明する。
この記事のポイント
- 接地抵抗測定の基本3手法(フォールオブポテンシャル法・クランプ式・電流電圧降下法)の使い分け
- テスターでは正確測定ができない理由と専用測定器の選び方
- コンクリート建物・狭小地での実務対応と測定不可能時の代替案
- 電技省令の基準値と測定値不良時の改善方法
- 竣工検査での測定ポイントと検査員への対応
接地抵抗測定の3つの基本方法|現場での使い分けと選択基準
接地抵抗測定には大きく分けて3つの方法がある。どの方法を選ぶかは、測定する設備の種類と現場の状況で決まる。
監修者が発電所の現場で15年間経験した中では、約60%がフォールオブポテンシャル法、30%がクランプ式、10%が電流電圧降下法の割合だった。それぞれの特徴を詳しく見てみよう。
フォールオブポテンシャル法(精密測定)
フォールオブポテンシャル法は最も精度の高い測定方法で、新設工事の竣工検査では標準的に使用される。
必要な機材:
- 接地抵抗測定器(アース・テスター)
- 補助電極2本(電流用・電圧用)
- 測定用リード線(10m×3本程度)
- ハンマー(電極打込用)
測定手順:
- 被測定接地極から10~20m離れた地点に電流用補助電極(C)を設置
- 被測定接地極と電流用補助電極の中間(約6~8m)に電圧用補助電極(P)を設置
- 測定器のE端子を被測定接地極、C端子を電流用補助電極、P端子を電圧用補助電極に接続
- 測定器の電源を入れ、測定開始ボタンを押す
- 表示される抵抗値を読み取り、記録する
この方法の長所は測定精度が高いこと。短所は広いスペースが必要で、測定に時間がかかることだ。新設の一般家屋や工場では、この方法で測定することが多い。
クランプ式測定法(簡易測定)
クランプ式測定法は、補助電極を使わずに測定できる簡易な方法。特に保守・点検作業で威力を発揮する。
クランプ式測定器を接地線にクランプするだけで測定完了。わずか数秒で結果がわかる手軽さが最大の魅力だ。
適用条件:
- 複数の接地極が並列に接続されていること
- 接地線の周囲に十分なスペースがあること
- 接地システム全体の抵抗値が比較的低いこと(10Ω以下が目安)
ただし、単独の接地極や抵抗値の高い接地では測定できない制約がある。また、測定精度もフォールオブポテンシャル法に比べて劣る。
実際に使ってみると、ビルや工場の定期点検では8割以上のケースでクランプ式が活用されている。測定作業の効率が格段に上がるからだ。
電流電圧降下法(特殊用途)
電流電圧降下法は、フォールオブポテンシャル法の測定原理をベースに、特殊な測定環境に対応した方法。
通常の補助電極設置が困難な場合に使用する。例えば、岩盤が露出している場所や、舗装された敷地で補助電極を打ち込めない状況だ。
測定の特徴:
- 既設の接地極や金属構造物を補助電極として利用
- 測定距離を通常より長く取る必要がある
- 複数回測定して平均値を求める
監修者の経験では、都市部の狭小地や工業地帯で年に数回使用する程度。一般的な現場ではほとんど使わない測定方法だ。
テスターで接地抵抗を測定する手順|一般的な測定器では測れない理由
「テスターで接地抵抗を測れないの?」という質問を新人の電気工事士からよく受ける。結論から言うと、一般的なテスターでは正確な接地抵抗は測定できない。
なぜ一般テスターでは正確な測定ができないのか
一般的なテスター(マルチメーター)で抵抗を測定する場合、内部の直流電源から微小電流を流して電圧降下を測定し、オームの法則で抵抗値を算出している。
しかし、接地抵抗の測定には以下の問題がある:
1. 土壌の電気化学的影響
土壌中には複数のイオンが存在し、直流電流を流すと電池効果(分極現象)が発生する。これにより測定値に大きな誤差が生じる。
2. 測定電流の不足
テスターの測定電流は数mA程度と小さく、接地抵抗の測定に必要な電流量に達しない。特に抵抗値の高い接地では、ノイズに埋もれて正確な測定ができない。
3. 基準点の問題
テスターで抵抗を測定するには、測定対象の両端に測定プローブを当てる必要がある。しかし、接地抵抗は「接地極と大地の間の抵抗」であり、大地側に基準点を設定するのが困難だ。
実際に現場で試してみると、テスターでは「0.1Ω」や「∞(無限大)」といった極端な値しか表示されない。これは測定原理の違いによるものだ。
接地抵抗専用測定器の選び方
接地抵抗を正確に測定するには、専用の測定器が必要。選ぶ際のポイントを整理しよう。
測定方式による分類:
| 方式 | 特徴 | 適用場面 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| フォールオブポテンシャル専用 | 精密測定・補助電極必要 | 新設工事・竣工検査 | 5~15万円 |
| クランプ式専用 | 簡易測定・配線不要 | 保守点検・既設設備 | 10~25万円 |
| 複合式 | 両方式対応・汎用性高 | 全般的な電気工事 | 15~40万円 |
主要メーカーと特徴:
- 共立電気計器:KEW MODEL 4105A(複合式の定番機)
- 日置電機:FT6031(クランプ式の代表格)
- カイセ:SK-7101(コストパフォーマンス重視)
現場での使い勝手を考えると、複合式の測定器が最も実用的。フォールオブポテンシャル法とクランプ式の両方に対応でき、1台で大部分の測定作業をカバーできるからだ。
クランプ式接地抵抗計の使い方と測定手順|配線不要で手軽に測定
クランプ式接地抵抗計は配線作業が不要で、接地線にクランプするだけで測定できる画期的な測定器だ。ただし、正しい使い方を理解していないと、測定不可や異常値の表示に困惑することがある。
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クランプ式測定器のセット方法
クランプ式測定の成功は、適切なセット方法にかかっている。
測定前の確認事項:
- 接地システムの確認:複数の接地極が並列接続されているか
- 接地線の材質・太さ:CV線なら38sq以下、裸線なら14sq以下が測定可能
- 周囲環境:強い電磁界や高周波ノイズがないか
- クランプ部の清掃:接触面に汚れや酸化膜がないか
正しいクランプ方法:
- 接地線にクランプを垂直に取り付ける
- クランプの締付けは「カチッ」と音がするまで確実に行う
- 測定中はクランプを動かさず、安定した状態を保つ
- 他の電線や金属物との接触を避ける
監修者の経験では、クランプの取り付けが甘いことが測定エラーの最大要因。特に太い接地線では、クランプが完全に閉まらず、測定不可の表示が出ることがある。
測定値の読み方と判定基準
クランプ式測定器の表示画面には、測定値以外にも重要な情報が表示される。
表示項目の意味:
- 抵抗値:接地抵抗の測定結果(単位:Ω)
- 漏れ電流:接地線に流れている電流(単位:mA)
- ノイズレベル:測定環境の電気的ノイズ強度
- 警告表示:測定条件の良否や機器の状態
測定値の信頼性は、漏れ電流とノイズレベルで判断できる。漏れ電流が2A以上、ノイズレベルが高い場合は、測定値の精度が低下する。
| 接地種別 | 基準値 | クランプ式での判定目安 |
|---|---|---|
| A種接地 | 10Ω以下 | 8Ω以下で合格判定 |
| B種接地 | 150Ω以下 | 100Ω以下で合格判定 |
| C種接地 | 10Ω以下 | 8Ω以下で合格判定 |
| D種接地 | 100Ω以下 | 80Ω以下で合格判定 |
クランプ式測定の場合、フォールオブポテンシャル法より若干高めの値が出る傾向がある。そのため、基準値より20%程度低い値を目安に判定している現場が多い。
クランプ式で測定できない場合の対処法
クランプ式測定器で「測定不可」や「Er」の表示が出る場合がある。主な原因と対策を整理しよう。
測定不可の主な原因:
- 単独接地:他の接地極と並列接続されていない
- 高抵抗接地:接地抵抗値が10Ω以上と高い
- 断線:接地線のどこかで断線している
- ノイズ:電磁界やインバーター等のノイズが強い
対策方法:
- 測定位置の変更:接地線の別の箇所で再測定
- ノイズ源の特定:インバーター等の電源を一時停止
- 測定時間の調整:夜間や休日など、ノイズの少ない時間帯で測定
- フォールオブポテンシャル法への変更:どうしても測定できない場合
実際の現場では、工場内のインバーターや溶接機が原因で測定不可になることが多い。設備を一時停止できない場合は、フォールオブポテンシャル法で測定するしかない。
コンクリート建物での接地抵抗測定|狭小地・舗装地での実務対応
都市部のコンクリート建物や舗装された敷地での接地抵抗測定は、電気工事士にとって最大の難所の一つ。補助電極を打ち込む場所がない、測定距離が確保できない、といった問題に直面する。
補助電極の設置場所の見つけ方
フォールオブポテンシャル法で最も困るのが補助電極の設置場所。コンクリートやアスファルトに覆われた敷地では、電極を打ち込むことができない。
設置場所の候補:
- 植栽部分:建物周囲の植え込みや花壇
- 未舗装部分:駐車場の端部や歩道の境界
- 雨水桝周辺:蓋の隙間から土壌にアクセス
- 隣接地:所有者の許可が得られる場合
監修者が15年間の現場で身に着けた「電極設置のコツ」がある。建物の設計図を事前に確認し、外構工事の範囲を把握しておくことだ。意外と建物裏側に未舗装部分が残っていることがある。
電極設置の実務テクニック:
- 先端を鋭利に加工:硬い土壌でも打ち込みやすくする
- 水を撒く:乾燥した土壌では接触抵抗が高くなる
- 深く打ち込む:最低30cm、できれば50cm以上
- 複数箇所で測定:1箇所だけでなく、可能なら2〜3箇所で確認
建物基礎を活用した測定方法
補助電極の設置が困難な場合、建物の鉄筋コンクリート基礎を補助電極として利用する方法がある。これは電流電圧降下法の応用だ。
基礎利用測定の手順:
- 建物基礎の鉄筋に電流用端子を接続
- 被測定接地極から適当な距離の金属物(フェンス、配管等)に電圧用端子を接続
- 通常より長めの測定時間(30秒以上)で安定値を読み取る
- 複数の測定点で値を確認し、平均値を求める
ただし、この方法は測定精度が劣るため、あくまで「やむを得ない場合の代替手段」として考えておこう。正式な検査では認められない場合もある。
測定不可能な場合の代替案
どうしても接地抵抗測定ができない現場もある。そんな場合の対応策を整理しておこう。
代替検査方法:
- 絶縁抵抗測定:接地線と非接地部分の絶縁状態を確認
- 導通試験:接地線の連続性を確認
- 接地工事の施工写真:工事過程の記録で品質を証明
- 計算による推定:接地極の仕様と土壌抵抗率から理論値を算出
検査機関との調整:
- 事前に測定困難な旨を報告
- 代替検査方法の提案
- 施工記録の準備
- 改修計画の提示(必要に応じて)
実際の現場では、検査員と事前に相談することが重要。測定不可能な理由を明確に説明し、代替手段を提示すれば、柔軟に対応してもらえることが多い。
ただし、これは最後の手段。できる限り測定を実施するのが電気工事士としての責任だ。
接地抵抗測定の原理と測定器の仕組み|なぜ補助電極が必要なのか
接地抵抗測定の手順は理解できても、「なぜこの方法で測定できるのか」という原理を理解している人は意外と少ない。原理を理解すれば、測定時のトラブルにも適切に対応できるようになる。
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接地抵抗が発生するメカニズム
そもそも接地抵抗とは何だろうか。接地極を大地に埋設すると、接地極の周囲に電流の通り道ができる。この通り道での電気の流れにくさが「接地抵抗」だ。
接地抵抗は以下の要因で決まる:
1. 接地極と土壌の接触抵抗
接地極表面と土壌の間の抵抗。接地極の形状・材質・表面積によって変わる。
2. 土壌の抵抗率
土壌そのものの電気の通しにくさ。含水率・塩分・温度によって大きく変化する。
3. 電流分布による抵抗
接地極から放射状に広がる電流経路の抵抗。接地極から遠ざかるほど電流密度が下がり、抵抗に与える影響は小さくなる。
| 土壌種別 | 抵抗率(Ω・m) | 接地極必要長さ(概算) |
|---|---|---|
| 湿った粘土 | 10~100 | 短い(2~3m) |
| 砂質土 | 100~1000 | 普通(3~5m) |
| 乾燥した砂 | 1000~10000 | 長い(5~10m以上) |
土壌の抵抗率は季節変動も大きい。夏場と冬場では2~3倍の差が出ることもあるため、測定時期にも注意が必要だ。
測定器が抵抗値を算出する仕組み
接地抵抗測定器は、オームの法則(R=V/I)を応用して抵抗値を求めている。しかし、単純な直流電圧・電流の測定ではない。
測定器の内部動作:
- 交流電流の発生:内部発振器で特定周波数(通常128Hz)の交流を生成
- 電流注入:被測定接地極(E)と電流用補助電極(C)の間に一定電流を流す
- 電圧測定:被測定接地極(E)と電圧用補助電極(P)の間の電圧を測定
- 抵抗値計算:測定した電圧と注入電流から抵抗値を算出
なぜ交流を使うのか?これは土壌中の電池効果(分極現象)を避けるためだ。直流だと化学反応により測定値が不安定になってしまう。
補助電極が必要な理由:
- 電流用補助電極(C):測定電流を大地に流すための経路。十分離れた場所に設置して、被測定接地極の抵抗成分だけを分離する
- 電圧用補助電極(P):大地の電位を正確に測定するための基準点。被測定接地極と電流用補助電極の影響を受けない位置に設置する
この「3電極法」により、被測定接地極単独の抵抗値を正確に測定できる。補助電極の位置が適切でないと、正しい測定値が得られない理由もここにある。
測定結果の判定基準と不良時の対策|電技省令・内線規程の基準値
接地抵抗を測定しても、基準値を知らなければ良否の判定ができない。電技省令と内線規程で定められた基準値と、基準を超えた場合の対策について詳しく解説する。
接地種別ごとの基準値一覧
電気設備の接地は、その用途によってA種からD種まで分類されている。それぞれ異なる基準値が設定されている。
| 接地種別 | 対象設備 | 抵抗値基準 | 根拠法令 |
|---|---|---|---|
| A種接地 | 高圧受電設備の中性点 | 10Ω以下 | 電技省令第17条 |
| B種接地 | 高圧受電設備の外箱 | 150Ω以下※ | 電技省令第29条 |
| C種接地 | 低圧電路の中性点 | 10Ω以下 | 電技省令第17条 |
| D種接地 | 低圧機器の外箱等 | 100Ω以下 | 電技省令第29条 |
※B種接地は「150Ω以下」または「2000/I Ω以下」のいずれか大きい値(Iは地絡継電器の動作電流)
内線規程による細分化:
内線規程では、より細かい基準が定められている場合がある:
- 情報処理設備:D種接地で10Ω以下(ノイズ対策)
- 医療機器:特別低い接地抵抗が要求される場合がある
- 防爆設備:静電気対策として厳しい基準
監修者の経験では、基準値ギリギリの測定値が出た場合、将来の劣化を考慮して改善工事を提案することが多い。特に土壌抵抗率の高い現場では、経年変化で抵抗値が上昇する傾向がある。
測定値が基準を超えた場合の改善方法
測定値が基準を超えた場合、接地抵抗を下げる改善工事が必要になる。効果的な改善方法を優先順に整理しよう。
1. 接地極の追加設置
- 効果:既設接地極と並列接続することで抵抗値を下げる
- 理論値:抵抗値は概ね1/n(nは接地極数)になる
- 注意点:接地極間の距離が近いと相互干渉で効果が減少
2. 接地極の長さ延長
- 効果:土壌との接触面積増加により抵抗値低下
- 目安:長さを2倍にすると抵抗値は約70%になる
- 制約:掘削深度の限界や埋設物への配慮が必要
3. 接地極周囲の土壌改良
- 木炭の使用:接地極周囲に粉炭を充填
- ベントナイトの使用:吸水性の高い粘土鉱物で土壌改良
- 食塩の使用:土壌の導電性を向上(腐食の恐れあり)
4. 接地極の材質変更
- より大きな接地極:φ14mm → φ19mmへの変更
- 銅製接地極:亜鉛めっき鋼より導電性が良い
- メッシュ状接地極:接触面積を大幅に増加
改善工事の費用目安と工期
接地抵抗改善工事の費用は、現場の状況と改善方法によって大きく異なる。実際の現場での経験をもとに、費用目安をまとめておこう。
| 改善方法 | 材料費 | 工事費 | 工期 | 効果 |
|---|---|---|---|---|
| 接地極1本追加 | 2~3万円 | 5~8万円 | 1日 | 抵抗値50~70% |
| 既設延長(3m→6m) | 1~2万円 | 8~12万円 | 1~2日 | 抵抗値70~80% |
| 土壌改良(ベントナイト) | 3~5万円 | 5~10万円 | 1日 | 抵抗値60~80% |
| メッシュ状接地極新設 | 10~20万円 | 20~40万円 | 2~3日 | 抵抗値30~50% |
費用対効果を考えると、まず接地極の追加から検討するのが現実的。土壌改良は効果が安定しないため、他の方法で対応できない場合の最終手段として考えている。
重要なのは、改善工事後の再測定で効果を確認すること。思ったより効果が出ない場合もあるため、複数の改善策を組み合わせることもある。
竣工検査で接地抵抗測定を行う際の注意点|検査員が見るポイント
竣工検査での接地抵抗測定は、電気工事の最終関門。検査員の視点を理解しておけば、スムーズに検査を通過できる。15年の現場経験で学んだ「検査対応のコツ」を共有しよう。
測定前の準備チェックリスト
検査当日にバタバタしないよう、事前準備が重要。以下のチェックリストで抜け漏れを防ごう。
書類関係:
- □ 電気設備図面(接地系統図含む)
- □ 接地工事施工写真
- □ 使用材料一覧表
- □ 土壌抵抗率測定結果(ある場合)
- □ 過去の測定記録(改修工事の場合)
測定機材:
- □ 接地抵抗測定器(校正期限内)
- □ 補助電極2本(予備含む)
- □ 測定用リード線(10m×4本)
- □ ハンマー・ペンチ等の工具
- □ クランプ式測定器(併用の場合)
現場確認:
- □ 補助電極設置場所の確認
- □ 測定対象接地極の位置確認
- □ 周囲の安全確保(交通・立入禁止等)
- □ 天候確認(雨天時の対応)
監修者が最も重要だと感じるのは、測定器の校正期限確認。期限切れの測定器では検査を受けられないことがあるため、必ずチェックしておこう。
検査員によくある指摘事項と対策
長年の検査立会いで、検査員からよく受ける指摘事項と、その対策をまとめた。事前に把握しておけば、指摘を受けることはほとんどない。
よくある指摘事項:
- 「補助電極の距離が近すぎる」
→ 対策:被測定接地極から20m以上離して設置 - 「電圧用補助電極の位置が適切でない」
→ 対策:被測定接地極と電流用補助電極のほぼ中央に設置 - 「測定器のゼロ調整をしていない」
→ 対策:測定前に必ずゼロ調整を実施し、その旨を報告 - 「複数回測定して確認していない」
→ 対策:最低3回測定し、平均値を記録 - 「クランプ式の適用条件を満たしていない」
→ 対策:単独接地の場合は必ずフォールオブポテンシャル法で確認
検査員とのコミュニケーション:
- 測定手順を口頭で説明しながら実施
- 測定値が出たら、すぐに検査員に確認してもらう
- 異常値の場合は、原因と対策を説明
- 測定困難な箇所は、事前に相談
検査員も人間。誠実な対応をしていれば、多少のトラブルがあっても柔軟に対応してくれることが多い。隠そうとしたり、言い訳をしたりするのが一番よくない。
測定データの記録・報告方法
測定結果の記録・報告は、後々のトラブル回避にも重要。適切な記録方法を身に着けておこう。
記録すべき項目:
| 項目 | 記録内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 測定日時 | 年月日・時刻 | 天候も併記 |
| 測定器 | 型番・校正期限 | 精度等級も記載 |
| 測定方法 | フォールオブポテンシャル法 or クランプ式 | 補助電極の距離も記録 |
| 測定値 | 3回測定の全データ | 平均値・最大値・最小値 |
| 判定結果 | 合格・不合格と基準値 | 不合格の場合は改善策も |
| 測定者 | 氏名・資格 | 電気工事士免状番号等 |
報告書の作成ポイント:
- 図面との対応:測定箇所を図面上に明記
- 写真の添付:測定状況・測定器表示画面の写真
- 異常値の説明:基準超過や測定困難の理由・対策
- 次回測定の提案:保守点検スケジュールの提示
最近はデジタル測定器が主流で、測定データをPCに取り込める機種も多い。データの改ざんを防ぐ意味でも、デジタル記録の活用を進めている現場が増えている。
また、測定困難な箇所については、将来の改修計画も含めて報告すると、施主・管理者の信頼度が上がる。単に「測定できません」で終わらせるのではなく、プロとしての提案を心がけよう。
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よくある質問|接地抵抗測定について
雨天時や土壌が濡れている時の測定は可能?
雨天時や土壌が濡れている状況での測定は可能だが、注意が必要だ。
土壌の含水率が高いと抵抗値が下がる傾向がある。そのため、雨天時の測定値は乾燥時より良い値が出やすい。正確な評価のためには、晴天時の再測定が望ましい。
ただし、測定器の防水性能には限界があるため、激しい雨の中での測定は避けよう。測定器の故障や感電の危険性もある。
測定器の校正はどのくらいの頻度で必要?
接地抵抗測定器の校正は、一般的に1年に1回が推奨されている。
計量法に基づく特定計量器ではないため、法的な校正義務はない。しかし、測定精度の維持と検査での信頼性確保のため、定期校正は欠かせない。
校正費用は3〜5万円程度。高価に感じるかもしれないが、測定ミスによる手戻り工事を考えれば、必要な投資だ。
接地線が断線している場合の測定値は?
接地線が断線している場合、測定器によって表示が異なる。
フォールオブポテンシャル法では「∞(無限大)」や「Over」の表示。クランプ式では「測定不可」や「Error」の表示になることが多い。
ただし、わずかな漏れ電流や静電容量により、異常に高い抵抗値(数千Ω〜数万Ω)が表示される場合もある。基準値を大幅に超える測定値が出たら、まず断線を疑って導通試験を行おう。
