設備設計とは?仕事内容や年収は?

建築物の設計は意匠だけでなく、構造と設備も重要な要素です。
本記事では設計という仕事のうち、設備設計にスポット当てることで、食わず嫌いの学生、キャリアアップを求めるエンジニアに興味をもってもらい、選択肢の幅を広げるきっかけになってくれれば幸いです。

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目次

設備設計の役割

設備設計の仕事の役割は建築物を快適な環境で使用できるようにシステムを構築することです。その為に重要なポイントを紹介します。

役割1:建築物の環境性能を確保

建築物はデザイン画を書いて、プランを作り、高さ、重量に応じた建物の構造解析を行って箱を作っただけでは唯の入れ物です。そこには十分な光を取り入れる工夫が必要であり、収容人数に応じた空調、換気システムが必須となります。

建築物のインフラ整備が設備設計の役割となり、どこに空調機械室を配置し、どんな方式で暖かい空気、冷たい空気を各居室へ届けるのかを考えます。給排水の為の設備は建物の規模に応じてポンプアップするのか、給水管の圧力そのものでいけるか等を検討し必要な環境性能を確保します。

役割2:デザインと機能の融合

建築という仕事は意匠設計が花形だというイメージが根強いでしょう。しかし、デザインがどれほど優れていようが、使ってみて莫大な光熱費が掛かってみたり、温熱環境が以上で暑い場所と寒い場所の差が大きく窓が1年中結露していたらどうでしょうか。

デザインと機能を融合させるために意匠設計で決まった窓の形状で本当に換気が取れるのかを確認したり、大空間の吹き抜けの天井内のスペースが大空間の空調能力に見合ったスペースになっているかを確認します。こうした設備設計の確認と調整が大胆なデザインを現実のものにしています。

役割3:建物のライフサイクルコストを最適化

建築物を新築してから、廃棄・解体されるまでに掛かる費用をライフサイクルコスト(以下LCC)と言います。建築物を建設する時の建設費はLCCのおよそ1/4ほどであり、修繕・保守管理・水光熱費が大半を占めています。

このランニングコストに大きく影響するのが設備設計であり、施主の要望に答えて建設時にコストを削った事で修繕費が嵩んでしまってLCCが膨らんでしまった…などといった事にならないように更新しやすい機器やシステムを提案し修繕、水光熱費を最適化するのも設備設計の大切な役割です。

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設備設計に求められるスキル

設備設計の仕事は完成した建物の環境性能を確保することですが、建築物は2つとして同じものが無いため、毎回同じ回答はありません。そのため調整能力と想像力がスキルとして求められます。

スキル1:調整能力

設計業務は意匠も構造も設備も相互関係があるため、どれかの部門単独で設計業務を完結することはできません。例えば火災が発生した際の煙を屋外に排出するための排煙ダクトスペースという空間が必要になります。

意匠設計の立場からすると大きなデッドスペースになってしまうので建物の端っこの人が寄り付かない場所に配置したいところです。しかし、設備設計の立場では火災時の煙を効率的に集める為に建物の中央付近に配置したいと考えます。
構造設計の立場では大きなダクトが床を貫通するならダクトの廻りに床を支持する梁を追加しなければなりません。

このようにそれぞれの立場で関連性があり、一つの物事を決めると連動して他の部署も調整する必要が出てくる為、意匠、設備、構造で関連性、不整合を見つけ出し、調整するスキルが求められます。

スキル2:想像力

想像力というのは意外に感じるかもしれません。
しかし、出来上がった建物の熱環境、換気、照明の効果は数値で妥当な範囲を設定することは可能ですが、ヒートブリッジから発生する内部結露や、部屋の使われ方の違いから発生する温度差による結露などは気づく力が要求されます。

設備設計の働き方

建設業界は繁忙期の波が激しい業界です。設備設計の仕事は大きな案件の時は専任で仕事をし、小規模の案件では兼務で物件を掛け持ちするため、繁忙期の波に関係なく一定の忙しさがあります。建築物の引渡しに設計業務が追われることはありませんが、申請関係の書類の期日は付近は忙しくなります。ここでは、1日の流れや休日について紹介します。

設備設計の1日の流れ

・9:00
出社します。支店に出社する日が大半ですが、週に2回程度は朝から現場で分科会(監理者、施工者との調整会議)があり現場に向かうこともあります。
現場での分科会がない日はメールチェック、その日のスケジュールの確認等を行い、午前中の会議の準備をします。
・10:45
部門の進捗会議を行い、部署ごとのタスクが滞ってないかの情報を共有をします。
・12時
昼休みは事務所が消灯するため、昼食を近くで済ませます。午後からの打ち合わせの為の移動で昼休みが消化されてしまうこともしばしばあります。
・13:00
定例会議で新規案件の有無や、書類・図面の提出スケジュールの確認、進行中物件でのトラブルのヒアリング等を行います。午後に現場で分科会がある曜日は、13:00から18:00頃まで何種類かの分科会を続けて行い、会議室に缶詰になります。
・15:00
定例会議後は個別の打合せやヒアリング、現場から提出された図面や書類のチェックを行います。
・18:00
支店に終日居る日は自分でスケジュールを調整しやすいため、18:00からデスク周りを片付け、残ったメールを打って19:00前には帰れます。現場で打ち合わせをしている日や施主を交えた定例会議の日は相手が居るため、会議の終了時間が18:00を過ぎることもあります。
会議の前日は発表せざるを得ないため、22時近くまで残業することが多いです。

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設備設計の休日や休暇

建設業界は忙しいイメージが定着していますが、働き方改革の追い風もあり、内勤部門の休日についてはしっかり取れるようになってきました。ここでは設備設計の休日の取得について紹介します。

土日

正直2,3年前までは土曜日という概念が無かったのですが、現在は土曜日に出社は禁止されており、土日はしっかり休んでいます。
毎週現場から図面、書類が提出されチェック期日として約束した期日の直前や
役所に提出する確認申請関係の期日が迫っている場合などは、上司に許可を取り休日出勤というケースもあります。
建設業界は繁忙期の波があると良く言いますが、大きな案件の時は専任、小規模案件では兼務するため、良くも悪くも一定の忙しさがありますが、土日は休めます。

連休

年末年始、GW、お盆などの連休は長期休暇が取れます。これも2,3年前まで客先との打ち合わせなどで何日間かは出社していたものでしたが、そもそも打ち合わせする相手である客先の会社が休みなので休めるようになりました。繁忙期で現場が稼動していても、設備設計は出社しません。

有給

日々打ち合わせや、書類作成、申請業務を行っていると、有給を使いまとまった連休を平日に取るというのは実際には中々難しいです。
しかし、どうしても行きたい行事で突発的に有給を使っても誰も嫌な顔をしません。
数年前まで有給申請をしている社員は少なかったので、部署や会社によってはまだ古い体質が残っているかもしれませんが、設計という部門は比較的有給が取りやすい部署であると言えます。

設備設計の仕事が激務と言われる理由

設備設計は激務と言われますが本当に激務かどうか理由と、今後改善の見込みがあるかを紹介していきます。

本当に激務なの?

色々な業界があるのでどの程度から激務と呼ばれるかは判断が難しいですが、設計業務は意匠も構造も設備も激務といえます。朝9時に出社し、18時まで会議の後その他の業務を行い19時手前に帰社すると1時間半、分科会が長引けば20時に一度事務所に戻り、帰社は21時になるので3時間残業です。進捗会議の前日は22時まで仕事していることもあるため、月の平均残業時間は45~60時間程です。

激務と言われる理由は?

朝9時に出社し、分科会が長引いた日や申請までの期日が迫っている時には22時過ぎまで仕事をし、帰りに晩飯を食べて帰ると日付が変わっていることもあります。

月平均で最低でも45時間ほど残業していますが、そもそも労働基準法で36協定では月の残業時間は45時間が上限とされています。でも実は建設業は特別条項で残業時間の上限を上げられるんです。

私自身入社した後5年くらい経過するまでその事実を知りませんでした。法的にも激務になりやすい環境と言えます。しかし、働き方改革の推進で特別条項での残業時間の上限を上げて良いのが1年通して半分になりました。残業自体が違法になりつつあるので、今後改善が見込めます。

設備設計の年収


設備設計に限らず、設計者の年収は年齢や、資格の有無ではなくどの会社に就職するかで大きく違ってきます。年齢と経験年数、資格によっての年収の目安を紹介します。

年齢別

・20代前半では400万程度
・20代後半で550万程度
・30代前半で650万程度
・30代後半で750万程度
・40代では850~900万程度
というのが大手の設計事務所、ゼネコン設計部の年収です。
大手ではなく、中小規模の会社だとすると、100万程低くなります。
私は大手の会社に所属していますが、入社1年目のときに30歳になったら自分の会社の年収を他の会社の社員、特に取引先には絶対に口外しないように言われました。それだけ、大手とそれ以外で差が大きいということです。

経験年数別

新卒~9年目までで400万~550万程度、10年を超えると650万~750万程度になります。
経験年数20年だと850万~資格もあれば1000万を超える場合もあります。
企業によって増減がありますので、あくまで目安となります。

職種別:設備設計一級建築士

一級建築士の資格を取得後、5年以上の実務経験を経て初めて受験できる難関資格です。
20代で取るのは至難の業といえます。年収は700万から1000万の間となることが多いですが、大手ゼネコンの40代でこの資格を持っていれば1000万オーバーもあり得ます。

職種別:建築設備士の年収

実務経験が最低2年必要ですが、一級建築士よりは取りやすいと言われています。
年収は20代で550万程度、30代で700~800万程度になります。

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設備設計の将来性は?

技術の進歩が建築物に反映されるのは設備の技術からであることが多いのが事実です。太陽光エネルギー利用、LED照明、コージェネレーションシステム等の技術がもはや新技術で無くなった現在はZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)がトレンドになり、建物の意匠設計と一体となり、機能美と環境性能の高い建築物が求められています。

AI技術が建築物に導入されるとしたら、そのシステム選定は設備設計の仕事になるはずなので、今後設備設計が重要になってくることは間違いありません。

設備設計の年収をあげるには

設備設計で年収を上げる方法は資格を取ることと、条件の良い会社へ転職することの2つです。その2つを紹介していきます。

資格を取る


建築設備士、設備設計一級建築士は専門性のとても高い資格であるため、取得までに未経験の状態からだと時間がかかります。しかし、国家資格であるとともに、一定規模の建物には必要な資格要件なので、資格手当てが付きその後の昇進条件も高待遇となり大きくステップアップできます。

経験を積む

意匠、構造との調整ができるようになるには空調、衛生、電気の設備諸室に必要となる要素が頭に入っていないと調整できません。そのためには実務経験を積んで何が必要で何が無駄かを嗅ぎ取る嗅覚と図面を見ておかしいと思う感性を養う必要があります。

そうして身に着けた調整能力と想像力が、施主、施工者との交渉の場面でも説得力という形で効いてきます。そうした経験を積みながら、建築設備士で2年、設備設計一級建築で5年の期間を経て資格を取得するのが望ましいでしょう。

転職する

会社によって条件が大きく違います。設計事務所、建設会社の規模によって受注できる案件の規模に違いがあるため、大手の方が仕事量が必然的に多く、給与体系も好条件になりやすいです。

しかし、大手に人材を取られてしまっては困る会社も給与体系には力を入れています。大手ゼネコン、大手設計事務所の順で好条件であることが多いですが、転職先の状況次第では激務に拍車がかかるかもしれないので、転職先のリサーチをしっかり行いましょう。

最後に

設備設計の実務と業務について少しでも興味を持って頂けたでしょうか。建築業界を含めた全産業で技術革新の末にAIが全産業で雇用を奪うなどという話を耳にした方も多いと思います。

AI化、ロボット化できるのは一定のルーティン化されたマニュアル作業であり、創造的で、分析力の要る作業はシステムを導入するための橋渡しや、システムの入れ方のアドバイザーが必須です。

設備設計とは建築業界において橋渡し、アドバイザーとしての存在になることになります。大きく設備設計を取り巻く時代背景が変化する中、転職することでキャリアアップとともに、新しい時代の担い手になれるチャンスかもしれません。

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