建築士の年収630万円は高い?低い?資格・学歴・就職先で150万円格差の実態調査2025

現代的な設計事務所で図面を確認しながら年収資料を検討する建築士の様子

監修: 林(施工管理ちゃんねる キャリアアドバイザー/元施工管理技士) / 執筆: 施工管理ちゃんねる編集部 / 監修者プロフィール

元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。

結論: 建築士の平均年収は466万円。一級建築士580万円、二級建築士420万円が相場だ。

目次

建築士の平均年収は466万円【資格別・年代別の詳細データ】

建築士の平均年収は466万円——これは厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2024年版)から算出した数値だ。ただし、同じ「建築士」でも資格の級や働く場所によって、現実の年収には大きな開きがある。

Yahoo!知恵袋では「フリーター出身だと大手就職は難しいので、雇われ建築士の年収期待値は350〜400万円程度」という声もある。統計の平均値だけでは見えない、キャリアスタート時点による格差も存在するのが現実だ。

一級建築士の年収:平均580万円

一級建築士の平均年収は580万円。二級建築士より約160万円高い。

大手設計事務所や不動産デベロッパーでは700万円を超えることも珍しくない。独立開業した場合、年収1000万円超えの事例もある一方で「食べていくのがやっと」という厳しい現実も併存する。

勤務先 年収レンジ 特徴
大手設計事務所 650-850万円 長時間労働が前提
不動産デベロッパー 700-1200万円 企画職なら高年収
地方設計事務所 400-550万円 地域格差が大きい

一級建築士の資格を持つある30代の設計士は「資格取得後に変わったのは年収じゃなく選択肢の数だった。副業で講師ができるようになり、転職市場でのスカウトメールが倍増した」と語る。金銭面だけでない価値があることも事実だ。

二級建築士の年収:平均420万円

二級建築士の平均年収は420万円。一般的なサラリーマンの平均年収(445万円)をやや下回る水準だ。

設計できる建物の規模制限があるため、一級建築士との年収差は避けられない。ただし、住宅系の設計事務所や工務店では「二級で十分」な現場も多く、実務経験を積めば500万円台も射程圏内。

実際に面談した二級建築士の転職事例では、地方の工務店から都市部のハウスメーカーに転職することで、年収380万円から480万円(+100万円)にアップした事例もある。転職によって年収アップを実現する方法は確実に存在する。

木造建築士の年収:平均380万円

木造建築士の平均年収は380万円。建築士資格の中では最も年収が低い。

設計できる建物が木造住宅に限定されるため、需要の幅が狭い。ただし、昨今の木造建築ブームやZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)需要により、専門性を活かせる場面は増えている。

地方の工務店では「木造のプロ」として重宝される。実際、ある木造建築士は工務店の設計部門で年収450万円を得ており、同地域の平均を上回る待遇を受けている。専門性の深さが評価される分野でもある。

なぜ建築士の年収は低いと言われるのか?3つの構造的要因

「建築士の年収は低い」——この声がネット上でよく聞かれるのには、業界特有の構造的な要因がある。実際の面談でも「責任のわりに給料が見合わない」という悩みを持つ建築士は多い。

実務経験のカウント問題

建築士になるには資格取得だけでなく、実務経験が必要だ。この「実務経験をどうカウントするか」が年収に大きく影響する。

例えば、設計事務所でのアルバイト経験が実務経験として認められない場合、正社員として働き始める時期が遅れる。その分、同年代に比べて年収スタートラインが低くなってしまう。

フリーター出身者の場合、この問題は深刻だ。Yahoo!知恵袋の声にもあるように「大手就職が困難で、雇われ建築士として350〜400万円程度」という現実がある。実務経験のハードルが、年収格差を生む要因の一つになっている。

業界の下請け構造

建設業界特有の重層下請け構造が、建築士の年収を押し下げている。

大手ゼネコン→設計事務所→下請け設計事務所という流れで仕事が流れる中で、末端の設計事務所に所属する建築士の年収は抑えられがちだ。同じ図面を描いても、所属する会社のポジションによって年収に100万円以上の差が生まれることも珍しくない。

この構造を知る建築士は「独立しても結局は下請けから抜け出せない」と感じ、年収アップを諦めてしまうケースもある。構造を理解した上での戦略的な転職が重要になる。

地方での需要不足

地方では建築需要そのものが限られており、建築士の年収も都市部より低くなりがちだ。

人口減少により新築需要が減り、リフォーム・改修工事が中心となる地方都市では、設計料も抑えられる。地方の設計事務所では年収400万円に届かないケースも多い。

一方で、地方で独立開業を目指す建築士もいるが「食べていくのがやっと」という厳しい現実もある。地方での建築士の働き方には、都市部とは異なる戦略が求められる。

一級建築士と二級建築士の年収差は160万円【違いを徹底比較】

一級建築士と二級建築士の平均年収差は160万円。この差はどこから生まれるのか?3つから見ると分析する。

一級建築士 vs 二級建築士の違い

  • 設計可能な建物規模:一級は制限なし、二級は500㎡以下
  • 転職市場での評価:一級は大手からスカウト、二級は中小企業中心
  • 独立時の受注単価:一級は大型案件、二級は住宅メイン

設計できる建物規模の違い

最も大きな違いは、設計できる建物の規模だ。

二級建築士は延床面積500㎡以下、高さ13m以下の建物しか設計できない。一方、一級建築士に規模制限はない。高層ビルや大型商業施設など、単価の高い案件を扱えるかどうかが年収差に直結している。

実際の設計料で比較すると、住宅設計(二級可能)は100〜300万円程度だが、オフィスビル設計(一級のみ)は1000万円を超えることも。案件単価の違いが、年収160万円の差を生んでいる。

転職市場での評価差

転職市場では、一級建築士と二級建築士への評価は明確に異なる。

大手ゼネコンや不動産デベロッパーの求人は「一級建築士必須」が大半。二級建築士では応募できない求人が多数存在する。その結果、一級建築士は年収700万円超の求人にアクセスできるが、二級建築士は500万円前後が上限となりがちだ。

転職エージェントによると「一級建築士のスカウト数は二級建築士の約3倍」という。選択肢の数が年収に影響しているのが実情だ。

独立開業時の受注規模差

独立開業時の受注規模にも大きな差がある。

一級建築士は店舗や小規模オフィスビルまで受注できるが、二級建築士は住宅設計が中心となる。住宅1棟あたりの設計料は100〜200万円程度だが、店舗設計なら300〜500万円、小規模オフィスなら500万円以上も可能だ。

Yahoo!知恵袋には「設計事務所経営で年収1000万ちょい。2000万なら法人化して部下を雇う必要がある」という一級建築士の声もある。受注規模の違いが、独立後の年収格差を決定している。

建築士の年収を1000万円まで上げる現実的な5つのルート

建築士が年収1000万円を実現するルートは確実に存在する。ただし、すべてのルートにリスクと条件があることも事実だ。現実的な5つのルートを詳しく分析する。

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大手ゼネコンの設計部門への転職

最も確実性の高いルートが、大手ゼネコンの設計部門への転職だ。

鹿島建設・大成建設・清水建設クラスの設計部門なら、40代で年収1000万円は射程圏内。ただし、激務は覚悟が必要だ。深夜までの残業や休日出勤が常態化している現場も多い。

企業規模 40代年収目安 必要条件
スーパーゼネコン 1000-1400万円 一級建築士+設計実務5年以上
準大手ゼネコン 800-1200万円 一級建築士+マネジメント経験
中堅ゼネコン 700-900万円 一級建築士+専門分野実績

転職には一級建築士資格に加えて、設計実務経験5年以上が求められる。面接では「激務に耐えられるか」も重視されるため、体力・精神力の準備も必要だ。

不動産デベロッパーでの企画職

三井不動産・三菱地所クラスの企画職なら、年収1200万円超えも可能だ。

ただし、建築士資格は「あると有利」程度で、より重要なのは企画力・営業力・プロジェクトマネジメント能力。純粋な設計業務から離れる覚悟が必要になる。

実際にデベロッパーに転職した一級建築士は「設計から企画に軸足を移したことで年収は1.5倍になったが、図面を描く時間はゼロに近い」と語る。設計へのこだわりと年収アップは、ある程度トレードオフの関係にある。

建築系コンサルティング会社

建築技術コンサルタントやBIM導入支援などの専門コンサル会社も、高年収を狙える分野だ。

デジタル化やカーボンニュートラル対応で需要が急拡大している。特にBIM(Building Information Modeling)の専門知識があれば、年収800万円以上のポジションも多数存在する。

ただし、コンサル業界特有の「結果がすべて」の世界であることは理解しておく必要がある。成果を出せなければ、高年収は続かない。

独立開業(都市部限定)

独立開業で年収1000万円を実現する建築士もいるが、条件は厳しい。

Yahoo!知恵袋の声にもあるように「年収1000万ちょい」の設計事務所経営者は実在する。ただし「2000万を稼ぐなら法人化して部下を育てる必要がある」との指摘通り、規模拡大には経営ノウハウが必須だ。

地方での独立については「食べていくのがやっと」という厳しい声もある。成功には圧倒的な技術力、営業力、経営ノウハウが必要になる。

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未経験から建築士になるための現実的なキャリアパス

「恥ずかしながらフリーター」から建築士を目指す人への現実的なアドバイスをまとめる。Yahoo!知恵袋でよく見る質問だが、ルートは確実に存在する。

建築系学部卒の場合

建築系学部卒なら、最短ルートで建築士を目指せる。

二級建築士は実務経験なしで受験可能。合格後2年の実務経験で登録できる。一級建築士は4年の実務経験が必要だが、在学中のゼミ・研究室での設計経験が一部認められることもある。

Q. 建築系学部卒の場合、何歳で一級建築士になれますか?

A. 最短で26歳。大学卒業(22歳)→実務経験4年→一級建築士試験合格・登録というルートが一般的です。

年収についても、新卒で設計事務所に就職すれば初年度300万円台からスタート。5年程度で500万円台は十分狙える。建築系学部卒の場合、フリーター出身者との年収格差は確実に存在する。

非建築系学部・高卒の場合

非建築系学部や高卒の場合、実務経験の積み方が重要になる。

二級建築士には7年の実務経験が必要(建築系の専門学校卒なら2年に短縮)。一級建築士はさらに4年追加で、計11年の実務経験が必要だ。時間はかかるが、不可能ではない。

実務経験として認められる業務範囲は意外と広い。設計補助、工事監理補助、建築確認申請の事務なども含まれる。CADオペレーターや施工管理技士の経験も活かせる場合がある。

フリーターから建築士への転身事例

フリーターから建築士になった事例も存在する。ただし、現実は厳しい。

Yahoo!知恵袋の声通り「大手就職は困難で、年収期待値は350〜400万円程度」が実情だ。それでも、手に職をつける価値は大きい。建築士資格があれば、最低限の収入は確保できる。

成功事例を見ると、以下のパターンが多い:

  1. 建築系の職業訓練校で基礎知識を習得
  2. CADオペレーターとして設計事務所に就職
  3. 実務経験を積みながら二級建築士を取得
  4. 転職によって年収アップを実現

時間はかかるが、確実に実現可能なルートだ。重要なのは「最初の一歩を踏み出す勇気」と言えるだろう。

建築設計の仕事内容と年収の関係性

建築設計の仕事は段階によって内容も年収も大きく変わる。どの段階でどの程度の年収が期待できるのか、具体的に分析する。

基本設計業務と年収

基本設計は建築士の花形業務だ。クライアントの要望を聞き、コンセプトを形にする創造的な仕事。

ただし、年収への直接的な影響は限定的。基本設計を担当できるのは通常、経験5年以上のベテランだが、年収は500〜700万円程度が相場だ。創造性の高い仕事である一方、収入面では期待ほど高くないのが実情。

大手設計事務所では基本設計担当者でも年収800万円を超える場合があるが、激務は覚悟が必要。深夜まで検討を重ね、週末もクライアントとの打ち合わせに追われる。

実施設計業務と年収

実施設計は基本設計を具体的な図面に落とし込む業務。技術力と正確性が求められる。

CADスキルと建築基準法の知識があれば、比較的安定した年収を得られる。経験3年程度で年収450万円、5年で550万円程度が目安だ。基本設計ほど創造性は求められないが、その分、安定性がある。

近年はBIM(Building Information Modeling)スキルがあると年収アップに直結する。BIMオペレーターなら未経験からでも年収400万円台でスタートし、専門性を磨けば600万円以上も狙える。

工事監理業務と年収

工事監理は設計図通りに工事が進んでいるかチェックする業務。現場に足を運ぶ機会が多い。

責任は重いが、その分年収も高めに設定される傾向がある。工事監理を主業務とする建築士の年収は550〜750万円程度。大型現場なら800万円を超えることもある。

ただし、工事の進捗に合わせてスケジュールが決まるため、残業や休日出勤も避けられない。体力的にハードな側面があることは理解しておく必要がある。

建築士転職で年収アップを実現する企業選びのコツ

建築士の転職で年収アップを実現するには、企業選びが重要だ。面談で聞いた成功・失敗事例から、具体的なコツをまとめる。

年収テーブルが明確な企業の見極め方

年収アップを狙うなら、昇給・昇格の基準が明確な企業を選ぶべきだ。

面接で「資格取得による昇給額」「経験年数による昇格モデル」を具体的に質問してみる。曖昧な回答しか得られない企業は避けた方が無難だ。

優良企業の例:

  • 一級建築士取得で月額3万円の資格手当
  • 主任昇格で年収50万円アップ
  • マネジメント職で年収100万円以上アップ

このような具体的な数字を提示してくれる企業なら、将来的な年収アップも期待できる。逆に「頑張り次第で」「評価によって」といった抽象的な表現しか使わない企業は要注意だ。

実務経験を正しく評価してくれる企業

転職時に過去の実務経験を適正に評価してくれるかは、年収に直結する重要ポイント。

「CADオペレーター経験は実務経験として認めない」「施工管理経験は設計経験にカウントしない」という企業もある。一方で「幅広い経験を総合的に評価」してくれる企業なら、年収面で有利な条件を提示してもらえることが多い。

面談で転職成功した建築士は「前職での施工管理経験も設計業務に活かせると評価され、予想より50万円高い年収で採用された」と語っている。実務経験の幅を価値として認めてくれる企業選びが重要だ。

避けるべき企業の特徴

年収アップを阻害する企業の特徴も明確にしておきたい。

以下のような企業は避けるべきだ:

  • 「やりがい重視」を強調し、具体的な年収を明示しない
  • 残業代が「みなし残業」で固定されており、実質的にサービス残業
  • 昇格・昇給の基準が不明確で「社長の気分次第」
  • 離職率が高く、長く働いている社員がいない

特に「建築への情熱があれば年収は関係ない」という価値観を押し付ける企業は危険だ。情熱だけでは生活はできない。適正な対価を支払う意識のない企業では、長期的な年収アップは期待できない。

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よくある質問

Q. フリーターから建築士になった場合、現実的な年収はどのくらいですか?

A. 大手就職が困難なため350-400万円程度が期待値です。中小企業では土日出勤・残業多めという労働条件も考慮が必要。ただし、二級建築士取得後の転職で年収450万円以上を実現した事例もあります。重要なのは最初の就職先で実務経験を積み、資格取得後に条件の良い企業への転職を目指すことです。

Q. 建築士資格を取ると年収以外でどんなメリットがありますか?

A. 副業機会の拡大、転職市場での評価向上、異業種からの相談など「選択肢の数」が大幅に増加します。実際に一級建築士を取得した方は「副業で講師ができるようになり、スカウトメールの数が倍増した」と語っています。年収だけでない価値があるのが建築士資格の特徴です。

Q. 地方で建築士として独立開業すれば年収1000万円は可能ですか?

A. 現実的には厳しく「食べていくのがやっと」という声も多いのが実情です。成功には圧倒的な技術力、営業力、経営ノウハウが必要。都市部での独立なら年収1000万円を実現している事例もありますが、地方では人口減少により新築需要が限られ、設計料も抑えられる傾向があります。

林(はやし)

編集・監修体制

編集施工管理ちゃんねる編集部(XCHANGE株式会社)

監修林(はやし)|施工管理ちゃんねる(せこちゃん) キャリアアドバイザー

元施工管理技士。大学院工学研究科修了後、発電所・製鉄所・自動車工場など大型プラントの電気施工管理に従事。ビル設備管理を経て、人材紹介会社でRA・CA両面を経験。電気設備・建設・再生可能エネルギー領域の採用支援を行う。

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