製図の仕事とは?業務内容や年収は?

図面は物作りに欠かせません。と言うのも、図面には作る物の寸法や形状、更には細かい部分の指定までも記載し、企画する人から製作する人に情報を伝える資料だからです。製図は図面を作成する仕事ですが、図面の重要度を考えると、非常に重要な仕事と言えます。

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目次

製図の役割とは?

まずは製図の役割について考えてみましょう。

役割1:作業指示

図面の目的のひとつに「作業指示」があります。
建築の場面で考えるならば、基礎の大きさや形状をどの様にするか、建物の外観はどの様にするかなど、設計者から工事担当者に的確に指示が行ってなくてはなりません。そして、この「作業指示」の部分を担当するのが、まさに製図なのです。
図面には、作る物について細かく記載がされています。製図を通して「どの様に作れば良いか」が分かる様になるのです。

役割2:情報伝達

物を作る時には、製作する側から購入する側に、物についての情報を提供しなければなりません。図面はその様な時の必須アイテムです。
物について製作者側から伝えるには、文字やスケッチでは的確に通じるとは限りません。そのために図面が必要となり、製図をしなければならなくなるのです。

建築の分野においては、建物の外観や土地の広さだけでなく、部材の寸法や仕様が図面に描き込まれ、それが工場や業者、あるいは工事担当者に渡って建設作業に移ります。そして、その後ろに図面があり、製図の仕事があるのです。

役割3:承認取り交わし

物を売買する場合には、買手の承認が必要です。
売主が「この様な仕様で売るよ」と図面を使って言うのに対して、買手が「その仕様通りで購入します」と返事をする必要があります。この「返事」が承認なのです。
具体的には、物の販売資料として図面を添付します。買手はその図面に捺印をして売主に返します。それで承認取り交わしとなり、売買する物に対する共通認識が出来たと言えるのです。

また、買手がその仕様に対して不満だった時には、「この寸法を変える様に」と図面を修正して返すこともあります。
製図は売主が、物の仕様を伝える時、買手が注文をする時、それぞれにおいて必要になるのです。

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製図に求められるスキルとは?

次に製図に求められるスキルについて考えてみましょう。

スキル1:CADのスキル

昔はドラフターなどが作図ツールでしたが、今はCADが作図ツールの中心的役割です。
そのため、CADの使い方をマスターする必要があります。そして、今のCADはパソコンがベースの物が多いので、パソコンの使い方を一通りマスター覚えなければなりません。
例えば、CADには二次元的な作図もありますが、三次元的な描写が出来る物もありますが、三次元的な描写が出来るレベルが望ましいです。

スキル2:作図ルールの理解

図面はどの様に描いても良い訳でなく、一定のルールの元に作成されています。製図担当者は、このルールをしっかりと覚える必要があります。と言うのも、誤解を招く図面だと非常にマズいからです。
例えば、物を図面で表現するためには、正面、縦、横を描きますが、例えば中空の形状の物など、場合によっては任意の場所の断面なども描く必要があります。その際には中空の部分まで正確に描かなければなりません。この時に作図ルールの理解が甘いと誤解を生みます。
そのため、製図担当者は作図ルールを覚え、適格に図面を描かなければならないのです。

スキル3:形状の認識力と表現力

製図に求められるのは、正確な形状認識と的確な表現です。
例えば、四角や丸などの単純な形状であれば、製図も比較的簡単かも知れません。しかし、図面で表現しなければならない物は、その様な単純な形状の物だけでは無いのです。

例えば、建築部材の中には直線的な柱や梁などだけでなく、円弧状に曲がった部材も少なくありません。そして、その曲がった部材も、曲がり方向や曲げ半径などもしっかりと記載した図面が必要です。そして、製図側としては形状の認識力や表現力が無いと製図の作業が難しくなるのです。

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製図の働き方は?

今は製図はCADが一般的となっているので、基本的にはパソコンと向き合う時間が非常に多くなります。例えば、8時間勤務の会社の場合、6時間~7時間パソコンと向き合う必要があります。
そのため、一日中同じ姿勢を取る必要も出て来るため、目や肩に疲労が出てしまいます。

製図の1日の流れは

現場にもよりますが、製図担当者の一日は、パソコンを立ち上げてCADを起動し、必要に応じて依頼主との打ち合わせに出る…と言った具合になります。依頼主との打ち合わせは主に、作図する物の具体的な内容や、現場の説明、納期の注文がメインです。また、複数の作業を平行して進めることもありますが、その調整も打ち合わせの中で決めることもあります。
仕事の進め方によってはクライアントとの打ち合わせに参加したり、現場を見ることもあるでしょうが、基本的にはパソコンと向き合って1日が流れて行くケースが多いです。
尚、会社にもよりますが、製図担当者の一日は次の様になります。
9時 設計担当より指示
10時 作図開始
12時 昼休み
13時 作図開始
18時 終業
作業が終わらない場合は次の日に持ち越され、朝9時から作業を再スタートする場合があります。また、作業中に図面の修正があると、再度打ち合わせが発生することもあります。

製図の休日や休暇は?

これも現場やタイミングによって条件が違い、休みやすい職場と休みにくい職場があります。
ただ、共通して言えることは、製図は納期に追われることが多く、そのために休みが潰れてしまう場合も多々あることです。

ケース1:企業に勤務するオペレーター

製造業や建設会社などで、専任の製図担当者を置いている場合があります。こちらは休みは基本的に、会社の営業日に準拠して取れます。土日及び祝日は休みとなります。企業に勤務している立場から、給与体系や福利厚生はしっかりしていると言えるでしょう。
尚、仕事は納期に追われますが、給与体系などは安定しています。休みや給与に関しては安心できる職場です。

ケース2:派遣・バイト

製図が派遣やバイトで行われるケースもあります。この場合も休みは会社の営業日に準拠して、土日祝日の休みとなります。
正社員とは違いますが、基本的には職場に拘束されます。ただ、給与体系が時給換算の場合も多いので、待遇面での相違は出て来ます。

ケース3:ネット経由など

最近ではクラウドソーシングでの製図の仕事がやり取りされることもあります。この場合は出来高払いとなりますので、休みなどは自分で管理する必要があり、納期に合わせてスケジュールを立てなくてはなりません。
尚、この雇用形態が増えた背景には、高性能のCADがフリーソフトとして出回っていることと、ネット経由のフリーランスの人が増えたことによります。

製図の仕事が激務と言われる理由

ここで、製図の仕事が「なぜ激務を言われるか」について考えてみましょう。

本当に激務なの?

製図と言うと「描くだけ」とも取られがちで、簡単な仕事と思われる場合が多いですが、要求される数や納期を勘案すると、激務と言わざるを得ません。具体的な納期や枚数などは現場にもよりますが、生産現場の都合から「今週中に欲しい」「明日までに欲しい」と言った「超」が付くほどの超短期の納期や、制作する物によっては図面が10枚~30枚レベル、あるいはそれ以上の図面が求められたりします。
そのため、残業が入る場合も多いですし、休日も出る必要も発生します。

激務と言われる理由は?

激務と呼ばれる理由にはいくつかあります。
肉体面では、同じ姿勢で長時間緊張していなければならない点や、拘束時間が延びる場合が挙げられます。例えば8時間勤務の職場があると、7時間同じ姿勢でパソコンを見ることになったり、残業の時は更に時間が増えます。
また、仕事のスピードや段取りなども問われます。複数の人から作図依頼を受けることも珍しく無いため、自分でスケジュールを組み、それぞれの納期に間に合わせる必要があるからです。

製図の年収は?

年収は仕事を選ぶ上で非常に気になる点です。製図の仕事の場合はどうでしょうか?

年齢別

製図の年収は年齢と共に上がるのが一般的です。
地域にもよりますが、20代で350~400万円、30代で480~510万円、40代で520~570万円、50代で570~640万円くらいになります。

経験年数別

経験年数でも収入が違って来ます。
目安になりますが、5年で350~400万円、10年で480~510万円、20年で570~
640万円くらいになります。

職種別:機械製図技能検定1級:

職種として電気、機械、建築を挙げると、会社にもよりますが電気が年収500万円くらい、機械が450万円くらい、建築が550万円くらいが目安です。

職種別:機械製図技能検定2級:

2級になると、やはり年収は落ちてしまいます。
電気が450万円くらい、機械が400万円、建築が400万円です。

職種別:機械製図技能検定3級:

次に3級です。
3級になると、収入が減るという感じよりも就職先が減る感じになります。
電気、機械、建築において、大体350万円になります。

製図の将来性は?

製図の将来性は、電気、機械、建築など、広い産業に渡って将来も需要があると言えます。特に製図は工業分野だけでなく、食品などの一見すると工業とはあまり関係が無い分野においても需要を見込むことが出来ます。と言うのも、企業が工場を持っていれば、何等かのエンジニアを抱えている場合が多く、そこに製図に関する仕事が見込めるからです。

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製図の年収をあげるには?


ここで、製図担当者の年収を上げる手段について考えてみましょう。

資格をとる

第一に上げられるのが資格を取ることです。
前述の通り、製図の1級~3級を見てみると、3級と1・2級は条件なども違います。これは3級の年収が減るからという感触では無く、就職の門戸が違うからなのです。
多くの企業は製図担当をするにあたっては1級と2級を求めています。その感触からすると、より上位の資格を取るならば年収アップに繋がると言えます。

経験を積む

勤続年数のところで述べた様に、勤続年数が長いと年収もアップします。これは勤続年数と年齢がリンクして年収が上がる感じになるからです。そしてそれは経験の長さと密接に繋がります。
尚、スキルアップに必要な経験には単に図面を描くだけでなく、材料の知識なども増えると、より正確な図面が描ける様になり、キャリアアップに繋がります。

転職をする

転職も年収のアップに繋がる場合もあります。先に挙げた様に、職種や業界によっても収入が違う場合があります。また、企業によっても賃金レベルが違うケースも見られます。そのため、違う業界、あるいは違う会社への転職は収入アップの手段ともなるのです。

最後に

製図の仕事のアウトラインや収入、そして需要などについて述べて来ましたが、製図の仕事の魅力は広い分野から歓迎を受けやすいことがあります。会社によっては資格によって収入が変わったり門戸の広さも違ったりしますが、そこはガンバリ次第の面とも言えるでしょう。

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