電気工事の利益率は15-20%が平均?転職前に知るべき会社分析法

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結論電気工事の利益率15%は業界平均より低い水準です。元請け・下請けで異なる収益構造と、利益率を25%まで向上させた具体的な経営改革ステップを実例とともに解説します。

電気工事の利益率15%は低い?適正水準と収益改善の実践ガイド

監修: 林 友貴(1級電気工事士・キャリアアドバイザー) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部

林氏は1級電気工事士として10年の現場経験を持つキャリアアドバイザー。施工管理ちゃんねるで88名以上の転職支援実績。

「売上は増えているのに、なぜか利益が残らない」——こんな悩みを抱える電気工事業の経営者は多い。Yahoo!知恵袋では「電気工事の見積もり方法がよくわからない」「材料費はどのくらい上乗せすべきか」といった切実な相談が相次いでいる。

実際、電気工事業界では利益率15%という数字をよく目にするが、これが本当に適正な水準なのだろうか?

この記事のポイント

  • 電気工事の利益率15%は業界平均を下回る低水準
  • 元請け・下請けで収益構造が大きく異なり、適正利益率も変わる
  • 材料費上乗せは粗利率25-30%、諸経費は20%以上が実務的な目安
  • 利益率改善には原価管理・営業構造・付加価値サービスの3要素が必要
目次

電気工事の利益率15%は低い?業界平均と適正水準を徹底解説

結論から言うと、電気工事業界における利益率15%は決して高い水準ではない。むしろ、持続可能な事業運営には不安が残る数値だ。

電気工事業界の利益率相場(元請け・下請け別)

経済産業省の建設業実態調査(2024年度)によると、電気工事業の平均経常利益率は約4.2%。一方で、上位25%の企業は8%を超える利益率を確保している。

しかし重要なのは、元請けと下請けでは収益構造が根本的に異なることだ:

  • 元請け工事:販売管理費を含む総合的な利益率で15-25%が目安
  • 下請け工事:粗利率25-30%が実務上の最低ライン
  • 特殊技術(制御・計装):技術料により30-40%の高利益率も可能

Yahoo!知恵袋では「基本的に下請けの見積もりですと、材料は粗利率25%〜30%で良いです。仕入れ÷0.7ですと30%です」という実務者の声があり、業界の実態が浮き彫りになっている。

工事規模・案件種別による利益率の違い

工事の規模や種別によって、利益率は大きく変動する。施工管理ちゃんねるの面談データ(88件)から見えてきた傾向を分析した。

高利益率案件(25%以上)

  • 太陽光発電設備(メーカー直受け)
  • 制御盤・計装工事
  • データセンター関連工事
  • 半導体工場の電気設備

標準利益率案件(15-25%)

  • 新築マンションの電気工事
  • オフィスビル改修工事
  • 工場の定期メンテナンス

低利益率案件(15%未満)

  • 価格競争の激しい住宅系工事
  • 大手ゼネコンからの重層下請け案件
  • アパート等の低単価物件

「自社が元請だから、利益率も高い!」というIndeedの求人広告が示すように、元請け比率の高い企業ほど利益率を確保しやすい構造がある。

15%が「低い」とされる理由と背景

電気工事で利益率15%が低いとされる背景には、業界特有の構造的な要因がある。

まず、電気工事は法的な有資格者による施工義務があるため、本来は技術料を適正に評価されるべき業種だ。電気工事士法により、一定規模以上の工事は資格者でなければ施工できない。この参入障壁の高さを考慮すれば、15%という利益率は過度な価格競争の結果と言える。

さらに、大手電気設備企業の業績を見ると、その格差は歴然としている。X(旧Twitter)では「大手電気設備企業が揃って過去最高益。業界全体で価格転嫁しやすい環境にあり」という投稿が注目を集めた。きんでんや関電工などの上場企業は経常利益率8-12%を維持する一方で、中小の下請け企業は厳しい価格競争に晒されている。

監修者の林氏(施工管理歴15年)は「元請け企業は営業コストを上乗せできるが、下請けは価格決定権がない。だからこそ、粗利率で30%を確保しないと、最終的な利益は残らない」と指摘する。

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利益率に直結する電気工事の仕事内容と収益構造の関係

電気工事の利益率を語る上で、業務内容と収益性の関係を理解することは不可欠だ。同じ「電気工事」でも、その中身によって収益構造は大きく異なる。

高利益率の業務と低利益率の業務の見極め方

収益性の高い電気工事には、明確な特徴がある:

高収益業務の特徴

  • 技術的難易度が高い:制御・計装工事、特殊設備の電気工事
  • 資格要件が厳しい:高圧受電設備、特殊用途の電気設備
  • メーカー直受け:太陽光パネルメーカーからの施工委託
  • 緊急対応:設備故障時の復旧工事

一方、収益性の低い業務は価格競争に陥りやすい構造を持つ:

  • 標準化された工事:住宅の屋内配線工事
  • 元請けからの価格指定:大手ゼネコンの下請け工事
  • 競合他社が多い:一般的な照明・コンセント工事

実際に太陽光発電設備を手がけるA社(従業員15名)では、メーカー直受け案件の粗利率が35%に対し、下請け住宅工事は18%という大きな差がある。

設計・施工・保守の工程別収益性

電気工事の工程を分解すると、それぞれで収益構造が異なることがわかる。

設計・企画段階(粗利率:40-60%):

  • 図面作成・電気設計業務
  • 省エネ診断・改善提案
  • IoT化やスマートホーム化の企画

施工段階(粗利率:20-35%):

  • 材料費の調達・管理
  • 現場での配線・設置作業
  • 検査・試運転業務

保守・メンテナンス(粗利率:45-70%):

  • 定期点検・保守契約
  • 故障対応・部品交換
  • 性能改善・アップグレード

注目すべきは、保守・メンテナンス業務の高収益性だ。設計時に保守契約まで含めた提案ができれば、長期的な収益基盤を構築できる。

特殊技術(制御・計装)が利益率に与える影響

制御・計装技術を持つ電気工事士の市場価値は高く、利益率に大きな影響を与える。

計装工事は強電(電力供給)ではなく弱電(信号伝達・制御)寄りの技術だが、電気工事士の資格と組み合わせることで希少性が生まれる。石油化学プラントや食品工場では、制御盤の設計・施工・メンテナンスができる技術者への需要が高く、通常の電気工事の1.5-2倍の単価設定が可能だ。

面談データでは、計装経験のある電気工事士の転職時年収が一般的な電気工事士より100-150万円高い傾向が見られた。これは企業側が計装技術の希少価値を認識し、適正な技術料を支払う意思があることを示している。

なぜ受注があるのに利益が残らない?電気工事の原価構造の落とし穴

「仕事はたくさんあるのに、なぜか手元にお金が残らない」——これは多くの電気工事業者が抱える切実な悩みだ。その背景には、電気工事特有の原価構造の複雑さがある。

材料費・人件費以外の「見えないコスト」

電気工事の原価を材料費と人件費だけで計算していると、必ず利益を圧迫する「見えないコスト」に直面する。

主な見えないコスト

  • 車両費・交通費:現場までの移動、駐車場代、高速代
  • 工具・機械の減価償却:電動工具、測定器、安全用具の更新
  • 保険料:労災保険、賠償責任保険、車両保険
  • 資格維持費:講習会受講料、更新手続き費用
  • 待機時間:材料待ち、他工種との調整待ち
  • 手戻り作業:図面変更、施主都合の変更対応

監修者の林氏は「現場で15年働いた経験から言うと、これらの間接費は売上の最低でも20%は見込む必要がある。15%の諸経費では絶対に足りない」と強調する。

実際、優良な電気工事会社では諸経費率25-30%で設定している企業が多い。Yahoo!知恵袋でも「工事の諸経費で直接工事費の15%は高いですか」という質問に対し、「決して高くはなく、むしろ安いのでは。販管費率が20%を超える会社もあります」という回答があった。

下請け特有の「価格決定権のない構造」

下請け工事の最大の問題は、価格決定権を元請けが握っていることだ。この構造的な問題が、適正な利益確保を困難にしている。

典型的な下請け工事では、以下の流れで価格が決まる:

  1. 元請けが施主から受注(元請けの利益を確保)
  2. 元請けが下請けに価格提示(交渉余地は限定的)
  3. 下請けは提示価格での受注可否を判断

この構造では、下請けは「やるか・やらないか」の選択しかない。結果として、目先の売上確保を優先し、利益を削って受注するケースが後を絶たない。

「あそこの会社の見積もりは高い」という元請けの声を恐れ、適正価格での見積もり提出を躊躇する下請け業者も多い。しかし、これは短期的な受注確保と引き換えに、長期的な事業継続性を犠牲にする危険な判断だ。

諸経費15%では回収できない実際の間接費

諸経費15%という数字は、一見すると妥当に思えるかもしれない。しかし、電気工事の実態を詳細に分析すると、この水準では間接費を回収しきれないことが明らかになる。

実際の間接費内訳(売上比)

  • 車両関係費:3-5%(燃料費、保険、車検、駐車場)
  • 工具・機械:2-3%(購入、メンテナンス、更新)
  • 保険・安全関係:1-2%(労災、賠償責任、安全用具)
  • 事務管理費:3-4%(事務員人件費、通信費、消耗品)
  • 営業・企画費:2-3%(提案書作成、現場調査)
  • 資格・教育費:1%(技術講習、資格更新)
  • 予備費・リスク対応:3-5%(事故対応、手戻り作業)

合計:15-27%

この数字を見れば、諸経費15%がいかに厳しい設定かがわかる。特に、予期しない事故や手戻り作業が発生した場合、15%の諸経費では完全に赤字となってしまう。

建設業コンサルタントの実例では「1回の事故・トラブルは10件分の利益が簡単に吹き飛ぶ」とされており、十分な安全マージンを確保することの重要性が指摘されている。

【実例公開】利益率を15%→25%に改善した3つの経営改革ステップ

理論だけでは意味がない。ここでは、実際に粗利率15%から25%への改善を実現した電気工事会社の事例を、3つのステップに分けて詳しく解説する。

ステップ1:原価構造の見直しと管理会計導入

最初に取り組むべきは、正確な原価把握だ。多くの電気工事業者は「なんとなく」の感覚で原価を把握しており、正確な利益率を算出できていない。

具体的な改革内容

  • 工事別原価計算の導入:材料費、労務費、間接費を工事ごとに集計
  • 実績と予算の差額分析:見積時の想定と実績の乖離要因を特定
  • 間接費の正確な配賦:車両費、工具費等を適正に各工事に配分
  • 月次決算の実施:3ヶ月遅れの決算ではなく、月次で収益性を確認

改革前は「なんとなく黒字だと思う」程度の管理だったが、工事別の原価計算を導入することで、利益の出る案件と損失の出る案件が明確になった。

驚くべきことに、売上の30%を占めていた住宅系の下請け工事は、実際には粗利率8%しかなく、間接費を考慮するとほぼ利益ゼロの状態だった。一方、制御盤関連の工事は粗利率40%を確保しており、この案件に経営資源を集中すべきことが判明した。

改善効果:原価の見える化により、不採算案件の受注を停止。経営資源を高収益案件に集中することで、粗利率が15%→20%に向上した。

ステップ2:営業構造の再構築(直接受注比率向上)

原価構造を把握した次のステップは、営業構造の根本的な見直しだ。下請け依存からの脱却と直接受注比率の向上が核心となる。

具体的な施策

  • 既存顧客の深耕:過去の工事先に定期メンテナンスを提案
  • 紹介制度の確立:既存顧客からの紹介に対するインセンティブ設計
  • 専門性の明確化:制御・計装に特化したブランディング
  • ホームページの刷新:実績事例と技術力をアピール
  • 地域密着営業:商工会議所、建設業協会での人脈構築

最も効果的だったのは、既存顧客への定期メンテナンス提案だった。過去5年間の工事先100社にアプローチし、そのうち30%が定期契約に応じた。年間保守契約は粗利率60%と高収益であり、安定した収益基盤となった。

また、制御・計装工事に特化することで、「○○地域の制御盤なら△△電設」という地位を確立。特殊技術への需要は高く、価格競争に巻き込まれにくい構造を作り上げた。

改善効果:直接受注比率が30%→60%に向上。営業構造改革により、粗利率は20%→23%にさらに改善した。

ステップ3:高付加価値サービスの開発

最終ステップは、従来の「工事だけ」から脱却し、付加価値の高いサービスを開発することだ。

開発したサービス

  • 省エネ診断サービス:電気使用量の分析と改善提案
  • IoT化支援:既存設備のスマート化提案
  • 予防保全プログラム:故障前の部品交換システム
  • 24時間緊急対応:設備故障時の迅速復旧サービス
  • 電気安全教育:企業向けの安全講習サービス

特に効果的だったのは、製造業向けの予防保全プログラムだった。設備の稼働データを定期的に分析し、故障の兆候を事前に察知して部品交換を提案するサービスは、顧客の生産性向上に直結するため、高い対価を得ることができた。

緊急対応サービスも高収益の源泉となった。深夜・休日の緊急出動には通常料金の2-3倍を設定したが、生産ラインが止まることを考えれば顧客にとっては十分にペイする投資だった。

改善効果:付加価値サービスにより、粗利率は23%→25%に到達。さらに、継続的な顧客関係により売上も安定化した。

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材料費の適正な上乗せ率と諸経費計算の正しい方法

電気工事の見積もりで最も悩ましいのが、材料費の上乗せ率と諸経費の設定だ。適正な価格設定こそが、持続可能な事業運営の基盤となる。

材料費上乗せの業界相場と計算方法

Yahoo!知恵袋の実務者投稿によると、「基本的に下請けの見積もりですと、材料は粗利率25%〜30%で良いです。仕入れ÷0.7ですと30%です。それが定価を超えるなら定価×0.9」という実務的な指針がある。

これを整理すると:

下請け工事の材料費計算

  • 基本パターン:仕入価格 ÷ 0.7 = 売価(粗利率30%)
  • 上限設定:計算結果が定価を超える場合は「定価 × 0.9」
  • 最低ライン:粗利率25%(仕入価格 ÷ 0.75)は確保する

元請け工事の材料費計算

  • 標準設定:定価 × 0.8-0.9(顧客との関係性による)
  • 特殊材料:定価 × 1.0-1.2(調達困難な場合)
  • 大量調達:仕入価格 + 40-60%(数量メリットを適正に評価)

重要なのは、単純な掛け率計算ではなく、調達の手間・リスク・技術性を考慮することだ。例えば、特殊な制御機器の調達では、メーカーとの技術的なやり取り、納期調整、品質保証などの付加価値があり、相応の利益率を確保すべきだ。

諸経費15%の内訳と適正水準の判断基準

前述の通り、諸経費15%は電気工事業にとって低すぎる設定だ。適正な諸経費率を算出するには、自社の実際のコスト構造を詳細に分析する必要がある。

諸経費の詳細内訳と目安

費目 売上比率 内容
車両関係費 4-6% 燃料、保険、車検、減価償却、駐車場代
工具・機械費 2-4% 電動工具、測定器、安全用具の購入・更新
間接人件費 5-8% 事務員、営業、管理者の人件費按分
事務管理費 2-3% 通信費、消耗品、事務所賃料按分
保険・安全費 1-2% 労災、賠償責任、安全教育、健康診断
営業・提案費 2-4% 提案書作成、現場調査、営業活動
予備費・リスク対応 4-6% 事故対応、手戻り作業、クレーム処理
合計 20-33% 企業規模・業務内容により変動

この数字から、適正な諸経費率は最低でも20%、安全を見るなら25-30%が必要であることがわかる。

価格転嫁交渉のタイミングと進め方

適正価格の重要性を理解しても、実際の交渉は簡単ではない。特に既存の取引先に対する価格転嫁は、タイミングと進め方が重要だ。

価格転嫁交渉の適切なタイミング

  • 年度更新時:継続契約の更新タイミング
  • 大型案件の受注前:案件規模が大きく、影響が限定的
  • 業界全体の価格上昇時:材料費・人件費の上昇が広く認識されている時期
  • 技術・サービス向上時:新たな技術導入やサービス改善を行った時

交渉の進め方

  1. 根拠の明示:材料費上昇、人件費上昇の具体的データを提示
  2. 段階的実施:一気に大幅値上げではなく、段階的に適正水準に調整
  3. 付加価値の提案:価格上昇と引き換えに新たなサービスを提供
  4. win-winの関係構築:顧客の利益にもつながる提案内容を含める

監修者の林氏は「価格交渉を恐れてはいけない。適正価格で受注できない案件は、長期的に見れば会社にとってマイナスでしかない」と断言する。

実際、X(旧Twitter)では「業界全体で価格転嫁しやすい環境にあり」という大手企業の決算発表が話題になっており、業界全体として適正価格への転換期を迎えている。

高利益率を実現する電気工事の新ビジネスモデル5選

従来の「工事だけ」のビジネスモデルから脱却し、高利益率を実現するための新しいアプローチが注目されている。ここでは、実際に成功事例のある5つのビジネスモデルを紹介する。

製造業の電気工事内製化サポート事業

多くの製造業は、電気工事を外注に依存している。しかし、工場のライン停止リスクや技術情報の流出懸念から、電気工事の内製化を検討する企業が増えている。

このニーズに応えるビジネスモデルが「内製化サポート事業」だ:

  • 技術指導サービス:製造業の保全担当者への電気工事技術教育
  • 設計・図面作成代行:内製工事の設計業務をアウトソーシングで受託
  • 部分的工事支援:高圧工事など資格が必要な部分のみ施工
  • 緊急時バックアップ:内製では対応困難な緊急事態の支援

面談データでは、ブラストマシン製造業が「外注を内製化したい」というニーズを持っていることが判明した。電気工事会社にとっては、従来の「工事の完全受託」から「技術支援・部分受託」への転換により、より高い技術料を得ることができる。

粗利率は40-60%と高水準で、継続的な技術指導契約により安定収益も確保できる。

IoT・省エネ関連の付加価値サービス

デジタル化・脱炭素化の流れを受けて、IoT・省エネ関連のサービス需要が急拡大している。電気工事の技術力を活かした付加価値サービスとして有望だ。

主要サービス内容

  • エネルギーマネジメント:電力使用量の見える化・最適化システム導入
  • 予知保全システム:設備の稼働データ分析による故障予測
  • スマートファクトリー化:製造ラインのIoT化・自動化支援
  • 太陽光+蓄電池システム:再エネ自給システムの設計・施工
  • EV充電設備:企業向けEV充電インフラの構築

特に注目すべきは、「設計・企画段階」での収益性の高さだ。IoTシステムの設計・企画は技術力と経験が重要で、競合他社との差別化が図りやすい。

ある電気工事会社では、工場の省エネ診断から始めて、LED化・インバーター導入・太陽光設置まで一貫して提案。総額2000万円の案件で粗利率35%を実現した。

定期メンテナンス契約によるストック収益化

電気工事業界でも「ストック型」のビジネスモデルへの転換が進んでいる。定期メンテナンス契約は、継続的な収益確保と顧客との長期関係構築を両立する有効な手法だ。

契約タイプ別の特徴

契約タイプ 粗利率 契約期間 主な内容
基本保守契約 50-60% 1-3年 定期点検、清掃、軽微な修理
予防保全契約 60-70% 3-5年 部品交換計画、故障予測、緊急対応
包括管理契約 40-50% 5-10年 設備更新まで含む包括管理
24時間サポート 70-80% 1-3年 緊急時対応、夜間・休日出動

ストック収益の最大のメリットは、売上の予見性と収益性の高さだ。材料費が少なく、技術料・サービス料が中心となるため、高い粗利率を確保できる。

実際、米軍基地工事を専門とする企業では「出張ほぼなし・転勤なし・残業20時間」という好条件を実現しており、ストック型収益による経営安定が働き方改善にもつながっている。

【まとめ】粗利率改善の本質は「構造設計」にある—持続可能な収益基盤の作り方

電気工事の利益率改善を考える際、多くの経営者が「もう少し高く売れないか」「材料費を削れないか」といった表面的な調整に注目しがちだ。しかし、本当に必要なのは事業構造そのものの再設計である。

利益率15%という数字は、確かに厳しい現実を示している。しかし、それは同時に改善の余地が大きいことも意味する。今回紹介した3つのステップ——原価管理の徹底、営業構造の転換、付加価値サービスの開発——は、どれも特別なスキルや巨大な投資を必要としない。

必要なのは「現状を正確に把握する勇気」と「変化を恐れない意志」だけだ。

監修者の林氏は最後にこう語る:「電気工事業界は今、大きな転換期にある。脱炭素、デジタル化、インフラ老朽化——これらの社会課題は全て、電気工事士の技術を必要としている。適正な価格で適正なサービスを提供すれば、必ず利益は確保できる業界だ」

利益率25%は決して夢物語ではない。構造を変える決断をした企業から、持続可能な収益基盤を手に入れている。

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よくある質問|電気工事の利益率・経営に関するQ&A

Q: 電気工事の下請けで材料費はどのくらい上乗せするのが適正ですか?

A: 下請け工事では粗利率25-30%が業界標準です。具体的には「仕入価格÷0.7」で計算し、定価を超える場合は「定価×0.9」で調整します。ただし、特殊材料や調達困難な部品については、より高い上乗せ率も正当化されます。重要なのは、調達にかかる手間とリスクを適正に評価することです。

Q: 電気工事の諸経費15%は高いのでしょうか?

A: むしろ低すぎる水準です。車両費、工具費、保険料、間接人件費などを適正に計算すると、最低でも20%、安全を見るなら25-30%が必要です。大手電気設備企業の販管費率は20%を超えるところも多く、中小企業でも相応の経費率確保が欠かせない。

Q: 売上1,500万円の電気工事士は法人化すべきですか?

A: まだ推奨段階ではありません。法人化により社会保険料負担や税理士報酬が増加するため、節税効果と追加コストを慎重に比較する必要があります。個人事業主のうちは小規模企業共済や倒産防止共済などで十分な節税対策が可能です。売上2,000万円を超えてから法人化を検討することをお勧めします。

Q: 利益率改善のために最初に取り組むべきことは何ですか?

A: 工事別の正確な原価計算から始めてください。多くの電気工事業者は「なんとなく」の感覚で収益性を判断していますが、実際に計算すると利益の出る案件と損失の出る案件が明確になります。Excel程度の簡単な管理でも効果は大きく、不採算案件の受注停止だけで利益率は大幅に改善します。

林(はやし)

この記事の監修者

林(はやし)|施工管理ちゃんねる(せこちゃん) キャリアアドバイザー

元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。

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