独立したい!フリーランスの建築施工管理技士の働き方とは?

みなさんは今のご自身の給料について満足されているでしょうか。
正社員だからといって、ご自身のスキル、能力に見合った給与をもらえているとも限りません。今では建設業の働き方も多様化しています。建築施工技術者として働かれている方の中にも、一度は「独立」を考えたことがある方も多いのではないでしょうか。

「独立」といっても、自身が社長となり「起業」するケース、個人事業主となるケース、派遣社員として働くケース等、選択肢は複数あります。

今回は、主に建築施工技術者として「フリーランス」で働くケースについて紹介していきます。近年、フリーランスとして働く人が増えてきています。そういった背景も意識し、特に正社員として働くことと比較して、紹介していきたいと思います。

繰り返しになりますが、正社員だからといって、自身の能力に見合った給与、ライフスタイルを得られているとも限りません。みなさんのこれからのキャリアを考える、ひとつのきっかけになっていただけたら幸いです。
それでは、はじめになぜ正社員としての道を歩まれている方が多いのかについてみていきましょう。

正社員として働く理由

正社員として働く理由は、想像しやすいでしょう。簡単にまとめていきます。

◉常に仕事がある
◉収入に安定性がある
◉大きなプロジェクトで、責任あるポジションとして働ける

常に仕事がある

仕事は、基本的に会社側が受注をし、プロジェクトごとに各施工監理技術者に割り当てられます。自ら次の仕事を獲得してくる必要がないので、1プロジェクトに集中して、仕事を進めていくことができます。
また「大きな仕事に携われる可能性がある」ことも企業の一員として働くことのメリットといえるでしょう。

ただし、会社から割り当てられた仕事は、たとえ嫌でも、断ることは難しいといえます。サラリーマンであるゆえ…ここは仕方ないのかもしれませんね。

収入に安定性がある

大抵の場合、会社の経営状況が危うくない限り、次の仕事は決まっています。フルコミッションでない限り、基本的に前月同水準の給与確保は見込めるはずです。短期間での大幅な昇給は見込めませんが、フリーランスに比べ、来月の生活への不安等、精神的ストレスは小さいといえます。非正規社員に比べ、住宅ローン等の審査も通りやすい等々、計画的な将来設計がしやすくなる点はメリットといえるのではないでしょうか。

大きなプロジェクトで、責任あるポジションとして働ける

非正規雇用者でも建設現場で働くことは可能ですが、建設業法の関係により、「主任技術者」として働くには企業との直接雇用(=社員であること)が要件となっています。
会社に雇用されていない人は「主任技術者、現場代理人になれない」「公共工事の仕事ができない」などの制約があったりします。

現場の規模は勤務先の事業内容により、大小の差はありますが、将来それなりに「責任あるポジション(監理技術者、主任技術者など)で働きたい」という希望をお持ちの方には、正社員としてキャリアを築いていく道をオススメします。

正社員のメリットはイメージしやすかったと思います。ここからは、フリーランスのメリット・デメリットや、独立する際に身につけておいた方がいい能力について紹介していきます。

独立します!の前に…必ず必要な能力とは?

◉施工管理能力・資格
◉コミュニケーション能力

この2つは正社員でもフリーランスでも、建築施工技術者として現場監督を任務する上で、必須の能力といえます。ただし、フリーランスにとっては自ら仕事を受注する必要がある為、より必要不可欠な能力となってきます。これらの能力にやや苦手意識を抱いている方には、独立は強くオススメできません。仕事を受注できず、逆に生活が苦しくなってしまうリスクがあるからです。

施工管理能力・資格

建設現場では、経験値がものをいう業界です。これまでにいかに多くの現場での監督経験があるかどうかが鍵になってきます。人材不足の問題がある建設業界においては、経験値のある「即戦力」人材に対し、各企業および各現場から高い需要があるのです。

また「建築施工管理技士」等の資格(1級、2級)により、自身の実務経験を証明、アピールすることができます。

「建築施工管理技士」の資格は、建築施工における深い知識を習得していることだけでなく、実務経験があることを証明する国家資格です(そもそも受験資格として、◯年以上の実務経験がある者といった要件があるからです)。実際に、資格取得者とそうでない方に対する周囲の反応は全然ちがうという話をよく聞きます。

コミュニケーション能力

こちらも現場監督として働く方にとって、正社員、フリーランスに関わらず必要な能力であることは言うまでもありません。フリーランスは、正社員と違い、次の仕事が勝手に降ってくる訳ではない為、自分自身が選ばれし人間になる必要があります。

みなさん、自分自身が社長だったり、現場監督を選ぶポジションになったと思って、イメージしてみてください。施工管理能力・スキル・経験値は同じくらいのAさん、Bさんがいます。Aさんは、指示内容は的確ですが、物静かで、休憩中も工程表とにらめっこしているタイプ、一方Bさんは明るくて、いろんな人に積極的に話しかけるタイプで、休憩時間も職人さんたちと雑談等々しています。あなたならどちらの人間を選ぶでしょうか。

工事現場は様々なキャラクターの職人さんたちがたくさん集まっています。働いているのはロボットでもなく、人です。人に気に入られる術をもっているとそうでないとでは大きな違いがあるのではないのでしょうか。技術的な面よりも、現場での人間関係構築の方が難しいなんてことは、みなさん周知の事実ですよね。コミュニケーション能力が高い人ほど重宝されるのは当たり前だといえるでしょう。

独立の道=選ばれし人間になるべし

仕事を受注する(=自分を選んでもらう)には、「施工管理能力」と「コミュニケーション能力」をより高めていく必要があります。コミュニケーション能力に加え、「建築施工管理技士」の資格保有者だ、といった面もうまく利用して、周囲の信頼を勝ち取っていくのも効果的だと思います。

ただ、極端にはなりますが、施工管理の技術的なスキルは、経験により、今後どんどん蓄積していくことができる能力ですので、今後フリーランスの道を考えられている方にとっては「人から好かれる能力」、こちらの方が、継続的に仕事を受注する、自分を選んでもらう上では必要な能力なのではないかと、個人的には思っております。

また、フリーランスとして働く上では「交渉力」が大事になってきます。このあと詳しく紹介していきますが、契約更新の都度、交渉力により、より良い条件を勝ち取ることもできるようになっていきます。「選ばれし人間」になり、自身の求める条件、ワークスタイルを実現させていきましょう。

ここからは、フリーランスとして働くことのメリットとデメリットをみていきます。
まずはデメリットの方からみていきましょう。

フリーランスとして働く上でのデメリット・リスクとは?

フリーランスとして働くことのデメリットについてみていきましょう。これは正社員のメリットの対局の理由が挙げられます。

収入が不安定

フリーランスは正社員と違い、次の仕事が勝手に降ってくることはありません。自分自身が選ばれて、仕事を受注してくる必要があります。
先述しましたが、管理施工能力やコミュニケーション能力が欠けた状況で、独立をしても、なかなか受注を得られなかったり、少額の報酬案件を引き受けることになり、正社員時代に比べ、低収入となったり、収入不安定状況が続いてしまうことがあります。

また、常に「次の仕事はもらえるのだろうか」「来月の生活は大丈夫なのか」等の、将来に対する不安と隣り合わせです。こういった精神的なストレスと常に向き合っていかなくてはいけないので、安易な独立はオススメできません。

スポット的な現場監督?

一般的に、フリーランスとしての現場監督は、建設会社と期間契約を締結して働く=「プロジェクト期間内だけの社員」に近いイメージといえます。

「正社員のメリット」の項で紹介しましたが、建設業法の関係で、会社に雇用されていない人は「主任技術者、現場代理人になれない」「公共工事の仕事ができない」などの制約があったりします。そのため、せっかく仕事を受注できても、実態として新米監督がやるような雑務をスポット的にこなすような案件ばかり受注することになってしまうことも想定されます。

「大きなプロジェクトで、責任あるポジション(監理技術者、主任技術者等)で働きたい」という気持ちが強い方は、大手ゼネコン等でキャリアを築いていく道を選択された方がいいのかもしれません。

確定申告が必要?

個人事業主として年間所得が38万円以上ある場合、給与を2箇所以上から受けて
いる場合等々…フリーランスで働く方は、確定申告が必要になってくるケースがほとんどです。正社員や派遣社員であれば、ほぼ会社がやってくれるので、面倒はありませんが、フリーランスは確定申告(税務)や保険等についても自身で対応しなくてはいけないので、そこは手間になってきます。

いざ独立!フリーランスのメリットとは?

では、本題に入っていきましょう。監理技術者の不足が問題視されている建設業においては、非正規であっても、採用ニーズは高まりをみせています。そういった背景もあり、非正規として働く施工管理技術者も増えてきています。
フリーランスとして働くメリットとして、なにがあるのでしょうか。紹介していきます。

収入アップ!?

デメリットの項で、「収入が不安定」と述べましたが、自身が「選ばれし人間」となり、市場価値を高めていけば、フリーランスとして収入アップの可能性が大いにでてきます。

先述しましたが、フリーランスは「プロジェクト単位」で契約を締結することが一般的です。正社員のような福利厚生はありませんが、スキルや能力、またこれまでの実績があれば、契約更新の都度、一回あたりの受注金額を伸ばす等、交渉次第でより良い条件を得ることができます。だからこそ、先述した「交渉力」も重要になってくるのです。

また、自分を気に入ってくれるお得意先を見つけることができれば、安定的な収入を確保することも可能になってきます。個人事業主化はしているけども、ある一企業の準社員的な位置付けで働かれているケースもあるようです。より安定的に収入確保ができるといえるでしょう。

ワークライフバランスの調整ができる

フリーランスには「自分の仕事を自分で選択できる」という特権があります。
仕事の取捨選択をうまくしていけば、ワークライフバランスを整えることが可能です。
施工管理の仕事を「やめたい理由」の鉄板理由に「プライベート時間を確保できない」があります。「残業時間が多い…」が当たり前、慢性化している職種なので、この点は独立の大きなメリットといえます。

またプロジェクトごとの契約がほとんどなので、プロジェクトが終われば、長期休暇も取得可能になる等、プライベートを充実させることができるようになってきます。
ここまで自身でワークライフバランスをコントロールすることができれば、独立も成功といえるのではないでしょうか。

脱サラリーマン精神

独立することで、あの会社内の「だるい人間関係」から解放されます。社内の人間関係の問題は、どの業界でも、転職理由ランキングでも当たり前のように上位にランクインするほど、ストレスの最大の源といえます。この解放感はたまらないでしょうね(笑)。

またここでも、「自分の仕事を自分で選択できる」特権が活かされてきます。サラリーマンの場合は、自分に回ってくる仕事は嫌でも断れないですよね。フリーランスは「この仕事は割に合わないな」と感じたら、断ることが可能です。しかし、能力あっての交渉ごとになりますので、自身のスキルアップは日々欠かさないようにしていきましょう。

独立前の下準備!?サラリーマン時代にやっておくべきこと

すでに触れてきましたが、「施工管理能力」「コミュニケーション能力」が必要なのは言うまでもありません。
その他に独立前からやっておくべきことがあります。それは「人脈づくり」です。

独立していきなり仕事が舞い込んでくるなんてことはなかなかありません。独立した後に、仕事をくれるのは、以前からの知り合い経由というケースがほとんどです。

サラリーマン時代に、現場経験の中で、常に誠実な仕事や人付き合いをして、取引先や職人さんたちから信頼を得ておく必要があります。一定の信頼を得られている人間は、独立した際にも「あの人、独立したらしいよ。」「今度、頼んでみるか。」という話になりやすいようです。やっぱり、信頼を得られている人は圧倒的に強いといえますね。

自らの人脈をフル活用することが、フリーランスとして成功する近道といえるでしょう。
サラリーマン時代にも得られるものは大きいです。今のうちから下準備をしていきましょう。

こんな道も?現場以外のお仕事

建築施工管理技術者としての、スキルや経験を活かせるのは現場だけとも限りません。
これまでの経験、知識を活かし、建築系の専門学校で講師をつとめている方もいます。
また労働安全衛生コンサルタントの資格を取得し、社外コンサルタントになったり、安全講習会の講師をつとめる方もいます。

現場以外の仕事として、講師としての仕事や、複数の会社とコンサルタント契約を結ぶことができれば、定期的な収入を確保することができるので、心にも余裕がでてくるのではないでしょうか。
このように現場以外での仕事や収入源を確保できる点はフリーランスのいいところでしょう。

派遣社員はおいしい?

実は、フリーランスとまではいかないけれども、敢えて「非正規(=派遣社員)」として働く道を選ばれている方も多くいます。なぜでしょうか。みていきましょう。

確定申告不要!?

派遣社員や派遣会社に雇用される形になっているので、税金、保険負担の手続き等についても、ほとんど派遣会社がやってくれます。ですので、年間の給与収入がその派遣会社一社からであれば、確定申告が不要になるケースがほとんどです。確定申告の手続きがないっておいしいですよね。

正社員よりも高収入!?

派遣会社は派遣社員の給与を上げるノウハウももっている(派遣会社も単価が上がった方が嬉しい)ので、高額の仕事を提示してくれるケースも多いようです。高い施工管理能力、スキルをもっている人であれば、短期的には正社員よりも稼ぐことが可能となっています。こういった方は、実際に企業からの正社員としてのスカウトがあっても、あえて派遣社員として働くことを選択しています。これまたおいしいですよね。

大手ゼネコンの正社員になれる!?

最後にもうひとつおいしい情報を紹介します。
大手ゼネコン等に派遣され、そこでの建築施工技術者としての仕事ぶりを評価されて、そのままヘッドハンティングされるケースがあります。

その背景には、大手ゼネコンといえども、施工監理技術者が不足しているという現実があります。建築施工管理技士といっても、人によって経験値、レベルに差があるのが実態です。そのため、最初から正社員として採用することは企業側にとってもリスクなのです。間違った人材を雇用すると、企業側にとっても大きな損失となるので、そのリスクを避けるため、企業も派遣会社を利用しているというわけです。まずは派遣社員として現場に受け入れ、良い人材を見つけたら自社の社員として雇用する、こういったスキームを狙っているのです。

このように派遣社員から大手ゼネコンからヘッドハンティングされるケースも多いようです。

「独立」といっても、派遣社員として、あえて企業に属さない。こういった道もありますので是非、参考にしていただけたらと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。
ここまで紹介してきたように、正社員として働くことだけがすべてではありません。
会社は組織ですので、常に自分の給料やポジションが正当な評価を得られているとは限りません。希望の待遇やワークライフバランス実現のためい、転職の他にも、今回紹介した「独立」「フリーランス」も選択肢にいれてみてはいかがでしょうか。

ここまでみてきましたが、フリーランスとして働くことは、非常にメリットがある一方、当然リスクも伴います。繰り返しになりますが、いかに自分が「選ばれし人間」になれるかが重要となってきます。サラリーマン時代でも、着々と実務経験の蓄積や人脈づくりが可能ですので、将来を見据えて、日々の業務に邁進していただければと思います。

どちらが正解というわけではなく、正社員の良さ、フリーランスの良さがそれぞれあります。ただ今の会社に囚われずに、「転職」や「独立」の道も選択肢に入れていく視野の広さが重要だと筆者としては思っています。

いかに自分が市場価値の高い人間になるか、選ばれる人間になるかについて突き詰めていけば、日々の業務のモチベーションも変わるのではないでしょうか。自分がどれだけ「交渉材料」を持ち合わせているか、これが建設業界でのキャリアアップを成功に導く鍵といえます。
こうした交渉材料を武器にアクションを起こすだけでも、転職・独立せずとも現勤務先での待遇面が向上するケースもあります。正当な評価を得られる環境で、より一層のご活躍をされることを期待しています。

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