トレーサーとは?仕事内容や年収は?

トレーサーとは設計技師やデザイナーが描いた図面、或いは製図を正確に清書する仕事です。
その対象は建築、機械図面、電気配線図、地図等とても幅広い需要があります。
地道な努力が必要と言われるトレーサーという職業ですが、実際どのような作業をしているのでしょうか。
詳しく解説していきたいと思います。

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目次

トレーサーの役割とは?

企業はトレーサーにどのような役割を求めているのでしょうか。
大きく分けると「分かりやすい図面に仕上げる事」、「図面データを管理する事」、「裁量を用いた提案を行う事」の3つに整理されます。
それぞれの役割について説明していきます。

役割1:分かりやすい図面に仕上げる事

トレーサーに求められるのは、設計者が作成した設計者が作成しただけではなく、それをもとにより正確に分かりやすい図面に仕上げる技術が必要となってきます。しかし経験が浅いうちは仕事を任せてもらえない事もあります。よって時間をかけて技術を習得していく根気も必要となってきます。ただ清書をして終わりという訳ではありません。

設計者から図面の変更や修正を依頼される場合もあります。また変更する場所が1ヶ所であっても、右(左)から見た図や上から見た図等の複数の図面がある場合は全て修正し、設計者のチェックを受けます。

役割2:図面データを管理する事

作成した図面データ保管しを確認する際は、すぐ閲覧できるようにしておかなければなりません。また、複数の作業員が確認する時もある為、データを複製して情報を共有できる状態にする必要もあります。よって、図面の作成だけではなく図面データの管理も仕事の一つとなっています。

役割3:提案や助言を行う事

大きな図面を仕上げる事が大原則ですが、経験を積み重ねたり継続的な学習を続ける事で新しい知識も身についてきます。
質の高い図面を目指し作成し続ける事で確実に技術が磨かれますし、例えば建築の事や機械の事など自分が担当する分野について調べる事も大きな学習に繋がります。

経験を重ね、設計者やクライアントから信頼されるようになる事で、指示された図面を作るだけではなく、インテリアやレイアウト、デザインにまで関われるようにもなり提案や助言を行う場合もあります。

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トレーサーに求められるスキルとは?

次にトレーサーに必要なスキルについてです。
こちらも主に「CADの操作ができる」、「綿密なコミュニケーションができる」、「設計・デザインを理解できる」の3つに分けられます。
どのスキルも今の時代のトレーサーにとって基本的に身に着けておく必要がある事です。

尚、必須資格ではないものの「トレース技能検定」等の資格を取得しておくと活躍の場が広がります。

スキル1:CADの操作ができる

CADとは高度な図面を短時間で作成する事が出来るコンピューターソフトです。CADを使用する事で「平面図」を描く2次元と「立体図」を描く3次元の両方にも対応が可能です。
近年ではCADを利用し図面を作成する事が殆どです。

基本的なコンピューターを操作する事はもちろんCADには様々な操作コマンドがある為、それを理解し素早く作図が出来るスキルが求められます。ちなみにCADを使用してトレースを行う人をCADオペレーター或いはCADトレーサーともいいます。

スキル2:綿密なコミュニケーションができる

図面を作成する上では、設計者からの正確な指示を把握する必要があります。設計の修正などの細かな作業も多く、ちょっとしたミスが後に大きな問題となってしまう可能性も考えられます。

設計者としっかりとした報告、連絡、相談ができる良質な信頼関係が重要です。また規模が大きい案件の場合等、複数人で作図をこなしていく場合もあります。チームで仕事をするという意識を持ち、お互いに相談しあったり進行具合を確認するなど臨機応変に進めていく必要があります。設計者やチームの人とのコミュニケーションスキルが重要です。

スキル3:設計・デザインを理解できる

主な仕事は、設計士やデザイナーの指示通りに図面を作図する事であり、専門知識がなくても仕事を行う事は可能と解釈される事もあります。

しかしながら、CADを使った作図は0コンマ何ミリという数値の単位を調整しつつ作業をしながら、設計担当者と連携をとっていく必要があります。よって強い集中力の他、指揮命令者の指示内容を正確に把握する為には、ある程度の設計やデザインができる程のスキルが備わっている事も大事です。

トレーサーの働き方は?

それでは、実際にどんな一日を送っているのかをみていきましょう(あくまで一例になります)。

トレーサーの1日の流れは

8:30~出勤、メールの確認
(設計者から連絡や、新たな依頼等のチェックを行う)
9:00~ミーティング
(どの図面作成を行うか、業務の確認・分担など話合う)
10:00~図面作成
(コンピューター(CAD)にて図面を作成する)
12:00~休憩
13:00~図面作成
(コンピューター(CAD)にて図面を作成する)
16:00~提出、図面修正、図面作成
(担当者に作成した図面を提出し必要あれば修正や変更を行う。また新たな図面作成を開始する)
18:00 退勤

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トレーサーの休日や休暇は?

正社員の場合は週休二日制(土日祝)が主です。他に派遣で働いている人もいれば自宅で在宅ワークとして業務をしている人も居ます。その為、休日の数や取得に関しても職場によって異なっていきます。

ケース1:正社員の場合

基本的にどんな会社でも週休二日制(土日)であり他祝日、GW、夏季・冬季休暇、年末年始等が休みになります。場合によって休日出勤や残業を余儀なくされる事があります。

ケース2:派遣社員の場合

基本的に正社員と同様の休日内容ですが、短時間だったり残業や休日出勤が無い場合があり主婦等、女性が働く場合に向いています。

ケース3:在宅ワーカーの場合

コンピューター、インターネット環境、CADソフトがあれば自宅で在宅ワークとして働く事も可能です。その為、休日の取り方も自由に調整できます。

トレーサーの仕事が激務と言われる理由

トレーサーの仕事を大きくまとめると、設計者が描いた図面をコンピューターで清書するというものとお分かり頂けたでしょうか。
やりがいのある仕事と言われる一方で、その勤務内容の厳しさを指摘する声もあります。

本当に激務なの?

納期厳守の為、残業が続く日もあります。しかし、苦労して完成した図面を納品する時の達成感はとても大きく自分が携わった仕事が形となったのを見ると大きな喜びを実感できます。

よってモノ作りが好きな人にとっては、実にやりがいのある仕事と言えます。
またトレーサーを求める業界は幅広い為、自分の興味のある分野を選択できるという利点があります。基本的にデスクワークですが、直接お客様と接する機会もあったりします。

激務と言われる理由は?

職場にもよりますが、仕事が絶えず8時から20時までの残業が続く時もあります。
特に納期前は周りも殺伐としていきます。やりがいのある仕事である一方、自分の仕事が遅れてしまう事によって周りに迷惑をかけてしまうというプレッシャーも生まれてきます。

納期が遅れる事は許されず必ず守らなくてはいけない為、思うように仕事が進まないとかなりのストレスがかかる事や、一日中椅子に座りっぱなしでコンピューターの画面と向き合う事による肩こりや腰痛、目の疲れ等の苦痛を感じる事が多いのが激務と言われる理由ではないかと思います。

また、トレースの経験が殆どない事務の職員がCADやコンピューターが扱えるという理由で現場に参入してくるケースもありますが、チームで仕事をしている場合、作業効率が低くなったり経験者との間での人間関係にわだかまりが生じたりする事もあります。

トレーサーの年収は?

トレーサーとして働いている人は、20代~30代の若年層が多いようです。企業によって給料の違いがある為、一概には言えませんが実務経験や資格、スキルの高さによってその年収も変わってきます。年収の違いについてみていきましょう。

年齢別

経験豊富で実力の高いトレーサーと働きはじめだったり経験の少ないトレーサーでは仕事の進め方にも当然差が出てきます。企業が採用した時点ではそのトレーサーがどの程度の実力を持っているか判断が難しいです

以下は入社したばかりだったり、経験があってもスキルが低い場合の年収の目安になります。年齢別の平均で20代で約380万程、30代で約480万程、40代で約580万程となっております。
30代を過ぎるとただ図面が描けるだけの技術の低いトレーサーは昇級が難しくなっていきます。

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経験年数別

トレーサーは実務経験やスキルの高さが重視される傾向があります。企業もなるべくなら経験豊富なトレーサーに任せたい事から、年齢に加え経験年数による年収の違いもあります。
実力を着実につけていったトレーサーの場合は年齢に約る収入と合わせて、5年で約500万以上、10年で約600万以上となるケースが多いと言われています。

例えば20代の頃に就職し、その後経験を積み重ねて実力を磨いたトレーサーの場合、30代になる頃にはその10年程の経験で約600万以上の年収を得る事もあるのです。ただ年齢別の方でも説明したように経験年数があってもスキルアップが望めないトレーサーは収入も低いままである可能性もあります。

トレーサーの将来性は?

トレーサーは建築業界を中心に機械、自動車、アパレル等の様々な分野で必要とされます。
モノ作りにおいて必要不可欠な存在です。また、企業側としてもできるだけ人件費を削りたいという本音があります。

よって、ただコンピューターが扱えたりCADの操作ができるだけといった人材よりきちんと設計やデザインの知識を持った経験のあるトレーサーを雇いたいと考えるのが普通ではないでしょうか。

トレーサーの年収をあげるには?


トレーサーの年収をあげる可能性について知っておきましょう。
主に資格をとる事、経験を積むこと、転職をすることの3つの可能性が考えられます。
資格を取ったり経験を積むことは一生ものの財産になりますし、転職をする事は今よりも充実したライフスタイルを手に入れるチャンスになるかもしれません。
現在の自分の生活環境に合った方法を検討するといいでしょう。

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資格をとる

トレーサーの仕事自体は資格なしでも行う事ができます。
しかしながらスキルの高さに重きを置く職業の為、「トレース技能検定(1級~4級)」「CAD利用技術者」といった資格を取得する事でより専門性の高い業務が期待されます。
企業によっては資格評価制度があり、資格を取得する事で月給5000円~10000円の収入が上がる可能性も出てくるのです。
また独立をする際にも有利になる為、年収を上げる事にも繋がります。

経験を積む

実務経験やスキルの高さが重視されるので、現場で培った設計者から正確な指示を製図できる能力、素早い作業ができる能力、変更や習性があった場合の先読みができる能力は効率良く仕事を進められるだけではなく、トラブルの回避にも繋がります。企業にとってはとても心強い存在となります。

転職をする

職場によって給料や仕事の内容も変わってきます。
関わる分野を変えさらなる知識を習得する事で確実にスキルアップに繋がりますし、現在の職場が合わない場合も環境を変える事で今より楽で給料も高くなる場合もあります。

現在の職場で悩んでいるのなら一度検討するのも良いでしょう。
また様々な仕事の経験を積む事で雇われる側から独立という一歩に繋がる事もあります。
転職をし経験を積む事は、より自由な環境で年収も上がる可能性がを広げる事ができます。

最後に

いかがでしたでしょうか。
トレーサーの仕事の魅力は自分が手がけた設計図の元、家や製品が作り上げられていく過程を実感できる事です。
この記事を読んでくださった皆さんが、建築業界以外でも機械メーカーやアパレルメーカー等、様々な業種で需要のあるトレーサーに少しでも興味を持っていただける事を願っています。

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