準備工事の中でもっとも大切な作業の1つが測量です。建築主の描いている理想を現実に落とし込み、設計を進めていくには、周辺の構築物や道路などのインフラや建物の外壁線といったポイントをしっかりと測量する必要があります。
測量をミスしてしまうと後戻りができないくらいの失敗に繋がるので、注意が必要なポイントです。設定した境界とベンチマークは建築主と設計者と立会いの上で確認することでミスを防ぎます。
今回は測量の中でも気をつけるべき3ポイントについてお伝えします。
ポイント1.境界設定とベンチマークの二重確認
計画している建築物の位置決めは、通常では境界石からの離れ寸法によっておこなわれますが、建設においては、官民境界と・民間境界の測量図との見比べ道路管理者とのすり合わせは重要になります。
特に境界設定と、ベンチマークの設定においてはそれぞれ十分すぎるほどのチェックが必要になります。そこで失敗すれば、作業全部が失敗に終わる可能性が高くなるからです。
ベンチマークの設定
水準点の高さの設定確認を忘れないこと。建物の床の設定は、周辺道路が計画区域の場合や、前面道路が工事中の場合はミスがおきやすい。そして実際にミスが起きているのが事実です。
この設定の際は、道路管理者の立会いを求めて、ミスを防ぐことが重要です。ベンチマークの測定は、図面にして工事終了まで保管することが望ましいです。
境界測量の手順
- 境界石の立会い
- 公道の境界石の立会い依頼
- 確定した境界石と測量の記録
まずは隣接する土地の地権者と、土地の地権者と、管理者で集まり、測量による境界をチェックします。
その次に、道路などの公境地とあなたが開発する土地との境界確認は、行政窓口と行います。
確定した境界石の測量とオフセットポイントを図面に記載して、関係者が一部ずつ保有します。
ポイント2. 不動点のリスク対策
境界石やベンチマークは一般的に不動点と考えられがちです。しかしながら、純技術的には不動点になりません。特に建設計画地に近い境界石は工事中に動くことは避けられないからです。
そのため影響のないところまで逃げて、動かない可能性の高い構造物を探し、オフセットポイントをとることが重要です。
不動点が動くリスク1
立てようとする建物が極めて大きい場合、地下工事を行うことで大量の土が発生し、それを移動させる際に、おもりになっていた土がなくなることで地盤がうきあがることがあります。
こういったケースにより建物やベンチマークが動くことがあります。
不動点が動くリスク2
超高層ビルにおいても風やクレーンの稼働などの状況により、建造物がうごいていることがあるため、測定の時間帯や誤差の調整などあらかじめ論点にいれておくことが必要になります。
一般的にはコンクリート打設階の最上階のオフセットポイントに戻って、そこを起点に測量をすすめます。
ポイント3. 測量誤差と最終チェック
建築工事管理者の重大なミッションが、敷地内で設計された建物を正確に配置することです。建設用地が、比較的整えられていて大きくないケースでも、高さの設定には注意が必要です。
また敷地が広大な場合には、建物が数棟になるケースがありますが、こういった場合には測量の重要度はあがってきます。ちょっとした誤差でも全体に影響がでてきますので、自ら現場に立ち、チェックをするのがよいでしょう。
建物全体への影響があるパートになりますので、最終納品物の品質に大きな影響がありますので、計画をたてて、その計画に基づき作られたチェックリストと確認がされているかを入念に行いましょう。
4つの測量器具について
よく使われる測量器具について紹介させていただきます。
トータルステーション
一般的に利用されている高性能の光波測定器です。
3D測定器
高額な気概ですが、複雑な構造体であっても短時間で測定でき、立体的な制度の高い図面ができます。
GPS測量機
人工衛星を利用して行われる測量機です。トータルステーションのチェック用に使われることが多いです。
レーザー墨出し器
現場で多く使用されるようになった簡単な墨出し器です。
おわりに
何事も準備は大事ですよね。はじめに描けないものは現実化しないのが建築の世界です。しっかりと考えぬかれた設計図、そしてそれを現実化するためにおとした計画、さらには事前に入念に測量された計画書。
こういった入念な準備によって建築物ができあがるのです。
コメント